有名ホテルや大企業の本社ビルなどがあるビジネス街としての顔を持つ赤坂見附。最近では高級マンションが建ち、港区の中でも経営者が住まいを選ぶ町として人気が高まっています。

昭和の時代は料亭も多く、花街としても賑やかだった赤坂見附周辺。赤坂御用地も近く、現在も歴史や文化の香りを感じる施設や老舗も多くあります。今、赤坂見附に住まいを構えるとどんな暮らしを描くことができるのでしょうか?

【赤坂見附の基本情報】

駅名:東京メトロ銀座線・丸の内線「赤坂見附」駅
ランドマーク:赤坂御所、東京ガーデンテラス紀尾井町

■銀座にも新宿にも10分。都心の持つアクセスのよさは忙しい人の味方

赤坂見附駅があるのは港区赤坂3丁目。東京メトロ丸の内線と銀座線の駅ですが、隣接している永田町駅と改札内部で有楽町線、半蔵門線、南北線に乗り換えることができます。赤坂見附と永田町を合わせると、5路線が乗り換え可能という駅は、東京メトロでは他にありません。

東京駅、銀座駅、新宿駅には東京メトロで10分以内。霞ヶ関には歩いても20分ほど。都内の主要なオフィス街や繁華街が、近隣と呼んでも過言ではないのかもしれませんね。

日常の移動には、港区が運営している「ちぃばす」が便利。青山一丁目駅、溜池山王駅にも行くことができるので、買い物や通院のような日々の用事に活用できそうです。

また赤坂周辺は、青山通りと六本木通りに挟まれていて、車での移動も快適です。近隣にはタクシー乗り場のあるビルも多いので、荷物が多い時や急ぐときにはタクシーを利用するのも賢い選択と言えそうです。

■日常生活を支える食料品店、専門店にも赤坂見附らしさあり

赤坂見附駅付近に、高級スーパーしかないのでは? と思いがちですが、実はそんなことはありません。

もちろん、セレクトタイプのスーパーは複数あります。「東京ガーデンテラス紀尾井町」内にある「成城石井 東京ガーデンテラス紀尾井町店」は生鮮食品やお惣菜、お菓子類が豊富です。

「スーパーサカガミ ルパ赤坂店」「ホテルニューオータニ」「ガーデンタワー」にあって、高級食材や珍しい食材が揃うことでグルメな人から人気があります。他にも健康や環境に配慮した食材が揃う食品店「ビオセボン赤坂店」も便利です。

「吉池赤坂店」は平日、「肉のハナマサ 赤坂店」は週末も含めて24時間営業のスーパー。どちらも近隣の飲食店関係者も利用することもあって、プロ志向の食材が豊富です。急な来客に振る舞う料理の準備をするときにも心強い味方になってくれます。

「旬八青果店 赤坂店」は新鮮な青果を目利きして販売するお店。都会の生活で薄れがちな季節感を八百屋さんの店頭で感じることができそうです。お弁当も売っていますよ。

おいしい料理のお供に欠かせないのが、お酒。「赤坂四方本店」は創業1624(寛永元)年という老舗です。1Fには珍しい銘柄の日本酒や焼酎、ビールやおつまみなどが取り揃えられています。

地下には広いワインセラーがあって、1,000円台のお手軽なものから貴重なものまで様々なワインが並びます。ワインセラーの奥にはあの高級ワインの代名詞「ロマネ・コンティ」も! コロナ禍になって周辺に住む会社経営者らがふらりと訪れては、自宅用にいい値段のワインをまとめ買いしていくこともあるとか。

生活雑貨が買えるお店としては、「ドン・キホーテ ピカソ 赤坂店」「ビックカメラ赤坂見附駅店」、100円均一ショップの「キャンドゥ赤坂一ツ木通り店」をはじめとした、ディスカウントストアや専門店が生活を支えてくれます。

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■日本の文化や歴史を受け継ぐ、坂の町としての顔

そもそも見附とは、見張りの番兵を置いた施設のことでした。赤坂見附も江戸城三十六見附と呼ばれた見附のひとつです。その古い名前の由来の通り、現在も赤坂見附周辺には歩くだけで歴史を感じられる場所がたくさん残っています。

「豊川稲荷東京別院」は1887(明治20)年から今の場所にあります。稲荷と聞くと神社のようですが、実はお寺です。商売繁盛のほか芸事にご利益があるとも言われ、芸能関係者が参拝することでも有名です。

赤坂御用地を望む場所にあるのは、和菓子の「とらや赤坂店」です。現在の建物は2018年にリニューアルされました。おつかいものの定番でもある羊羹などの和菓子を販売しているほか、イートインできる菓寮があり、あんみつなど甘いものの他、うどんなど食事のメニューもあります。

