
【勝どき】COLUMN 活気あふれる勝どきの、青空市場をぶらり
勝どきといえば、月島と並ぶ海沿いの下町スポットとして知られていますが、今や「タワーマンションの街」としてウォーターフロントのイメージが定着しています。銀座や日本橋は徒歩圏内。話題の「環状2号線」も勝どきを走り、都内中心部へのバス便も多いという利便性が魅力です。東京オリンピック・パラリンピック開催を目前に、今後ますますのにぎわいが期待される勝どき。ここで、地元の人々に愛されながら6年続く青空市場「太陽のマルシェ」が月1回開かれていると聞き、さっそく足を運んでみました。
第1回「太陽のマルシェ」が開催されたのは2013年9月のこと。以来、毎月第2土曜・日曜に定期的に行われ、勝どきの「市場」としてすっかり定着しました。会場は大江戸線勝どき駅A4a出口の真上に広がる、月島第二児童公園。周囲を高層ビル・マンションに囲まれた公園に白いテントがずらりと並び、ざわざわとしたマルシェの喧噪と子どもたちが遊ぶ声が響きます。


このイベントの主催は、勝どき西町会と三井不動産レジデンシャルが共同で発足した「太陽のマルシェ実行委員会」。勝どきエリアの開発にも関わっていた、実行委員の小原正士さんと青柳太士さんにお話を伺いました。
「はじめは広範囲の方々に来てもらい、勝どきエリアに住みたいと思ってもらえるよう、人が気軽に集まる場をつくりたいと思いました。それだけではなく、新旧住民の融合や新たなコミュニティづくりも目的にしていました」
当初はこの企画に、地元の商店街の方々が難色を示すということもあったそうですが、主旨に賛同した勝どき西町会会長の熱心なサポートもあり、実行委員会が設立されたことがはじまりだそう。
「勝どきはもともと歴史があり、人情あふれる古い街です。再開発にあたり防災・防犯の視点からも、若い世代の新しい住民のみなさんとも協力し、コミュニケーションをはからなければ本当に良い街づくりはできない。そういう想いは町会長さんと同じでした」
便利な立地で庶民的。子育て世代が住みたい街

取材日の出店数は96店、そのうちキッチンカーは14台。2日で1万5000人の来場があるという、都内で開かれる同様のイベントの中でも有数の規模。にもかかわらず、会場内にはどこかのんびりとした雰囲気が漂っています。それはカップルから初老のご夫婦、赤ちゃんを連れた家族まで、幅広い層の来場者が思い思いの過ごし方で、マルシェでのひと時を楽しんでいるからかもしれません。
勝どきに住む若い世代の方々にお話を聞いてみると……。
「今日は大阪に住む母とぶらっと散歩にきました。子どもが生まれたばかりなのですが、勝どきは子育て環境が整っていますよね。狭い範囲に何でもあって、病院や遊ぶ場所も多いし、歩道が広い! 庶民的な雰囲気が残っているところもいいですよね。マルシェでは無農薬野菜やオリーブ、ピザなどたくさん買いこんでしまいました」(男性 会社員 29歳)。



公園横の保育園に3人目の子どもを通わせているという働くママは、「この公園には毎日のように来ています。中央区の出生率は都内でも上位だと聞きましたが、子どもが3人いるママが多くてお友だちもいっぱい。マルシェがある日はいつものように公園で遊びながら全国のおいしいものが買えるし、子ども向けのワークショップや体験イベントもあって、楽しいですよね」(女性 歯科医院勤務 35歳)。
日野市から引っ越してきたばかりという子連れのママは、「毎日、子どもを自転車に乗せて港区の私立幼稚園に通わせています。それから浜松町へ出勤するので平日はバタバタですが、休日は地元の勝どきでゆっくり散歩をしたり、こうしてマルシェに遊びに来たり。勝どきは開発されて近代的になりましたが、海も見られますしのんびりとした空気感がいいんです。物価もほどほど、夜遅くまでやっているスーパーもたくさんあって便利ですよ」(女性 会社員 33歳)。


