親が亡くなったら何をすればよい?遺族の手続きTODOリスト

親が亡くなったときにやらなければいけない、葬式の手配や相続の手続き、死後事務手続きなどをTO DOリスト形式でご紹介します。リストを活用して、スムーズに手続きを遂行しましょう。

目次
  1. 親族の死後には、死後事務や相続事務の手続きが必要
  2. 「死後事務手続き」として遺族が行うべきことは?
  3. 「相続事務手続き」として遺族が行うべきことは?
  4. 親の死後、相続手続きを正しく行うために
記事カテゴリ 相続 シニア
2022.04.22

親族の死後には、死後事務や相続事務の手続きが必要

親族が亡くなった後、葬儀の手配や行政への書類提出など、遺族には行うべきことがたくさんあります。大きく分けると「死後事務手続き」「相続事務手続き」の2つですが、これらの手続きは作業が多岐にわたる場合が多いです。

スムーズに手続きを遂行するためには、TO DOリストを確認しながら進めるとよいでしょう。今回は、「死後事務手続き」と「相続事務手続き」について、優先順位や期限、司法書士・税理士・弁護士などの代行先までを明記したTO DOリストをご紹介します。

まずは、親族の死亡後すぐに必要となる事務手続きや、諸費用の清算手続きなどについてご説明しますね。

「死後事務手続き」として遺族が行うべきことは?

親族が死亡し、葬儀を行うまでに遺族が行うべきことは、以下の3つのカテゴリに分けられます。

・死後事務手続き
・不用品処分、空家関連の手続き
・諸費用の清算手続き

優先順位の高いものから順に、時系列でTODOリストにまとめたので参考にしてみてください。なお、死後事務手続きは葬儀会社や司法書士、行政書士、社労士等に手続きを代行依頼することが可能です。期日や代行先は一般的な情報を記載していますので正確な期日や依頼可否は各所に直接確認してみてくださいね。

<親族の死亡〜葬儀までのTO DOリスト>

●死亡確認後

手続き概要実施代行先
死亡診断書または死亡検案書の発行 遺体を病院から搬送する際に、医師に発行してもらいます。
事故や突然死など、医師が療養していない場合は、死亡検案書が作成されます。
書式欄内の記入を訂正する際、印鑑が必要になる場合があります。
病院・葬儀会社
遺体の搬送遺体を病院から別の遺体安置場所へ、速やかに搬送します。 葬儀会社
遺体専門運送会社(貨物免許)
葬儀形式の決定 葬儀会社に遺体搬送を依頼する場合、葬儀の手続きも同時に依頼できます。

●死亡確認後5日以内

手続き概要実施代行先
健康保険証の返却(健保)故人が会社等に勤めていて健保に加入していた場合に行います。

●死亡確認後7日以内(海外の場合3か月以内)

手続き概要実施代行先
死亡届の提出 故人が亡くなったことを証明する手続きです。死亡地等の市区町村役場に提出します。葬儀会社
火葬許可申請書の提出 死亡届の提出と同時に行います。申請書を提出すると「火葬許可証」が交付されます。これがないと火葬ができません。葬儀会社

●火葬終了時

手続き概要実施代行先
埋葬許可証の提出 遺骨を墓地に納める際に必要となる手続きです。火葬が終わると火災許可証が埋葬許可証となるので、納骨の際に墓地や納骨堂の管理者に提出します。葬儀会社

●速やかに

手続き概要実施代行先
銀行、保険会社への連絡 故人の銀行口座がある場合、預貯金を遺産として継承するために、名義人の死亡手続きを行います。
保険会社の請求は、受取人が直接行うとスムーズです。
司法書士・行政書士
団体信用生命保険(団信)への加入有無の確認および保険金の受け取り 故人が住宅ローンを返済中であった場合、団信に入っていれば、住宅ローンの残高を完済することができます。
電気・ガス・水道等解約・名義変更手続き
インターネット解約手続き 個人情報保護の観点から、代行手続きを拒否する代行業者もあります。
クレジットカードの解約
家賃清算手続き
医療費、入院費清算手続き
老人ホームなどの利用料清算手続き

●死亡確認後10日以内(健保加入者の場合。国保加入者は14日以内)

手続き概要実施代行先
年金受給者死亡届の提出(年金の停止手続き) 故人が年金を受給していた場合、年金受給の権利がなくなりますので、年金事務所等に届を提出します。
日本年金機構にマイナンバーを登録している場合は、手続きを省略できます。
社会保険労務士
未支給年金の請求年金受給者死亡届提出と同時に行います。

●死亡確認後14日以内

手続き概要実施代行先
世帯主の変更 故人が世帯主であった場合、故人が住んでいた市町村役場にて行います。
世帯が自分1人だけの場合は、手続きを省略できることもあります。
健康保険証の返却(国保)故人が住んでいた市町村役場に返却します。

●建物解体後1か月以内

手続き概要実施代行先
建物滅失登記 建物を解体する場合に必要な手続きです。
解体後1か月以内に行わなければ、土地の売却ができなくなったり、10万円以下の過料が課せられる可能性があります。
土地家屋調査士

●随時

手続き概要実施代行先
家財整理(遺品整理)家財整理会社
隣地挨拶
郵便物整理
郵便物転送手続き
建物の水抜き 故人が持ち家に住んでいた場合、水道の凍結を防止するために、建物の水抜きを行います。リフォーム会社
建物の解体故人の所有していた建物を解体する場合に行います。解体会社
官民境界の確定測量(官民査定) 故人の所有地と公道との境界、その他官有地との境界を確定する手続きです。
土地売買や相続のために行います。
測量士

