社会人になってから「身体は “資本”だなぁ」とよく思うようになりました。

電車や車で仕事に出かけ、デスクワーク。肉体労働ではないけれど、意外と首・肩・腰が凝り、疲れて家に帰ればそのままベッドへ……。そんな日々を送っていたら、いつも心と体がどんより重く感じるようになってしまったのです。

そんな時、”健康都市”を地域全体で目指すという「大府市」を知りました。

今回街へ降り立って驚いたのは、子どもからお年寄りまでたくさんの市民が、街なかで日常的に運動を楽しんでいたこと。いきいきと人が暮らす秘密を知りたくて、じっくり散策をすることにしました。

【大府の基本情報】

駅名:東海道本線「大府」駅
ランドマーク:KURUTOおおぶ、あいち健康の森、JAあぐりタウン「げんきの郷」

■愛知の随所に出やすい立地

大府市は愛知県西部に位置する街。市の北側は名古屋大都市圏、南は農漁業や観光地で有名な知多半島、東は物づくり産業が盛んな西三河地域に接しており、三方向へ人や物が行き交うアクセスの良さを持っています。

市内にはJRの大府駅と共和駅という2つの駅があります。主要駅は、名古屋への快速・新快速列車が止まり、知多半島に向かう武豊線と乗換できる大府駅。名古屋市までは新快速で15分。西三河にあり、日本有数の自動車工業都市・刈谷市まではたったの5分。2駅とも終電が0時20分までと非常に遅く(2021年3月取材時)、当該地域で働く人々にとって非常に便利な存在です。

街には「伊勢湾岸自動車道」などの高速道路や国道、県道が数多く通っています。市域の大部分が丘陵地であるため、住民の移動は自転車よりも車が便利なんだそう。

▲駅西口ロータリー

駅の出口は東と西の2カ所。ロータリーはどちらも広く、1回 100円の大府市ふれあいバスや知多バス、タクシーなどの交通機関が利用できます。

東口には駅から3km先にある「至学館大学」行きのスクールバスも出ています。至学館大学は元女子レスリング選手・吉田沙保里さんなど五輪代表選手を数多く輩出している学校。 スポーツに携わる専門学科や資格がとれることもあり、スポーツ関係に興味のある若者がたくさん通っています。

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■健康意識が高まる街

大府は昭和49年に「健康都市」を市の目標として定め、医療やスポーツなど健康関連分野に力を注いでいるのが特徴です。象徴的なスポットを3つ紹介します。

1つ目は駅の東口下にある「KURUTOおおぶ」。正式名称は「大府市健康にぎわいステーション」といい、健康と観光がコンセプトの施設です。

入って右側には物産ショップと観光案内所、そして血圧や体組成測定、管理栄養士によるカウンセリング、健康づくりイベントやセミナーが定期開催される「健康発信スペース」があります。

左側は、健康総合企業の株式会社タニタとコラボした飲食スペース「KURUTOおおぶ タニタカフェ」。地元野菜をたっぷり使ったヘルシーフードが食べられます。明るくゆったりした空間には、いつの時間帯も地元客の姿があります。

今回はここで1番人気の「週替わりランチプレート 990円(税込)」をいただきました。

ボリューミーなメインディッシュに加え、野菜たっぷりのデリ3品、週替わりのスープもセットになっています。雑穀米のご飯は噛みごたえがあり、体の中から健康になっていきそう。

■楽しい運動場所がいっぱい!

2つ目は市内のウォーキングコース。大府市は全体的にのどかで街歩きに向いており、駅の西口・東口にはこのような案内板が立っています。

おすすめは西口からのコース。きれいな駅前通りを歩いていった先にある「豊田自動織機 大府工場」「人間環境大学 大府キャンパス」の境を流れる「鞍流瀬川」が、とてもいい景色なんです。

この川は名古屋市緑区桶狭間から流れており、「桶狭間の戦いで敗れた今川軍が敗走中に大雨で増水した川に落ち、人や馬は助かり鞍だけが流された」という逸話から名がついているそう。川沿いは散歩やトレーニングの定番ルートになっています。

さらに周辺は公園が複数あり、トイレやベンチも備わっています。子ども用の遊具だけでなくストレッチや筋トレができる健康器具もあり、街中では日常的に体を動かす大人の姿が見られます。

3つ目は駅から車で10分の所にある「あいち健康の森」。宿泊所などがある「あいち健康プラザ」を中心に、保健・医療・福祉・生きがいを推進する総合施設です。約100haの敷地内の半分を占める「あいち健康の森公園」が大人気。

