サービス付き高齢者向け住宅と有料老人ホームの違いを比較【一覧表あり】

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)と有料老人ホームは、サービスや入居条件、費用などにおいてさまざまな違いがあります。安心できる老後の暮らしのために、それぞれの特徴や選び方を押さえておくことは重要です。今回はサ高住と有料老人ホームを比較し、その違いを解説します。

目次
  1. サ高住と有料老人ホームの特徴を比較
  2. サ高住と有料老人ホームの違いを一覧表で比較
  3. サ高住のメリットと注意点
  4. 有料老人ホームのメリットと注意点
  5. サ高住と有料老人ホームはどちらがおすすめ?
  6. サ高住と有料老人ホームの違いを理解して納得できる老後の住まいを
2024.12.14

サ高住と有料老人ホームの特徴を比較

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)と有料老人ホームでは、サービス内容や入居条件、生活の自由度といった特徴に違いがあります。それぞれの違いについて、詳しく見ていきましょう。

有料老人ホームの個室

サ高住の特徴

サ高住とは、ケアの専門家による安否確認・生活相談などのサービスを受けられる、バリアフリー化された賃貸住宅のことです。正式には「サービス付き高齢者向け住宅」といい、施設によって元気な方向け(一般型)から介護が必要な方向け(介護型)まで、サービスの幅広さが特徴です。健康状態や介護が必要な度合いに応じて、自分に合った施設を選びましょう。

有料老人ホームの特徴

有料老人ホームとは、高齢者が安心して暮らせるように、食事、家事、介護、健康管理といったサービスを1つ以上提供する住まいのことです。介護サービスの提供方法によって、「介護付」「住宅型」「健康型」の3種類に分けられます。

介護付は、常駐スタッフによる介護サービス付きの老人ホームです。住宅型は、介護が必要な場合に外部の介護サービスを別で契約して利用します。どちらも、入所対象者は施設によって異なります。健康型は、介護の必要がない高齢者向けの老人ホームです。そのため、介護が必要になった場合は転居することになります。

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介護士と有料老人ホーム入居者のやりとり

サ高住と有料老人ホームの違いを一覧表で比較

以下は、サ高住と有料老人ホームの違いをまとめた一覧表です。

比較項目サ高住有料老人ホーム
サービス安否確認・生活相談
※オプションで食事の提供を行う施設もある
生活支援・食事の提供・健康管理
※介護付の場合は介護サービス
入居条件「一般型」60歳以上 自立~軽度の要介護者の方
「介護型」60歳以上 要介護者の方
「介護付」65歳以上 自立~要介護者の方
「住宅型」60歳以上 自立~要介護者の方
「健康型」60歳以上 自立~軽度の要介護者の方
費用初期費用
敷金2~3か月分
初期費用
0~数千万円
設備・バリアフリー化
・【居室内】キッチン、浴室、収納、トイレ、洗面台など
(共用部分にキッチン、浴室、収納が備わっている場合は、各住戸に備わっていなくてもよい)
・バリアフリー化
・【居室内】トイレ、洗面台など
【共用部分】食堂、機能訓練室、浴室など
※高級老人ホームの場合はより充実する
広さ25㎡以上
(共用部分に食堂や大浴場があれば18㎡以上でも可)
13㎡以上
契約方式・建物賃貸借方式
・終身建物賃貸借方式
・利用権方式
生活の
自由度
・自炊や外食など、比較的自由で制限が少ない・外出許可が必要
・日々のスケジュールが決められている場合も

※上表は一例を示したものであり、施設によって異なるため全てを表すものではありません。

各項目ごとに、サ高住と有料老人ホームの違いを詳しく見ていきましょう。

サービス

サ高住では、主に安否確認と生活相談のサービスを受けられます。ケアの専門家が建物内に常駐(少なくとも日中)して安否確認を行うほか、心身の不安や介護に関する相談に応じます。

有料老人ホームは、種類や施設によって内容が異なり、生活支援や食事の提供、健康管理などの幅広いサービスを受けられるのが特徴です。ただし介護サービスについては、介護付有料老人ホーム以外は提供を行っておらず、介護サービスを受けたい場合は外部の事業者を利用する必要があるため注意しましょう。

入居条件

サ高住の入居対象は、60歳以上の方や60歳未満で要介護者認定を受けた方です。一般型は、比較的元気な高齢者向けの施設であるため、認知症の方や要介護度が高い方は入居できない場合があります。

