親の一人暮らしは不安…。リスクやサポート方法を紹介!

一人暮らしをする高齢者が増えており、親のことを心配する人も多いでしょう。一人暮らしをする親を持つ子世代に向けて、親世代が一人暮らしをするリスクや、そのサポートをする方法をご紹介します。

目次
  1. 高齢者の一人暮らしの現状は?
  2. 高齢者が一人暮らしをするリスク
  3. どんなサポートができる?
  4. 同居を検討する際の注意点
  5. できるサポートを知っておこう!
2023.02.28

高齢者の一人暮らしの現状は?

高齢者の一人暮らしの割合は、年々増加傾向にあります。※1高齢者が一人暮らしを選ぶ背景には、「子どもに負担をかけたくない」「自分は自立しているので援助の必要性を感じていない」といった理由があるようです。

しかし、高齢者の一人暮らしには、リスクを伴うことも事実です。そのため、本人は不安や悩みを抱えていなくても、子世代は一人暮らしの親について心配をしていることも多いでしょう。そこで、今回は、親が一人暮らしをしている場合や、一人暮らしを始める際に、何に気を付ける必要があるのか、どのようにサポートしたほうがよいのかをご紹介します。

高齢者が一人暮らしをするリスク

高齢の親が一人暮らしをすることで、どういったリスクが発生してしまうのかを見ていきましょう。

外を眺める女性

けがや病気に気付けない

高齢者が一人暮らしをする際のリスクの1つは、けがや病気をしたとしても周りが気付きにくいことです。年齢を重ねるごとにけがをしたり、病気にかかりやすくなったり、持病が悪化しやすくなったりします。近くに家族が住んでいたり、訪問看護や訪問介護などの介護保険サービスを利用していて定期的に看護師や介護スタッフが訪問する機会があったりするとよいですが、日常的にほかの人と接する機会があまりない人の場合は、発見が遅くなってしまう可能性があります。特に、転倒やヒートショックなどが起こった場合、誰も気付かずに孤独死になってしまうケースも考えられるでしょう。

認知症の発症に気付けない

高齢者が一人暮らしをする際のリスクは、認知症の発症に周りが気付きにくいということも挙げられます。年齢が上がるにつれて、発症するリスクが高くなる認知症。※2厚生労働省のデータによると、2025年には、高齢者の5人に1人に当たる、約700万人が認知症を発症すると予測されています。※2このような状況のなか、高齢者が一人暮らしをしていると、本人の小さな変化を周りが感じ取れず、認知症を発症していることに気付くのが遅れてしまう可能性があります。知らず知らずのうちに認知症が進み、1人で暮らせなくなってしまったり、近隣住民に迷惑をかけてしまったりする可能性もあります。

●一人暮らしの認知症の親に起こりうるトラブルと対策に関する記事はこちら
一人暮らしの家族が認知症に。起こりうるトラブルと対策を解説

十分な栄養が摂取できない

高齢者が一人暮らしをしていると、好きなものばかりを食べたり、いつも同じようなものを食べたりと食事が偏ってしまう場合もあります。もし、偏食をしていると、栄養が偏ってしまい、十分な栄養が摂取できなくなってしまう可能性があります。また、高齢者のなかにはけがや病気によって調理がうまくできず、簡易的な食事になってしまう人もいるでしょう。このようにして、食事が偏ってしまい、十分な栄養が摂取できていないと大きな病気に発展するリスクも高まります。

悩む高齢者

犯罪被害に遭いやすくなる

高齢者をターゲットとした「オレオレ詐欺」などの特殊詐欺は、大きな社会問題です。さまざまな特殊詐欺のなかでも高齢者が被害を受けているものが多く、その数値は特殊詐欺の被害に遭った人のうちの7~8割程度といわれています。※3一人暮らしの場合、「詐欺かな?」と思っても、すぐに相談できず、被害に遭うケースがあるのです。また、高齢者1人だけだと、詐欺だけでなく、傷害や窃盗などの事件にも巻き込まれてしまう可能性も高くなります。

薬を正しく飲めない

高齢者の一人暮らしでは、決められた薬の服用を正しく管理できないというリスクもあります。一人暮らしの高齢者が薬を服用中の場合、近くにきちんと管理をしてくれる人がいないため、飲み忘れたり、飲み過ぎてしまったり、誤った用法で摂取してしまう可能性もあるからです。

寂しさを感じてしまう

一人暮らしの場合、人によっては孤独を感じてしまい、元気を失ってしまうこともあります。地域によっては、近所付き合いが少ない所もあり、近隣の人と接する機会がほとんどない状況になることも想定されます。

どんなサポートができる?

親が一人暮らしを選んだ場合、一人暮らしをサポートするために子どもはどんなことを行えばよいのでしょうか?親の一人暮らしをサポートするときには、本人の意見を聞きながら一番よい方法を一緒に探すのがベストです。ここでは、親の一人暮らしをサポートする方法を紹介します。

一人暮らしの高齢者と訪問看護のスタッフ

見守りサービスを活用する

遠方に住んでいても簡単に親の安否を確認できる「見守りサービス」を活用しましょう。見守りサービスは、大きく5つの種類に分けることができます。概要は、下記の表の通りです。

サービス名概要
訪問型サービス会社のスタッフが定期的に利用者の自宅を訪問し、健康状況や生活状況を確認するサービス
センサー型家電やトイレ前など、よく通る場所にセンサーを設置し、センサーを取り付けたものが利用されたり、センサーを横切ったりすることで安否を確認するサービス
カメラ見守り型自宅内にカメラを設置し、映像を通じて状況を確認するサービス
緊急時通報型小型の通報装置を携帯してもらい、緊急時にボタンを押すことで通報するサービス
宅配、配食型毎日食事を配達するのに合わせて、利用者の安否も確認するサービス

5つのタイプごとに特徴が異なります。自分の親にはどのようなサービスが合っているのか、本人の意見も聞きながら選んで活用することが大切です。なお、三井のリハウス シニアデザイングループでは、使う人に合わせた幅広い見守りサービスをご用意しています。ぜひ一度、ご検討してみてはいかがでしょうか?