休日には大勢の家族連れがそれぞれ楽しい時間を過ごしています。

公園内にある「子どもの森」は森林浴気分も味わえるエリア。アスレチックなど遊び場も充実しており、特に全長120mのロングスライダーが人気です。

あいち健康の森周辺には「国立長寿医療研究センター」など健康・医療・福祉に関する施設が数多く集まっています。なかでも「あいち小児保健医療センター」は県唯一の子ども専門病院。市外県外から通う方もいるという評判の高い病院です。

公園や病院等が充実しているからか、市内には子育て世代が多い傾向にあります。

駅周辺は繁華街がないので清閑で治安がよく、新築の家屋が増えており、子育て世帯同士で仲良くなることも多いとか。駅西口から1.5km先にある「大府市子どもステーション」には子育てに関わる相談窓口や、子どもの預かりを市民が相互にし合うサービスもあり、住民間での信頼関係が感じられます。

■新鮮な地元野菜が手に入る

都市型近郊農業が発達している大府市は、新鮮な農産物が手に入りやすいのも特徴的。駅周辺にはJAの産直店舗が2カ所あります。

駅東口から徒歩7分の所にある「グリーンプラザおおぶ」。大府近郊で収穫された新鮮な農産物が朝一番に並びます。

先ほど紹介したあいち健康の森の隣にあるのは「JAあぐりタウンげんきの郷」

ここはなんと日本最大級の産地直売所! パンや惣菜の店、レストラン、天然温泉など様々な施設があり、観光客も訪れる人気スポットです。

海に面した知多半島に近いおかげで、新鮮な魚介もここで手に入るんですよ。

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■「緑が多く家族でのびのび過ごせます」

最後に、この街で暮らす人へインタビュー。大府駅東口から徒歩2分の所にある「やさいや みかど」のオーナー、加藤佑美(かとう ゆみ)さん。数年前、結婚を機に移り住み、子育てをしながら野菜ソムリエの資格を取得。2013年に青果取扱店を開きました。

(以下インタビュー。「 」内は加藤さんのコメント)

――この街の良さといえばなんですか?
市が積極的に子育てしやすい環境づくりに取り組んでいるところです。たとえば、2020年からの感染症拡大を受け、小学校4年生〜中学生に1人1台、市がタブレット端末を貸与しての学習支援が始まりました。家庭で高価な機器を用意せずにすみ、助かりました。国から特別給付金が支給された時も、国の基準だと新生児は給付対象外でしたが、大府市では独自に新生児への割り当てがありました。中学卒業まで給食もあり、医療費も無料です。子どもたちをよく気にかけてくださっているなと感じます」

▲子どもへ有機農法等栽培にこだわる地元農産物で食事を作ってあげたいと思ったのが店の始まり

――この街で好きな場所は?
「公園が至る所にあるのが魅力です。駅からは遠いのですが、北部にある『大府みどり公園』は大きくてバーベキューも楽しめます。駅から車で7分先にある『おおぶ文化交流の社 図書館』も好きです。本棚が大人の肩ぐらいまでしかないので見通しがよく、落ち着きます」

▲50年前には一般的だった「あいち伝統野菜」の希少種も取り扱っており、地元の高齢者に懐かしんでもらえるそう

――この街で仕事をしていてやりがいは?
「店では昔の商店街風の対面販売を心がけており、農家さんの想いや調理方法などを伝えつつ、お客さまと様々な会話をするのが大きなやりがいです。親切で穏やかな人が多く、野菜のレシピを教えてもらえることも。また、私は毎朝農家さんの畑へ出向き、直接野菜を受け取っています。四季折々に変化する農産物を見るのは飽きませんし、野菜を通してこの街のお客様と農家さんの架け橋になりたいです」

■元気な日常が叶う街

健康都市、大府。街に根付く「市民の健全な生活を支える基盤」は想像以上のものでした。仕事帰りに疲れていても、駅を出てすぐに栄養満点のご飯を食べ、公園で一息ついたり体を動かしたりしてリフレッシュする習慣が身につきやすそう。

子どもの健やかな育みはもちろん、歳を重ねても日々元気に暮らす未来の想像が膨らんでいきました。

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オギノシエ

愛知県在住。SIPPO-HAPPO株式会社所属デザイナー。副業で執筆とイラストレーター、漫画制作をやっています。趣味は街歩き。