駅の東側にある江戸川を越えれば、もうそこは千葉県。
東京の東の端・葛飾区にある、新小岩。東京駅まで直通でわずか15分と、都心へのアクセスも良好です。

わたしはかつて、この新小岩から数駅先の千葉県の駅に住んでいました。そのときは、「東京寄りの千葉」に住むことも「千葉寄りの東京」に住むこともできたのですが、駅前の繁華街を見て、なんとなく治安が心配になり千葉を選んだのです。

しかし、最近とあるネットニュースを見て驚きました。タイトルには「共働き子育てしやすい街ランキング、総合1位は葛飾」の文字。下町のちょっと荒っぽいイメージがある葛飾と子育てが結びつかず、思わず「へぇ〜」と声をあげてしまいました。ということは、かつて自分が選択しなかったあの新小岩の街も変わってきているのかもしれない。

「百聞は一見にしかず」
ということで、実際に街を歩き、新小岩で子育てをしている人に話を聞いてみることにしました。

【新小岩の基本情報】

駅名:JR総武快速線、中央・総武線各駅停車「新小岩」
ランドマーク:新小岩ルミエール商店街・新小岩公園

■東京駅まで15分!都内主要駅に出やすく、車移動するのも便利

JR総武快速線と総武線各駅停車の2路線が利用できる新小岩。快速線と各駅停車では行き先が違うので注意が必要です。

東京、横浜を通る横須賀線に直通しているのが総武快速線。これに乗れば東京駅まで14分。新橋、品川といったオフィス街にも1本で出られます。

また、総武線各駅停車はJR御茶ノ水駅で中央線に接続していて、新宿まで約30分。どちらの路線も都内の主要な駅に出やすく、通勤や通学にも便利です。

また、子ども向け商品が多数揃う「アルカキット錦糸町」がある錦糸町駅には各駅停車で3駅。子ども連れのお母さんたちはよく出かけるそうです。

バス路線も充実していて、東京メトロ東西線の葛西駅やショッピングモールの「アリオ亀有」がある亀有駅に出ることができます。

また、23区の中では比較的家賃や駐車場代がお手頃なため、車を持って移動する人も多いようです。駅を横切るように南北を結んでいるのが平和橋通り、それと交差するように東西に走っているのが蔵前橋通り。大きな道が東西南北に伸びているので、車の移動も便利です。

また、駅から車で5〜15分以内に高速道路の入り口が複数あり「千葉・神奈川・埼玉」など、どの方面にも出やすいのが魅力的。レジャーなどの際にも便利に利用できるのではないでしょうか。

■24時間スーパーに昔ながらの商店街。買い物が楽にできる駅まわり

駅まわりは、南口と北口で雰囲気が異なります。
にぎやかな繁華街があるのが南口。駅を出るとロータリーを囲むようにたくさんのビルが建っています。

南口を出て右手すぐのところにあるのが「西友 新小岩店」。24時間営業なので、帰りが遅くなった日の買い物にも不便しません。

南口正面からまっすぐ伸びているのが、全長420mの「新小岩ルミエール商店街」。屋根のあるアーケード商店街で、ドラッグストアや100円均一ショップ、魚屋さんや八百屋さんなど、140店ものお店が並んでいます。人通りも多く活気のある商店街です。

正月はもちつき、秋は阿波踊りなどイベントも多く、住民の交流の場にもなっています。ちなみに、新小岩駅は葛飾区にあるのですが、ルミエール商店街の中盤くらいから江戸川区に入ります。

続いて、北口側。駅前には「新小岩北口商店街」があります。南口側と比べると落ち着いた雰囲気で、こぢんまりとしたお店が多い印象です。

商店街の規模は大きくありませんが、ドラッグストアや「業務スーパー新小岩店」「サミットストア 新小岩駅北口店」などもあり、買い物に便利そう。

商店街を抜けると、住宅街が広がっています。
閑静な住宅街で、静かな環境が好きな方は北口側のほうが良さそう。

住宅街をさらに奥へと進んでいくと、レトロな商店街が現れます。
こちらの「みのり商店街」は、昔ながらの下町情緒あふれる雰囲気で、CMのロケなどで使われたこともあるのだとか。古くから営業しているお惣菜屋さん、八百屋さん、お豆腐屋さん、パン屋さんなどがずらりと並び、歩いているだけで楽しい気分に。

軒先に机を出し、商品を売っている店もチラホラ。
買い物客を見ていると、ドライブスルーのように自転車に乗ったままお店の人に声をかけて買い物を済ませています。これなら子ども連れで自転車に乗っていても、負担なく買い物ができそうですね。

商店街を奥に歩いていくと、下町とは思えないようなおしゃれカフェを見つけたので、ランチがてら入ってみることに。こちらは「coffee//bar zeroya ゼロ屋08」さんです。

注文したのは和風サラダバーグのランチプレート(税込1380円)。サラダにスープ、メインのほかにもサイドディッシュが数品つきます。彩りがきれいで、ボリュームもすごい!

