Column / 2019 04,15

【五反田】イメージを覆す。実は住みやすい街

いちじく舞(いちじく まい)

フリーライター・編集者。音楽の専門学校を卒業後、地下アイドル→銀座ホステス→広告モデル→OLという散らかった経歴を経て、ライターとして独立。ものづくりが好き。
https://twitter.com/ichijiku_mai (@ichijiku_mai)

恵比寿に住んでいた知人と数年ぶりに再会したときのこと。
「今? 五反田に引っ越したよ」
とあっけらかんと言われ、私は思わず戸惑いました。

五反田と言えば、駅西口には大手企業本社が点在、東口は飲食街を中心としたネオンが夜空に浮かぶ刺激的な街。。暮らしと紐付けてイメージすることは、とてもじゃないけどできませんでした。

しかし今回、この取材を機に初めて五反田の街をじっくり歩くことに。店を訪ね人と語ることで、結果、五反田の印象が刷新されることとなります。街の新たな性格を知り、既存のイメージがじわじわと崩れていく過程をご覧ください。

五反田の基本情報

駅名:JR山手線・東急池上線・都営地下鉄浅草線「五反田」
ランドマーク:レミィ五反田

3路線が利用できる五反田駅。バスで川崎・六本木にも一本

JR山手線・都営地下鉄浅草線・東急池上線の3つの路線が乗り入れる五反田駅。3駅隣の渋谷駅には、およそ7分で到着します。西馬込駅から押上駅を結ぶ都営地下鉄浅草線は、日本橋方面への移動に便利。東急池上線は、東急多摩川線と直通運行されているため、多摩方面へ向かう際にも重宝できます。

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駅前のバス乗り場からは、東急バスと都営バスが発車。東急バスは川崎方面、東急バスは赤羽や六本木方面への移動に活用できそうです。

五反田の駅に寄り添うように建設された商業施設「五反田レミィ」。地下1階には生鮮食品が揃う東急ストアが深夜の1時まで営業しています。どうしても帰宅時間が遅くなってしまう社会人にとって、なんとも嬉しい営業時間。

住民・来訪者を温かく迎えてくれる「五反田商店街」、名店の数々

目黒川に架かる大崎橋から始まる「五反田商店街」。通りには味のあるスナックや渋めの定食屋・洒落たイタリアンなどが林立し、ランチタイムは辺りに住居を構える住人や近隣オフィスに勤めるサラリーマンで賑わいます。
この五反田商店街は「肉祭り」を主催しており、2018年11月の開催時にはおよそ1000食の焼き肉や唐揚げなどの肉料理が無償で振る舞われました。このように、地域活性化にも一役買っている商店街なんです。

そんな五反田商店街を少し横道に入ると目に飛び込んでくるのが、こちらの洋食屋「バルセロナ」です。

▲(写真右)バルセロナの「パエリアとオムカレーのハーフ&ハーフ(サラダ・コーヒー付き)」(850円)。魚介の旨味がライスに染み込んだパエリアと、程よく苦味のあるオムカレーが訪れる人々の空腹を満たします

日中はランチ・夜はスナックバーとして営業しているこのお店、聞けばなんと創業20年の歴史を誇る老舗。物腰柔らかな主人と優雅な夫人が店を切り盛りしています。ご夫婦から五反田の歴史を聞きながらランチを楽しめるのも魅力のひとつ。

そんなバルセロナの主人曰く、「五反田には多くの肉料理専門店が点在する」のだそう。その理由は、2駅隣の品川に食肉の卸市場があるからなんだとか。

▲人気ステーキ店「ミート矢澤」。サラリーマンがズラリと列をなしています。

また、ユニークなお店がそこかしこにあるのも五反田の魅力。例えばこちらは、かつてはレコード屋として営業していた、たい焼き屋「ダ・カーポ」。半熟ベーコンエッグが入った「鯛玉」(220円)や、スパイシーカレーが包まれた「鯛うどん」(280円)など変わり種のたい焼きも販売されています。

▲(写真左)先代のオーナーは音楽プロデューサーとして活躍されていたそう。
▲(写真右)オーソドックスな餡子の「たい焼き」(180円)。尻尾に潜んだ隠し味の秘密の酸味が、上品な甘さの餡子とあいまって美味しい。

