高齢者住宅とは?自由で快適なシニアライフを送りたい人へ

シニアの住みやすさに配慮された「高齢者住宅」。バリアフリー化されていたり、生活をサポートするサービスが付いていたりとさまざまな種類があります。今回は高齢者住宅での暮らしを選ぶメリットや注意点、選び方をご紹介します。

目次
  1. 高齢者住宅とは?
  2. 主な高齢者住宅は3つ
  3. 高齢者住宅のメリットと注意点
  4. 高齢者住宅の選び方
  5. シニアライフも自分らしく!
2021.07.28

高齢者住宅とは?

「高齢者住宅」とは、シニアにとっての住みやすさに配慮した住宅のことです。

はっきりとした定義はありませんが、「シニアが暮らしやすい住まいの提供」を主な目的とする場所が含まれ、介護・看護サービスを主体とする有料老人ホームとは区別されます。そのため、高齢者住宅の入居対象者は、原則として介護の必要がなく自立して生活できる人となります。

高齢者人口が増え続けている昨今、老後の住まいの選択肢として、高齢者住宅の需要は高まりを見せています。そこで今回は、元気なうちの住み替えを考えている人のために、高齢者住宅の特徴や選び方についてご紹介しましょう。

シニア夫婦

主な高齢者住宅は3つ

主な高齢者住宅には、「シニア向け賃貸住宅」「サービス付き高齢者向け住宅」「シニア向け分譲マンション」の3つが挙げられます。それぞれ、どのような住まいなのかを見ていきましょう。

シニア向け賃貸住宅

シニア向け賃貸住宅とは、シニアが安心して暮らせるバリアフリー構造の賃貸住宅のことです。

それぞれの物件によって、建物の規模や居室の広さが異なります。また、生活支援サービス(食事の準備、買い物、洗濯など)や、介護サービスが必要な場合は外部の事業者と契約すれば利用することができます。

シニア向けの賃貸住宅という点では、次にご紹介する「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」も同じです。しかし、サ高住には「高齢者住まい法」による建物構造やサービス内容の基準があるのに対して、シニア向け賃貸住宅にはそのような基準はありません。

シニア向け賃貸住宅の入居契約は賃貸借契約となるため、敷金と月額利用料(家賃、管理費など)が必要です。

バリアフリーの引き戸

サービス付き高齢者向け住宅

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは、「高齢者住まい法」に基づく登録基準を満たし、都道府県等に登録を受けた賃貸住宅のことです。主な基準は、次の2点です。

・建物…バリアフリー構造で、一定の面積と設備が確保されている
・サービス…ケアの専門家による見守りサービス(安否確認)・生活相談サービスが付いている

上記で義務付けられているサービス以外の、生活支援サービス(掃除や買い物など)や介護が必要になった場合は、外部の事業者と契約すれば利用することができます。物件によっては、訪問介護やデイサービスなどが併設されているところもあります。

サ高住の入居契約は基本的に賃貸借契約となるため、敷金と月額利用料(家賃、管理費、サービス利用料など)が必要です。一方、サ高住では一般の賃貸借契約のような更新料や礼金はかかりません。

●サービス付き高齢者向け住宅に関する記事はこちら

シニア向け分譲マンション

シニア向け分譲マンションとは、高齢者向けの設備・サービスが付いた分譲マンションのことです。

建物構造やサービス内容に定められた基準はありませんが、居住スペースにシニアが暮らしやすい配慮がなされているほか、共用スペースの豪華さ、生活支援サービスや食事が充実している物件が多いことが特徴です。たとえば、フィットネスルームや図書室、美容室などが設けられていたり、サークル活動や習い事に参加できたりするなど、内容はさまざまです。なかにはペット可の物件もあり、住み替え先でも大切なペットと暮らしたい人にとっては嬉しいポイントでしょう。

介護が必要になった場合は、外部の事業者と契約して介護サービスを利用することができます。こちらも物件によっては、介護サービス事業者が併設されている場合があります。

シニア向け分譲マンションの入居契約は、分譲のため所有権方式の契約となります。初期費用として物件購入費や購入にかかる経費、税金などを支払うほか、月ごと・年ごとの費用(管理費、修繕積立金、固定資産税など)もかかります。なお、物件の購入時には、シニア向け住宅ローンを利用することも可能です。

●シニア向け住宅ローンについての記事はこちら

ペットと生活するシニア

高齢者住宅のメリットと注意点

一般の住宅にはないような、シニアの住みやすさへの配慮がされている高齢者住宅。実際に入居する場合、どのようなメリットと注意点があるのかをまとめました。

施設の食堂

高齢者住宅のメリット

高齢者住宅に入居する主なメリットは、次の通りです。

シニアが入居しやすい
一般的な賃貸住宅や住宅ローンと比較すると、高齢者でも利用の申し込みが通りやすいというのは大きなメリットです。一般的な賃貸住宅や住宅ローンの場合、収入や健康状態への懸念から、シニアの審査が通りにくい場合があります。