そんな若い子育て世代が行き交う中、黄色のポロシャツを着てチラシ配りをしているのは地元ボランティアの方々。年に1度、時間を延長して開かれる「ナイトマルシェ」の宣伝をしているのだとか。「ナイトマルシェが始まる前に、ゴミ集めもするんですよ!」と元気いっぱい。地元のために働く喜びからか、表情もいきいきとしています。
活気あふれるマルシェが、地元に根付くイベントへと成長

一方、出展者はといえば、全国から集まった生産者の店舗が7割を占め、こだわりの農産物や加工品を扱っています。例えば、「太陽のマルシェ」の名物、足立区の「ワタナベファーム」の平飼い卵。料亭などへの卸しが本業で「太陽のマルシェ」が初の小売りスペースということもあり、毎回行列ができる人気ぶりです。売り切れることも多く、地元の人は朝早くから新鮮な卵を求めて列をなすそう。「何度も来て、今日初めて買うことができました!」と、うれしそうに卵を持ち帰る人にも出会いました。


山梨県「新津ファーム」の新津雄大さんは、苗を育てる段階から「太陽のマルシェ」に来るお客さんを想像しているとか。
「ほかの農園の方々とは違うものを出したいのです。珍しいだけではなく、おいしくて安全なものを。この、山梨県の在来種のアンズ『甲州大実』で作ったジャムも珍しいんですよ。苗の育成からジャムの加工まで、すべて自分が手掛けています」
「素材が目を引く店ですよね。ディスプレイの仕方にもこだわりを感じました」というのは、群馬で無農薬野菜の宅配業を手掛ける会社の代表。熱心に新津さんの話に耳を傾けていました。
「山辺ワイナリー」は、長野県松本市にブドウ農園を持ち、食用ブドウからワインをつくる生産者。県外での販売は、通販をのぞけばこのマルシェだけ。人気の「2018ナイヤガラ」、「2018コンコード」といった銘柄を試飲販売していました。担当の小林さんは「このマルシェには、情報の発信と収集、両方の目的で出店しています」と言います。
「お客さんも出店者も意識が高い人が多いので勉強になりますね。顔を見て接客し、味見をしてもらうことで、どのような人が何を求めているか、皆さんの好みなど生の声を聞くことができます」
「どこから来たの?」「地元です。すぐそこですよ」「もう売り切れた?」「まだありますよ! 間に合ったね」など、昔ながらの商店街でよく聞くようなやりとりがあちらこちらで繰り広げられるのも、長く続くマルシェならでは。

最後に主催者の小原さんはこう語ってくれました。
「太陽のマルシェが、このように地域に根づくイベントに成長でき、外からもたくさんのお客さんが来てくださるようになったのも、町会長さんをはじめ、地元のみなさんのおかげです。勝どきには、温かく人柄の良い人がたくさん住んでいますから、マルシェをきっかけにぜひ一度勝どきを訪ねてみてください」
勝どきの魅力は、便利で快適、キレイに整った街並みというハード面だけではありません。時代の流れや人の流れを受け入れながらも、街を盛り上げ、住みやすくしていこうという、古くからの住民のみなさんの支えも大きいのかもしれません。

■イベントデータ
「太陽のマルシェ」
開催日時:毎月第2土曜・日曜の10時~17時(1〜3月と10〜12月は16時閉場)
※荒天の場合は中止、次回開催は9月14、15日を予定
開催地:東京都中央区勝どき1-9-8(月島第二児童公園)
アクセス:都営地下鉄大江戸線勝どき駅出口A4a、A4bから徒歩すぐ
問合せ:info@timealive.jp(太陽のマルシェ事務局)
主催:太陽のマルシェ実行委員会
後援:中央区
協賛:三井不動産レジデンシャル株式会社
協力:勝どき・豊海連合町会


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