
【八事】エリアによって表情が変わる、子育て世帯にぴったりの街
目次
名古屋を代表する高級住宅街「八事(やごと)」。一戸建ての大きな家が多い一方で、中京大学や南山大学などの学生も多く住んでおり、マンションも立ち並んでいます。
八事という名前の由来は、八つの坂が放射線上に伸びたところにできた街だからなのだとか。どこを見渡しても坂がたくさんあり、エリアごとに地形も雰囲気も違うようです。
街のあちこちにあるお店も、学生向けのリーズナブルな食堂からおでかけ気分を味わえるグルメなお店まで、シーンに合わせていろいろな選択肢が多いのが特徴。家族で休日を過ごすのにぴったりの場所が見つかります。
子育て世代もたくさん住んでいる八事の魅力を、歩きながらチェックしてみましょう。
【八事の基本情報】
駅名:名古屋市営地下鉄鶴舞線・名城線「八事」
ランドマーク:中京大学、天白川緑地
■電車でも車でも。名古屋市中心部へのアクセスが便利
名古屋の中心部から少し離れた郊外に位置する八事。しかし交通の便はよく、名古屋市の中心部まで電車でも車でも20分程度で到着します。
地下鉄鶴舞線は、オフィス街の伏見駅や丸の内駅、逆方面に乗れば豊田市まで一本で行くことができ、通勤に便利です。
7本の路線バスを使えば、地下鉄が通ってない天白区役所や、名古屋中心部の繫華街である今池・千種駅、名古屋鉄道の駅がある金山駅などにアクセスできます。
五叉路の八事交差点を中心に広がる八事の街は、八つの坂が放射線状に伸びています。アップダウンがあるため、車で移動する人が多いようです。
気軽に名古屋市の中心部に出られ、通勤にもお買い物にも困らない八事。この「ちょうどよさ」が愛されるポイントです。
■普段のお買い物にも困らない。暮らしの強力な味方が揃う街
八事は普段のお買い物にも便利な街です。
駅に直結している「イオン 八事店」には、スーパーに加えて飲食店や衣料品店、薬局などのさまざまな専門店が揃っています。
毎日の食卓にこだわりの食材を取り入れるなら、「八事フランテ」がぴったり。「旬・産直・安心・品揃え」をキーワードに、家族の健康を考えながら食材選びを楽しめます。駅から歩いて5分とアクセスも抜群です。
家族で暮らすなら、もしもの時に駆けつけられる医療機関があるかどうかもチェックしたいポイント。八事には、名古屋市東部で最大級の大型病院「名古屋第二赤十字病院」があります。
他にもさまざまな専門を持つ大小の医院が点在しており、いざというときに頼れる場所が多く安心です。
■街のあちこちで見つかる、グルメに愛される名店と憩いの場
八事には、グルメに愛されるお店もたくさん。駅を離れると落ち着いた住宅街が広がり、道路沿いには緑が多いので、散歩しながらおいしいお店を探すのにぴったりなんです。
八事のなかでも特に高級住宅街として知られる「雲雀ヶ岡(ひばりがおか)」方面にあるのが、「パンのトラ 八事店」。朝9時からたくさんのお客さんが集まっていました。
「食パン パンのトラ」(520円(税込))は、世界一売れた食パン(※)としてギネス登録を達成しているほどの人気ぶり。しっとりした食べ応え抜群の食パンです。
※2014年、安城店のオープン3周年イベントにて「パンのトラ」を販売。「24時間で最も販売した焼きたての食パン」として販売重量で1559.231kg(3941斤分)を売り上げギネス世界記録を達成。
人気商品は、「お!おいしいカレーパン」(190円(税込))。中はたっぷりの野菜と香辛料をじっくり煮込んだカレーが詰まっており、自家製パン粉を使ったサクサクのパンとの相性も抜群です。
パンを購入したらコーヒー無料のサービスもあるので、休日の朝ごはんを楽しむにもピッタリの場所です。
駅方面に戻ってみると、和風の建物が見えてきました。名古屋を代表する老舗和菓子店「両口屋是清 八事店」です。
手土産にぴったりの和菓子を購入できるほか、八事店ではイートインスペースが併設されていて季節の和菓子とお抹茶をいただけます。「抹茶・生菓子セット」(781円(税込)〜 生菓子の値段によって変動)で、ほっと一息。
エリアによって異なる表情を見せる八事。次は駅から南に向かってみました。家族で住みやすそうなマンションが多いエリアです。