自由で自分らしい暮らしをしやすい
高齢者住宅は有料老人ホームと比較すると、生活時間や外出などに制限がなく、自宅で過ごすのとほぼ変わらない暮らしができます。

要介護度が低い人も入居しやすい
高齢者住宅は基本的に、介護・看護を必要としない元気なシニアを入居対象者としています。「介護付有料老人ホームに入居する必要はまだないけれど、いざというときが心配」といった人には、適した住まいといえるでしょう。

分譲マンションは資産運用が可能
シニア向け分譲マンションの場合、購入した物件は自分の資産となります。将来、別の施設に移るのをきっかけに売却・賃貸に出したり、家族に相続させたりすることも可能です。

単身でマンション生活するシニア

高齢者住宅の注意点

メリットの多い高齢者住宅ですが、次のような点には注意が必要です。

介護度が上がると退去しなければならない場合がある
高齢者住宅に入居後、介護度が上がったり、認知症が進行したりした場合、住み続けるのが難しくなる場合があります。「24時間の見守りや介護が必要になった」「自分で生活管理や健康管理をするのが困難」「認知症が進行して自立した生活が難しい」といった状況になると、介護スタッフが常駐している介護付有料老人ホームなどに移る必要が出てくるかもしれません。

シニア向け分譲マンションは購入費用が高い
シニア向け分譲マンションは基本的に富裕層を対象としており、比較的高額な購入費が必要です。貯蓄に余裕がないと購入は難しいうえ、入居後も毎月の管理費・修繕積立金や毎年の固定資産税などの費用がかかる点には、注意しなければなりません。

高齢者住宅への住み替えを考える際には、これらのメリットと注意点を踏まえたうえで慎重に検討したいですね。

食事するシニア夫婦

高齢者住宅の選び方

高齢者住宅を選ぶ場合、どのような点を考慮すればよいのでしょうか?ここでは、最低限チェックしておきたい大切なポイントについてご紹介します。

入居条件

最初に確認しておきたいのは、入居条件です。高齢者住宅では基本的に、自立して生活できるシニアを入居対象者としています。健康状態に不安がある、医療ケアが必要といった場合は、別の場所を検討する必要があるかもしれません。

また、サ高住は「高齢者住まい法」によって、入居できるのは「60歳以上の人」あるいは「要介護認定や要支援認定を受けた60歳未満の人」という条件があります。同居者にも条件があり、配偶者や要件を満たす親族などに限られています。

ちなみに、高齢者住宅では退去について明確に定められた条件はないため、希望する高齢者住宅がある場合は、どのような場合に退去しなければならないのか、事前に問い合わせして確認することが大切です。

元気なシニア

費用

入居費用がいくらかかるのかというのも、大切なポイントです。高齢者住宅の入居費用は、物件によって異なります。気に入った物件であっても、支払いの負担が大きすぎると、その後の生活を圧迫してしまうおそれがあります。

年金や預貯金、不動産や株といった資産に応じて、無理のない資金計画を立てるようにしましょう。

サービス内容

高齢者住宅の提供サービスは多様なので、物件ごとにどのようなサービスが付いているかも事前に確かめましょう。
さらに、そのサービスを提供するのは運営会社か外部の業者なのか、どこまでが月々の利用料に含まれ、どこからがオプションになっているのかなど、細かな点まで確認すると安心です。

また、安全な生活のために、緊急時の対応はどのようになっているかも忘れずに聞いておきましょう。

建物・設備・立地環境等

建物のバリアフリー構造、居室の間取りや共用スペースの様子、交通アクセスや周辺の雰囲気など、現地のチェックももちろん欠かせません。

特に、シニア向け賃貸住宅・分譲マンションにはサ高住のような基準がないので、物件ごとに広さや設備内容などが異なります。事前に見学して、パンフレットだけでは分からない実際の様子を確認するようにしましょう。

シニアライフも自分らしく!

高齢者住宅は、老後の住まいの選択肢を「施設か自宅か」に縛ることなく、安心できるサービスと快適な暮らしを両立させてくれる場所です。

住み替えを検討しているシニア世代の場合、どの住まいが自分に適しているかを見極めるには、自分がどのような暮らしを送りたいのかを具体的に考えておくことが大切です。

また、親を見守る子世代は、資金計画に無理がないかを一緒に確かめるほか、将来介護度が上がって住み替えが必要になった場合はどうするかという点についても、よく話し合っておいてくださいね。

●老後の住み替え先に関する記事はこちら

三井不動産株式会社 ケアデザイン室

三井不動産グループが培ってきた住まいと不動産に関する総合力・専門性を生かし、豊かな老後を過ごすためのお手伝いをするとともに、福祉の専門職が豊富な経験に基づいたコンサルティングを通して高齢期のさまざまなお悩みにお応えしています。