●見守りサービスについてはこちら
見守りサポート

高齢者向けサービスを利用する

自治体や民間で行っている高齢者向けサービスを積極的に利用するのも1つです。介護保険サービスを利用すれば、1~3割の自己負担で介護支援を受けられる場合もあります。また、地域によっては、自治体がごみ回収や、家事代行、お弁当の配達などのサービスを提供しているところもあります。一度、親が住んでいる地域の高齢者向けサービスを調べてみるとよいでしょう。

●介護老人福祉施設に関する記事はこちら
介護老人福祉施設とは?特徴・入居条件・費用について解説

関係者とうまく連携する

親の変化に気付きやすい体制を作るようにしましょう。たとえば、親の知人との関係を築いておき、連絡先を交換したり、ヘルパーやかかりつけ医がいる場合は、普段の様子を聞いたりしておくことが大切です。親の普段の様子をよく知っている周囲の人とコミュニケーションを取ることで、普段とは異なる様子に気付きやすくなるでしょう。

親が元気なうちに本人の希望や情報を聞いておく

親が元気なうちに本人の生活状況を把握しておきましょう。親が日頃どんなものを食べているのか、どんなところに出かけているのか、毎日行っていることはどんなことかなど、本人の暮らしについて理解をしておくことが大切です。

ほかに、親の経済状況についても確認しておきましょう。親の預貯金や借金額を知っておくことで、万が一本人が介護を必要としたときのための準備ができます。

同居を検討する際の注意点

ここまで親(高齢者)の一人暮らしにおけるリスクや、サポート方法などを紹介してきましたが、一方で、親との同居を検討する際、どのようなことに注意すべきなのでしょうか。ここでは、親と同居を考える際に注意すべき点をご紹介します。

会話をする若い夫婦と高齢の男性

お互いにとってストレスにならないように

親と同居をすれば、物理的に距離が近くなり、目が行き届くため安心できるでしょう。しかし、義理の親子だけでなく、実の親子であったとしても、生活スタイルや生活に対する考え方にギャップがある場合もあるため、お互いの生活スタイルを尊重し合う必要があります。お互いがお互いの生活スタイルを貫いていると、結果的に一緒に暮らすことで双方がストレスを抱えてしまう可能性もあります。また、親の気持ちを理解せずに、同居をしてしまうと親がその状況を窮屈に感じてしまうことも考えられるでしょう。

援助を必要としていない場合がある

子どもは、援助が必要だと思っていても本人(親)は援助を必要としていない場合があります。特に、自立した生活を送ることにプライドを持っている親の場合は、自尊心が傷つけられてしまう可能性があるのです。その結果、本人が無理に動いてけがやトラブルなどを招いてしまうことも考えられます。

訪問介護スタッフとカウンセリングを受ける女性

できるサポートを知っておこう!

高齢の親の一人暮らしには、さまざまなリスクが伴います。親がどのような暮らしをしたいのか、家族との同居は考えているかなど、早めのうちに本人の希望を確認して家族で検討しておくことが大切です。

本人は一人暮らしに前向きではないが、一人暮らしをせざるを得ないケースも出てくるでしょう。一人暮らしをせざるを得ない場合は、子どもとしてどのようにサポートできそうかを検討し、親と一緒に一番よいサポート方法を探っていくのがおすすめです。もし介護が必要になったときは、訪問介護やデイサービスなどの介護保険サービスを活用してみましょう。

また、同居は現実的に難しいが、一人暮らしはなるべく避けたいという場合は、サービス付き高齢者向け住宅やシニア向け賃貸住宅などのシニアを対象とした住宅の利用を検討してみてもよいでしょう。三井のリハウス シニアデザイングループでは、見守りサポートの利用や高齢者住宅の紹介など、シニアの暮らしに寄り添ったさまざまな相談を受け付けています。ぜひ一度お問い合わせください。

●三井のリハウス シニアデザイングループによるお悩み別サポートはこちら

※1出典:令和3年版高齢社会白書,内閣府
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2021/zenbun/pdf/1s1s_03.pdf
(最終確認:2023年1月23日)

※2出典:知ることから始めようみんなのメンタルヘルス,厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_recog.html
(最終確認:2023年1月23日)

※3出典:令和2年版 警察白書,警視庁
https://www.npa.go.jp/hakusyo/r02/honbun/index.html
(最終確認:2023年1月23日)

三井不動産株式会社 ケアデザイン室

三井不動産グループが培ってきた住まいと不動産に関する総合力・専門性を生かし、豊かな老後を過ごすためのお手伝いをするとともに、福祉の専門職が豊富な経験に基づいたコンサルティングを通して高齢期のさまざまなお悩みにお応えしています。