愛知県・名古屋市の全16区の中で5位の広さ(21.58km2)を持つ天白区。対して、人口密度は11位(7,640人/ km2、2020年)で、ゆったりとしていて緑の割合が高いエリアです。区全体として転入出者が多く、地下鉄の沿線付近には新しい戸建てやマンションなどが数多く立ち並びます。

地域には大きな川が流れており、そのほとりに「原」という小さな街があります。
今回はその「原駅」に降り立ち、実際にどういう暮らしを過ごせそうなのか、歩いて確かめに行ってきました。

【原の基本情報】

駅名:名古屋市営地下鉄鶴舞線「原」駅
ランドマーク:天白川、天白公園、原ターミナルビル(バスターミナル併設)

■学生の一人暮らしや若い世代の多い住宅地

名古屋市天白区にある「原」は名古屋市営地下鉄・鶴舞線の駅です。市の中心部である名古屋駅までは、伏見駅で1回乗り換えをして約30分。

鶴舞線は豊田市方面にも向かうため、そちらへ通勤通学する人にも便利な立地です。原駅から豊田市駅までは各駅停車で約40分。豊田市駅の近くには「豊田スタジアム」があり、名古屋のプロサッカークラブ・名古屋グランパスエイトの試合日はファンが詰めかけ、駅構内はにぎわいを見せます。

地下鉄の出入口は「原ターミナルビル」へ直結しています。1階部分にバスターミナルがあるので電車とバスを乗り換える人にとっては雨の日も濡れることなくとても便利。原ターミナルビルの4階には多目的アリーナ「天白文化小劇場」があり、舞台やコンサートの会場や練習の場に使われています。

バスターミナルには名古屋市営バスと「東海学園大学」行きのスクールバスが発着。東海学園大学の周辺は数多くの小中学校が集まっています。そのためか、街には若者の姿を多く見かけます。

バスの行き先は掲示板で表示されており、わかりやすいのもいいところ。平日の朝夕は通勤・通学者で混みあいます。

地下鉄1番出口を出てすぐの駅前通りは国道302号線と交差し、その上を高速道路「名古屋第二環状自動車道」の高架線が走ります。

通り沿いは広い歩道が整備されており、学生さんたちが連れ立って歩く姿も。駅前には学生マンションがいくつかあるようです。

駅の西側には「天白川」が流れています。この川は隣接する日進市から始まり天白区を横断し、名古屋港まで注ぐ河川。区内には、相川・福池・中砂・植田など、水を彷彿させる町名が多く、この地が天白川を中心に成り立ってきた場所だと分かります。

原駅周辺は川の近くということもあり平坦な地形。原っぱを開墾し、農村として発達してきた歴史を持ち、昔は「原新田」と呼ばれていました。現在は土地区画整理事業が行われ、大規模な住宅地となっています。

川沿いには高層マンションが並びます。現在も工事が行われている所があり、今後も新築物件は増えていきそうです。春には桜が堤防沿いに咲く素敵な景色が見られ、住民たちがのんびり散歩していました。

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■生活に便利なお店がいっぱい

住宅地として発展を遂げている原駅の周辺には、駅を利用する通勤・通学者が立ち寄りやすいスーパー「サンエース 原駅前店」「B&D ドラッグストア 原店」など名古屋のローカル店や複数のコンビニエンスストアが点在しています。

国道沿いにはファッションセンターしまむらを併設した大型スーパー「ザ・ビッグ エクスプレス 平針店」やホームセンター「ホダカ 天白店」などもあり、日常の買い物には困りません。

また、天白区はベーカリーの激戦区であり、原駅周辺にも複数のベーカリーがあります。そのうちの2軒を紹介します。

原ターミナルビルの1階にあるのが、名古屋に本社を持つ大手企業「フジパンストア」が手掛ける「エピシェール原」。平日は朝早くからオープンし、イートインコーナーもあるのでゆっくりと過ごせます。バスや電車の待ち時間での利用や人との待ち合わせに便利。

シンプルな食パンから甘味・惣菜パン、手作りサンドイッチのほか、ファミリー用の詰め合わせパンやドリンクとのお得なセットも用意されています。

ここで、お昼ごはんにアイスティー(292円)と「テキサス風バーベキューバーガー」(303円)をいただきました。

次に、駅から徒歩3分にある「シャンテー小島」へ。こちらは地元の人はもちろん他の地域からもたくさんの人が訪れる大人気店。ケーキやシュークリームなど洋菓子類も販売しています。

名物は、前日のパンが食べ放題というモーニング。オープン前に大行列ができる日も多いとか。

パンの種類は惣菜系から甘味系までかなり豊富! さらに、パンがオール100円となるタイムサービスや、曜日ごとの値引セールなど、モーニング以外もびっくりするほどお値打ちなんです。もちろん味もおいしく、様々な種類を楽しめるのでパン好きにはたまりません!

