Column / 2018 12,11

【飯田橋】機能と情緒。暮らしに求めるすべてを満たす街・飯田橋

児島宏明

ライター・編集者に憧れ、広告代理店に入社。SEOライターを経験した後、オウンドメディア担当に。
Webメディアに掲載する記事の企画・取材・編集・撮影を担当。飲食店などの個人事業主から会社経営者まで、さまざまな方にインタビューをして記事執筆を行う。

早朝の新幹線にゆられ、中央線を経由して「飯田橋」に着いたのは朝の10時頃。

通勤ラッシュの時間は過ぎているものの、少しでも立ち止まろうものなら、足早に行き交うビジネスマンの波に埋もれてしまう。東京に来るたびに「この街には住みたくない」と感じるシーンのひとつだ。

さまざまな沿線が交差する飯田橋は、再開発によって大型の商業施設やビルが立ち並び、ビジネスの拠点としても注目を集める街。

街の魅力や住みやすさを伝えるために「飯田橋」に訪れたものの、人の多さと喧騒に、着いた瞬間から自信を失う。

「この街に住みたいと思わせる記事なんか書けっこない……」

とはいえ、私はプロのライター。そんな言い訳が成り立つはずがない。

頭の中の不安をかき消しながら、事前調査で拾ったスポットをひとつひとつ巡ることにする。

飯田橋を1日散策して見えてくる街の魅力とはどのようなものだろう?

【飯田橋の基本情報】

駅名:JR東日本 中央本線・総武線 飯田橋
乗換えできる路線:東京メトロ 東西線・有楽町線・南北線 都営地下鉄 大江戸線
ランドマーク:小石川後楽園・東京ドーム

■圧倒的な利便性。「乗換の街」から「最先端のオフィス街」へと進化

飯田橋を語る上でどうしても外せないのが、交通の便。

JR中央線・総武線、東京メトロ東西線・有楽町線・南北線、都営地下鉄大江戸線の6路線が乗り入れる、交通の一大拠点です。

路線が多いだけでなく、東京駅からは約13分、新宿からは約11分など、主要都市からのアクセスも抜群。通勤・通学の利便性では東京トップクラスの街だといえます。

⇒飯田橋駅周辺の物件一覧をみる

多くの人が集まる中継地点となっていることから、駅前の利便性も◎。

駅直結の総合ショッピングセンター「飯田橋ラムラ(RAMLA)」には、大型のスーパーの他、ドラッグストア・カフェ・レストラン・ファッションショップ・雑貨屋などが入っており、日常生活に必要なほとんどのものが揃います。

▲飯田橋ラムラ(RAMLA)

2003年には高感度なショップやレストラン、ホテル、オフィスが併設された複合施設「アイガーデンエア」が完成。

▲アイガーデンエア

さらに、2014年にはオフィスビル「飯田橋グラン・ブルーム」を兼ねる大型の商業施設「飯田橋サクラテラス」が生まれ、以前の「乗換の駅」というイメージから「最先端のオフィス街」というイメージへと変わりつつあります。

▲飯田橋サクラテラス

また、カフェやレストランが集まる「東京のパリ」神楽坂に徒歩で移動できるのが特長のひとつ。休日の気分転換やディナーでプラッと神楽坂に訪れることができるのは、飯田橋ならではの魅力です。

■都会のオアシスが点在。心が洗われる豊かな自然

飯田橋駅には東口と西口あり、東口を出るとオフィスが立ち並ぶ都会的な風景が広がります。

対して西口から見えるのは、「外壕」が生み出す自然の景色。

「外壕」の沿道には緑が生い茂り、自然の移ろいを楽しめます。花見のシーズンには、飯田橋から市ヶ谷までつながる外壕の沿道に桜が咲き乱れ、多くの観光客が訪れます。

▲飯田橋を出てすぐ。外壕沿いに咲き乱れる桜
▲外壕沿いにはカフェがあり、テラスでゆったり花見を楽しむことも
▲外壕を見下ろせる「飯田橋サクラテラス」からも桜を眺められる