●葬儀の翌日から2年以内

手続き概要実施代行先
葬祭費・埋葬料の請求 故人が所得していた健保や、故人の住んでいた市区町村窓口に申請することで、葬祭費や埋葬料がもらえることがあります。

●診療翌月初日から2年以内

手続き概要実施代行先
高額医療費の請求 故人の医療費が高額だった場合、請求することで医療費が戻ってくることがあります。故人の健保や国保の窓口に請求しましょう。

手続き実行にあたって注意しておきたいのは、日数に期限のある手続きがあるということ。上記の内容を目安とし、期限に注意して手続きを進めることをおすすめします。

ほかにも、必要書類の取得には手数料が発生する場合があるため、事前に確認し、準備しておくことが大切です。

また、目前の葬儀に気を取られ、生命保険の受け取りをはじめ、戸籍や扶養の変更、銀行口座や不動産の名義変更、公共料金の支払いなどの手続きは見落としがちです。葬儀後の相続手続きで必要になるものもあるので、速やかに準備を進めましょう。

「相続事務手続き」として遺族が行うべきことは?

葬儀が終わって落ち着いたら、相続についての手続きを行います。一般的には、四十九日の法要が終わったころが目安といわれています。

相続手続きについても、司法書士や税理士に手続きを代行依頼することができます。「親族の死亡〜葬儀までのTO DOリスト」と同じく、TO DOリストにまとめましたので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

<相続手続きに関するTO DOリスト>

●葬儀後、速やかに

手続き概要実施代行先
相続手続きのための面談遺産を正しく相続するための準備を行います。司法書士
相続人の調査と確定
相続財産と相続債務の調査司法書士・弁護士

●死亡日(自分が相続人となったことを知った日)から3か月以内

手続き概要実施代行先
相続放棄の判断借金相続の場合、債務整理を行うと負担を軽減することができます。司法書士・弁護士

●死亡日(相続の開始があったことを知った日)の翌日から4か月以内

手続き概要実施代行先
準確定申告相続人は、故人に代わって確定申告を行う必要があります。税理士

●随時

手続き概要実施代行先
遺産分割協議書の起案作成遺産分割協議で相続人全員が合意した内容を、書類にまとめます。司法書士・弁護士
相続登記申請 故人名義の不動産がある場合に、不動産の名義変更手続きを法務局に行います。
不動産が故人名義のままだと、すぐに売却できなかったり、お金が借りられなくなったりします。
司法書士
金融機関での相続手続き・凍結解除・解約 故人が銀行口座を持っていた場合に行います。
該当口座に公共料金や家賃など、定期的な引き落としがある場合、早めに入出金の停止を行います。
相続財産目録の作成 故人の財産が一目でわかるようまとめた書類を作成します。
法的な義務はありませんが、計算書として活用すれば、相続手続きの際に役立ちます。
預金の分配遺産分割協議書に基づいて行います。
その他、遺産承継に関する業務
電話加入権の整理・相続故人が固定電話を引いていた場合に行います。
自動車の整理・相続故人が自動車を所有していた場合に行います。行政書士

●死亡日(相続の開始があったことを知った日)の翌日から10か月以内

手続き概要実施代行先
相続税の申告と納付遺産の総額が大きい場合には、相続税がかかります。税理士

●随時

手続き概要実施代行先
ペットの引き継ぎ故人がペットを飼っていた場合、ペットの引き継ぎを行います。 司法書士
(生前に依頼していた場合)

相続財産を遺族同士で分けるにあたり、まずは相続人や相続財産について詳しく調べなければなりません。故人自筆の遺言書がある場合は、家庭裁判所での検認手続きも必要です。
また、以下の手続きには代行業者がいないため、自分で行う必要があります。

・相続人の印鑑証明書の取得
・貸金庫がある場合、支店での貸金庫の開錠
・投資商品を相続する際、銀行からのリスク説明
・自筆の遺言書がある場合、家庭裁判所での検認の立ち会い
・携帯電話の解約

手続きを代行する場合、報酬の相場は遺産総額によって異なるため、気になる人はそれぞれの代行業者に問い合わせるなどして調べてみるとよいでしょう。

上記の表の期間もあくまで目安ですが、あまり遅くなり過ぎるとトラブルの原因となるおそれがあります。行うべき項目を整理し、なるべく早めに行動して、抜けや漏れがないよう手続きを行いましょう。

親の死後、相続手続きを正しく行うために

親族や両親が亡くなった際、遺族が行わないといけない手続きはたくさんあることが分かりましたね。身内の死に直面し、精神的にも身体的にも辛いなか、短期間でこれだけたくさんのことを、抜けや漏れがなく行うのはとても難しいことです。

代行業者に頼めるものもあるので、全てを自分で進める必要はありませんが、するべき手続きの全体像は遺族としてしっかり把握しておきたいものです。今回ご紹介した2つのTO DOリストを活用し、優先順位を意識して、着実に手続きを進めましょう。

喪服で合掌する様子

張替愛

FP事務所マネセラ代表。ファイナンシャルプランナー。海外赴任や全国転勤などの変化の多い家庭や、仕事と家庭の両立で悩む女性の家計相談を得意としている。
マネー講座や個別相談を中心に活動し、執筆活動も行っている。
https://manesera.com/