個性が際立つ店、そこで楽しめるコミュニケーション。
五反田商店街には、暮らしを豊かにしてくれる要素が随所に散りばめられていました。

五反田の知る人ぞ知る名所・本格プラネタリウム

駅から徒歩約15分にある「品川区五反田文化センター」は、地元の人が声を揃えてすすめる文化施設です。

施設の5階には86席のプラネタリウムが設けられており、大人200円・子ども50円の手頃な価格で満天の星を仰ぐことができるのが魅力。

プログラム上映中は、常駐している解説員から星の解説が聞けるそう。全ての星座が暗闇に浮き上がる様は圧巻です。上映されるプログラムは数ヶ月に一度変更されるので、来訪前に「品川区五反田文化センター」の公式HPを確認することをおすすめします。

整然とした街並みに現れる緑豊かなスポット

駅から東五反田の方へ歩くと街の喧騒は止み、辺りの空気は一気に穏やかに。

ここ「ねむの木の庭」は、皇后陛下の旧正田邸跡地を整備した公園。皇后様が詠まれた歌が草花と一緒に展示されています。

さらに目黒方面に3分ほど歩くと「池田山公園」の正門が見えてきます。隣の小学校から下校した子ども達が、緩やかな坂を登り園内に歩いていきます。

公園の中心には池泉があり回遊式庭園の造りになっている「池田山公園」が。花が芽吹く春になれば、また違う景色も楽しめそう。

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子育てもしやすい。一児の母が語る五反田

今回は五反田の魅力を、五反田にオフィスを構えるアクトインディ株式会社に勤める天野珠代さんに語っていただきました。実は天野さん、この街に住みながら子育てをする一児の母でもあります。多面的に五反田に関わる天野さんが見てきた、五反田の“表情”とは。

(※以下、「」内は天野さんのセリフです)

――五反田に住み始めたきっかけは?
「夫の祖父が起業した飲食店に嫁いだのがきっかけです。創業約60年の『辰巳家』という中華料理店で、最初は五反田の駅前に店を構えていました。その後、移転して今は大崎広小路寄りのエリアで店を営んでいます」

▲辰巳家の「レバニラ定食」(830円)。肉厚でジューシーなレバーに野菜が山盛りで絶品

――五反田の住み心地は?
「うちのように『地域密着型の店』や『老舗の名店』など、ホッとするお店が多いところでしょうか。他にも、目黒通り沿いの緑道や公園など、世間のイメージより穏やかな印象のスポットが多くあります(笑)。また電車が3分に1回ほどのペースで来るので、近所に出かける感覚で隣駅に買い物に出られるのも住み心地がいいポイントのひとつかも。例えば山手線に乗って品川駅のクイーンズ伊勢丹に出かけたり、池上線に乗って戸越銀座駅の商店街に行ってみたり」

――フットワーク軽く、便利に生活できる街なんですね。
「五反田駅前の東急ストアにはキャンドゥや無印良品などが揃い、五反田TOCにはダイソーやユニクロなどの大型店舗も入っています。目黒川沿いにはタワーマンションが増えた影響か、小さな公園や保育園も増えました。保活と入園のために引っ越してきたご家庭の話も聞きます。街並みも綺麗になっていて、最近では『電線地中化』で山手通りが美しく変化しました」

――五反田は暮らしやすいですか?
「そうですね。実は五反田って、池田山や御殿山面など閑静な地域もあるし、駅周辺にはIT企業のオフィスや大学のキャンパスもある。繁華街だけでなく、高級住宅街・オフィス街・学生街などさまざまな表情があるんです。休日は地元民ばかりになるので、道もゆったり歩きやすくなりますよ。我が家には1歳の息子がいるのですが、意外にも子育てがしやすい街だなと感じています」

時代に合わせてマイナーチェンジされてきた街

かつては、ソニー本社の最寄駅でもあることから「ソニー村の玄関口」としても知られた五反田。
今では多くのベンチャー企業のオフィスが集積し、タワーマンションが建ち、新たな住民が増えています。
再開発により駅周辺・街全体が大きく変貌を遂げつつも、長く営まれている飲食店などの下町の趣が残る五反田。
そんなことを教えてくれた五反田の人々と街の風景。
改めて五反田を俯瞰してみると、“刺激”だけでない街の姿が見えてくるかもしれません。