名古屋の大学に在学中、隣の三重県から通っているという友人がいました。
「毎日県を越えるなんて大変じゃない?」と通学時間を尋ねてみたら、なんと同じ愛知県内に住む私と同じ!三重県と愛知県ってそんなに近かったんだ、と驚いた覚えがあります。

彼女が住んでいたのは三重県四日市市。私にとってその街は、港の工場夜景が有名な場所。工業地帯の印象が強く、暮らしのイメージがあまり想像できませんでした。

四日市市ってどんなところだろう? そんな気持ちを抱きながら、今回は「近鉄四日市駅」周辺の暮らしの特徴を探し、歩いてきました。

【四日市の基本情報】

駅名:近鉄名古屋線・近鉄湯の山線「近鉄四日市」駅
ランドマーク:近鉄百貨店、四日市商店街

■東西に出やすい県随一の交通拠点

三重県最大の人口を誇る工業都市・四日市市。その中心にあるのが近鉄四日市駅です。1日の乗降者数はおよそ4万5千人。通勤・通学・観光の足として利用され、主に中部圏と近畿圏を結ぶ交通の拠点となっています。

名古屋までは急行利用で43分。大阪駅までは乗り換えありで2時間12分。西口から出ている三重交通の高速バスを使うと電車よりも安く、2時間半で到着できます。このバスは大阪のテーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」まで走るため、遊びに出かける人に人気のようです。

駅は歩道橋で「四日市あすなろう鉄道」と結ばれています。この鉄道は近鉄の子会社が運営する、三重県北部をめぐる路線です。駅前にある南バスのりばからは、関東・関西へ向かう高速バスや路線バスが多数発着します。駅から1km先にあるJR四日市駅を相互に結ぶ便もあります。

その他にも近鉄四日市駅周辺には複数バス停があり、大きな駐車場や駐輪場も充実しているので、駅から少し離れた場所に住んでいても駅の利用がしやすそうです。

国道1号線と交わる駅前の中央通りは広々として綺麗な景観が保たれています。

車道の端に「自転車専用レーン」が設けられている箇所もあり、市民への配慮が伺えます。外灯も多数設置されているので、駅まわりは治安が良いそうです。

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■古くから賑わいが作られてきた街

四日市市は昔から交通と物流の要であり、 室町時代には定期的に市(いち)が開かれていたためその名がついています。江戸時代には東海道五十三次の宿場町として栄え、京都や伊勢神宮へ向かう旅人たちでごった返していたんだそう。そんな歴史を引き継いでいるのか、駅まわりは今も商業施設が充実しています。

近鉄四日市駅は「近鉄百貨店 四日市店」に直結しています。半世紀以上の歴史を持つ、県最大規模の百貨店です。駅とは改札出口で直結し、ホームの高架下は「ふれあいモール」という遊歩道となっています。

近鉄百貨店は11階建てで、食料品店・薬局・アパレルショップ・レストラン街などが入っています。なかでも人気は5階にある「無印良品 近鉄四日市」。東海地方最大の規模を誇り、カフェや子どもの遊び場も併設されています。

駅の西側にも大型商業施設の「トナリエ四日市」があります。食料品店や家電量販店のほか、映画館「109シネマズ四日市」や100円均一ショップ、フードコートがあり、学生さんに人気。生活に必要なものは近鉄百貨店とトナリエがあればほぼ揃えられそうです。

トナリエの横には「じばさん三重」という産業振興センターも。三重県の特産品が売っており、県外に住む人への贈答品を購入するのに良いのだとか。

買い物ができるのは大型店舗だけではありません。駅の東側は諏訪栄町といって、改札口を出た先に見える「四日市一番街商店街」を中心に、複数の古い商店街が集積しています。

カフェや飲食店、カラオケ、宿泊施設などが夜遅くまで営業しており、若者から高齢者まで行き交うスポットです。

雨でも通行可能なアーケードのある通路はお祭りやマーケット会場にもなるそう。

商店街にある「スーパーサンシ 一番街店」は三重県独自のローカルスーパー。地元民の行きつけです。普段から安いお弁当がさらに半額となる18時ごろが穴場なんだとか。今日はそんなスーパーの近くにある「radi cafe apartment」でランチをいただきます。

ここは朝から夜遅くまで営業をしており、オシャレで使い勝手が良いと評判の店。11時〜14時には4種類のランチセットが提供されていますが、メニューにあるものはいつの時間帯に頼んでも良いのが嬉しいところ。

