離婚時に残った住宅ローンはどう支払う?パターン別の対処法や注意点を解説

離婚する際、住宅ローンが残っている家を売却するには、家の名義は誰になっているのか、残債はいくらかなどを調べる必要があります。この記事では、離婚での家の売却時にトラブルがないよう、確認するべきポイントやパターン別の対処法、注意点について解説します。

目次
  1. 離婚時に残った住宅ローンはどうする?
  2. 離婚時の住宅ローンについて最初に確認するポイント
  3. 離婚後、住宅ローンが残った状態で住み続ける場合
  4. 離婚時、住宅ローンを完済し、家を売却する場合
  5. 必要に応じて住宅ローンの借り換えを検討しよう!
  6. 離婚時の住宅ローンが不安なら不動産会社に相談を
記事カテゴリ 売却 ローン
2023.12.12

離婚時に残った住宅ローンはどうする?

離婚を考えるとき、「持ち家をどうしよう?」「住宅ローンはどう対処しよう?」という風に悩む方は多いでしょう。家に住み続けるのか、売却するのか、住み続けるとしたらどちらが住み続けるのかによって、ローンの残りを誰が返済するかといった離婚時の話し合いの内容が異なります。

今回は離婚時の住宅ローンの扱いに悩んでいる方に向けて、さまざまな場合の住宅ローンの支払い方や注意点について解説します。

離婚時の住宅ローンについて最初に確認するポイント

離婚する際、家や住宅ローンの扱い方について取り決めるために、確認することがいくつかあります。詳しく見ていきましょう。

家の名義人

家の売却ができるのは登記上の名義人のみです。よって、売却を検討している場合は、家の名義人が誰なのかを明確にしておく必要があります。夫婦の共有名義で、マイホームを購入する方も多いため必ず確認しましょう。家の相続や、昔に購入したなどの理由で不動産の名義人が分からない場合には、法務局で登記簿謄本を取得することで確認できます。

●登記簿謄本に関する記事はこちら
登記簿謄本とは?記載内容や入手方法について解説!

離婚するミドル夫婦

残債額

住宅ローンの借り入れが継続している場合には、残債額を確認し、家の売却額がいくらであれば住宅ローンを完済できるかを確認しましょう。

住宅ローンの残債を確認する方法はいくつかあります。毎年、金融機関から送付される「残高証明書」や、住宅ローン契約時に渡される「返済予定表」、金融機関の窓口でも確認が可能です。またネットからいつでも残債を確認できる金融機関もあります。ただし、ネットバンキングやサービスへの登録が必要なことが一般的です。

住宅ローンの残債が家の売却額よりも少なく、利益が出る状態を「アンダーローン」といいます。一方で、「オーバーローン」とは、住宅ローン残債のほうが売却額よりも多く、家の売却額を全て充てても住宅ローンが完済できない状態です。

アンダーローンの場合、家の売却額で住宅ローンを完済し、残ったお金を夫婦で分配できます。しかしオーバーローンの場合は、売却額を充てても住宅ローンを完済できないため、不足分を手持ちの資金で補うか、アンダーローンになるまでの間、離婚後も住宅ローンを継続して支払わなければなりません。(詳しい対処法はこちらをご覧ください。)

このように、住宅ローンの残債によって家の売却後の対応が異なるため、住宅ローンの残債がいくらかを把握しておくことは重要です。

住宅ローン残債のイメージ

契約内容

離婚後の返済義務は基本的に債務者が負うため、住宅ローンの契約内容を確認し、債務者である名義人が誰かを明確にしましょう。なお、夫婦で借りる住宅ローンの契約は以下3つのケースが考えられます。

・夫婦のどちらかが債務者で、もう一方に債務負担がないケース
・夫婦のどちらかが債務者で、もう一方が連帯保証人となっているケース
・夫と妻、双方が連帯債務者となっているケース

支払い義務は住宅ローンの債務者にありますが、一方が住宅ローンの「連帯保証人である場合」と「連帯債務者である場合」とでは、住宅ローンの支払い義務の対象者が異なります。1つずつ見ていきましょう。

連帯保証人でも連帯債務者でもない場合
連帯保証人でも連帯債務者でもない場合は、住宅ローンを支払う義務は発生しません。マイナスの財産の場合は財産分与を請求できませんが、話し合いにより、もう一方が残債分として住宅ローン債務者へ支払うように取り決めることは可能です。

連帯保証人の場合
夫婦のうち一方が債務者、もう一方が連帯保証人となる「連帯保証型」でローン契約を結んだ場合、債務者だけでなく、連帯保証人も住宅ローンの残債を保証することになりますが、連帯保証人は、債務者が住宅ローンを返済できなくなった場合のみ、返済義務が発生します。また連帯保証人は、支払いを請求されたら拒否することはできません。

連帯債務者の場合
連帯債務とは、1つの債務に対して複数人が返済義務を負うことです。夫婦で「連帯債務型」の住宅ローンを契約していた場合は、お互いに同等の返済義務を負うことになります。

住宅ローンの連帯保証人署名

離婚後、住宅ローンが残った状態で住み続ける場合

離婚後、通勤や子どもの通学などの理由で、どちらかが住み続ける場合、家を離れる側に家の財産を配分します。配分するためには、不動産の価値を算出する必要があり、不動産会社へ査定を依頼しましょう。なおこの場合、アンダーローンかオーバーローンかで財産分与の方法が異なります。

