Column / 2021 07,26

【岡崎公園前駅】大きな川を中心に、人と自然がつながる街

オギノシエ

愛知県在住。SIPPO-HAPPO株式会社所属デザイナー。副業で執筆とイラストレーター、漫画制作をやっています。趣味は街歩き。

物心ついたときには、岡崎に住んでいました。
進学や就活、旅行で他所へ訪れても、私が必ず帰ってくるのはこの街・岡崎。

2つの川に囲まれた自然豊かな景色と、昔ながらの街並み、そして最近では古い街並みの中にも感度の高い新スポットが生まれています。

どうして自分は岡崎に帰ってくるのだろう?と考えてみたら、きっと“住み慣れた”だけには留まらない「この街の良さ」が、知らずしらずのうちに、私の記憶の中に残っているのかも、と思いました。

よし、20年以上住んでいる街の良さをあらためて丁寧に見てみよう。ある晴れた日に、私は岡崎を歩き始めました。

【岡崎公園前駅の基本情報】

駅名:名古屋鉄道名古屋本線「岡崎公園前」駅
ランドマーク:岡崎城、八丁味噌蔵

■愛環線「中岡崎」に接する名鉄の無人駅

「岡崎公園前駅」は名古屋鉄道(名鉄)が止まる無人駅。三河豊田・高蔵寺方面へ延びる私鉄・愛知環状鉄道線(愛環)の「中岡崎駅」と駅前を共有しています。

名鉄は市街地中心にある「東岡崎駅」まで2分。愛環はJRも通る「岡崎駅」まで6分。三河豊田・高蔵寺方面まで延びる愛環沿線上は会社や学校が多く、通勤・通学する市民の貴重な交通手段となっています。東岡崎駅と岡崎駅は空港行きや夜行バスが停まるほか、名古屋、東京、大阪など都市部にも最短1〜2時間でアクセスできる主要駅です。

ロータリーに停まる名鉄バス、東岡崎・岡崎駅行きや市内複数の病院経由など9つの経路を走ります。

高架沿いには無料の駐輪場が設置され、多くの台数が停められます。

駅前は数件の飲食店とホテルがある以外は落ち着いた住宅地。周囲は桜が植えられており、毎年春には満開の並木道になります。駅前によくある飲み屋や看板がないおかげで、昼も夜も桜が主役の風景が見られるんですよ。

岡崎の人にとって桜はとても大切な存在。市のシンボル「岡崎城」周辺には約800本の桜が植えられ、3〜4月の桜まつりには「全国のさくら名所100選」に選ばれる美しい景色が広がります。特に夜桜は東海随一と名高く、岡崎市民の誇りです。

■2つの川と自然、文化や歴史が織りなす街空間

岡崎公園前駅の出口はロータリーに面した1カ所だけですが、中岡崎駅の階段を登れば高架線の向こう側へ行けます。

降りてすぐには市の名産品「八丁味噌」を作る2つの老舗会社が。長屋のように続く味噌蔵は市のランドマーク。

その横を歩いていくと「矢作川」という市内最大の河川に突き当たります。岡崎公園前駅はこの川と、その反対にある「乙川」に挟まれています。今度はそちらへ向かいましょう。

こちらが乙川です。川沿いに広がる緑地の傾斜には桜が育ち、春には満開の花と川の共演が見事。

夏には乙川と矢作川の河畔より2万発ほどを打ち上げる、盛大な花火大会が行われます。桜まつりに続く市民の大切な行事で、約50万の来場者と100以上の屋台が乙川周辺を賑わします。

普段の川辺はゆったり静か。岡崎の住人たちがスポーツを楽しんだり、散歩をしたり、自由気ままに過ごしています。

緑地が続くのは「岡崎城」。武将・徳川家康の生誕地で、城下の「岡崎公園」は季節で彩りが変わる観光の名所。といっても、観光客より地元の人々がのんびり歩いている姿をよく見かけます。四季の行事を大事にする岡崎市民は、日常的に自然の変化を楽しんでいそうです。

公園のそばには「岡崎市図書館交流プラザ」。Libra(りぶら)という愛称があり、館内には貸しホールやコンビニなどのほか「岡崎市立中央図書館」が設置されています。

ここは200席近くの閲覧席・自習室と約60万冊の蔵書を持つ市内で最大の図書館。子ども向けに読み聞かせや授乳室、有料託児サービスなどがあり、親御さんには大助かりです。

