「山手線ゲーム!イエーイ!」

って、山手線ゲームを実際に誰かとやった記憶はありませんが、筆者は実際に山の手線に乗っているときに、路線図を見ずに何駅言えるか、心の中で唱えてみたりすることがあります。

新宿・新大久保・高田馬場・目白・池袋・大塚・巣鴨……。
だいたいいつもここで降参して、路線図を見てしまうんです。

そう、その駅こそが今回ご紹介する街・駒込です。

駒込の基本情報

駅名:JR山手線・東京メトロ南北線「駒込」
ランドマーク:六義園

老舗が数多く残る個性的な商店街

私のひとり山手線ゲームをいつも終わらせてしまう駅……駒込。よくよく考えてみたら、山手線29駅の中で唯一駒込だけ降りたことがありませんでした。

▲駒込橋の上から見た山手線

駒込駅があるのは山手線の巣鴨と田端の間。豊島区の北部に位置します。また、東京メトロの南北線も通っていて2線が使えるので、アクセスは良好です。

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そんな駒込駅を降り、山手線の東口改札を出て右に進むと見えてくるのが、商店街アザレア通り。

▲アザレア通りの入口

レトロな看板が目印のアザレア通りは、スーパーマーケットなど、生活に必要なお店が揃う住民の強い味方。車が少なく、スーパーの袋を手にのんびりと商店街を歩くお母さんたちの姿が印象的です。

▲スーパーマーケット「マルエツ プチ」は朝の7時から深夜1時まで営業
▲ベーカリー「パンハウス麦畑」は以前別の場所にありましたが、移転してアザレア通りに再オープンしました

アザレア通りとは別に、東口改札を出て左側にも、商店街があります。それが、全長約150mのさつき通り。こちらも地元の人が行き交う、情緒あふれる商店街。100円ショップなどの生活に役立つショップや個人経営の飲食店など、さまざまなお店が軒を連ねます。

▲さつき通りの入口
▲歩行者のみで、ゆったりと買い物が楽しめる

さつき通りを奥まで歩くと、さらにもうひとつ。鮮魚店や豆腐専門店が揃う駒込住民の台所、霜降銀座商店街の愛らしい看板が。

▲ゆるキャラ?のイラストが目印の霜降銀座商店街の看板
▲入口は狭いものの中に進むにつれて道幅が広がり、活気のある雰囲気に
▲霜降銀座商店街では多くの老舗が今も現役で営んでいます。こちらは豆腐専門店の「かさはら」
▲かさはらのお隣は鮮魚を扱う「二木商店」

駅を中心に、個性の異なる3つの商店街がある駒込。
生活に欠かせない、スーパーマーケットや100均が揃うのはもちろん、今ではめずらしい老舗のお店が数多く残っているのが特長。暮らしを包み込むような、懐かしさや優しい雰囲気が街全体から漂っています。

▲香取湯は商店街にほど近い住宅街で昭和28年から続く銭湯。下町の代名詞ともいえるレトロな銭湯が今も残っている。

美しい自然とアットホームなオシャレさが暮らしに彩りを

駒込を語る上で欠かせないのが「六義園」。
回遊式築山泉水庭園と呼ばれる美しい日本庭園で、駒込の人気スポットです。

▲駒込駅から徒歩7分の場所にある六義園の正門

六義園は、設計に7年もの歳月をかけたといわれており、計算され尽くした美しい景観が最大の特長。広大な敷地には自然をゆったりと楽しむための茶屋が置かれており、自然を眺めながらお茶と和菓子をいただくなど、情緒あふれる時間を楽しめます。

▲六義園の周辺にはカフェやビストロがチラホラ。

また、周辺にはカフェやビストロなどのオシャレなお店が並んでいます。オシャレといっても、どこかアットホームな駒込らしさが残っており、普段使いにもオススメです。

▲染井銀座のキャラクター「セレサ」ちゃん

六義園を後にして、再び霜降銀座商店街の方に向かって歩いていると、街のあちこちに「さくらの街」というイラストやポスターが。

なぜ「さくら」なのだろう?と調べてみると、豊島区駒込は桜の品種「ソメイヨシノ」が誕生した街だからだということがわかりました。六義園周辺には、かつて植木屋が集まっていた「染井通り」があり、そこで生まれたことから「ソメイヨシノ」という名前がつけられたようです。

そのため、駒込は桜にちなんだスポットや店舗が豊富。染井通り周辺を少し歩いただけでも、桜の名を関した公園やカフェを見かけます。どこもゆったりとした暮らしが連想される素敵なスポットです。

▲駒込がソメイヨシノ発祥の地であることを記念して作られた「染井よしの桜の里公園」
▲公園の隣の土地には苗床があり、成長したら区内の施設だけでなく全国へと送られる
▲山手線の電車の線路沿いには爽やかな真新しい外観が目を引く「桜キッチンカフェ」
▲桜が咲いた時期の駒込駅前。

並木道にも桜の木が多く、春には街中がソメイヨシノで満たされる光景が目に浮かびます。
この街に住めば、必ず春が待ち遠しくなるはず。日常で桜を満喫できるのは駒込ならではの魅力です。

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品の良さと下町感が混じり合う駒込

駒込の街を歩いてみると、レトロでおだやかな街並み・深い歴史と美しい自然など、魅力や暮らしやすさが詰まった街であることがわかります。

それでは、この街に古くから住んでいる人は、駒込の魅力をどのように感じているのでしょうか?
昭和25年から続く老舗「丸角せんべい」の二代目、土屋正利さんに駒込の魅力や暮らしやすさについてお話を伺いしました。
(※以下、「」内は土屋さんのセリフです)

▲土屋正利さん

――今回私、初めて駒込の街を歩いてみましたが、住みやすそうでいい街ですね

「駒込は山手線の他の駅に比べると住宅地で、若い人が遊べるような場所がないので地味な印象になりがちかもしれませんが……逆に言うと、住むにはとてもいいですよ」

――土屋さんにとって感じる駒込ってなんですか?

「駒込は豊島区ですが、文化レベルの高い文京区やものづくりの盛んな北区が隣接しているので、そういった雰囲気が混ざり合って独特の雰囲気ができていると思います。それに何と言ってもオススメは霜降銀座商店街。肉屋さんや魚屋さんもあって生鮮食品も何でも手に入るので、うちの食卓はほぼ霜降銀座で成り立っています(笑)」

▲職員さんが手焼きしている丸角せんべい。詰め合わせにすれば送り物にもぴったりです

自分の魅力を大げさに主張しない、しっとり落ち着いたオトナの街

下町情緒あふれる商店街。
オシャレでアットホームなお店や街並み。
由緒正しき日本庭園。
春の名物ソメイヨシノ。

駒込の良いところは、たくさんの魅力を大げさに主張せず、しっとり落ち着いているところ。
自然・文化・下町の魅力が溶け込み、街全体に居心地の良いゆったりとした時間が流れています。

どこか印象は薄いけど、実は魅力が豊富な山手線の隠れ家「駒込」。
今後は「巣鴨……」で路線図に目を移さず、スムーズに「駒込」を思い出すことができそうです。

下條信吾

長野県安曇野出身、東京在住のフリーライター・カメラマン。レゲエベーシストとしてKaRaLi、Tropicos、The Kingstompersなどで活躍中。
趣味は地図なしの東京街歩き。
八王子から立川まで2時間半、下北沢から仙川まで4時間、お台場から笹塚まで6時間かかりました。
Instagram:https://www.instagram.com/bassieshimo/