15年以上も前のこと。埼玉に住んでいた大学時代、いちばん身近な東京が赤羽でした。
東京都なはずなのに、どこか垢抜けていなくて、でもたくさんの人が歩いていて、お店もたくさんあって、ご飯を食べに行くのにとても楽しい街でした。

それから数年後。社会人になってから、すっかり赤羽にはご無沙汰していたのですが、下町感あふれる商店街がメディアで脚光を浴び、テレビの食番組などで見かけることが多くなりました。テレビに映った赤羽を見たとき、懐かしさがこみ上げるのと同時に、街が大きく変化していることに気づきました。

下町の趣が残るエリアはそのままに、少し駅から離れたところには新しいマンションが建ち、街がきれいになっているではないですか。さらには、近年「住みたい街ランキング」の常連になりつつあるようです。年々その魅力を増している赤羽。その実情を知るために、久しぶりに街に降り立ってみることにしました。

【赤羽の基本情報】

駅名:JR京浜東北線・宇都宮線・高崎線・埼京線・湘南新宿ライン「赤羽」
ランドマーク:赤羽一番街商店街

■山手線の東にも西にもアクセス可能。商業施設も充実した便利な駅

東京・北区にある赤羽駅。駅の北側を流れる荒川を越えればもう埼玉県という立地です。
電車は「JR京浜東北線・宇都宮線・高崎線・埼京線・湘南新宿ラインの4路線」が利用できます。埼京線、宇都宮・高崎線、湘南新宿ラインを使えば新宿まで乗り換えなしで15分。京浜東北線を使えば、東京駅まで17分。このように山手線の西側にも東側にも出やすい駅です。

また、駅の北側へ10分程度歩いたところには、東京メトロ南北線の赤羽岩淵駅もあります。赤羽1丁目あたりに住むとこちらも利用しやすく、飯田橋・四ツ谷・永田町・溜池山王にも1本で出られます。
JRでもメトロでも、都心の主要駅にアクセスしやすいのは大きな魅力ではないでしょうか。

駅前からは国際興業バスが運行しています。西口側は高台になっていて、そこが大きな団地になっているためバス路線も頻繁に利用されている様子です。また、ほかの駅への行き先も豊富で、「高円寺」「練馬」などへの直通バスもありました。

また、複数路線が走る赤羽駅は交通の要所であり、駅ナカや駅直結の店舗も充実しています。

駅ナカ(改札内)にあるのは「エキュート赤羽」。カフェやお蕎麦屋さんなどの飲食店の他お菓子屋さん、本屋さん、花屋さんなど充実のラインナップです。

また、改札を出ると駅直結の「ビーンズ赤羽」を利用できます。この中に「生鮮食品館富士ガーデン」や「カルディコーヒーファーム ビーンズ赤羽店」のほかお惣菜屋さんなどが入っています。日常的な食品からちょっといいものまでこちらで揃えることができそう。

また、スターバックスコーヒーやドトールなど、カフェチェーンも複数入っているので、待ち合わせやちょっと一息つくスポットとしてもぴったりです。

■下町らしさがあり、大きな商店街が活気付く駅東口

赤羽は駅の東と西で表情が異なります。
駅の東側は商店街や飲食店が並ぶ繁華街、西側には大型のスーパーやショッピングモールが並んでいます。まずは東口を散策することに。

東口を出てみると、繁華街への入り口となるメインロータリーが。その奥には商店街「LaLaガーデン」があり、下町感あふれる、どこか懐かしい空気が流れています。

▲12時〜18時は自転車を降りなくてはならないため安全に買い物ができる

「LaLaガーデン」は、赤羽で一番大きなアーケード商店街。買い物のピークタイムは多くの人で賑わいます。

この商店街には古くからある魚屋さんや八百屋さんなどの個人商店も多く、お店の人と会話をしながらのお買い物が楽しめます。売られている商品のお値段もお手頃なものが多かったです。

また商店街の中には、100円均一ショップや「ダイエー赤羽店・イオンフードスタイル」があるなど、個人店だけでなく大型店も軒を連ねています。

さらにはアーケード内に中学校までありました。商店街の中にある中学校って、かなりめずらしいのでは?