都営地下鉄大江戸線「飯田橋駅」から徒歩5分の「小石川後楽園」も、豊かな自然を楽しめるスポット。日本各地の山・川・田園の景観を表現した日本庭園が魅力で、自然が作り出す美しい景観に心が奪われます。

▲小石川後楽園の玄関
▲紅葉の小石川後楽園

春のソメイヨシノ・秋のモミジが特に美しく、多くの観光客が訪れます。中に入るには拝観料が必要ですが、庭園の外周を散歩するだけでも十分。都心にありながら身近に自然を感じられるのは、飯田橋の魅力のひとつです。

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■暮らしに豊かさをプラスする「和とレトロの街」

再開発より前の飯田橋は、神社仏閣や昭和のレトロな情緒が息づく街だったといいます。街を散策していると各所に再開発前の面影が残っており、駅前の喧騒とは異なる落ち着いた空気が流れています。そんな、「和とレトロ」を感じる飯田橋のスポットをご紹介します。

・東京のお伊勢様!飯田橋のパワースポット「東京大神宮」

東京大神宮は、JR・地下鉄各線の飯田橋駅から徒歩約5分の位置にあります。「東京のお伊勢さん」と呼ばれており、最近では恋のパワースポットとして多くの人が訪れます。

東京大神宮は「神前結婚式発祥の神社」ということで恋のパワースポットとして有名になり、多くの参拝者を集めるようになりました。10種類以上の「恋活守り」が販売され、境内には若い女性の参拝者を多く見かけます。

また、境内社として稲荷神社が奉納されているのも東京大神宮の特長。商売繁盛・家業繁栄の神が祀られている他、歌舞伎の九代目市川団十郎が信仰を寄せていたことから、芸能にゆかりの深い神社としても有名です。

恋愛・商売繁盛・家業繁栄など、古くからさまざまな人の願いを受け止めてきた東京大神宮。

そんなパワースポットが近所にあるのは、飯田橋に住むことのメリットといえるでしょう。

・神楽坂「紀の善」で至極の和スイーツ「抹茶ババロア」を堪能

東京メトロ「飯田橋駅」B3出口からすぐの場所にある神楽坂「紀の善」は、甘味処の老舗。あんみつ・お汁粉・ぜんざいなど、和のスイーツが楽しめるお店として古くから親しまれています。

数あるメニューの中でも特に人気なのが「抹茶ババロア」。口の中でほろりと崩れる独特の食感・生クリームとあんこが織りなす濃厚な甘み・爽やかで上品な抹茶の香りが一体となり、うっとりするような至極の味わいが人気の秘密。

▲抹茶ババロア

今回の取材では食べられませんでしたが「釜めし」も紀の善の人気メニュー。甘味だけでなく、お食事も楽しめるのが紀の善の特長です。

その他、季節限定のメニューも豊富で夏には「かき氷」目当てに多くの人が訪れるとのこと。

飯田橋に住んだら、ぜひとも通いたいお店です。

・マイシアター感覚で通いたい。レトロな映画館「飯田橋ギンレイホール」

紀の善から徒歩約2~3分の場所に位置する、レトロな外観がたまらない映画館「飯田橋ギンレイホール」。名画座という形式の映画館です。

名画座とは、ロードショーが終わった映画を上演する映画館のこと。レンタルやネットで旧作を手軽に鑑賞できるようになった現代、全国的に名画座は減少傾向にありますが、飯田橋ギンレイホールは40年以上この地で映画ファンに愛され続けています。

▲飯田橋ギンレイホールの内観。赤いソファーとレンガ造りのレトロな内装が特長

飯田橋ギンレイホールの魅力は、支配人が独自にセレクトした2本立ての作品を続けて鑑賞できること。お目当ての映画だけでなく、「思わぬ作品とのめぐり会い」を楽しめます。飯田橋ギンレイホールが映画セレクトの基準に掲げる、「国境なきラインナップ」の良質な作品を思う存分堪能できます。