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■新旧交わる岡崎街通り

Libraの前にはクリーニングと薬局の入る「アオキスーパー 岡崎康生店」。付近はマンションやバス停、銀行があり、生活するには便利そう。

その隣は1976年から続くショッピングセンター「岡崎シビコ」。地下1階は安い生鮮食品売場とフードコート、1〜3階には衣料品や書店、100円均一ショップなど暮らしに必要なものが売っています。

岡崎シビコから少し歩いた先に偶然「プレオープン」の看板を見つけ、「Sweets&Bistrocafe BRANCHEE(ブランシェ)」で食事をとることに。

2020年12月にフルオープンしたこの店は北海道の食材を使う料理とスイーツが自慢。夜にはバーにもなるんだとか。

頼んだのは「北海道のクリームシチュー(税込780円)」。ジャガイモ「きたあかり」と十勝産のかぼちゃがゴロゴロ入って大満足!

シビコ付近の道は「康生通り」と呼ばれ地域に根ざした個人店が数多く存在します。

さらに時代をさかのぼれば、この地は城下町。和菓子屋がいくつもあり、食べ比べるのが住民の楽しみ。シビコ付近の「和泉屋」は、いつ来ても行列が絶えない昔からの人気店です。

随所に歴史を感じる街ですが、先進的でデザイン性の高いショップやスポットも増加中。

2019年に改修された「籠田公園(かごたこうえん)」は綺麗な芝生広場を中心に、子どもの遊び場が充実。屋根や手洗い場のついた休憩所もあり、多くの親子が訪れます。

その近くにある「ペンズアレイ タケウチ」も新しさを感じる場所。創業1930年の老舗文具店ですが、2014年に改築したオシャレな店舗が新たな若者客を呼び込んでいます。

古い街並みで出会う新たなスポットは、岡崎の街に新鮮な風をもたらしており、昔から住む人と新しく来た人をつなぐ役割を果たしていくのかもしれません。

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■「人のつながりを中心に、新たな魅力が育っています」

最後に、この街で暮らす人へインタビュー。岡崎に住んで30年以上になる吉野浩司(よしの こうじ)さん。休日になれば街のイベントやスポットに顔を出し、SNS上で街を紹介しています。地元の多方面に知り合いがいる、とても顔の広い方です。

(以下インタビュー。「 」内は吉野さんのコメントです)

▲一度岡崎を出て都会に働きに行くも、やっぱり戻ってきたという吉野さん

――岡崎の魅力はなんですか?
「住民の地元愛がすごく強い場所だと思います。特に康生通りでは、お店の人と客の距離感の近さに衝撃を受けましたね。人々の内面にある“街を盛り上げたい”という熱い気持ちや、都会ではなかなか感じにくい“街の人とのつながり”に心地よさがありますね」

▲岡崎生まれの著者が描くエッセイ本が最近の愛読書

――昔と今で変わっているところはありますか?
「ここ5年くらいで街の雰囲気は全体的に変わってきている気がします。民間の人たちが一緒に事業をしたり、元々イベントが多い街なんですが、より賑わいを感じるようになりました」

――お気に入りのスポットはありますか?
「岡崎にはいろんなタイプのお店があるので、選ぶのは難しいですね(笑)この辺りだったら、公園のすぐそばにあるカリフォルニアダイナー『quiet village(篭田町)』や大衆居酒屋『どんちゃん(材木町)』かな。どこも飲食というより、店主さんに会いに行くのが目的の半分。とにかく出会いが楽しい街です」

■ゆとりが生み出す愛が「岡崎」にはあふれている

街に目をむけると、至る所に「ゆとり」を感じました。景色が開けた公園や川を中心に、建物の高さだったり、生活と自然、人と人の気さくな距離感だったり。長い歴史を持つこの街は懐が広く、さまざまな存在をつなぐ役割を果たしているみたい。

ここに住んでいると“変化を楽しむ余裕”を持ち、心から街の暮らしを愛することができる。

それが私の感じる「岡崎の良さ」なのだと思いました。

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