蒲田という街の名を聞くだけでなぜだか妙に心が踊り出すのは、昭和を代表するあの名曲が頭の中で流れるから。軽快なリズムとメロディーに、「虹の都 光の港……」という歌い出しの歌詞。

「蒲田行進曲」でお馴染みの蒲田は、東京23区で最も面積の広い大田区の中でも中心的な街です。
古くから日本を象徴するさまざまな文化や食がこの街で育まれ、愛されてきました。

同時に最近では駅周辺の開発が進み、現代的な住みやすさと下町情緒を両立する街へと進化しています。
今回はそんな蒲田の魅力に迫ります。

蒲田の基本情報

駅名:JR京浜東北線・東急池上線・東急多摩川線「蒲田」
ランドマーク:かまたえん 屋上観覧車

大田区の中心的な街「蒲田」

まずは蒲田のアクセスや駅周辺の施設など、基本的な情報についてご紹介します。
JR蒲田駅は、JR京浜東北線・東急池上線・東急多摩川線の3線が乗り入れており、東京・上野方面、横浜方面、多摩川方面からのアクセスに便利。

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▲3線が乗り入れ、乗り換えに適したターミナル駅JR蒲田
▲駅前の通り。さまざまな商業施設が軒を連ねる

JR蒲田駅から徒歩約12分の京急蒲田駅を利用すれば、羽田空港までわずか8分で到着できます。そのため、蒲田には空港で働くCAさんなども多く住んでいるのだそう。

また、充実した商業施設も蒲田の魅力。
JR蒲田駅には「グランデュオ」や「東急プラザ」といった駅直結の百貨店が隣接しているので、日常の買い物や週末のショッピングにも困りません。

▲グランデュオ

「東急プラザ」の「屋上かまたえん」には、街のランドマーク「屋上観覧車」が。
建物の屋上に観覧車があるのは、都内でここだけ。
2014年、ビルの工事に伴って一度は閉鎖となりましたが、その後地元の人たちの声を受けて復活しました。

▲屋上観覧車

「グランデュオのレストランフロアでランチを食べ、子どもと『屋上かまたえん』で遊ぶ」
蒲田には、そんな休日の過ごし方があるのかもしれません。

また、蒲田には東京蒲田医療センターや東京蒲田病院、東邦大学医療センター大森病院など、大きな病院があるので万が一のときも安心。
その他、駅チカには大田区役所の本庁・郵便局・税務署などが密集しているため、引っ越し・出産後の手続きなどにも便利です。

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古き良き風情を残す商店街。ひしめき合う無数の飲食店

駅チカの利便性だけでなく、味わい深い「この街にしかないもの」があるのも蒲田の魅力。
それを象徴するのが、古き良き風情を残す「サンライズ蒲田」「サンロード蒲田」の2つの商店街です。

「サンロード蒲田」と「サンライズ蒲田」は、どちらもアーケードがあるため、雨の日も気にせず買い物を楽しめます。2つの商店街には、飲食店・クリニック・雑貨・映画館など、合わせて200を超える商店が。
子どもから大人まで、すべての世代が楽しめるお店が揃っています。

商店街の内を散策してみると、どこか懐かしく、味わい深いお店が次々にあらわれます。
中でも印象的なのが、豊富な飲食店の数々。

家族で気軽に立ち寄れるチェーン店から、自分だけの行きつけにしたい隠れ家的なお店まで。
あらゆる世代が楽しめるお店が揃っているので、蒲田で飲食店に困ることはないでしょう。
いや……逆に目移りし過ぎて困ってしまうかも?