そして赤羽を有名にした立役者といえば「赤羽一番街商店街」。1000円でベロベロに酔える「センベロ居酒屋」で有名で、多くの飲食店が並びます。

とはいえ治安が悪い雰囲気はなく、若い女性やカップルが連れ立って食べ歩きをしている姿が印象的でした。昼間から開いているお店も多いので、ランチがてら昼飲みに挑戦するのも楽しそうです。

また、一番商店街の中にはなんと小学校も。すごい立地だなと思い、近所の方にお話を聞いてみると、「子どもの目があるからね、悪いことはできないよ〜」とのこと。なるほど、大人が子どもたちを見守り、子どもたちの目が大人の背筋を正しているということですね。

飲み屋のイメージが強い赤羽ですが、オシャレカフェも増えてきています。地元のお母さんのお話では、駅前は放置自転車の取締りが厳しいため、少し駅から離れた「店前に自転車を停められるカフェ」が人気なんだそう。

そんな赤羽カフェのひとつ、東口から徒歩10分ほどのところにある「Cafe milk」さんでランチをすることに。すでに昼時は過ぎていたのですが、店内はおしゃべりに花を咲かせるママたちがデザートを楽しんでいました。

わたしが注文したのは、豚肉の甘辛ガーリック丼。セットのドリンクはランチを注文すると200円引きになるということで、アイスコーヒーもプラスで注文しました。

しっかり下味がつけられた豚肉の炒め物がご飯とよく合い、男性でも満足できそうなボリューム。パスタなど、ほかのメニューは軒並み売り切れだったので、ランチの人気が想像できました。

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■ショッピングモールと住宅街、自然豊かな公園が広がる西口エリア

お腹も満たされたところで、続いて西口エリアを散策。こちら側の駅ロータリーは東口に比べるとすっきりとした印象です。

駅を出て、正面にあるのがショッピングセンターの「赤羽ビビオ」。コンセプトが、「手の届くちょっとした贅沢感とオシャレ感覚」ということで、ちょっとした雑貨やお洋服なども買うことができます。また、マルシェなどのイベントも定期的に行われているようです。

ロータリー左手にあるのが「赤羽アピレ」。主に女性向けのファッションのお店が集まっています。そのほか無印良品も入っているので生活雑貨の買い物にもよさそうです。

ビビオの道を挟んで向かいにあるのが「イトーヨーカドー 赤羽店」。全7フロアの大型店で、生活に必要なものはほとんどここで揃えられます。

西口側は団地が多く、住宅街になっています。赤羽台や北赤羽方面は、家族向けのマンションやリノベーション物件なども多くできていて、最近家族世帯が増えてきているようです。

ユニークな公園があるのも西口側。「清水坂公園」は線路沿いにあり、走る電車を大迫力で見ることができます。電車好きのお子さんたちが集まる人気スポットです。

高台からすべり降りてくる、長いすべり台もこの公園の名物。取材時は修理中でしたが、この公園のシンボルとなっています。また、駅の西側から15分ほど歩くと「赤羽自然公園」という大きな公園が。

こちらは、サッカー場や野球場があるほか、夏はバーベキューも楽しめるスポット。

それだけでなく、園内には昔話に出てくるような藁葺き屋根の家が置かれています。家の前には田んぼもあり、遊びながら「昔の田舎暮らしを学べる場所」として子どもたちに人気なのだとか。もちろん、中に入って見学することも可能です。

このように、子どもの遊び場に事欠かない赤羽の街。北区では保育園の待機児童解消にも力を入れていて、保育所の定数拡大を計画的に実施しているそうです。さらに「きたハピモバイル※」という無料アプリをリリース。スマートフォンから子育て情報を目的や年齢別に検索したり、予防接種予定日の通知を受け取ったりすることができます。

充実した子育てサポートを受けられるのは、この街に住む大きな魅力のひとつです。
※きたハピモバイル https://apps.apple.com/jp/app/id1269503194

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「いろんな世代が集まる街に変化したことで、雰囲気が変わってきたのかもしれません」

