相続にかかる税金の相談先は?4つの相談先と選び方

相続が発生すると、税金がかかる可能性があります。税金について相談できる窓口としては大きく4つありますが、自分の悩みはどこに相談すればよいのか分からない人もいるのではないでしょうか?そこで今回は、それぞれの相談先の特徴と選び方についてご紹介します。

目次
  1. 相続と税金の相談先は4つ!
  2. 相談先は目的に合わせて選ぼう
  3. 相談前に必要な準備
  4. 相続の不明点は相談して解決しよう!
記事カテゴリ 相続 シニア
2022.11.24

相続と税金の相談先は4つ!

両親や親族の残した遺産を相続する際、「相続税」という税金が発生することはご存じでしょうか?相続税とは、相続の際に、財産の評価額によって課される税金のことです。遺産相続の場面においては、相続の方法や遺産分割の割合を決めていく際に、相続税について常に考慮しておかねばなりません。

とはいえ、相続は多くの人にとって初めてのことであり、相続税の申告方法や節税方法など、分からないことが出てきて戸惑うものです。そこで、相続税に関する相談を受け付けているのが「税務署・役所・税理士会・税理士事務所」の4つです。

それぞれの相談先によって、相談できる内容や費用が異なるため、ご自身の相談内容に応じて、相談先を正しく選択していくことが必要となります。

本記事では、それぞれの相談先を選ぶ際のメリットや注意点、必要となる準備について、具体的に解説していきます。

相続税の節税方法については、別の記事で詳しく解説しているので、ぜひチェックしてみてくださいね。

●相続税の節税に関する記事はこちら
相続税対策を考えよう!シチュエーション別に6つの対策を詳しく解説
相続税を軽減するうえで役に立つ6つの手法を、シチュエーション別に詳しく解説しています。

相続税の申告書とボールペン

相談先は目的に合わせて選ぼう

相続税の代表的な相談先には、先ほど述べたように「税務署・役所・税理士会・税理士事務所」の4つがあります。以下では、それぞれの相談先の特徴や相談できる内容について、シチュエーションや目的別に解説していきます。

中年男性とスーツを着た職員

税務署

税務署は、相続税に関する基礎知識、申告書の作成方法などを全般的に質問したい場合に適しています。税務署とは、簡単にいえば国税の管理と徴収を行っている公的機関です。国税庁と国税局の指揮監督下にあり、全国各地に設置されています。

税務署に相談するメリットは、何といっても公的機関であることの安心感です。相談によって得られる情報に信頼性があるうえ、無料で何度でも相談することが可能で、匿名の電話相談にも対応してくれます。

しかし、税金を節税したいという要望をかなえたい場合には適していません。なぜなら、税務署の目的は「国民から公平に税を調達すること」だからです。

以上のことから、「自分で申告をしたい」「基礎的な税の知識を学びたい」というニーズをかなえるのに税務署は適しています。税務署で対面の相談をしたい場合には事前の予約を忘れずに行いましょう。

役所

市区町村などの役所は、「そもそも相続税を納める必要があるのか」という基本的な相談をしたい人におすすめです。

役所には、税理士や弁護士などの専門家による相談窓口が設けられている場合があります。税務署と同じく無料なので、気軽に何度でも相談できるのがメリットです。

ただし、相談時間は短く設定されていることが多いため、複雑な相談には不向きといえます。また、毎回同じ専門家に担当してもらえるとも限らないため、一貫した相談は難しいかもしれません。なるべくスムーズに相談を行うには、事前に質問内容を整理し、必要な資料もきちんと用意していくとよいでしょう。

税理士会

税理士会は、信頼できる税理士を紹介してもらいたいという人におすすめです。税理士会とは、税理士の監督や指導を行っている機関で、全国に15の支部が設けられています。最寄りの税理士会が開催する相談会に参加すれば、税理士に直接相談することができます。

加えて、税理士会は非営利なので、無料で相談できるのもメリットの1つといえます。
特に、2月23日(税理士記念日)を中心に、無料相談会や講演会、税金セミナーといったさまざまなイベントが開催されることが多いので、スケジュールを調べてみましょう。

税理士については、別の記事で詳しく解説しているので、ぜひチェックしてくださいね。

●税理士の選び方や相談する際の注意点に関する記事はこちら
相続税の申告を税理士に依頼するには?選び方、報酬、注意点などを解説
税理士に相談できる内容や相談する費用や注意点を分かりやすく解説しています。

税理士事務所

税理士事務所は、複雑な相談、節税方法を知りたいという人に適しています。
税理士事務所では、相続税に精通した税理士が納税や節税に関するアドバイスをしてくれるほか、申告手続きの代行も請け負ってくれます。

税務署や税理士会と異なり相談費用はかかりますが、初回相談は無料である場合がほとんどです。2回目以降の相談は、費用がかかる分、長時間にわたる相談や複雑な相談にも細やかに対応してもらえるのがメリットといえるでしょう。

税理士事務所を選ぶ際は、その事務所が相続を専門にしているか、実績が豊富かどうかを確認するようにしましょう。

相談先相談内容特徴
税務署・相続税に関する基礎知識
・申告書の作成方法
など
【メリット】
・無料で何度でも相談できる
・匿名で電話相談可能
【注意点】
・節税に関する相談は望めない
・事前に予約が必要
役所・相続税に関する基礎知識
・相続税納税が必要かどうかの確認
など
【メリット】
・無料で何度でも相談可
・相続税以外の税金も相談可
【注意点】
・時間制限がある
・事前に予約が必要
税理士会・相続税に関する基礎知識
・税理士の紹介依頼
など
【メリット】
・相続税に精通した税理士と相談可
・無料で何度でも相談可
・申告依頼する税理士を紹介してもらえる
【注意点】
・制限時間がある
・予約が必要
税理士事務所・相続税にかかわる複雑な相談
・節税方法のアドバイス
・申告手続きの依頼
など
【メリット】
・相続税に精通した税理士と相談可
・複雑な相談や節税に関する相談可
・長時間かけて相談可
【注意点】
・2回目以降は有料
・相続税に強い事務所であるか下調べが必要

