東京都板橋区にある志村坂上は、江戸時代に交通の要だった中山道が駅前に通っており、街道沿いに発展してきた街。

古くから栄えた地域のため、老舗が多く残っていて、懐かしい雰囲気の商店街には今も活気があります。

趣のある街並みがある一方で、最近では子育て世代が利用したくなる自然豊かな公園や、ショッピング施設、スーパーも充実。都心へのアクセスもよいことから、新たに引っ越してくる若いファミリーが増えているそうです。

歴史と自然、地域の魅力が詰まった志村坂上の街をゆっくり訪ねてきました。

【志村坂上の基本情報】

駅名:都営三田線「志村坂上」駅
ランドマーク:志村一里塚、志村銀座商店街

■主要オフィス街に直通。JR山手線へのアクセスも良好

志村坂上駅で利用できるのは都営三田線のみ。しかし、大手町や日比谷といった主要なオフィス街まで直通で30分以内にアクセスできるのは魅力です。

巣鴨でJR山手線に乗り換えれば、池袋へ25分、新宿へも30分なので、通勤通学への交通に不便はありません。

複数路線が走るターミナル駅であるJR池袋駅や赤羽駅へはバス路線があるので、お買い物や荷物が多いお出かけのときなどに利用すると便利です。

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■駅前を通る中山道。商店街の老舗で買い物をする楽しみも

駅前を通るのは江戸時代から続く街道、中山道。駅のそばには「志村一里塚」と呼ばれる史跡が残っています。

駅前の中山道は広い道になっていて、通り沿いにはファーストフード店やコンビニエンスストアなど、忙しい日常を送る人には欠かせない店が並びます。

中山道から斜めに伸びているのは「志村銀座商店街」。昭和から営業しているお店も多く、のんびりした雰囲気が残る商店街です。

精肉店の「肉の坪木屋」は、豚肉を中心に新鮮なお肉が揃うだけでなく、お母さんの作る日替わりの惣菜も人気で、忙しい主婦の強い味方。

「志村銀座商店街」でよくメディアにも登場する有名店が「マルフクベーカリー」。創業から70年を超えた老舗です。お客さんの喜ぶ顔を見たいと次々と増えたパンの種類は惣菜パンやサンドイッチを中心に150種類もあるのだとか。

揚げたちくわをドッグパンに挟んだ「ちくわフリッター」(240円)や「なっとうドーナツ」(160円)など他ではあまり見られないパンも人気です。ちくわもなっとうも予想以上にパンと合います。さすが老舗の技!

大正2年創業の「片山商店」は、区民が選ぶ“板橋のいっぴん”に選ばれた「あんみつ」が人気のテイクアウト専門店です。

このような個性豊かな個人店のほかに、商店街にはスーパーやドラッグストアもあるので、会社帰りの買い物にも便利です。

この日のランチは商店街から程近い一軒家のイタリア料理店「ピアンタ志村坂上店」でいただくことに。白い外装にオレンジのテントが映える明るい雰囲気のお店です。

2階の客席にはキッズスペースが完備されていて、家族連れの利用も多いそう。

お店自慢の「チリカルボナーラ」(税込880円)をサラダセット(税込追加100円)にしていただきました。チリカルボナーラはクリーミーなのに辛いソースが特徴。おいしいと有名なディチェコ社のパスタがアルデンテに茹であげられているのもポイントです。

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■駅の南北に自然豊かな公園とショッピングスポットが

志村坂上には、駅を挟むように南北に2つの大きな公園があります。どちらも入り口は駅から徒歩5分とかからないところにあって、子ども連れで出かけるのにうれしい遊具や設備が充実。

公園の近くにはそれぞれショッピングスポットもあり、遊びに出かけたついでにお買い物を済ませることができます。

駅の北東にある「小豆沢公園(あずさわこうえん)」は、テニスコートや屋内プールもあり、スポーツ施設としての顔も備えた大きな公園です。

3on3ができるバスケットボールコートも設置されていて、幅広い年代の人たちがスポーツを楽しんでいました。

園内には子どもたちが自由に遊べる遊具スペースも確保されています。公園には緑も多く、春はお花見スポットとして多くの人が集まるそうです。

「小豆沢公園」のそばにはショッピングセンター「セブンタウン 小豆沢」が。スーパーやホームセンターのほか、ファーストフード店、ユニクロや無印商品も入っているので、日用品はほとんどここで揃えることができます。