100円だったクロワッサンサンドをテイクアウトし、お花見がてら堤防沿いのベンチでいただきます。自然が近くにあるこの街は、いつでもピクニック気分が味わえて心が癒やされます。

原に住んだら、いろんなベーカリーを巡ってお気に入りの店を見つけたくなりそうです。

■自然あふれるスポットは家族連れにもおすすめ

賑やかな駅前から離れ南下していくと、小さな公園もちらほらとある閑静な住宅街が広がります。

駅から1km先にある「天白公園」は人々の憩いの場。広大な芝生公園やビオトープなど自然が感じられるスポットや、大型遊具をはじめとした子どもの遊び場が充実しており、バーベキューコーナーやデイキャンプ場なども併設され、大人ものびのび楽しめます。

天白公園から名古屋第二環状自動車道を挟んで反対側、2.2km先には「名古屋市農業センターdelaファーム」が。ここは入場無料で、草花の観賞や農作物の収穫など農業体験ができます。

さらに牛や豚、鶏(ひよこ)など畜産業の展示もあり、動物と間近にふれあえるため、親子のお出かけやデートスポットとしても人気なんだとか。

このように、自然が暮らしの身近にあるところも原駅の魅力です。

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■「なにかと便利で落ち着いています」

最後に、この街で暮らす人へインタビュー。原駅1番出口から徒歩1分のマンション1階部にある小さなコーヒースタンド「Coffee Stand pole pole」。スワヒリ語で「ゆっくり」を意味するこの店のオーナー、中島 美幸(なかじま みゆき)さんはこの街へ引っ越して10年ほどになるそう。

(以下インタビュー。「 」内は中島さんのコメントです)

▲コーヒーの店を開くのが夢だったという中島さん

――どうしてこの場所にお店を開かれたのですか?
「このコーヒースタンドの隣にある『はり・きゅう治療室 らくな』は、夫が営んでいる店なんです。それまで私は公務員として働いていたのですが、当時通っていたコーヒー店でバリスタの方たちと話をするのが、疲れた毎日にとても心地良かったんですね。自分もそんな会話を楽しめる店を営む側になりたくて、2019年に店を開きました」

▲決して目立つ立地ではないのに次々と人が訪れます。珈琲の雑誌にも掲載されたそう

――お客さんはどんな年齢層の方でしょうか。
「いろんな人が来ますが、若い方をよく見かけますね。駅周辺は単身者のマンションや学校があるので、ふらっと通りがかりに見つけてくださるようです。気に入って定期的に通ってくださる方もいらっしゃいます。ここでお店を開けてやりがいがあります」

▲一杯ずつ丁寧にハンドドリップ。カップの手書き文やラテアートも素敵!

――この街の良さといえば?
隣接する駅周辺(植田・平針駅)は比較的商業で賑わう街なのですが、ここは住宅メインで静か。生活に必要なものを一通り揃えられる店が多くて便利なうえ、自然もあるので落ち着けます。私が好きな場所は、緑が多い『天白公園』ですね。駅から公園の近くまでバスも出ていたと思います。公共交通機関や車が使いやすい交通の良さも、この街のいいところです」

▲コーヒーを片手に味わい深いおしゃべりの時間を求めて人がやってきます。中島さんがやりたかったお店の形が、まさに実現していると感じました

■馴染みやすく、暮らしやすい街。原

都心からほどよい距離で、豊かな自然とともにゆったりとした暮らしが送れる場所。
そんな印象が強かった天白区でしたが、実際に歩いてみることで、確かにイメージ通りののどかな雰囲気を感じることができました。

原駅周辺は田舎から引っ越してくる人も都会から引っ越してくる人も馴染みやすそうで、新たな暮らしの場所として選ぶには良い環境。ここで過ごす時間はホッと一息つけるものになりそうです。

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オギノシエ

愛知県在住。SIPPO-HAPPO株式会社所属デザイナー。副業で執筆とイラストレーター、漫画制作をやっています。趣味は街歩き。