通常の2本立て上映のほか、毎年秋に開催している「神楽坂映画祭」や、35㎜フィルム上映を堪能できる「ギンレイ・オールナイト」(不定期開催)など、映画の魅力を伝える活動も精力的に行っています。

何の予定もない休日は、飯田橋ギンレイホールでじっくりと映画を楽しみましょう。

■利便性の高さと下町の情緒が交差する街

JR飯田橋の東口から徒歩4分。東京大神宮の裏側にある「Coffee&Snack カウベル」は、ナポリタン・オムライス・ピラフ・ドライカレーなどなど、正統派の喫茶フードが人気の喫茶店。

常連さんや周辺のビジネスマンに愛されるお店で、Web・雑誌・テレビなど、さまざまなメディアで取り上げられる飯田橋を代表するお店です。

オープンから現在まで、お店を切り盛りしているのは店長の「佐藤禧代子(さとうきよこ)」さん。

話を聞くと、ご自宅だったビルを改装して35年ほど前に喫茶店をはじめたとのこと。長くこの街を見続けてきた佐藤さんから見て、飯田橋とはどのような街なのでしょうか。

(以下、「」内は佐藤さんのセリフです)

――昔の飯田橋はどのような街でしたか?

「私がまだ子どものころは、ビルがほとんどなくて、民家があるだけだったんですよ。神社は多かったですが、これといった観光地もなくて、落ち着いた下町という雰囲気の街ですね。皇居に近くて学校が多く、文教的な街という側面もありました」

▲カウベルの看板メニューのひとつ「オムライス」

――最近ではビジネスの街というイメージがあるようですが、いつごろから変わってきたのでしょうか?

「ここ10年くらいの間で、大きな商業施設やオフィスビルができてからだと思います。大企業がたくさん移転してきて、正確かどうかはわかりませんが5万人近くの人が飯田橋に入ってきたといわれているそうです。それに合わせて、お店もどんどん忙しくなりましたね」

――なるほど、それだけ人が増えて街が変わると居づらさを感じませんか?

「たしかにそういう一面もありますが、ビジネス街なので夜になると意外と静かなんですよ。もちろん駅前は居酒屋などが多いので騒がしいのですが、少し離れれば昔とそこまで大きな違いは感じません。むしろ、若い女性にとっては街が明るい方が安心できますし、今の方が住みやすいかもしれません」

▲レトロな内装と暗めの照明が居心地の良さを演出

――ありがとうございます。最後に、佐藤さんにとって飯田橋はどのような魅力を持った街なのでしょうか?

「ここ数年でたくさんの人が飯田橋に訪れるようになったのですが、実際は観光や仕事で訪れる方がほとんどです。ですので、昔の下町だったころのおだやかな雰囲気は今も意外と残ったままなんですよ。都心にありながら、外壕・千鳥ヶ淵・小石川後楽園など自然を感じられる名所も多く、落ち着いた時間を過ごせます。便利さと昔からこの街にある穏やかな空気感、この2つが飯田橋の魅力だと感じています」

■「暮らし」に求めるすべてがある。今も進化し続ける街、飯田橋

「この街に住みたいと思わせる記事なんか書けっこない……」

そんな最悪のモチベーションから始まった飯田橋の取材。

しかし、最後の取材地「カウベル」を後にする頃には、まるっきり気持ちが変化していることに気づいた。

バタバタとした日常を忘れさせてくれるスポットが身近にあり、日々の疲れを優しく癒してくれる。

他の街に移動する際には6路線というアクセスの良さがあり、買い物にもまず困ることはない。ちょっと贅沢がしたいというときは、徒歩で神楽坂に行けるのもポイントだ。

ビルが多く、少し窮屈に感じるのがデメリットかも……と感じていたが、2022年には「駅前広場とゆとりのある歩行者空地」が完成予定。

神社仏閣・豊かな自然・下町の情緒を残しつつ、今も進化し続ける飯田橋。

「暮らしの満足度」が今よりもさらに向上していくのは間違いない。