「草月会館」はいけばなの草月流の拠点で、建築家・丹下健三の設計。内部には世界的現代アーティストのイサム・ノグチによる「石庭」や多目的ホールを備えていて、いけばなに止まらない文化の拠点となっています。2階にはカフェもあるので、「石庭」と隣にある「高橋是清翁記念公園」の緑も眺めてコーヒーを飲みながらひと息入れると、いろいろとアイデアが浮かんできそうです。

その「高橋是清翁記念公園」は、大正から昭和初期に首相、蔵相をつとめた政治家の高橋是清の邸宅跡地に作られた公園です。公園奥にある高橋是清の銅像のほか、児童公園や日本庭園もあって近隣の住民や勤める人の憩いの場として活用されています。

「TBS」に併設されている「赤坂サカス」にはミュージカルなどを上演する劇場もあり、文化・芸術のある現在の赤坂を象徴する場所かもしれません。

また赤坂近辺はその名の通り、坂が多い場所です。円通寺坂そばにある「円通寺坂公園」は、中央に階段があり、「TBS放送センター」の敷地へ向かえるようになっています。春には美しい桜が楽しめる公園として周辺の人に親しまれています。

赤坂見附駅から近い南北に伸びる道沿いは多くのお店が隣立し賑やかですが、一歩先を踏み入れると閑静な住宅街が広がります。

そんな一角にあるイタリア料理店の「ペスケリア ラ ルーナ ロッサ」でランチをいただきました。魚介類が得意で、特にランチタイムは気軽においしい食事がいただけるトラットリアです。

ランチメニューとして選べる本日のパスタは、追加料金があるものも含めて週替わりの6種類が用意されています。今回は「イカと豆苗のクリームソース スピラーリ」を選びました。

ねじれたショートパスタのスピラーリとイカにクリームソースがよく絡んで、新鮮な豆苗とのコンビネーションが楽しい一皿です。サラダとフォカッチャがついて1,000円。高級なイメージのある赤坂見附で、気軽な値段がうれしいですね。ボリュームのあるサラダのサイズにも気分が上がります。

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■うれしい予想外。赤坂見附はあたたかく、人と人の距離が近い街

最後に赤坂見附にゆかりのある方にインタビュー。子ども向け英語教室「英語自在 FReeLy 赤坂校」オーナーの板倉真鈴(いたくら まりん)さんにお話を伺いました。

▲板倉さんがオーナーを務める子供向け英語教室「英語自在 FReeLy 赤坂校」がオープンしたのは2021年4月。

(以下インタビュー。「 」内は板倉さんのコメント)

——赤坂見附付近に英語教室を開かれたのはどうしてですか?
「窓の大きな素敵な物件を見つけて、子どもたちも伸び伸び過ごせそうだと思ったからです。それまでは赤坂見附には縁がありませんでした」

——教室に通う生徒さんたちの保護者の方はどんな方が多いですか?
「生徒さんたちは2歳から8歳までですが、共働き家庭が多いみたいです。教室の送り迎えをされるのは、在宅勤務中のお父さんやおじいちゃまおばあちゃまというケースもありますよ」

▲息子さんが英語自在の教室に通ううちに、自分も教材に触れていたら、板倉さんも英語を話せるようになったそう。

——赤坂見附付近に通われるようになって、街の印象は変わりましたか?
「赤坂は敷居が高いイメージがあったのですが、私がお会いしているのはいい方ばかりです。お店や郵便局の方も話しかけやすいです。ランチのお店では、二度目には顔を覚えてくださっていましたし、教室のビラ配りをしていても、この辺りでは『ありがとうございます』と言って受け取ってくださる率が高いんですよ。ご近所さんとの挨拶も頻繁で、なんていいところなんだと思っています」

——板倉さんもお子さんがいらっしゃいますが、赤坂見附の環境をどう見ていますか?
「教室のある一体地域は住宅街でとても静かです。御用邸のおかげでお巡りさんが多いので、安心感もあります。緑が多いことにも驚きました。私も赤坂見附付近に住めないかなと家族と話してみたほどです」

■街の中に入ってみて、初めて見えてくる人と人との距離

赤坂見附駅を出ると、高層ビルがそびえたち、飲食店がひしめき合う日本を代表する繁華街の風景ですが、100メートルも青山方向に歩けば、驚くほど閑静な地域。下校途中の小学生を見かけるなど、ビジネスや飲食店の街という当初のイメージからは、大きなギャップを感じました。

忙しい暮らしに欠かせない便利さはもちろんですが、程よい距離感を持つご近所さんとお付き合いもありながら、静かに暮らすことが出来る。赤坂見附はそんな街なのかもしれません。

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野崎さおり

編集プロダクション勤務、メーカーでの非正規社員などを経てライター。都内をバスか徒歩で移動するのが好き。転勤族育ちの引っ越し魔で、引っ越し歴は20回以上。現在は神奈川県川崎市に在住。
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