さらにデザートとドリンクもセットです。これはお得。コーヒーもおいしくて、テイクアウトに来る人も多くいました。

こちらのお店にはキッズプレートや絵本なども用意されており、子連れでも安心して来られるお店です。スタッフさんが「ありがとね、バイバーイ!」と笑顔でお子さんに声をかけていました。

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■公園・病院・保育園。どんどん良くなる新小岩の子育て環境

近年、新しいマンションが建っているのが、北口側の蔵前橋通り周辺。
それにともなって、子育て世帯が多く移り住んできているようです。子どもが安心して遊べる公園があるのも新小岩のいいところ。歩いているとユニークな公園をいくつか見かけました。

▲「西井掘せせらぎパーク」。歩道と車道の間の遊歩道が長い公園になっている

蔵前橋通りと平和橋通りの交差点から、斜めに伸びる道。
この道の中央に、水遊びができる公園「西井掘せせらぎパーク」があります。冬空の下で撮影したので少し寒々しいですが、夏はここでたくさんの子どもが水遊びを楽しむようです。

▲「東新小岩二丁目かがやき公園」の遊具エリア
▲ボール広場の向こう側には真新しい一軒家が並ぶ

蔵前橋通りを千葉方面に歩いて行いと、新しいマンションや戸建てが多く建つエリアが。
そこには、できたばかり「東新小岩二丁目かがやき公園」があります。「ボールを使える広場・真新しい遊具があるスペース・トレーニング器具があるスペース」ときれいに3分割されていて、さまざまな年代の方が安心して楽しめるようになっています。

▲駅の西側を流れるのが荒川。土手は整備されている

今度は、駅から東京方面に歩いていきます。
するとすぐに見えてくるのが、荒川沿いにある大きな公園「新小岩公園」です。

▲新小岩公園の広場は老若男女がスポーツを楽しむ

広場のまわりを遊歩道がぐるりと囲んでおり、沿道には桜の木が植えられています。春になると桜が咲き乱れ、お花見を目当てに多くの人が訪れるのだとか。夏にはビアガーデン、フードフェスタやお笑いイベントなども行われているそうです。背景に東京スカイツリーが見えるのも良いですね。

このように、個性の異なる公園が駅近くに点在しているのも新小岩のいいところ。
最近は、0〜2歳児が入れる小規模保育園や児童館などの数も増えており、街中に子どもを預けたり、遊ばせたりするスポットが揃っています。

また、これまで総合病院がなかった新小岩ですが、2017年に「イムス東京葛飾総合病院」ができ、緊急時も安心。子育てしやすい環境が整い、区のサポートも積極的。新小岩を巡りながら「家族世帯が移り住むのも納得の環境だ」と感じました。

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■「新小岩の葛飾区側は待機児童が少なく、子育て世帯におすすめ」

想像していたイメージとは異なり、子育て環境が整った新小岩。
実際にここで子育てをしている方のお話を聞きたいと思い、未就園児のお子さんとその親御さんが利用できる子育て広場「りぼん」に向かいました。

お話をしてくださったのはスタッフの水信典子(みずのぶ のりこ)さん。11年前に旦那さんの地元である新小岩に越してきて、現在は小学校3年生の女の子と4歳の男の子のママです。

(以下インタビュー。「 」内は水信さん)

——新小岩の街が子育て世帯に人気と聞いて驚きました。実際に子育てはしやすいですか?
「ひとつ、前置きしておかないといけないことがあって。新小岩駅周辺は葛飾区と江戸川区に分かれるのですが、葛飾区の方は保育園に入りやすい環境だと思います。近年、保育園の数も増えており、待機児童数も年々減少しています。江戸川区は、公園などが整備されていて人気が高いのもあって、ちょっと競争率が高めですね」

——保育園に入りやすいというのは、共働きの家族にはうれしいですね。
「そうですね。駅前に病児保育を受けてくれる場所もあって、共働きの人は助かると思います。あとは、引っ越してきた人にもウェルカムな空気があるというのもいいところですね。昔からここに住んでいる方も多い街なのですが、東京に出やすい立地ということもあり、転勤族の方も比較的多いので、地元コミュニティが強すぎないんです。わたしも外から来ましたが親切にしてもらいました」

▲通常の児童館と違い、オープンカウンターでスタッフが見守るのが「りぼん」の特徴。子育てする親御さんが孤立しないよう、声をかけたり相談に乗ることも

——それは新しく越して来る人にとって安心できるお話ですね。街の治安などはどうですか?
「葛飾区新小岩、と聞くとなんとなく治安が悪そうですよね(笑)南口を出たところが繁華街だからそんなイメージもあるかと思いますが、特に危ないことはないですよ。ファミリーが越してきているのも影響して、街の雰囲気はよくなっていると思いますね」

——新小岩の街の魅力ってなんですか?
「商店街があって、食品や日用品などの物価が比較的安いところがいいですね。あと、すぐ隣が千葉県なのですが、ギリギリでも東京都に住むよさってあるんですよ。病院が多かったり、子連れで入れる飲食店が充実していたり。最近は区が子育てサポートに力を入れてくれているので、ほかの区の友人から羨ましがられますね」

——葛飾区にはどんな子育てサポートがあるのでしょう?
「先ほど言ったように、まず待機児童数が少ないこと。あとは保健所主催で同じ月齢の子どもの親を集めた会などを開いてくれるので、ママ友も作りやすい環境です。ほかには、子どもを乗せる電動自転車購入の補助金制度などもあります。駅まわりの駐輪場も、子どもを乗せる自転車を優先して1階に停めさせてくれたり、街ぐるみで支えてもらっている感じがあります」

■昔ながらの街の雰囲気を残しながら、子育てしやすい街へと発展する新小岩

かつては、なんとなく治安が心配だった新小岩。
しかし、実際に子育てをしているお母さんから「子育てしやすい街ですよ」という声を聞き、改めて街を見わたしてみると、子育て世帯にやさしい、さまざまな工夫がなされていました。

整備された公園、自転車置き場の配慮など、行政主体でサポートしているものもそうですが、商店街での声の掛け合いなど、外から来た人を迎える下町のあたたかさも残っています。共働きで子どもを育てていきたい家族の方には、ぜひおすすめしたい街だと思いました。

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宮島麻衣

雑誌出版社に勤務したのち、ふらりとタイのバンコクに数年暮らし最近帰国。人生において「自分で住む場所を決められる」自由をすごく大切に思っていて、いつも次の理想の住みかを探しながら歩いています。
Twitter:https://twitter.com/miyajimai517