埼玉県の中南部に位置し、日本三大銘茶のひとつ「狭山茶」の産地として知られる狭山市。都心のほど近くにありながら、市の南西から北東へ向かって流れる入間川をはじめ、お茶畑や公園が点在し、自然豊かな環境が整っています。

市の中核を担う狭山市駅は、もともと川越鉄道(現:西武鉄道)の「入間川駅」として開業しました。その名称からもわかるように、駅から入間川までは徒歩10分強と、目と鼻の先にあります。

ここ数年では、この川沿いの空間を利用した新スポットがオープンするなど、ますます快適な街づくりが進んでいるようです。

そんな狭山市の魅力をさらに深掘りすべく、よく晴れたある日、街歩きに出かけてみました。

【狭山市の基本情報】

駅名:西武新宿線「狭山市」駅
ランドマーク:河川敷中央公園

■所沢駅まで直通8分、西武新宿駅まで乗り換えなし

西武新宿線の「狭山市駅」は、快速急行や急行、通勤急行などのほかに、全車指定席の特急レッドアロー号も停車します。西武新宿駅まで直通し、なんと特急で最短40分程度。また、西武線のターミナル駅である所沢駅までは、乗り換えせずに8分でアクセス可能と、県内・都内どちらへの移動もスムーズです。

さらに、市内には国道16号や圏央道の狭山日高ICがあり、車の移動も便利。2020年には、東京都境から狭山市の国道407号を結ぶ「東京狭山線」も全線が開通しました。

駅からは市内を走る路線バスや市内循環バス「茶の花号」、商業施設への無料シャトルバスなども発着し、ちょっとした市内の移動にはバスも利用できます。

また、ロータリーには障がいのある方や妊婦さんなどが専用で使える送迎場所もあり、誰もが利用しやすいよう整備されています。

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■駅周辺には生活に便利なスーパーや病院が充実

駅周辺には、日常のちょっとしたお買い物に便利な施設が充実しています。たとえば、駅構内にある「エミオ 狭山市」には、スーパーや惣菜店、ドラッグストアやベーカリー、本屋などバラエティ豊かな店舗が併設しています。駅直結なので、仕事帰りにさっと立ち寄れますね。

駅の西口から徒歩5分の場所には、「安く、おいしく」を提供する地域密着型のスーパーマーケット「ベルク 狭山入間川店」もあります。駅前で買い出しを済ませるなら、ここが便利かも。

また、西口から入間川方面に約17分歩くと、食料品や子ども用品、100円均一ショップにレストランや、生活に便利な専門店がそろう「イオン狭山店」も。駅からは無料シャトルバスが運行するほか、1350台収容できる無料の駐車場も完備されているので、アクセス手段が豊富!

こうした商業施設のほかにも、駅の東口から歩いて7分ほどの場所には、内科・外科・小児科など幅広い診察を行う「入間川病院」があります。体調不良のときも、駅の近くで診察が受けられるのは安心ですね。

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■街を盛り上げる商店街に、河川敷の新スポットも

この日のランチは、駅近くで見つけた、2020年 12月にオープンのオセアニアスタイルのカフェ「Grand9 ESPRESSO(グランドナインエスプレッソ)」に決めました。

自家製パスタやエッグベネディクトなど多種類のメニューがそろう中、今回は「サーモンと5種のキノコの瀬戸内レモンのクリームソース(880円)」を注文。もちっとした生パスタと、レモンの爽やかなソースの相性にうっとり。店内にはレモンやアップルなどのフレーバーウォーターを自由におかわりできるウォーターバーも設置されていて、ゆっくりとくつろげるのもポイント。