相談前に必要な準備

ここまでは、相続税に関する4つの相談先についてご紹介してきました。次は、実際に相談する前にしておくべき準備について見ていきましょう。

相談内容を決めておく

限られた時間で有意義な相談をするためには、質問したいことをあらかじめ明確にしておくことが大切です。特に、制限時間が短い傾向のある税務署、役所、税理士会での相談では、相談内容を決めておかないと消化不良で終わってしまう可能性が高いといえます。

まずは質問したいことを書き出し、基本的な事柄については、専門家に尋ねる前にインターネットや本などで自分でも調べておくとよいでしょう。
たとえば、税負担を抑える基礎控除や軽減措置などについては、多数のサイトや本に初心者向けの解説が記載されています。ある程度基礎知識をつけてから相談に行けば、専門家の話も聞きやすくなりますよ。

●基礎控除に関する記事はこちら
相続税の基礎控除とは?計算方法と課税の目安をご紹介!
相続税の基礎控除額の計算方法や、基礎控除額を超えた際の相続税の計算方法について解説しています。

相続財産や相続人を調べる

相談前の下調べの段階で、相続の対象となる遺産や、遺産を相続できる人をチェックしておきましょう。

相続財産の内容
一口に相続財産といっても、相続財産には、プラスの財産とマイナスの財産が存在しています。

・プラスの財産:預貯金、不動産、債権など
・マイナスの財産:借入金、未払金、公租公課(所得税や国民健康保険料などの公的負担)など

相続税は、プラスの財産がマイナスの財産を上回り、基礎控除を上回るときに発生します。まずは相続財産の内容を可能な限り調べてみましょう。具体的な財産の内容が分かれば、専門家もより詳しいアドバイスができます。

相続人の順位
相続内容に併せて、「相続人」にあたる人が何人存在しているのかを確認することも大切です。遺産相続が発生した場合に、相続を優先的にできる順位は以下のように決められています。

[ 1 ] 配偶者
[ 2 ] 第1順位(直系卑属)
[ 3 ] 第2順位(直系尊属)
[ 4 ] 第3順位(傍系血族)

相続人系統

第4順位以降は存在していないため、上記の相続順位に該当する人がいない場合は、財産は国庫に帰属することになっています。

相続人を正確に調べるには多くの戸籍謄本を取り寄せる必要があるため、分からない場合は専門家に依頼するほうが確実でしょう。

遺言書と遺産分割協議書を用意する

遺言書が残されている場合や、相続人同士の遺産分割協議書を既に作成している場合には、相談の場に持参しましょう。故人が財産の処分について意思を記した遺言書や、相続人同士で協議した内容を記した遺産分割協議書があれば、相続の割合が決まり、相談もスムーズに進みます。

もちろん、これらの書類がなくとも相談することは可能です。書類がなく、相続の割合でもめている場合は弁護士に相談するとよいでしょう。

余裕を持ったスケジュールを立てる

相続税の相談は、なるべく早めに行うようにしましょう。

相続税の納税期限は、相続の事実を知った日の翌日から10か月以内と法律で定められており、これを過ぎると加算税や延滞税がかかる恐れがあります。

事前に余裕のあるスケジュールを立てておくことで、あわてて申告手続きを行ったり、納税額が上がってしまったりするのを防げます。相談の予約は希望通りに取れるとは限らないため、早めに予約を取るように心掛けましょう。

相続の不明点は相談して解決しよう!

相続に関する税金の疑問は多いにもかかわらず、その相談先は限られているものです。なぜなら、税務代理や税務署類の作成、税務相談といった「税理士業務」は、税理士法によって税理士しか行えないことになっているためです。

また、本記事で解説した相続の相談先は、「税金」というテーマに限ったものです。実際の相続の場面では、相続の方法や遺産分割の割合などについて、相続人同士でトラブルが発生することもあります。この場合は、税理士ではなく弁護士に相談し、話し合いの仲介をしてもらいましょう。

このように、相続においては、税金以外の困りごとや疑問も多く発生することがあり、それぞれの相談先を行き来することになるとかなりの負担がかかってしまうでしょう。そうした不安をまとめて解消できるのが、三井のリハウス・シニアデザイングループの「相続おまかせ売却パック」です。
相続の際に発生するさまざまな手続きや不動産売却などを、全部まとめてご相談いただけます。

相続にかかわる手続きがワンストップで完了するので、相談の手間が省けてスピーディー。加えて、専門家同伴のお打ち合わせであっても初回相談は無料です。

あなたの目的に合わせて納得のいく相談をし、相続を円滑に進めましょう。

テーブル越しに会話する夫婦と女性スタッフ

●三井のリハウスの「相続おまかせ売却パック」についてはこちら
相続おまかせ売却パックとは
遺産相続や不動産売却にかかわる各種サポートをご利用いただけます。

宮原裕徳

株式会社ラムチップ・パートナーズ 所長。税理士。日本のみならず、東南アジアも含めた不動産にかかわる会計・税務に精通している。法人や個人向けに節税セミナーなども行っている。
https://www.miyatax.com/