途中ランチに立ち寄ったのは、元八事にある「つむぎ食堂」。駅から徒歩15分以上かかるので、車で来ているお客さんも多そうでした。
店内にはアメリカンレトロな小物がずらり。かわいらしさと落ち着きをあわせ持った空間です。
注文したのは、定番の「つむぎハンバーグプレート」(1,250円(税込))。ハンバーグには軟骨が入っているため、噛み応えがありながら、やわらかくてジューシーな風味を味わえます。
ハンバーグにかかっているのは、五平餅のくるみ味噌ソース。甘辛さとくるみの香ばしさで、ごはんが進みました。
お腹がいっぱいになったら、つむぎ食堂から歩いて10分弱の「天白川」へ。広々とした河川敷には、児童公園やジョギングコースがあり、年齢を問わず地元住民に愛されています。
■子育てするために引っ越したくなるほど、安心して暮らせる街
文教地区に指定されていて、閑静な住宅街が広がる八事。
「子育てにぴったり」「穏やかで住みやすい」と言われる街ですが、実際どのように暮らせるのかを聞いてみたいと思い、イベント・レンタルスペース「ヤゴトタマリバ」に足を運びました。
ヤゴトタマリバには、歯医者がプロデュースする健康志向のカフェ「ZENYA CAFE」が併設されています。セミナーが開催されたり、レンタルスペースとして活用されたりと、地域の人が気軽に集まれる空間です。
迎えてくださったのは、このスペースを運営している長谷川由紀子(はせがわ ゆきこ)さん。8年前に結婚を機に八事に住み始めた長谷川さんは、現在子育て真っ只中です。
▲左が「白タピオカソイミルクティー」(580円(税込))、右が「グリーンスムージー」(800円(税込))。どちらも健康を考えて甘さ控えめで飲みやすい
歯科医院で勤めながら、親子が健康になれる知識を広めたいと、ヤゴトタマリバの食育セミナーで講師をされています。
(以下、インタビュー。「」内は長谷川さん)
――ヤゴトタマリバには、どんな方がいらっしゃるのでしょうか?
「南山大学がすぐ近くにあるので大学生がよく前を通りますし、お子さんをベビーカーに乗せていらっしゃる方も多いです。ご年配の方々も、お仲間とカフェを使ってくださっています。さまざまな世代の方がいらっしゃるのは、八事らしいですね。」
▲店内にはキッズスペースが用意されているため、親子で安心して利用できる
――地域のつながりがある街なんですね。
「そうなんです。地域で顔の見える関係を築ける点が、治安の良さにつながっていると思います。私が住んでいるマンションでは、子どもが管理人さんに懐いていて子育てするにも安心感があります。」
――八事での子育てのしやすさは、治安の他にどのような点に感じますか?
「学校が多い点です。例えば大学だと、南山大学、中京大学、そしてヤゴトタマリバからは名古屋大学も近くて。幼稚園・保育園から大学まで教育環境が整っているので、子育てをするために八事に引っ越してくる方が多いんです。」
▲八事駅の近くにある「中京大学」
「あとは緑が多いので、子どもとのお散歩にぴったりです。名古屋大学の構内がわが家のお散歩コースなんですよ。少し足を伸ばせば『東山動植物園』に行けるので、休日も近隣に出かけることが多いですね。」
――心地よく過ごせそうな街であることが伝わってきました。
「そうなんです。緑も多くて、住むのにぴったりだなと思います。私はこれからも八事に長く住んでいきたいです。」
■八事が愛される理由は、自分に合った暮らしを選びやすい街だから
「高級住宅地」と聞いて、少し身構えながら降り立った八事の街。
実際に歩いてみると、エリアごとにかなり雰囲気が異なり、学生からシニア層までさまざまな世代の方が行き交っていて、表情の豊かさを実感しました。
印象的だったのは、八事でお会いしたどの方も街の魅力をたくさんお話しされ、口を揃えて「八事が好き」とおっしゃっていたこと。
誰もが気取らずにのびのびと、心地よく暮らしていることが伝わってくる街でした。


菊池百合子
編集者・ライター。2018年にフリーランスとして独立し、インタビュー記事を中心にWebメディアや雑誌で執筆している。首都圏で生まれ育ち、2018年に滋賀県長浜市に引っ越し。関心のあるテーマは「地域での暮らし」と「人生の選択肢」。
Twitter:https://twitter.com/kikuchi410