【市ケ尾】JOURNAL 魚とり、水遊び。日常に川がある、市ケ尾の風景

目次
  1. 子どもたちの歓声が絶えない、鶴見川の水辺へ
  2. きれいな川を取り戻せ! 地域住民たちの取り組み
  3. 市ケ尾遺跡公園で、太古の営みに思いを馳せて
記事カテゴリ 神奈川 首都圏
2019.06.07

閑静な住宅街でありながら、駅周辺には青葉区総合庁舎や警察署など行政の施設が集まる市ケ尾エリア。この地域の特徴は、街の南北を流れる鶴見川の存在です。周囲の風景に独特の潤いを醸してくれる鶴見川を中心に、市ケ尾の自然を散策してみましょう。


渋谷駅、表参道駅、大手町駅など、東京都心部の主要駅へダイレクトにアクセスできる東急田園都市線の市が尾駅。バス路線も充実しており、駅隣接のバスターミナルからは商業施設が充実するセンター南駅行き、新横浜駅行きなど多方面へのバスが乗り入れています。東名高速道路・横浜青葉I.C.も至近で、クルマ利用にも便利な立地といえるでしょう。

子どもたちの歓声が絶えない、鶴見川の水辺へ

そんな市ケ尾エリアのシンボルといえば、街の西側を南北に貫く全長42.5kmの鶴見川。町田市上小山田町の泉を源流とし、鶴見区の河口から東京湾に注ぐ一級河川で、あまり知られていませんが中上流域には絶滅危惧種に指定されている淡水魚や鳥類が棲息しています。2000年代初頭に東京湾からアゴヒゲアザラシが遡上したことがニュースになりましたが、下流域の豊富な魚類に誘われたといわれています。

市ケ尾水辺の広場には、地域の別の市民団体によって季節の花が植えられていました。

一方、流域の市街地化が進むと川へ下水が流れ込み、環境汚染が深刻な問題になりました。流域ではさまざまな団体が水質改善活動や川に親しむ活動を行っていますが、市ケ尾を拠点に30年以上も活動している「あおばく・川を楽しむ会」もそうした団体の一つ。高畑勲監督による映画『柳川掘割物語』に感銘を受けた有志が「川と水」、「緑・樹林」、「生物」、「環境教育」、「クリーンアップ」、「川の防災」をキーワードに活動をスタートしたそうで、現在は鶴見川に入っての生物調査や水質調査、河川敷の植生保全作業を主に行っています。さらに、近隣の竹林で伐採した竹を使って子どもたちといかだを自作し鶴見川を下る「いかだで遊ぼう谷本川(=鶴見川)」(今年の開催は未定)、市が尾駅から寺家ふるさと村を経て恩廻公園調節池までを散策する「谷本川流域ウォーキング」、地域の小・中学校と協同した自然学習などのイベントやワークショップを、年間を通じて行っています。

きれいな川を取り戻せ! 地域住民たちの取り組み

「あおばく・川を楽しむ会」の中心メンバー、青砥寿子さんに流域を案内していただきました。
「30年ほど前はこの辺りにはまだまだ田んぼがたくさんあって、5月の田植えや秋の稲刈り、冬は渡り鳥がやってくる様子を眺めることができました。それより前からここに住んでいた地元の方によれば、当時は鶴見川で泳いだりしていたそうですよ。そのあと、一気に開発が進み、鶴見川はドブ川のようになってしまったんです」

鶴見川の水辺へ、写生に向かう地元の小学生たち。

その後、下水道が整備され、「あおばく・川を楽しむ会」のような市民団体が環境保護活動を行うようになり水質も徐々に改善。子どもたちが魚とりを楽しむまでに回復してきています。「もっと川に親しみたい」、「水辺に下りたい」という地元住民の要望に応えるように、市ケ尾高校の裏にはスロープやテラスを備えた親水護岸も築かれました。この辺りは流れもゆるやかなことから、小さな子どもたちも安心して水辺に近づくことができるそう。夏になると子どもたちの歓声が絶えないといいます。
「周辺にはアユが遡上し、コイが産卵するんですよ。夏はツバメ、冬はカモが北の国から飛来、カワセミの姿も見られます。岸辺では、5月の初めにハナウドの白い花が、秋にはオギの穂が風にそよいでいます。そういう川の姿が私たちの活動のモチベーションになっています」

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市ケ尾遺跡公園で、太古の営みに思いを馳せて

もう一箇所、青砥さんが「市ケ尾の見どころ」として案内してくれたのが、駅のすぐ近くにあるという古墳群。「稲荷前古墳群」は都筑一帯を統治していた首長の墓で、4〜7世紀に造営されました。前方後円墳、前方後方墳、円墳、方墳とさまざまな墳形の古墳が点在することから「古墳の博物館」と呼ばれているそうです。一方、市が尾小学校横の丘陵にあるのは「市ヶ尾横穴古墳群」。6世紀後半から7世紀後半にかけて築かれたもので、この地域の富裕な農民の家族を祀った墓と考えられています。この「市ヶ尾横穴古墳群」は市ケ尾遺跡公園として一般に公開されています。

夏は川で魚をとり、冬は水辺で渡り鳥を観察。時に、太古のロマンにも浸れる市ケ尾周辺。1300年も前から人が住みついていた土地には、人を惹きつける特別な魅力があるのでしょう。「自然豊か」という言葉だけでは表現しきれない市ケ尾では、たまプラーザや青葉台など田園都市線沿線に連なる他エリアとは一味違う、懐の深さを感じられるはずです。

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東西を走る旧大山街道沿いには、古いお地蔵さんや神社が点在。

(施設データ)
市ケ尾水辺の広場
所在地:神奈川県横浜市青葉区市ケ尾町2044
アクセス:東急田園都市線市が尾駅下車、徒歩約15分

市ケ尾遺跡公園
所在地:神奈川県横浜市青葉区市ケ尾町1639-1
アクセス:東急田園都市線市が尾駅下車、徒歩約10分

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