アンダーローンの場合

家の売却額からローンの残積を引いた部分がプラスになるため、財産分与の対象となります。この場合、売却した際に想定される利益を2人で分けるというイメージです。一般的にそのまま住み続ける人が、売却利益の半額を家を離れる相手に支払います。

オーバーローンの場合

オーバーローンの場合は、残る住宅ローンの支払いについて、詳しく取り決めることが必要です。債務者が誰なのかによっても対応が異なります。例として夫が債務者の場合、以下のような対応が想定されます

夫が住む場合
基本的に夫がローンを支払い、妻はローンの契約内容や取り決めに従って毎月夫にお金を支払います。妻が親権を持つ場合、養育費と住宅ローン分の支払いを相殺することも考えられます。

妻が住む場合
夫が債務者であるため、引き続き夫が住宅ローンを支払うのが一般的です。夫が住む場合と同様にローンの契約内容や取り決めに従い、妻は夫に対してお金を支払います。このケースでは、夫がローンの支払いを滞納したときや手続きの際などに、トラブルが起こる可能性が高くなります。こうしたトラブルを防ぐためには借り換えを行い、住宅ローンの名義人を妻に変更するといった方法もあり、詳しくは後ほどご紹介します。

離婚届イメージ

離婚時、住宅ローンを完済し、家を売却する場合

離婚する際に住宅ローンの残債を一括返済して、家を売却するときも残債の状況によって対応が異なります。具体的に見ていきましょう。

アンダーローンの場合

売却額が住宅ローンの残債を上回るアンダーローンの場合、売却で得たお金で住宅ローンを一括返済し、余った金額を2名で分けることが可能です。また実際に家を売ることで、現金化されて持ち家の分の財産を分割しやすくなります。家の売却を行う前には、不動産会社に依頼して無料査定を受けましょう。

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オーバーローンの場合

売却額が住宅ローン残債を下回るオーバーローンが想定される場合、ローンを完済するには追加で資金の工面が必要です。オーバーローン状態であり、かつ、完済するためのまとまった自己資金が調達できない場合は、オーバーローンが解消されるまでの間、住宅ローンを支払い続ける方法が一般的です。

住宅ローンの支払いを継続することが困難である場合は、「任意売却」を検討するのも1つの手です。任意売却とは、債権者である金融機関側の了承を得て、ある程度所有者の希望条件で不動産売却を行う方法を指します。ただし、任意売却は、信用情報に登録されるため慎重に検討しましょう。信用情報に傷が付くと、次にローンを借りる際、審査に通りにくくなる恐れがあります。

●任意売却に関する記事はこちら
任意売却とは?住宅ローンの支払いが厳しくなったら知っておくべき基礎知識を解説

離婚と財産分与のイメージ

必要に応じて住宅ローンの借り換えを検討しよう!

借り換えとは、ほかの金融機関からお金を借りて、現在借りている金融機関に住宅ローンを完済し、新たに借りた銀行にローンを返済する方法です。現在契約している金融機関との契約内容を変更したい場合に行われます。

ただし税金や、手数料といった諸費用などのお金がかかるほか、金利が上がる可能性があります。また原則、現在住宅ローンを組んでいる銀行では、借り換えはできないことにも注意しましょう。借り換えを検討するとよい場合は以下のようなケースが考えられます。

・夫(妻)名義の住宅ローン残債がある家に妻(夫)が住む場合
・共有名義を解消する場合

離婚後そのまま住む人が、住宅ローンや不動産の名義を持っておいたほうが手間がかかりません。ただし住宅ローンの名義変更は金融機関に認められないことが多いため、この場合はローンの借り換えをして名義を変更する方法が一般的です。借り換えによる住宅ローンの名義変更は、夫婦の共有名義になっている場合や妻(夫)が住み続けるにもかかわらず夫(妻)の名義になっている場合などに利用されます。

住宅ローンの借り換え提案書

離婚時の住宅ローンが不安なら不動産会社に相談を

離婚時の住宅ローン残債を処理する際は、後の生活設計までしっかり考えて家を売却するのか、お互いの支払い分はどうするのかを決めましょう。

また、売却をする場合は不動産会社選びも大切です。住宅ローンが残っている状態での売却には悩みや不安が付きものですが、プロに家の売却を任せることで負担が少なくなりますよ。依頼する不動産会社は、類似物件の売却に強いか、実績は豊富か、物件のあるエリアに対応しているか、親身に相談に乗ってくれるかなどを判断材料に、安心して任せられる不動産会社を選んでくださいね。

家の売却を検討中なのであれば、まずは査定を受けてみましょう。離婚後の新たな生活を始めるための一歩となります。累積取引件数100万件以上の実績を持つ三井のリハウスでは、無料査定を行っています。ぜひお気軽に利用してみてくださいね。

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●離婚で家を売るタイミングに関する記事はこちら
離婚で家を売ることになったら?最適なタイミングや売却方法について詳しく解説

山本直彌

さくら事務所 マンション管理士。マンション管理士、管理業務主任者、マンション維持修繕技術者、宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士。マンション・ビル管理、不動産仲介、マンション管理コンサルタントなど、不動産の多岐にわたる業務に従事している。
https://www.sakurajimusyo.com/