相続財産に所得税はかかる?所得税の支払いが必要になるケースを解説!

相続した財産にかかる相続税や所得税。それぞれの違いや、所得税が課税されるケースを解説!また、相続に所得税が発生した場合に必要となる確定申告についてもご紹介します。

目次
  1. 相続税、所得税の違いとは?
  2. 相続で所得税がかかる4つのケース
  3. 確定申告の方法
  4. 相続に関する悩みはプロに相談を!
記事カテゴリ 相続 シニア
2023.01.31

相続税、所得税の違いとは?

遺産を相続すると相続税がかかる場合があります。また、相続で財産が手元に入ってくるのだから、所得税もかかるのでは?と心配する人もいるかもしれません。では、相続税と所得税の違いとは何でしょうか?

相続税とは、亡くなった親や配偶者などから相続した財産に対して課せられる税金のことです。相続税の税率は、財産の額に応じて高くなる累進課税制度を適用しています。相続税は、財産を取得した相続人が支払うものですが、相続した全ての人に納税義務が発生するわけではありません。

相続税には基礎控除が存在し、相続財産が基礎控除額以下であれば税金がかかりません。基礎控除額の算出方法は以下の通りです。

・基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

一方、所得税とは、毎年1月1日から12月31日までの1年間の総所得(勤労、事業、資産などによって得た収入から経費を引いたもの)に対して課される税金のことです。

このほか、個人から財産をもらうと課せられる贈与税もあります。

相続が発生した場合に、相続財産に対して課税されるのは相続税であり、原則、所得税はかかりません。ですが、亡くなった人の状況や相続した財産の内容などによって、いくつかのケースで所得税が発生する場合があります。

今回は、相続財産に対して、どのような場合に所得税が発生するのか、また、納税するために必要な確定申告の方法などについて解説します。

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相続で所得税がかかる4つのケース

相続した財産には、具体的にどのような場合に所得税がかかるのでしょうか?主な4つのケースを紹介します。

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亡くなった人に所得があった場合

亡くなった年の間に被相続人に所得があった場合、それに対して所得税がかかるので、相続人が代わりに確定申告と納税をする必要があります。この際の申告を「準確定申告」といい、被相続人が亡くなったと分かった日から4か月以内に行わなければなりません。準確定申告が必要になることが多いのは主に以下のようなケースです。

・事業(自営)を行っていた場合
・家賃収入があった場合
・2か所以上から給与を受けていた場合
・給与収入が2,000万円を超えていた場合
・給与所得や退職所得以外の所得が合計で20万円を超えていた場合
・公的年金などの収入が400万円を超えていた場合
・貸付金の利子収入を受け取っていた場合
・一時所得(例:保険の満期金)があった場合
・譲渡所得(例:不動産の売却)があった場合

なお、高額の医療費、または寄附金控除の対象となる寄附がある際は、準確定申告をすると所得税の還付を受けることが可能です。

遺産が収入を生む場合

賃貸マンションやアパート、駐車場など、収益を生む不動産を相続した際の相続発生日以降の賃貸収入は、相続人の収入となります。この場合は相続人が不動産所得として自身の確定申告を行う必要があります。ただし、相続以前の収入は被相続人の収入になるので、必要に応じて準確定申告を行う必要があります。

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遺産を売却して利益が出た場合

相続した株式や不動産を売却した場合、その際に得た利益は「譲渡所得」となり、所得税と住民税がかかります。譲渡所得の計算式は以下の通りです。

譲渡所得 = 収入金額 – ( 取得費 + 譲渡費用) – 特別控除額

譲渡所得には、譲渡の理由や種類により、いくつかの特別控除が用意されています。それによってたとえば相続の場合だと、被相続人が居住していた住宅を相続し、空き家となった住宅を売却する場合は、3,000万円分が控除されます。

税率はその資産の保有期間によって以下のように異なります。

長期(所有期間が5年を超える場合)税率20.315%(所得税15.315%:住民税5%)
短期(所有期間が5年以下の場合)税率39.63%(所得税30.63%:住民税9%)

死亡保険金を受け取った場合

死亡保険を契約していた場合、保険料を支払っていた人(契約者)が受取人(相続人)である場合は、相続税ではなく所得税が課せられます。このように、生命保険を契約する際の契約者、被保険者、保険金受取人によって受け取る保険金は課税対象になるのです。この場合の所得税は、一時所得または雑収入として課税されます。保険料を一時金で受領した場合は、一時所得として課税されます。

課税対象となる金額を算出する方法は以下の通りです。

課税対象となる金額= ( 死亡保険金 + 配当金 - 既払込保険料 - 50万円 )×1/2 

死亡保険金を年金として受領した場合は、公的年金等以外の雑所得になります。また、上記いずれも確定申告が必要です。

確定申告の方法

所得税が発生する場合は確定申告を行う必要があります。確定申告とは、所得税を自分で計算し、清算する手続きです。

 Taxの模型と電卓

確定申告の方法は主に3つあります。

・自身で作成して税務署の窓口へ提出する
・e-Taxを利用する
・税理士に依頼する

自身で作成する際、税務署の窓口で相談するのがおすすめです。確定申告書の作成や手続きなど職員と相談しながら作成できるメリットがあります。また、自宅で作成し、郵送で提出することも認められています。

e-Taxとは、国税庁のホームページから確定申告を行えるシステムです。24時間利用できるため、申告に関してある程度知識のある人には便利でしょう。

所得が多く、申告内容が複雑で不安な人は税理士に依頼するとよいでしょう。確定申告に関する事務作業を全て税理士に委託できます。報酬はかかりますが、計算ミスや記入ミスを防げます。

 確定申告書に記入する様子

相続に関する悩みはプロに相談を!

相続に関する税金や確定申告はケースごとに異なり、複雑になりがちです。知識が十分でないなか自分1人で進めてしまうとミスをしてさらに手間をかけてしまう恐れもでてきます。自信のない人は思い切ってプロに任せてみることを検討してみましょう。

相談している様子

たとえば相続した不動産を売却したい場合は、税金に関することや売却後の確定申告についても三井のリハウス「シニアデザイン」の窓口にて無料で相談できます。興味のある人は、一度お気軽にお問い合わせしてみてはいかがでしょうか?

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柴田 剛

弁護士法人ASK川崎所属。弁護士。
交通事故、相続、債務整理などのいわゆるマチ弁業務のほか、スポーツ法務にも注力している。
https://www.s-dori-law.com/