終活における不動産売却はおすすめ?家を処分する方法

不動産売却は、終活に伴う家の処分方法の1つです。この記事では、終活における不動産の処分方法や処分するメリット、売却する際の手順、注意点などについて解説します。

目次
  1. 終活時の不動産の対処法4選
  2. 終活において不動産売却がおすすめな理由
  3. 終活で不動産を売却する際の手順
  4. 終活で不動産売却をするべきか迷ったらどうすればいい?
  5. 終活で家を処分する際の注意点
  6. 終活で不動産を売却するならシニア向けサポートが充実した不動産会社へ
記事カテゴリ 相続 シニア
2025.10.16

終活時の不動産の対処法4選

終活を進める際の問題の1つとして、所有する不動産の対処法が挙げられます。不動産は物理的な分割が難しいため、生前のうちに処分して現金化しておくか、自分が決めた相手へ贈与もしくは相続できるように手配をしておくのがおすすめです。不動産の有効活用と、相続人の負担軽減を目指すためには、不動産の対処法は早めに決めておくのがよいでしょう。

不動産の主な対処法は、以下の4つです。

・売却する
・建物を解体する
・生前贈与を行う
・遺言書を作成する

それぞれについて詳しく解説します。

終活における不動産売却を相談中のシニア

売却する

まずは、不動産を売却して現金化する方法です。現金化することで、余生を過ごすための老後資金の確保や、よりスムーズな遺産相続が期待できるでしょう。たとえば相続人が複数いる場合、不動産のまま相続すると分割方法でトラブルに発展する恐れがありますが、現金化してしまえば公平に分配しやすくなります。また、不動産を売却すれば、固定資産税や火災保険料などの維持費がかからなくなる点もメリットといえるでしょう。

ただし、自宅を売却する場合は、売却後の居住先を確保しておかなければなりません。たとえば子どもと同居する、高齢者施設に入居する、リースバックを活用するなどの方法を検討してみましょう。リースバックについては、後ほどご紹介します。

なお、売却のタイミングで認知症等によって意思能力を喪失している場合は、自分で売却することができず、成年後見制度を利用することが必要です。

建物を解体する

建物の維持管理が大変な場合は解体という方法もあります。老朽化した家屋を放置しておくと、地震や台風などの自然災害で倒壊するリスクが高まり、近隣に迷惑をかけてしまう可能性も否定できません。

建物を解体したとしても土地自体は残るため、売却や相続も可能ですが、解体にはまとまった費用がかかってしまいます。また、解体後の更地にかかる固定資産税は、それまでの居住用建物がある土地の税額より高くなる点にも注意が必要です。

生前贈与を行う

生前贈与とは、財産の所有者が生きているうちに、特定の人へ財産を譲ることです。「財産を特定の人に譲る」という意味では「遺産相続」に似ていますが、生前贈与は所有者が生きているうちに、遺産相続は所有者が亡くなった後に行うという点が異なります。

生前贈与は、生きているうちに財産を譲りたい人を特定して贈与することが可能です。相続トラブルが起こりやすい不動産において、生前贈与はもめ事の軽減に役立ちます。また、自分の意思で渡したい相手に財産を渡せるという点もメリットといえるでしょう。さらに生前贈与を行うことで、自身が亡くなった際の相続財産と、それにかかる相続税を減らせる可能性もあります。

しかし、受贈者(贈与を受けた人)には贈与税や不動産取得税などがかかります。贈与者(財産を所有している人)と受贈者でよく話し合い、税理士などの専門家に相談することも必要です。

遺言書を作成する

終活時の不動産の対処法として、遺産相続のための遺言書を作成することも有効です。相続人が複数いる場合、不動産をそのまま相続すると、分割方法や管理方法、処分方法などでトラブルが生じるケースもあります。このようなトラブルを回避するためには、不動産の所有者と親族で、事前に話し合っておくとよいでしょう。ただし、ほかの方法と異なり、現金化や相続税額の減額にはつながりません。

終活において不動産売却がおすすめな理由

終活における不動産売却は、資産を現金化できることや管理の手間を軽減できる点でおすすめといえるでしょう。

具体的には、以下のような理由が挙げられます。

・維持にかかる手間や費用が不要になるから
・老後の資金になるから
・相続のトラブル防止になるから

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

終活で不動産を現金化するイメージ

維持にかかる手間や費用が不要になるから

所有する不動産を売却することで、維持にかかる手間や費用、税金がかからなくなります

住んでいない家であれば、定期的な風通しや掃除が必要です。老朽化している建物の場合は、倒壊のリスクを回避するため、設備の修理や修繕等の費用がかかることもあるかもしれません。また、不動産を所有していれば、毎年固定資産税を納めることも必要です。早めに不動産を手放すことで、こうした手間や出費からも解放されるでしょう。

老後の資金になるから

持ち家や所有する土地を売却すれば、余生を過ごすための老後資金に充てられることも、終活において不動産の売却がおすすめの理由の1つです。不動産は大きな資産価値を持っているため、現金化することでより有効に活用できるでしょう。

相続のトラブル防止になるから

不動産は、ほかの資産に比べて分割が難しいため、相続にかかわるトラブルが生じやすい特徴があります。たとえば、相続人が複数いる場合、住宅を相続しても誰が何を引き継ぐか、協議して決めなければいけません。相続前に不動産を売却して現金化することで、複数の相続人がいても財産分与がスムーズに進みやすいでしょう。