今度は駅から7分ほど歩いて「入間川七夕通り商店街」へ。昭和の面影が残る、街のメイン通りです。

商店街の「七夕通り」という名にちなんだ、織姫と彦星のイラストが飾ってある休憩スペースも。

「入間川七夕通り商店街」は、夏になると関東三大七夕祭りのひとつ「狭山市入間川七夕まつり」が開催されることでも知られています。沿道を約130本の七夕飾りが埋めつくす様はまさに圧巻! 狭山市に暮らしたら、夏がもっと楽しみになりそうですね。

また、商店街には狭山茶を販売するお茶屋さんも立ち並んでいて、“お茶の街”ならではの雰囲気を感じられました。

商店街をあとにし、そのままぶらぶら歩いて入間川の近くまでやってきました。川にかかった橋から見える景色が爽快です! 河川敷を散歩するのも気持ちよさそう。

入間川の河川敷は、「入間川にこにこテラス」という愛称がつけられ、新たな市民の交流の場となっています。

2021年3月には、“日本初の河川敷のスタバ”として「スターバックス コーヒー 狭山市入間川にこにこテラス店」がオープンしました。近所の方がカフェを楽しむ姿があり、早速にぎわいをみせていました。

広々とした敷地には大きな遊具もあり、河川敷の雄大な景色を眺めながら、子どもから大人までのびのびと過ごすことができます。親子の遊び場として、ご年配の方のお散歩ルートとして、幅広い世代が親しめるスポットです。

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■「物はそろっているけれど、のんびりと暮らせる街なのかなと思います」

最後に、狭山市で生まれ育ち、地元でカフェを営む佐藤敬吾(さとう けいご)さんに、狭山市での暮らしの様子をお聞きしました。

(以下インタビュー。「 」内は佐藤さんのコメント)

――この街で生まれ育った佐藤さんから見て、狭山市はどんな街だと思いますか?
「適度に田舎で発展しすぎていない、のどかな街だと思います。僕が育った狭山台エリアは特に緑や公園が残っていて、子ども達がいつも元気に遊んでいますね」

▲現在営業している「カフェ安南」は閉店予定だが、市内に新しいカフェをオープン予定
写真は移転前の「カフェ安南」。現在は「Annam Coffee & Lab」に名前が変わり移転しました。

――お店には、どんな方がいらっしゃいますか?
「下は高校生から、上は80代の方まで幅広いです。学生さんが勉強をしていると、ご年配の方が“がんばっているね!”と声をかけるなど、世代を超えた交流もありますよ。子育て中のママさんたちも、アクセサリー作りや絵画、パン屋さんをオープンするなど、挙げたらきりがないほど活動的な方がたくさんいらっしゃいます」

――暮らしやすさはいかがでしょうか。
「自然も多いですが、街中に選べるだけのスーパーや複合施設もちょこちょこあるので、買い物に困らないのがいいですね。少し足を延ばせば、川越や所沢、池袋も適度な距離にありますし。物はそろっているけれど、静かに、のんびり暮らせる街だと思います」

――適度な感じが、暮らしやすさにつながっているんですね。
「そうですね。暮らしやすいからこそ、この街は長く住んでいる方も多いんだと思います。いまは古くからある団地をリノベーションした部屋があったり、戸建てを建てる方もこれから増えてきそうだったり、今より若い方が増えるんじゃないかなぁと思いますね」

■都心にほどよい距離で、“静かな暮らし”を叶える

▲入間川の河川敷の風景は、心を穏やかにしてくれる

“ゆったりと暮らせるけれど、不便じゃない”

このバランスを叶えるのはなかなか難しいですが、今回の取材を通して「狭山市はどちらも叶えてくれる街なのでは?」と感じました。

街をガラッと変えてしまうのではなく、自然をしっかりと残しながら街づくりが進んでいる狭山市は、長く穏やかに暮らしたい人にぴったりの街なのだと思いました。

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稲垣恵美(いながき えみ)

北海道で出版社に勤務したあと上京。好きな街は、下町の人情があるところと、憩いの場所があるところ。素敵な街をみなさんに共有したいお散歩ライター。
Twitter:https://twitter.com/emily83601992