Column / 2021 06,17

【家を売却するための攻略ガイド】税金や費用、売却の流れを解説

できるだけ高く、しかも早く売るためには、適切な「相場」をつかむことが大切といえます。家を売るときの相場の調べ方についてご紹介しましょう。相場を自分で調べる方法や、実際の売却価格が決まるポイントについて、分かりやすく解説します!

宮原裕徳

株式会社ラムチップ・パートナーズ 所長。税理士。日本のみならず、東南アジアも含めた不動産にかかわる会計・税務に精通している。法人や個人向けにの節税セミナーなども行っている。
https://www.miyatax.com/

家を売却するときの流れ7ステップ

住み替えや相続で家の売却を検討している人のなかには、「自分の家はどのくらいの価格で売れるのだろう?」と相場が知りたい人もいることでしょう。また、売却を決めたものの、「具体的にどうやって進めたらよいのだろう?」と方法が分からず、戸惑っている人もいるかもしれません。

今回は、売却時にかかる税金や費用、相場の調べ方、売却の流れといった家を売却するために必要な知識をお伝えします。

家の模型と売却中の看板

まず、家を売却する流れを把握しておきましょう。
一般的に、家の売却には大きく7つの流れがあり、3か月~1年ほど時間がかかります。最初に売却の流れやポイントを知っておくと、スムーズに家の売却に取り掛かることができますよ。

[ 1 ] 事前準備

事前準備として、まず「希望条件の整理」、次に「住宅ローンの残高確認」、続いて「必要書類の準備」を行いましょう。

希望条件については、売却価格はいくらにするか、いつまでに売りたいかについて、考えます。住宅ローンの残高を確認することは、売却した価格で残債を支払うためにも、最初に確認しておく必要があります。

そして、以下の必要書類を事前に用意します。

・登記済権利証
・間取り図と測量図(間取り図が分かるマンションのパンフレット)
・固定資産税評価証明書(固定資産税通知書)
・マンションの管理規約や使用細則など
・実印、印鑑証明
・身分証明書
・建築確認済証、検査済証
・地積測量図、境界確認書

地積測量図、境界確認書以外は、市町村の役所でそろえることができます。地積測量図、境界確認書は、測量士に相談し、準備します。

書類がそろったら、売却を仲介する不動産会社を探します。不動産会社が決まったら、どのくらいの価格で売却できるか、査定を依頼し、仲介してもらう不動産会社を決定します。

登記済権利証

[ 2 ] 査定

査定には「机上査定」と「訪問査定」の2種類があります。机上査定の場合は、基本情報だけで査定します。訪問査定の場合は、実際に現地で、家の状況や環境を調べ、より正確な査定額を提示してくれます。

売却価格の査定は数社に依頼するとよいでしょう。1社だけだと査定額が適正かどうか判断しずらいためです。

●不動産査定に関する記事はこちら
媒介とは?媒介契約の種類や選び方を紹介

[ 3 ] 媒介契約

査定が済んだら、納得がいく査定額を提示する不動産会社を選び、媒介(仲介)を依頼し、契約を結びます。
媒介契約とは、不動産の売買を行う際に必要な営業を不動産会社に依頼することです。媒介契約には以下の3つの種類があります。

・一般媒介契約:複数の不動産会社に依頼可能
・専任媒介契約:特定の不動産会社に依頼
・専属専任媒介契約:特定の不動産会社に依頼し、そこから紹介された相手のみ取引が可能

以上のような媒介契約のほか、不動産会社に直接不動産を「買取」してもらう方法もあります。

●媒介契約、買取に関する記事はこちら
媒介とは?媒介契約の種類や選び方を紹介

営業マンと中年夫婦

[ 4 ] 販売活動

仲介の契約が済んだら、いよいよ販売活動の開始です。不動産会社はサイトに情報を掲載したり、チラシで宣伝したりして広告を打ち、買主を探し始めます。

希望者から連絡があった場合は、内覧の予定を組みます。

内覧は住んでいる状態で行われるケースが多くあります。内覧の際の印象が買主の購買意欲に影響することがあるので、内覧の前日にはいつも以上に家を清潔にしておくことをおすすめします。

[ 5 ] 売買契約

買主が見つかったら、売買契約を結びます。
仲介する不動産会社から購入申込書を受け取り、契約内容を確認し、購買条件に納得したら、契約に進みます。

売主、買主の日程を調整し、契約日を決めましょう。契約日には、重要事項や契約書の説明、契約書への記名、そして捺印を行います。高額になる不動産の売買契約は、重要事項や契約書の内容が重要ですから、事前にしっかりと内容を確認しましょう。

なお、手付金は契約日に支払われるのが一般的です。

契約書

[ 6 ] 決済・引渡し

売却価格の残額の決済と引渡しは、売買契約後、1か月以内に行われます。

決済の方法には、銀行振込、あるいは現金での手渡しの2種類があります。事前に買主との間でどちらの方法で決済するかを決めておき、その方法に従って決済を行います。
大きな金額が支払われるために、決済と引渡しの手続きは不動産会社、あるいは銀行の一室で行われるのが一般的です。

当日は、売主、買主、仲介する不動産会社の担当者、司法書士が同席します。司法書士は、不動産の所有権移転登記や、また住宅ローンが完済していない場合は売主の抵当権抹消と買主の抵当権設定登記が行われますよ。

残額の支払いと登記が終わった段階で、物件を引渡します。

[ 7 ] 確定申告

家を売却して利益が出た場合、翌年は必ず確定申告を行い、納税する必要があります。確定申告を行うことで節税できたり、また、損失が出た場合は還付金を受けたりすることもできます。

PCと電卓を前にする女性

家の売却には税金や費用がかかる!