大きな窓はあるものの、いい具合に外から入ってくる光が絞られ、店内は日中でもしっとりとした雰囲気です。隣席の女性客は湯気の立つコーヒーと一緒に読書を静かに楽しんでいました。

ランチセットの「Soup set コーヒー or 紅茶付き(870円)」を注文。優しい味の野菜スープに心が落ち着き、ローストビーフのラップサンドはクレープのようなもちふわ生地で、食べ応えも十分。

お腹が満たされたので散策再開。今度は商業以外の街並みを見ていきます。

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■引っ越してきた子育て世帯にも安心

商店街を抜けると静かな住宅地。新しくきれいな建物が並ぶ通りもあれば、どことなく昭和の下町を思わせる通りもあります。

駅まわりは昔から開発されてきた土地のため古い建物も多いですが、駅を離れれば離れるほど新しい建物が増える印象です。転勤者や単身赴任者がマンションや戸建てで暮らしているそう。

駅から徒歩6分の場所には洋風庭園と遊具を備えた「諏訪公園」。敷地内には「すわ公園交流館」があり、その2階は「中央児童館・こどもの家」となっています。

ここは子どものための無料の遊び場。館内には卓球台やボールプール、幼児用すべり台などおもちゃがたくさん! 児童館はここ以外にも市内に3ヶ所設置されおり、四日市市役所が管理をしています。子どもを見守る職員さんがいるので、共働きの世帯の方が安心して利用されているそうです。

児童館を含め、四日市市は子育て世代への支援事業が盛ん。中学校終了前までは医療費助成、市外から転入する子育て世帯への住宅リフォーム代金等の補助、3人目以降の子どもは保育料無料化の範囲拡大など、独自の取り組みが行われています。

駅近くにある「四日市市立図書館」「四日市市博物館」のほか、三重県は「ナガシマリゾート」「鳥羽水族館」「鈴鹿サーキット」など、子どもが楽しめるお出かけスポットが多い場所。働く拠点として便利な四日市市は、子育てにも向いている気がします。

諏訪公園に並ぶ大きな公園が駅の西側にもあります。駅から徒歩3分、和風庭園と遊具がある「鵜の森公園」です。約300本の桜が植えられており、毎年春には桜まつりで賑わいます。

■「いろんな地域から人が集まる場所」

最後に、この街で暮らす人へインタビュー。四日市1番商店街にあるコワーキングススペース「MG YOKKAICHI」でチーフを勤める樋口 真美(ひぐち まみ)さん。数年前、香川県から仕事のために四日市市へ引っ越してきたそうです。

(以下インタビュー。「 」内は樋口 さんのコメントです)

——暮らし始めて街の印象はどうですか?
「四日市市はコンビナート(工業地帯)にある工場が常に稼働しているので、夜も明るく『眠らない街』。ですが都会的すぎず、いい意味で落ち着いた雰囲気が漂っています。昔ながらの商店街や花火大会、300年以上続く四日市まつりなどの行事といった歴史的な要素が各所にあるからですね。引っ越してきた私にとっても馴染みやすく、居心地の良さが感じられます」

▲「気軽で心地よい、街のLiving」として誕生したコワーキングスペース、MG YOKKAICHI

——この街の魅力はなんですか?
「名古屋・東京方面にも京都・大阪方面にも、どこへいくにもアクセスがいいのが大きなメリットです。私も買い物をしに名古屋へよく出かけます」

▲カフェとしての利用もできるため、多くの人が訪れている

——お気に入りのスポットはありますか?
「商店街界隈にあるレコード屋さんやクラフトビールのスタンドなど、こだわりを感じさせる粋なお店が好きです。最近は他所から働きに来た人たちが商店街に入って新しい物や人の流れを作り出そうと頑張っており、これからの街の面白さに期待が感じられます

■多世代に住みやすい四日市

名古屋はもちろんあらゆる場所へ行きやすい三重県随一の交通拠点、近鉄四日市駅。

この街は地域独自の歴史性が街中に見られるものの、様々な人たちが行き交う場所ならではの開放感が漂う心地良い場所でした。

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オギノシエ

愛知県在住。SIPPO-HAPPO株式会社所属デザイナー。副業で執筆とイラストレーター、漫画制作をやっています。趣味は街歩き。