老後も今の家に住み続けたい…各サービス提供会社に相談するための準備

老後も今の家に住み続けるために、リフォームや見守りサービス、資金調達を検討したら、各業者へ相談するのがおすすめです。今回は、各業者に相談する際に準備しておいた方がよいことをご紹介します。

目次
  1. 老後も今の住まいで暮らすためには対策が必要!
  2. 老後の快適な暮らしにはどんな対策が必要?
  3. 老後の「住まい」について相談する前に準備しておくことは?
  4. 「見守りサービス」の相談をする前に準備しておくことは?
  5. 老後の資金調達について相談する前に準備することは?
  6. 準備を整えて有意義な相談時間にしよう!
記事カテゴリ 老後のすまい シニア
2021.01.28

老後も今の住まいで暮らすためには対策が必要!

子どもが独立をして、夫婦二人暮らしや一人暮らしになっても、「今の持ち家に住み続けたい」と思う人が多いのではないでしょうか?

「愛着のある住まいだから」「今から住まいを変えるのは面倒だし、不安だから」、住宅ローンの返済が終わっているのであれば「住宅コストをかけず、ゆとりのある生活を送りたいから」など、理由はさまざまですよね。

年齢を重ね、これからも今の家に住み続けたいと考えている場合は、老後も暮らしやすくするための対策が必要です。

老後も現在の持ち家に住み続けたいのなら、以下の3点について考えましょう。

・老後も暮らし続けるための住まい造り
・老後の暮らしの安全をサポートするサービスの利用
・老後の暮らしを支える資金調達

以上の点は、老後も現在の住まいに住み続けるうえで重要なポイントです。これらを行うには、まず、不動産会社や専門業者などに相談する必要がありますが、そもそも「どんなことを相談したらよいのか」「どんな準備をしておくべきか」分からないことだらけですよね。

今回は、現在の持ち家で生活を続けるために、各サービス提供会社へ相談する際のポイントを解説します。しっかりポイントを押さえ、効率的かつ有意義な相談時間にしましょう。

老後の快適な暮らしにはどんな対策が必要?

先述の通り、老後の快適な暮らしを実現するためには「老後も暮らし続けるための住まい造り」「老後の暮らしの安全をサポートするサービスの利用」「老後の暮らしを支える資金調達」に関する対策が必要です。

パソコンを見るシニア夫婦

老後も暮らし続けるための住まい造り

まず、老後の暮らしに焦点を当てた住まい造りが必要となります。年齢を重ねるにつれ、足腰が弱くなったり、体力が低下していくことは避けられません。老後は、バリアフリー化されている住まいや、子どもと一緒に過ごせる住まいの方が生活しやすいですよね。

快適な老後の暮らしのため、「リフォーム」や「二世帯住宅」を視野に入れた住まい造りを行いましょう。

●リフォームに関する記事はこちら

安心をサポートする「見守りサービス」

老後に検討したいのが「見守りサービス」の導入です。高齢になると、突然の怪我や病気が心配になったり、食事の準備が負担になったり、日々の暮らしに不安を感じることも多いですよね。

見守りサービスとは、離れて暮らす家族の暮らしをさまざまな方法で見守ってくれるサービスです。サービス内容や料金設定は多々あるので、自分のニーズに合わせて導入を検討してみてくださいね。

●見守りサービスに関する記事はこちら

暮らしを支える資金調達

老後も快適に今の家に住むには、十分な資金を準備しておくことも重要です。同じ家に住み続けるのであれば、バリアフリー化のためのリフォーム費用や、二世帯住宅の建築費などが発生するかもしれません。

老後資金の調達方法としては、次の2つが挙げられます。
・自分が所有している自宅を売却し、賃貸契約でそのまま住み続けられる「リースバック」
・自分が所有している自宅を担保に金融機関からお金を借りられる「リバースモーゲージ」

●老後の資金調達に関する記事はこちら

では、これらの対策を各業者へ相談する前に、相談者が行うべきことには、何が挙げられるでしょうか?次の章から1つずつ説明するので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

老後の「住まい」について相談する前に準備しておくことは?

