大阪府内のベッドタウンのなかでも、群を抜いて高い人気を集める北摂エリア。

今回紹介する千里山駅周辺は千里ニュータウン以前に開発された、歴史のある街です。千里山駅を有する吹田市は、京都や大阪市内へのアクセスがとても便利な立地にあります。

「千里」と名のつくエリアは周辺にも多く、千里中央、千里丘、北千里、南千里などがあります。そのなかでも千里山駅周辺は近年、再開発や都市再生への取り組みが積極的に進んでいる地域。
大型の自然公園から小規模な公園まで、市内のいたるところに緑豊かなスポットが整備されているほか、人口割合に対して国立や府立、市立など医療機関が充実していることから、一人暮らしからファミリー層まで幅広い世代から人気を集めています。

私自身、グルメ取材などでよく北摂エリアを訪れています。千里山周辺は街の雰囲気も良く、昔ながらの商店や、学生も大満足の安ウマグルメも充実。他の街では見られない幅広い魅力に溢れています。
長く住み続けたいと思える街、そんな千里山駅周辺の魅力をお届けします。

【千里山駅の基本情報】

駅名:阪急千里線「千里山」駅
ランドマーク:服部緑地、関西大学千里丘キャンパス

■阪急千里線の北寄りの駅、静かで落ち着いているのに交通面はとても快適

千里山駅は阪急千里線のやや北寄りにある駅です。
阪急千里線は普通電車のみの運行ですが、大阪・キタの主要駅である終点の大阪梅田駅まで乗り換えなしで約23分。淡路駅を越えると天神橋筋六丁目駅を経由して大阪メトロ堺筋線と直通し、終点の天下茶屋駅まで乗車したまま到着します。ビジネス街の南森町や北浜、長堀橋などへのアクセスも便利です。

ほかにも、京都方面への乗り換え駅である淡路駅まで約12分、神戸方面などへの乗り換えに便利な十三駅まで約19分、万博記念公園駅や大阪国際空港などへアクセスできる大阪モノレールの乗り換え駅の山田駅まで4分と、関西各県へのアクセスは比較的便利な立地にあります。
また、千里山駅の西側に住んだ場合、北大阪急行電鉄の緑地公園駅も利用できます。新大阪駅や梅田駅など大阪メトロ御堂筋線へ繋がる路線のため、交通面の選択肢はとても多いです。
千里ICや豊中南ICも近いので、マイカーがあれば京都や神戸方面への移動もスムーズです。

⇒千里山駅周辺の物件一覧をみる

■駅前には使い勝手の良い商業施設や、個人商店が点在

千里山団地がある駅の東側には、駅前広場や「BiVi千里山」などの商業施設が整備されています。そのほか普段の生活に欠かせない、スーパーマーケット「阪急オアシス 千里山店」、ドラッグストア「キリン堂 千里山駅前店」、100円均一ショップ「Seria BiVi千里山店」などのお店のほか、保育園、イベントや講座が行われる「千里山コミュニティセンター」などもそろっています。
これらの商業施設は比較的遅い時間まで営業しているので、通勤や通学帰りに立ち寄るのも便利。

駅の西側は大正期に日本初の郊外住宅地として開発された千里山住宅地を中心に、坂の多い街並みが続きます。戸建て住宅や注文住宅も多く、高級住宅地としても知られており、沿線のなかでは住宅環境面は優れているという声も多いです。

また、駅近辺は治安も良く、教育レベルが高いと評される学校も多いことから、駅の東西には学習塾などの教育施設も多く見られます。駅の南側には有名私立大学の「関西大学」もあります。

⇒千里山駅周辺の物件一覧をみる

■遊具や芝生のある大型自然公園に、ジャンル多数な飲食店も

千里山駅から徒歩20分ほどの場所にある緑地公園「服部緑地」は、周辺の住人たちの憩いの場。平日や週末を問わず、ピクニックなど外でのランチを楽しむ人の姿も多く見かけます。

「服部緑地」は、大阪府下最大級の規模を誇る緑地公園です。子どもが楽しめる大型遊具のあるエリアや、芝生が広がる広場のほか、緑化植物園やBBQが楽しめる広場、カフェなどもあります。さらに乗馬センターや野外音楽堂などもあり、夏場は流水プールやスライダープールなどを有するウォーターランドも人気。

駅東口のすぐ近くにあるオシャレなブーランジェリー「NIJUGO」でパンを買って、公園でランチをするのもオススメです。

ガラス張のショーケースには種類豊富なパンがずらりと並んでいます。どれにしようか悩みつつ、今回は「メロンパン(302円)」に。ザクザクとしたクッキー生地にはバニラビーンズがたっぷり入っていて香りもいいです。