趣味と食を謳歌する「日常」

蒲田は、さまざまなカルチャーが根付いた街としても有名。
昭和初期から中期には、松竹キネマ(現在の松竹株式会社)の撮影所が蒲田にあったことから「映画の都」として栄えました。昭和後期にはアニメやマンガをテーマにした大規模なコミケが開催され「日本初のコスプレは蒲田で生まれた」とも言われています。

▲松竹蒲田撮影所は1936年に閉鎖となり、跡地に建てられた「アロマスクエア」は再開発の象徴な存在。企業のオフィスが入居し、その他飲食店などのテナントも出店しています

また、蒲田は全国展開する手芸用品・生地・雑貨店「ユザワヤ」が発祥した場所としても有名。
「ユザワヤ蒲田店」は、品揃えも豊富でさまざま手芸・雑貨・生地が揃います。
オリジナルの子ども服を作ったり、手芸が趣味の方は手芸用品を集めたり、趣味の時間を存分に楽しむことができるでしょう。

▲「ユザワヤ蒲田店」の外観

また、食にもこの街ならではの文化が。
蒲田は、現在では全国で愛される「羽根つき餃子」発祥の街。

多くの餃子店が点在していますが、中でも人気なのがこちらの「ニイハオ 本店」。
羽根つき焼き餃子は一人前(10個)で500円、ハーフ(5個)で300円。
ニンニクが入っていないのでアッサリとしつつ、下味がしっかりとついていてそのままでも美味しくいただけます。

仕事帰りの1杯に――
家族での団らんに――

この街に住んだら、ぜひ足を運びたいお店です。

「趣味と食を謳歌する日常」
蒲田で育まれた豊かな文化は、日常に彩りを与えてくれるでしょう。

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人と人がつながり、心身ともに温まる場所

蒲田の街を歩いているとよく目に止まる、お風呂屋さんの看板。
「黒湯」という文字が目を引きます。

蒲田のある大田区は、都内で最も銭湯が多い、まさに“銭湯の楽園”。
特に茶褐色のにごり湯「黒湯」が有名で、豊富なミネラルを含み、美肌効果が期待できると言われています。
1937年に創業した「蒲田温泉」は、82年もの間この場所で地元の人に愛され続けてきました。

現在店を切り盛りする三代目の島義之さんは、子どもの頃から変わらずにずっと、この街を見守っています。
(※以下、「」内は島さんのセリフです)

――島さんが子どもの頃の蒲田の思い出はありますか?
「東急の屋上にある遊園地はたまに親に連れていってもらったような記憶があります。観覧車を見てワクワクしていましたね。」

――今お客さんはどんな方が多いですか?
「地元の人がほとんどですが、たまに銭湯好きな人が都外からわざわざ来てくださることもあります。」

――蒲田は島さんにとってどんな街ですか?
「昔から工場が多く、職人さんの街、ものづくりの街です。うちもそうですが、古くからこの場所に根付いて商売をしている人も多いので、人情味があっていいですよ。また、最近は駅前が再開発で綺麗になってきました。古き良き人情に現代的な利便性や暮らしやすさが加わることで、今後より多くの人にとって住みやすい街になっていくんだろうと思います。」

――日本全国で銭湯が急速に廃業していると聞きますが、そんな中でなぜ蒲田の銭湯には人が集まるのでしょうか?
「蒲田は戦後の復興で住人同士が力を合わせて発展したので、今でも周りを気に掛ける“世話焼き”な人が多いのです。だから、昔と違って各家庭にお風呂がある時代になっても、皆さん銭湯に来てくれるんではないかなと。銭湯って、体をキレイにするだけでなく、地域の人の“コミュニケーションの場”なんですよ。」

人の温かさに包まれながら暮らせる”虹の都 光の港”

蒲田温泉を後にして駅に向かう途中、ママの隣で泣き止まない小さな女の子のところに数人の人集りができ、“あやし合戦”が繰り広げられていました。

見ず知らずの人たちの“変顔”に思わず笑顔になったのは、女の子……ではなく、ママの方。
こうした人の温かさに包まれながら暮らせる蒲田はまさに“虹の都 光の港”。

昭和から平成、令和に時代が変わり、例え街並みが変わったとしても、この街の“人情”はきっと変わらずに残り続けるでしょう。

下條信吾

長野県安曇野出身、東京在住のフリーライター・カメラマン。レゲエベーシストとしてKaRaLi、Tropicos、The Kingstompersなどで活躍中。
趣味は地図なしの東京街歩き。
八王子から立川まで2時間半、下北沢から仙川まで4時間、お台場から笹塚まで6時間かかりました。
Instagram:https://www.instagram.com/bassieshimo/