Column / 2019 06,07

【あざみ野】JOURNAL 幅広い視点を提示する、先進的な体験型ギャラリーへ

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東急田園都市線あざみ野駅至近の「横浜市民ギャラリーあざみ野」では、子どもから大人までが関わることのできるアートプログラムを展開しています。誰でも参加できるワークショップの人気の秘密と、アート体験が地域にもたらすものについてレポートします。


駅を降りて目に入るのは、若者御用達のファストフードではなく、落ち着いた佇まいのコーヒーチェーン。2019年3月末にオープンしたばかりの駅直結の施設、「etomoあざみ野」では、ゆったりと午後のティータイムを楽しむ人々。田園都市線沿線らしい落ち着いた雰囲気を醸し出すあざみ野駅、そこから徒歩数分で「横浜市民ギャラリーあざみ野」に至ります。

展示室に収まりきらない体験型ギャラリー

複合施設「アートフォーラムあざみ野」の中に「男女共同参画センター横浜北」と「横浜市民ギャラリーあざみ野」がある。
2018年の「あざみ野こどもぎゃらりぃ」の展示風景。
© Masanobu Nishino

「横浜市民ギャラリーあざみ野」のスケジュールは、市民による展示や学芸員による企画展をはじめ、ワークショップやコンサート、キッチンカーの移動販売やマルシェまで、多彩なイベントでぎっしり埋まっています。そのラインナップは、既存のギャラリーという枠に収まりきりません。

「私たちは、展示室に美術品を展示することだけにこだわらず、人の営み自体を“アート”であると捉え、幅広い事業を行っています。たとえば『あざみ野カレッジ』というプログラムでは、横浜のブランド梨『浜なし』の農園にピクニックに行って、農業の苦労話などを伺いながら、梨園にシートを敷いて、もいだ梨を食べるというツアーを行いました。そんな、幅広い”アート”の体験を通じて、地域の人々に、生活に潤いを感じてもらえたり、色々な社会課題を意識してもらえたりすればいいなと思っています」とは、館長の森井健太郎さん。

横浜市民広間演奏会のメンバーや地域住民が出演する「ロビーコンサート」。

森井館長が言うとおり、ギャラリーの企画には、市民が体験できる参加型プログラムが豊富です。たとえば大人向けの「市民のためのプログラム」では、プロの作家を講師に招き、写真や陶芸、クロッキーや水彩画など数回にわたって学ぶことができます。また、「子どものためのプログラム」では、年齢に合わせた工作やお絵かきやコーラスなどを、プロの講師が指導してくれ、本格的にアートの楽しさに触れることができるのです。

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300組もの親子が訪れる人気プログラム

中でも人気なのが、「親子のフリーゾーン」です。このプログラムは、月3日間(頻度は場合により異なる)10時から11時半までの間、アトリエと中庭を解放し、小学6年生までの子どもと保護者が、絵の具・粘土・紙工作を使って思いおもいに遊ぶことができるというもの。申し込み不要・参加費無料という参加しやすさも手伝って、都内から出かけてくる親子もいるそうです。
「絵の具を顔や身体につけて遊んでもいいし、中庭の床や窓にも自由に描いていいんですよ。絵の具をぶちまけたっていいんです。すると意外と綺麗な形になったりするんですよ。まっさらだった中庭が、ものの30分でアート作品になっちゃうんです」(森井館長)

プロの講師が指導する「こどものプログラム」。

「親子のフリーゾーン」を運営する主任エデュケーターの岡崎智美さんは、参加した子どもたちの反応を次のように語ってくれました。
「中には最初は怖がって泣いてしまう子もいるのですが、2回目には筆を持って絵の具で遊ぶことができるようになり、3回目は粘土にも挑戦できて……という具合に、自分からやってみようという気持ちが次第に湧いてくるようです。繰り返していくからこそ成長が見える側面があると思うんですよ。もちろん、親も参加したっていいんです。最初は遠慮がちにアンパンマンを描いていたお父さんが、子どものアーティストぶりを見て解放されてハマってしまったり(笑)、逆に大人の絵を見た子どもがそれを真似てみたりと、親子で影響し合うさまも面白いですね」

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次世代へ受け継がれてゆくアート体験

子どものためのプログラム、「ダンボールであそぼう」。

親子一緒にアートを楽しめる機会と場所を設けることで、親は子どもを連れて美術館に出かけることに抵抗がなくなり、子どもは小さな頃からアートに触れることで、アートや美術館を身近に感じられるようになる。そんな社会になればいいと、岡崎さんは語ります。
「私がここに来る前に勤めていた『横浜美術館』では、『あざみ野親子のフリーゾーン』と同じプログラムを30年ぐらい続けています。すると、『私も昔、来ていたんです』という親御さんもいて、世代を超えて通ってくれる人も珍しくない。いま、ギャラリーに来てくれている子たちが、将来自分の子どもにも同じ体験をさせてあげたいと思ってもらえたら嬉しいですね」

地元企業、古河電工パワーシステムズの製品とコラボした企画展。
© 2018sumire_yamada_furukawa

実は、岡崎さんはあざみ野育ち。進学のために一度は街を離れたものの、結婚を機に再び愛着のあるあざみ野に戻ってきたそうです。「この街には桜やアカシア、イチョウの並木など、たくさんの並木があって、季節が感じられるのが好きなんです」。「横浜市民ギャラリーあざみ野」で子ども達が得られた体験は、次の世代にもさらにその次の世代にも受け継がれていくことでしょう。

館長の森井健太郎さん(右)と主任エデュケーターの岡崎智美さん。
「あざみ野こどもぎゃらりぃ2018」の最終日は、サーカスパフォーマンスグループのくるくるシルクと一緒にパーティー。
© Masanobu Nishino

■施設データ
横浜市民ギャラリーあざみ野
所在地:神奈川県横浜市青葉区あざみ野南1-17-3
アクセス:東急田園都市線あざみ野駅東口から徒歩約6分
問合せ:045-910-5656
開館時間:9時~21時(日・祝は一部17時まで。展覧会ごとに異なる)
休業日:第4月曜日、年末年始 そのほか臨時休館あり
https://artazamino.jp