関西出身の私が初めて豊田市を訪れたとき、街中を走るトヨタ車の数に圧倒されました。「さすがトヨタの街!」と、感動したものです。

クルマの街・豊田市に住む人は車移動が多いため、街には大型のフリーパーキングが完備されるなど、快適な車生活がおくれるよう整えられています。その一方で、近年は街のあちこちにユニークなお店ができたり、マルシェなどのイベントが開催されたり、これまで車でドアtoドア移動をしていた人々が街を楽しんで歩くようになっているそうです。

今回は、そんな変化を遂げつつある豊田の街を歩いてきました。

【豊田市駅の基本情報】

駅名:名鉄三河線・豊田線「豊田市」駅
ランドマーク:豊田スタジアム、豊田市美術館

■都市部はもちろん、山間部の行楽地へのアクセスも便利

豊田市駅は、碧南駅と猿投駅を結ぶ名鉄三河線、豊田市駅から赤池駅を結ぶ名鉄豊田線の駅。三河線は特急停車駅である知立駅を経由するため、名古屋・豊橋方面へ乗り換えられます。知立駅までは25分、そこから名古屋駅まで30分、豊橋駅までは36分です。

また豊田線は赤池駅から地下鉄鶴舞線に接続し、名古屋方面へもアクセスできます。

豊田市駅には名鉄バス、とよたおいでんバスの発着するターミナルがあります。西口から住宅地や病院行きのバスが発着するほか、東京駅への高速バスも出ています。

東口からは、梅坪駅、土橋駅、松平方面、紅葉で有名な香嵐渓、稲武や足助方面、「中部国際空港 セントレア」などにアクセスできるバスが発着しています。

また豊田市駅からは、愛知環状鉄道の新豊田駅への乗り換えも便利です。両駅は「ペデストリアンデッキ」でつながっており、徒歩3〜4分ほどで到着! 愛知環状鉄道の沿線上にはトヨタ自動車本社と工場群が多く立ち並び、高校も多いため、重要な通勤・通学路線のひとつとなっています。

そしてクルマの街と言われるだけあり、車移動も便利。駅周辺には国道153号線や248号線があり、通りには飲食店や大型家具店、書店、スーパーなどが立ち並びます。

高速インターも複数あり、東名高速や東海環状自動車道、伊勢湾岸自動車道が利用できます。通勤利用はもちろんのこと、休日のおでかけでは岐阜県や静岡県、三重県などいろいろなところに遊びに行けそうです。

⇒豊田市駅周辺の物件一覧をみる

■クルマ中心のまちづくりから、居心地が良く歩きたくなる街中へ

駅前にはショッピングスポットやエンタメ施設が充実。駅すぐのショッピングモール「KiTARA(キタラ)」には、銀行や飲食店のほか、シネマコンプレックスのイオンシネマが入っています。

駅前にはKiTARAのほか、ファッションビルの「T–FACE」や大規模複合施設「コモ・スクエア」「豊田市中央図書館」「豊田市コンサートホール」などが入居する「豊田参合館」などがあります。

駅周辺には大きなフリーパーキングがあり、買い物または利用した加盟店で認証を受ければ、駐車料金が3時間無料に。こういった施設が整っているのは、まさにクルマの街!

日常のお買い物は駅から車で10分ほどのところにある「イオンスタイル豊田」が便利。食品売り場では地元のとれたて野菜が販売されていたりと、お惣菜コーナーが充実しています。

駅前のペデストリアンデッキは、以前は通路としての役割のみでしたが、現在はマルシェ等のイベントが行われるなど、くつろぎの場として開放されています。そのほか、まちなか広場が同様に活用されはじめています。

例えば、「豊田市駅東口まちなか広場(愛称:とよしば)」。こちらには、個性的な飲食店やアトリエ、情報発信ができるスタジオ、自由に使える芝生広場があります。

また駅周辺には、超小型EV車のシェアリングサービス「Ha:mo RIDE(ハーモライド)」のステーションが点在。駅からお店へ、職場から訪問先へのちょこっと乗りはもちろん、市内の観光名所をめぐるプランも。

▲昭和29年創業・人気のお惣菜屋さん「松丈」は豊田市の顔!

駅前から少し行けば、個人商店が立ち並ぶ、「西町商店街」「桜本町通り商店街」「ひまわり通り商店街」など複数の商店街があります。

歩き疲れたので、「季節割烹 虹 豊田店」でランチタイム。アルゼンチンに本店があるお店なんだそう。

季節の花に出迎えられ、木を基調にしっとりした和の雰囲気がある店内。4名がけのテーブル席やカウンター席のほか、個室もあります。

メインが選べるランチセット(1,000円)を注文しました。まずは前菜から。一つ一つが趣向を凝らされている前菜が6種類もあり、舌はもちろん目でも楽しめます。

メインは特製のからあげ。ごはんとお吸い物つき。サックサクの衣にジューシーな唐揚げは、何個でも食べられそう!