不動産相続で使用する遺産分割協議書

終活で不動産を売却する際の手順

家を売却するには複数の手順を踏む必要があります。この手順を事前に知っておくことで、スムーズに家を売却できるでしょう。

ここでは、順を追って家の売却方法を解説します。

家を査定する

最初に、ご自身が所有している不動産の査定をする必要があります。不動産査定とは、所有する家や土地の推定売却価格を不動産会社に算出してもらうことです。不動産会社が行う査定は無料で受けられるため、所有する不動産の価値を知るためにも有効活用しましょう。

●無料査定をご希望の方はこちら

不動産会社に仲介を依頼する

所有する不動産の査定が完了したら、不動産会社と「媒介契約」を結びます。媒介契約とは不動産を売却する際に、仲介してもらう不動産会社と結ぶ契約のことです。媒介契約には3種類あり、それぞれ特徴があります。売主自身や不動産の現状に合うものを不動産会社と相談して契約しましょう。

●媒介契約についてはこちら

売却活動を行う

不動産会社と媒介契約を結んだら、販売活動がスタートします。販売活動中、売主が主に行うのは内覧の準備と対応です。不動産会社と連携を取りながら、販売戦略や購入希望者から提示された条件の検討なども行います。

交渉が成立したら売買契約を交わす

不動産会社と購入希望者との交渉がまとまれば、売買契約を交わします。このとき、契約の履行を確実にするため、売主は買主から手付金を受け取るのが一般的です。

残代金受領と引渡し

最終代金を受領し、売買契約時に定めた状態で物件の引渡しを行います。

●不動産売却の基礎知識についてはこちら

終活で不動産売却をするべきか迷ったらどうすればいい?

多くの思い出が詰まった家を、終活で手放すべきか悩む方も多いでしょう。ここでは、不動産を売却するかどうか迷った際のポイントと注意事項を解説します。

終活で不動産を売却するかどうか悩むシニア

今後利用する可能性があるかどうかで判断する

空き家の場合、今後自身が住む予定がなければ売却することも1つの方法です。空き家でも固定資産税はかかるため、そのままにしておくと費用の負担が大きくなってしまいます。

ただし、家が老朽化しておらず、将来子どもや孫などの親族が住む可能性があれば、残しておくのもよいでしょう。また、親族のなかには賃貸経営に役立てたいと考えている人がいるかもしれません。不動産の処分方法は、事前に親族と相談するようにしましょう。

老後のライフプランに必要かどうかで判断する

不動産を売却するかどうか、どのように売却するかは老後の計画に左右されます。老後に思い出のある家で過ごしたいなら、残しておくべきでしょう。

しかし、今後誰も住む予定がない場合や老後資金として現金化したい場合、所有していることの負担から解放されたい場合などは、売却するのがおすすめです。

終活で家を処分する際の注意点

終活の一環として家を処分する場合には、事前に相続人となる親族への相談や終の住処の確保が不可欠です。ここでは、終活で家を処分する際の注意点をご紹介します。

家族に相談する

不動産の処分やその方法を決定する前に、一度家族に相談しましょう。自分ではもう誰も住まないだろうと思っていても、実は住みたいと考えている家族がいるかもしれません。また、不動産には自身や相続人が居住する以外にも、賃貸として運営する方法もあります。しっかりと家族の理解を得たうえで、処分に踏み切ることが大切です。

今のところ予定はないけれど、将来的に売却を考えている場合は、認知症対策として家族信託を組成するという方法もあります。

●家族信託についてはこちら

売却する予定の家でくつろぐシニア夫婦

終の住処を確保する

現在処分しようとしている家に住んでいる場合は、処分の前に終の住処を確保する必要があります。子どもとの同居や高齢者施設への入居など方法はいくつかありますが、自宅を売却した後もそのまま住み続けられるサービス「リースバック」を活用するという方法もあります。売却価格が相場よりも安くなったり、家の住宅ローンを完済する必要があったりと注意点はあるものの、思い出の家に住み続けられるうえ、まとまった資金が手に入ります。

まずは家族と話し合い、自分たちの状況や希望に合った方法を選択しましょう。

三井のリハウス シニアデザインでは、売却に伴う住み替えサポートとしてシニア向け住宅をご紹介しています。家の処分方法に迷っている方は、一度ご相談ください。

●シニア向け住宅紹介サービスはこちら

●リースバックについてはこちら

終活で不動産を売却するならシニア向けサポートが充実した不動産会社へ

終活で家の処分をすると、負担の軽減や老後資金の獲得、相続に関するトラブルの予防など、さまざまなメリットがあります。処分したときの注意点を踏まえながら検討してみるとよいでしょう。とはいえ、具体的な売却手順や相続方法について、不安を感じる方も多いでしょう。終活における不動産に関する相談は、ぜひ三井のリハウス シニアデザインへお問い合わせください。

また、家の売却は引越しや不用品撤去の見積もりなどの日程を業者ごとに調整する必要があり、手間がかかります。三井のリハウスの「シニアおまかせ売却パック」なら、不動産売却とともにほかのサービスの手配もするため、不動産処分の負担を減らすことができます。

終活における不動産売却をお考えの方は、ぜひ一度ご検討ください。

●三井のリハウス シニアデザインへの各種サポートお問い合わせはこちら

●シニアおまかせ売却パックについてはこちら

柴田剛

弁護士法人ASK川崎所属。弁護士。
交通事故、相続、債務整理などのいわゆるマチ弁業務のほか、スポーツ法務にも注力している。
https://www.s-dori-law.com/