まず、リフォームや二世帯住宅を検討する場合、施工業者への相談前に押さえておくとよいポイントを整理しましょう。家族との同居を考えている場合は、同居人の意向も合わせて確認しておくとよいですよ。

バリアフリー化リフォーム

かけられる費用の金額感を出しておく

住居のリフォームにあたって、かけられる費用を伝えられると、スムーズに相談することができますよ。およその金額で構わないので、提示できるよう準備しておきましょう。

自分の身体の状態を確認しておく

自分たちの身体の状態を把握し、伝えることで、どの設備が必要になるのかを提示してもらいやすくなります。「家事は問題なくできる」「歩行が困難」など、具体的に伝えられるとよいですよ。

いつまで暮らすことを想定しているか、明確にする

「元気なうちのみ」「介護が必要になっても」「最期まで」など、今の家にいつまで暮らす意思があるのかを具体的に伝えることで、詳しい提案を聞くことができます。

リフォームの目的を明確にする

「安全に入浴したい」「室内での転倒リスクを減らしたい」「介護者の負担を減らしたい」など、リフォームの目的を明確にしておくことも、重要なポイントです。

今の住まいで不便なことや危険なところを洗い出す

住んでいて不便なことや、危険だと感じるところを洗い出しておきましょう。「玄関の段差がきつい」「トイレの入口が狭い」など、普段の生活を思い返しながら確認するとよいですよ。また、将来の暮らしを想像して、不安を感じることも洗い出しておくことがおすすめです。

リフォームする箇所に優先順位を付けておく

金銭面や時期的な問題から、一度に全てのリフォームを行うことが難しい場合もあるかもしれません。その場合、どこから優先的にリフォームを行ってほしいのかを、はっきりさせておくために優先順位を付けておくとよいですよ。

減税や助成金制度があることを知っておく

一定の要件を満たせば、持ち家のバリアフリー化については減税や助成金制度が適応されます。減税や助成金制度には複数種類があるため、詳細は自治体や相談時に施工業者に聞いてみるとよいでしょう。

二世帯住宅への改築を検討の場合は、登記方法を決めておく

二世帯住宅に改築するのであれば、不動産登記が必要です。二世帯住宅の不動産登記には「単独所有」「共有」という所有形態、「区分」「非区分」という物件形態があり、それぞれどちらかを選ばなければなりません。

どちらにもメリット・デメリットがあるため、事前に調べ、登記方法を決めておくとよいですよ。

「見守りサービス」の相談をする前に準備しておくことは?

続いて、「見守りサービス」の提供会社へ相談する前に準備しておきたいポイントを整理しましょう。老後の暮らしを心配する家族に安心してもらうためにも、見守りサービスはおすすめです。こちらも「リフォーム」や「二世帯住宅」同様、同居人がいる場合は意向を共有しておくとよいですよ。

シニアの見守りサービス

見守りサービスを導入する目的を明確にしておく

まず、押さえておきたいのが、見守りサービスを導入する目的です。「緊急時のために備えたい」「子どもの不安を解消したい」「自宅の防犯対策を強化したい」など、導入の目的は人それぞれです。

目的によって適したサービス内容が異なるので、しっかり考えておくとよいですよ。

見守る対象(自分)について整理する

自分たちの心身の状況を整理しておくことも大事なポイントです。たとえば「緊急時のみの見守りで十分」「24時間見守りをして欲しい」などが挙げられます。相談前に、今一度自分たちの心や身体の声に耳を傾けてみてくださいね。

かけられる費用を算出する

見守りサービスの種類や内容は年々多様化しており、費用も幅広くなっています。月々どのくらいの予算がかけられるのか目安として算出しておくとよいですよ。

自治体でサービス提供がないか確認をしておく

自治体が見守りサービスを提供している場合もあるので、事前に確認しておきましょう。自治体の見守りサービスは、民間企業の見守りサービスよりも比較的低コストで利用できる傾向にあります。

自治体のサービスを利用する場合は、一人暮らしや要介護認定の有無、年齢などの利用条件を確認しておくとよいですよ。詳しくは各自治体に問い合わせてみてくださいね。

老後の資金調達について相談する前に準備することは?

老後の資金調達を業者へ相談する前に、まずは相続人に相談しておきましょう。老後は、日々の生活費はもちろん、リフォーム費の資金も必要になりますよね。老後の資金を調達する方法として、「リースバック」や「リバースモーゲージ」があることを先述しました。

リースバックやリバースモーゲージは、老後資金の調達に便利な方法です。いずれも、金融機関や不動産会社などに相談する前には、相続人への相談のほかに、準備しておいた方がよいことがあります。

家計の相談をする老夫婦の手元

リースバックの場合

リースバックとは、住んでいる住まいを売却したうえで、賃貸契約でそのまま住み続けられるという仕組みを持った資金調達方法です。リースバックを利用する際に行うべき準備は、次の通りです。

相続人を含む家族に相談する
まずは、相続人を含む家族に相談しましょう。リースバックは、持ち家を不動産会社に売却したあと、賃貸契約を結びます。持ち家の売却利益を得ることができますが、その代わりに賃貸料金の支払いが毎月発生するのです。