有料老人ホームは、住宅型・健康型が原則60歳以上、介護付が原則65歳以上の方を受け入れています。

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費用

サ高住は、初期費用は敷金2~3か月分の施設が多いでしょう。月額費用は、施設の特性や地域によって差があるため、気になる場合は直接問い合わせると安心です。

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有料老人ホームの場合、初期費用は0~数千万円までと幅広く、施設によって異なります。初期費用が高額な施設の多くは、前払い方式や月払い方式など、複数の支払い方法を設けている傾向にあります。

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サ高住の費用を話し合う老夫婦

設備・広さ

居室の広さは、基本的にサ高住が25㎡以上(共用の居間、食堂、キッチン、大浴場などが十分な面積を有する場合は18㎡以上)、有料老人ホームが13㎡以上となっており、サ高住のほうが広い傾向があります。共通してバリアフリー化がなされており、洗面台やトイレなどの基本的な設備がそろっています。高級老人ホームは、カラオケやフィットネスルームなど共用施設が充実している場合が多いでしょう。

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契約方式

サ高住には、通常の賃貸物件と同様に「賃貸借契約」を結んで入居することになりますが、契約方式には「建物賃貸借方式」と「終身建物賃貸借方式」の2つがあります。

一方、有料老人ホームでは「利用権方式」が一般的です。これは、入居一時金を支払うことで居住・サービスを利用する権利が得られるというものです。ただ、利用権方式は所有権ではないため、入居者が死亡すると権利は消滅します。

生活の自由度

サ高住の場合、自炊や外食、外泊などが可能で一般の賃貸住宅で暮らすのと同様の生活が送れるのに対して、有料老人ホームは外出に許可が必要だったり、食事の時間が決まっていたりと制限が設けられています。また、介護付では1日のスケジュールが決められていることも多く、自由度は低い傾向があります。

サ高住のメリットと注意点

サ高住のメリットや注意点は、以下の通りです。

メリット

主なメリットは、自由度が高く、安心して生活できる点です。自宅同様の暮らしを送りながら、安否確認・生活相談のサービスを受けられるので、1人暮らしや夫婦のみの世帯でも心強いでしょう。また、外部の介護サービスを契約して利用することができます。

注意点

主な注意点には、一般型では要介護度が高くなった場合に退去しなければならない可能性があることです。新たな受け入れ先を探して住みかえる必要があるので、その分の費用がかかるでしょう。

サ高住のスタッフと入居者

有料老人ホームのメリットと注意点

有料老人ホームのメリットや注意点は、以下の通りです。

メリット

有料老人ホームのメリットは、日常の生活支援や介護・医療サービスが充実している点にあります。また、レクリエーションを楽しむ機会もあり、ほかの入居者との交流が可能です。

なお、介護付の場合は24時間体制で勤務している介護スタッフから介護サービスが受けられるため、要介護度が高くても安心して生活を送れます。

注意点

有料老人ホームの注意点には、外出が制限される場合があることや、1日のスケジュールが決められていることが挙げられます。生活の自由度が低い可能性もあるので、入居を検討する場合は、希望のライフスタイルと施設のルール、要介護度をすり合わせることが重要でしょう。

有料老人ホームのスタッフと入居者

サ高住と有料老人ホームはどちらがおすすめ?

サ高住の一般型は、日常生活を自立して送れる程度に健康で、自由度の高い生活を好む方におすすめです。生活相談サービスがあるため、一人暮らしに不安を覚え始めた方にも適しています。介護型は、介護サービスも受けられるため、一定の介護が必要な方でも安心して生活できる環境が整っています。

有料老人ホームは、生活支援サービスをしっかり受けたい方や介護の不安がある方におすすめしたい施設です。「介護付」「住宅型」「健康型」それぞれでサービスや費用が異なるので、心身の状態に合わせて施設を選択しましょう。

サ高住と有料老人ホームの違いを理解して納得できる老後の住まいを

この記事では、サ高住と有料老人ホームの違いや、それぞれのメリット・注意点を紹介してきました。施設によってサービスが異なるほか、入居条件や生活の自由度にも違いがあり、幅広い選択肢があるため、経済状況や健康状態を考慮して最適な施設を選ぶことが重要です。

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