ここ数年、若い家族世帯が移り住んでいるという赤羽。実際に暮らしている方に街の魅力を聞いてみたいと思い、コミュニティカフェ&イベントスペース「いろむすびcafe」を訪れました。

いろむすびcafeは、老人向けデイサービスと保育園が一緒になった多世代交流施設「コトニア」の中にあります。地域コミュニティや多世代交流をつなぐハブになっている場所だそうです。

こちらのカフェを運営している佐野愛子(さの あいこ・写真右)さんと渡邉麻純(わたなべ ますみ・写真左)さんにお話を聞きました。佐野さんは3年前に家族で赤羽に引っ越してきたとのこと。渡邉さんはお隣の埼玉県川口市からこちらのカフェに通勤しています。

(以下インタビュー。「 」内はおふたりのコメント)

——赤羽の街の魅力ってなんでしょうか?
「やはり、まずは交通の便がいいことですよね。東京方面にも出られるし、新宿、渋谷、恵比寿、横浜まで乗り換えなしで行けるので、駅の選択肢が豊富です」

——駅前にはたくさんのスーパーやショッピングモールがありますが、普段どこで買い物をしますか?
「ビーンズ内にある富士ガーデンで買うことが多いです。カフェで使うお野菜などを買うこともあります。もちろんほかのスーパーでも買い物をすることはありますが、お魚だけは絶対に富士ガーデン内の『角上魚類』さんで買います。お魚が本当においしいんです……!」

▲角上魚類

——赤羽の街の治安はどうですか?
「飲み屋さんが多いから気になりますよね。でも、危険を感じたことはないです。『一番街』も最近はおオシャレレストランなどがチラホラ増えて、ママ友の集まりで使うこともあります。昔は酔っ払いも多かったのかもしれませんけど(笑)。東洋大学のキャンパスができたり、若いファミリー層が増えたり、いろんな世代が集まる街に変化したことで、雰囲気が変わってきたのかもしれません」

——赤羽は子育てしやすいですか?
「そうですね。保育園の入りやすさは23区内でも上位なので、まず子どもを預けやすいというのがあります。0〜2歳までを預けられる小規模保育園も増えました。イトーヨーカドーにキッズスペースもありますし、いろむすびcafeでママ向けのイベントに参加していただいたり、ゆっくりランチを楽しんでいただくこともできます」

▲渡邉さんによる「季節の野菜のデリプレートランチ」(ごはんセットで1150円)。ボリュームたっぷり野菜たっぷりで大人気

——お子さんをおんぶしながらお仕事されているスタッフさんがいるんですね。
「そうなんです。お母さんが子連れで遊びに行ける場所はあっても、自分で働いて価値を提供できる場所は少ないですよね。ここでは子どもと一緒に働くこともできますし、もう少し大きいお子さんは保育のスタッフに預けて仕事をすることができます」

——たしかに。こういった場所があると、子育て中でも自分のやりがいを見つけることができそうですね。ありがとうございました。

■下町のワクワク感と地に足のついた生活感が入り混じる。これぞ「住みたい街」

久しぶりに訪れた赤羽の街。
ご無沙汰している間にすっかり人気の街になっていたので、かつての同級生がアイドルになってしまったような寂しさを少し感じていたのですが、駅前の様子は変わらぬにぎやかさで、ほっとしました。

みんなが「あえて訪れたい」と思うほど味のある商店街と、暮らしに必要なものが揃えられる機能的な駅まわり。
両方の魅力が詰まった赤羽の街が「遊びに行きたい場所」としてだけではなく「住みたい場所」として有名になりつつあるのは当然の流れなのかもしれません。

今、赤羽周辺にはたくさんの住宅やマンションが建てられているようなので、都心勤務の共働き世帯の方はぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

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宮島麻衣(みやじま まい)

雑誌出版社に勤務したのち、ふらりとタイのバンコクに数年暮らし最近帰国。人生において「自分で住む場所を決められる」自由をすごく大切に思っていて、いつも次の理想の住みかを探しながら歩いています。
Twitter:https://twitter.com/miyajimai517