この日のランチは関西大学の近くにある「DEARBROS.(ディアブロ)」に。キャンパス周辺には低価格でボリューム満点のランチが楽しめるお店が多いのですが、このお店もそのひとつ。

「アメリカンチーズマウンテンオムライス ランチセット(SSサイズ600円)」はドリンクとサラダがついてこのお値段! オムライスやカレーなどはサイズが選べて、一番小さなSSサイズが一般的な通常サイズと同じくらい。ほかにも、パフェやパスタもビッグサイズなので、シェアするのもいいですね。

⇒千里山駅周辺の物件一覧をみる

■街の成長とともに育ってきた「千里寺」から見る街の風景

街の一角にある浄土真宗本願寺派(西本願寺)「千里寺(せんりじ)」は、寺院としての機能はもちろん、街の子どもたちの勉強・読書の場や、フードバンクの活動場所を提供するために本堂を開放するなど、街に寄り添う活動も行っている寺院。しかもその本堂は登録有形文化財にも指定されているとか。街とともに歴史を重ねてきたお坊さんが見る、千里山の魅力とは。副住職の武田大信(たけだ だいしん)さんにお話を伺いました。

(以下インタビュー。「」内は武田さんのコメントです)

――千里寺の歴史について教えてください。
「『千里山住宅地』を開発する際、街に宗教施設を作ろうと、昭和のはじめに建立されました。お寺そのものの歴史としては比較的新しく、街と一緒に形作られてきたお寺です。住職が2代目にあたりますが、世代が変わるにつれ、千里寺を懐かしいと思ってくださる方も増えていて。寺院としての歴史こそ新しいけれど、みなさんの生活の中にいさせてもらい、家族の方が帰るべき場所のひとつと思ってくださっているのがうれしいですね」

――武田さんは生まれも育ちもこの千里山なんですか?
「そうです。千里山の街は変わり続けている感覚があります。小さい頃は駅前の東西にはそれぞれに市場がありました。電車で梅田や新大阪、京都などへのアクセスも便利ですし、車がなくても生活ができる場所だなと思っています。お寺の世界から見ると、先祖代々ではなく、この場所に越してこられた方との個人的な繋がりが多いのも特色ですね」

――現在、千里寺では門徒さんだけでなく、一般の方にも本堂を開放する「がらん伽藍」というイベントやフードバンク活動のための場所を提供するなど、寺院としての活動以外のことも積極的に行っていると伺いました。
「地域のためになることをさせていただきたいなと思って始めました。お寺のイメージは法事やお説教など、何かをしにいく場所というイメージがあると思うんです。でも、本当は何もしなくてもいい。仏様がいらっしゃる場所というのは、自分自身が肯定される場所。昔は各家庭にお仏壇があったんですが、今は違います。なので、千里寺をみなさんのお仏壇、ご本尊の代わりにしてもらってもいい。そこで『がらん伽藍』の日は勉強や読書のための場所としてはもちろん、仏様の前にいるだけの時間があってもいいと伝えられたら。寺院を開いてイベントなどを行うことも、ここにお寺がある、仏様がいるんだなと知ってもらう機会になればと思っています」

――「千里寺」の本堂は天井も高くて、大きなシャンデリアや天井に描かれた花もすごく美しくて。国の登録有形文化財にも指定されているんですよね。そこで勉強や読書ができるのはすごく新鮮ですよね。
「本堂は、昭和天皇即位の際に建てられた建物の一部を移築したものです。関西大学で使われていたものが戦後に千里寺に移築されました。折り上げ天井や大きなシャンデリアを小さい頃から当たり前のように見ていたので、来られる方々の反応を通じて、私の方が寺院として独特であることを教えてもらいました。本堂は背筋を正さないといけなかったり、怖いものではない。仏様の前にいる、その安心感を感じてもらえたらいいですね。なんだかほっとする場所であり、何かあったときには逃げる場所としてお寺があるんだよ、と知ってもらえるきっかけになればいいですね」

■自分たちで作る街は、居心地の良さも格別

千里山は高級住宅地のある街というイメージでしたが、実際に街を巡るとその考えが一変。
街の人がお互いに協力しあって街を作り上げる。長い年月をかけて少しずつ、自分たちに馴染む街作りをしてきたんだなというのが伝わってきました。
長く住むなら居心地の良い街を。そんな思いが詰まった街、ますます興味が湧いてきました。

⇒千里山駅周辺の物件一覧をみる

黒田奈保子(くろだ なほこ)

大阪府在住。出版社での情報誌や音楽誌の編集を経て、フリーの編集・ライターに。音楽やグルメ、旅行など幅広いジャンルを取材、執筆、撮影。活動範囲は日本全国、海外とどこまでも。