手作りのデザートは赤しそと抹茶あんの白玉団子。デザートグラスの下側には水中花が添えられていて、細部まで行き届いた演出に感動しました。

■まちなかにある自然にふれて過ごす癒やしの時間

駅周辺には、大小さまざまな公園があります。「桜城址公園」では、毎月第1・第3土曜日に「STREET PARK MARKET」が開催され、多くの人で賑わいます。

「児ノ口(ちごのくち)公園」は、遊具のない自然公園。地域の人たちのボランティアで整備されており、春はお花見、夏はホタル観賞、秋は紅葉などさまざまなイベントが開催されています。公園内で育てたお米をつかって、冬には餅つきも行われています。

4万5,000人の収容人数を誇る巨大な「豊田スタジアム」は、駅から歩いて15分ほど。敷地面積17万㎡の広大な公園「豊田市中央公園」内にあります。アスレチックがある広い芝生広場やせせらぎ緑道、自然観察路など、水辺の空間も多く、お散歩にはぴったり。

豊田市の市街地を一望できる城址に建っている「豊田市美術館」も、周囲は自然に囲まれています。美術館での展示を楽しんだり、外でのんびりとお散歩を楽しんだり。

どこを切り取っても絵になるので、SNS用の写真を撮りに来ている人があちこちにいました。

⇒豊田市駅周辺の物件一覧をみる

■「知れば知るほどおもしろい街です」

豊田市駅から徒歩8分のゲストハウス・コミュニティレンタルスペース「kabo.(かぼ)」を営む犬飼詩織(いぬかい しおり)さんに、街の印象や変化について伺いました。

(以下、インタビュー。「 」内は犬飼さん)

――豊田にはどんな印象を持っていますか?
「知れば知るほど、おもしろい街です。商店街には100年続く老舗もあれば、若手が新しくオープンしたお店もあるし、新しいものと古いものがうまく混ざり合っているんです。例えばここの商店街は昔“塩の道”だったとか。そういう歴史を紐解いていくのもおもしろいですよ」

――豊田は暮らしやすい街ですか?
「そうですね。駅前にはいろんなジャンルの飲食店があるし、病院や学校もたくさんあるので、家族で住むにも便利で住みやすいと思います。豊田には車なら30〜40分で行ける山もあって、川遊びをしたり、足助の『香嵐渓』へ紅葉を見に行ったり、気軽にでかけられますよ」

――豊田のまちなかは、どのように変化してきましたか?
「もともとクルマの街なので、目的地まで車で行って帰るだけの人が多かったんです。それが最近では、外を歩いている人が増えたように思います。駅前の空いているスペースを活用しやすくなって、街の中でいろんな催しが増えたからでしょうね。SNS映えすると若い子たちが集まるお店も増えてきて、ちょっとずつおもしろくなってきていると思います」

▲豊田市駅前にある犬飼さんおすすめの「STREEET COFFEE&BOOKS」。駅前にはコーヒーショップが増加中で、“コーヒーの街”とも言われています(写真提供:STREEET COFFEE&BOOKS)

――街のイメージも変わってきたんですね。
「無機質で堅いイメージから、ちょっとずつ柔らかくなってきましたね。街を歩く人が増え、街を楽しむ人が増えたことでいろんな人と関われる機会が増えてきています」

▲写真提供:kabo.

――どんな人におすすめのまちですか?
「街に、文化や昔からの暮らしを楽しめる人にはおもしろい街だと思います。あとは、不便な田舎は嫌だけど、ギラギラした都会は疲れてしまう、そんな人にもおすすめですね」

■次に来るのが楽しみな街

これまで私にとって豊田の街は車で行って帰るだけの場所でしたが、知れば知るほどにおもしろく、次回の訪問が楽しみになりました。

「次はあそこに行ってみたい、あのお店であれを食べてみたい、もちろん車を降りてまち歩きをしながら」そんなことを思いながら帰路につきました。

⇒豊田市駅周辺の物件一覧をみる

吹原紗矢佳

関西出身、愛知県在住のフリーライター。ライティングを軸に、小商いをサポートするSNS運用やHP制作、広報PRも行う。プライベートではお寺マルシェの運営に携わるほか、地元の商工会青年部に所属し、まちづくりに取り組んでいる。

Twitter:https://twitter.com/arimurahitsuji