「セブンタウン小豆沢」の中には、自由に座れるテーブルやベンチがたくさん。買い物だけでなく、ちょっとしたお出かけスポットとしても活用できそう。

小豆沢地区とは反対側の、駅の南西に位置しているのは大きな湧水池のある「見次公園(みつぎこうえん)」。4月から10月にかけての週末には手漕ぎボートに乗ることもできます。

遊具エリアは、思い切り走り回れそうな広さ。子どもたちの歓声が聞こえてきそうです。

「見次公園」を抜けて少し歩くと見えてくるのが「イオンスタイル板橋前野町」。スーパーのほか、家電量販店や書店が揃うだけでなく1階にはフードコートもあります。公園で散歩や遊具を楽しんでから、合間に休憩に訪れたり、帰りに買い物をして帰ることもできます。

大きな公園とショッピング施設が隣接していると効率よく時間を使えるので、忙しい子育てファミリーにはありがたいですね。

■「古くから住んでいる方も引っ越して来た方も垣根なく交流できる街です」

志村坂上は古くからの住宅街としての顔もあり、長年この街に住んでいるお年寄りと引っ越してきた若いファミリー世代のどちらもが住んでいます。その場所で、「両方の世代をつなぐ場所のひとつになりたい」と昨年オープンしたのが、小豆沢公園に程近い場所にあるカフェ「Little bean works」です。昨年、小豆沢に引っ越してきたというオーナーの丹野 章弘さんにお話を伺いました。

(以下インタビュー。「 」内は丹野さんのコメント)

――2019年に、お店をオープンするにあたり、志村坂上を選んだのはどうしてですか?
「バスケットボール選手をしている三男のおかげでこの土地に縁ができたからです。息子が所属しているB.LEAGUE チーム『東京エクセレンス』のホームアリーナが小豆沢公園の中にある小豆沢体育館なんですよ」

――息子さんのチームを応援していて、志村坂上の皆さんと仲良くなられたのですか?
「小豆沢地区の商店街・小豆沢商友会の方々が熱心にチームを応援してくださっています。私はもともと50歳以降のチャレンジとして、幅広い世代がお茶できるようなコミュニティカフェを作りたいと思っていました。この地域はお年寄りから若いファミリー層も多く住んでいるので、ぴったりだと思うようになりました」

お店の人気メニューは、サバレモンサラダと自家製キャロットラペ入りのサンドイッチ『あずさばちゃん』(スープ付き税込600円)。「名前の由来は『小豆沢』と『サバ』をかけた親父ギャグです(笑)」

――早くも常連さんが多いとうかがいました。
「お店に来たお年寄りとお子さん連れのママさんが顔見知りになって、いつの間にか話していることも多いですよ。人と人の距離が近く、自然に交流できる垣根の低さもこの街の魅力だと思います」

――丹野さんのお子さんたちはすでに成人されたそうですが、ご自身の子育ての環境と比べて、志村坂上はいかがですか?
「僕は以前、栃木県宇都宮に住んでいて、仕事で赤坂や六本木の職場に通う生活を長くしていました。宇都宮と比べても、赤坂や六本木と比べても、志村坂上は緑が多くて住みやすい場所だと思います。特に公園や児童館が多くて、小さい子を育てる親御さんを助けてくれる環境が整っていると思います」

■時間が培ってきた良さと効率的な暮らしの両方が手に入る街。

「駅まわりで、どのエリアに住むか」

同じ駅であってもエリアによって利用できるお店や雰囲気がガラリと違い、それによって利便性が変わる街も多いものです。

しかし、志村坂上は駅の南北どちら側のエリアに住んでも品揃えのいいショッピングセンター、緑豊かな公園、そして古くからある老舗、どれも便利に利用することができます。

古くから発展してきた街が持つ昔ながらのにぎわいと、現代的な効率のいい暮らし。志村坂上はその両方を身近に感じることができる、魅力のある街だと思いました。

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野崎さおり

編集プロダクション勤務、メーカーでの非正規社員などを経てライター。都内をバスか徒歩で移動するのが好き。転勤族育ちの引っ越し魔で、引っ越し歴は20回以上。現在は神奈川県川崎市に在住。

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