ここで注目したいのが、リースバックで持ち家を売却するということは、相続人の資産が1つなくなるということです。相続人との認識の違いによるトラブルを防ぐためにも、まず相続人を含む家族に相談しましょう。

持ち家の現在の売却適正価格を調べておく
自宅の現売却適正価格を調べておくこともおすすめです。不動産会社に査定を依頼したり、ネットで近隣物件の売り出し価格がどうなっているかを調べるなど、業者への相談前に調べておきましょう。

希望条件をまとめる
契約にあたって、自分の希望条件をまとめておくこともポイントです。必要手取金や契約期間、更新の有無、諸費用の金額、家賃、買い戻しの有無などを洗い出しておきましょう。

抵当権抹消手続きの準備をする
家を売却する際には、抵当権の抹消手続きが必要になります。こちらも漏れなく用意しておきましょう。

リバースモーゲージの場合

リバースモーゲージとは、住んでいる家を担保に、金融機関からお金を借りられる仕組みを持った資金調達方法です。

リバースモーゲージは、自分が他界したときに、相続人が持ち家を売却するか、債務を弁済することによって、借入金を一括で返済することになります。生存中は利息のみを毎月支払うか、あるいは一切返済が発生しない場合もあります。

リバースモーゲージを利用する際に行うべき準備は、次の通りです。

相続人を含む家族に相談する
相続人を含む家族に、事前に相談しておきましょう。将来的に、相続人が借入金を返済するために資産である持ち家は売却するか債務を弁済することになります。相続人との認識に差異が生まれないよう、事前に相談しておきましょう。

資金の利用目的を整理する
実際に業者へ相談する前には、資金の利用目的を整理しておくとよいですよ。「シニア向け住宅への入居資金とする」「自宅をバリアフリーにリフォームする」「二世帯住宅にする」「生活費にあてる」など、目的を整理しておきましょう。

資金の利用用途が、金融機関の条件に合うか確認する
資金の利用用途が、相談する金融機関の条件に適応するかどうかも確認します。資金の用途によっては、金融機関の利用条件に当てはまらない場合があります。

持ち家の現在の売却適正価格を調べておく
自宅の現売却適正価格を調べておくこともおすすめです。不動産会社やネットなどで持ち家の現売却適正価格を調べておきましょう。

希望条件をまとめる
契約にあたっての、自分の希望条件もまとめておきます。必要借入金額や毎月の支払い額(金利)、諸費用の金額、同居人の有無、相続人の返済方法まで、しっかりと洗い出しておくとよいですよ。

推定相続人を決めておく
相続人が決定していない場合は、家族と相談し、推定相続人を決めておきましょう。

自宅でお茶を飲むシニア夫婦

リースバックやリバースモーゲージを利用する際は、売却価格や借入額から割り出される必要資金と、家賃や金利から割り出される毎月の支払い額のバランスを考えることが重要です。相談前に、相続人と情報を共有しておきましょう。

もちろん、これまでの貯金やこれから支払われる年金など、老後資金としての蓄えは、リースバックやリバースモーゲージ以外からも備えられます。金融庁は退職後夫婦2人で20~30年間を生きるために必要な追加資金は、約1,300〜2,000万円になると報告しています。※1

年金や貯蓄だけでは、老後の資金が不足するかもしれません。リースバックやリバースモーゲージを上手に活用し、快適な老後生活を計画しましょう。

準備を整えて有意義な相談時間にしよう!

各業者への相談前に行うべきことを確認し、準備を整えることは、有意義な打ち合わせを行ううえで大事なポイントです。

リースバックやリバースモーゲージといった資金調達を検討するうえで「今の住まいの資産価値を知りたい」という人は、三井のリハウスシニアデザインの「資産レポート」を活用してみてはいかがでしょうか?

変動する住まいの資産価値を、住み続けている間も継続的に把握することができますよ。

また、シニア向け住宅ローンについて詳しく知りたいという人には、三井のリハウスシニアデザインの「シニア向けローンサポート」を利用するのがおすすめです。同社は不動産会社ですが、金融に関する相談についても、しっかり乗ってくれますよ。

相談する際には、ぜひ今回ご紹介した「事前に準備しておいた方がよいこと」を済ませ、打ち合わせに臨んでみてくださいね。快適な老後生活のイメージを固め、意義のある時間にしましょう。

※1出典:高齢社会における資産形成・管理,金融庁
https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190603/01.pdf
(最終確認:2020年12月4日)

三井不動産株式会社 ケアデザイン室

三井不動産グループが培ってきた住まいと不動産に関する総合力・専門性を生かし、豊かな老後を過ごすためのお手伝いをするとともに、福祉の専門職が豊富な経験に基づいたコンサルティングを通して高齢期のさまざまなお悩みにお応えしています。