家を売却する際に、一体いくらぐらい費用がかかるのでしょうか?ここからは家の売却にかかる費用について見ていきましょう。

税金

家の売却には、印紙税、登録免許税、譲渡所得税・住民税がかかります。金額の目安を以下の表にまとめました。

税金 金額の目安 内容
印紙税 2万円~6万円 売買契約書に貼る印紙代
登録免許税 1000円/1物件 抵当権抹消にかかる税金
譲渡所得税・住民税 譲渡所得の14.21%~39.63% 譲渡益にかかる税金
(3000万円までは控除あり)

印紙代は、譲渡額によって変わります。なお、2022年3月31日までは軽減税率が適用されるため、印紙税は半額になり、金額は10000円~3万円になります。

不動産を売却して得た「譲渡所得」にかかかる税金は家の保有期間が5年以下の場合は39.63%、5年以上の場合は20.315%、10年以上になるとさらに安くなり、14.21%となります。

諸費用

家を売却する場合、以下のような諸費用がかかります。諸費用の目安を以下の表にまとめました。

諸費用 金額の目安 内容
仲介手数料 (売却価格×3%)+6万円×消費税(上限額) 不動産会社への報酬
司法書士への報酬 4万円前後 登記を依頼した司法書士への報酬(調査費・登録免許税含む)
抵当権抹消費用 2万円程度 抵当権を抹消する際にかかる費用
ローン返済手数料 2万円程度(各金融機関によって異なる) ローンを繰上返済するための手数料
引越し費用 人によって異なる 引越しのための費用

仲介手数料の上限額は法律で決まっています。そのため、それ以上の仲介報酬を求められることはありません。

●不動産売却の費用に関する記事はこちら
不動産売却にかかる税金はいくら?必要な費用の計算や節税対策をご紹介

売却価格は何で決まる?

この家はいくらくらいで売れそうかという相場に基づく売値を「売り出し価格」というのに対して、実際に売れた価格を「売却価格」といいます。
売却価格はなるべく高いほうが売り手にとっては嬉しいものです。売却価格は何で決まるのでしょうか?売却価格を決める要素を見ていきましょう。

住宅街

建物のコンディション

売却価格は建物のコンディションで大きく左右されます。たとえば、外壁のヒビ・雨漏りの有無、設備の経過年数・使用状態、排水などの臭い、備え付けの家具・クロス・フローリングの傷み具合などもポイントです。

また、購入希望者に「建物の耐震強度について知りたい」といわれることもあるので、売却前に耐震診断を受けておくのもおすすめです。耐震診断の結果によっては、売却価格を下げる、あるいは耐震補強工事を行うといった対策が必要になるかもしれません。

敷地の価値

販売価格を決めるもう1つの要素に、敷地の価値があります。家が建っている敷地は、広さのほかにも次のような査定ポイントがあります。

敷地の査定ポイント
敷地の形状 正方形に近いか、斜面はないか
敷地の境界 隣の敷地との境界は曖昧になっていないか
越境物 塀や植え込みなど隣家からの越境物はないか
接道幅員(せつどうふくいん) 敷地に面する道路の幅が何メートルあるか
環境 日当たりの具合、付近に高圧線はないか
地盤の状態 建物の傾きや地盤沈下はないか
インフラ 上下水道、ガスの状況
管理状況 庭の手入れ具合、ゴミ置き場や駐輪場の状況

周辺の状態

周辺の騒音・臭い、公共交通機関や買い物できる場所までのアクセス、地域のゴミ置き場が近くはないかなど、周辺環境のよさも大切なポイントです。
同じ広さや間取りの建物でも、理想的な環境に建っている方が売却価格は高くなるでしょう。

大切な家を手放すなら、納得のいく価格で売却したいものですね。とはいえ、あまりに高い売り出し価格を付けてしまうと、なかなか買い手が決まらない可能性があります。

できるだけ高く、しかも早く売るためには、適切な「相場」をつかむことが大切です。
相場を調べるときは、売却する物件と広さや環境が似た条件で近くの物件を調べてみることをおすすめします。
ここからは都市の平均売却価格と、相場の調べ方についてご紹介しましょう。

パソコンを触る男性とその家族

都市の平均売却価格は2000万円~4000万円程度

都市部の平均売却価格はどのくらいなのでしょうか?もし自分の家が都市部にある場合は、都市部の平均相場を知ることで、自分の家の売却価格の目安にすることができます。

公益財団不動産流通推進センター※1の調査によると、東京都の一戸建ての平均価格は4000万円台、神奈川県が3000万円台、千葉県、埼玉県が2000万円台となっており、首都圏の平均が3500万円程度となっています。

また、大阪府、兵庫県を中心とする近畿圏の平均価格は2000万円台です。

家の相場を調べる方法

家の販売価格の相場を調べる方法は、以下の5つがあります。詳しく見て行きましょう。

[ 1 ] レインズ マーケット インフォメーション
国土交通省指定の公益法人・不動産流通機構が、全国の不動産の取引情報を提供しているオンラインシステムです。
最寄り駅、駅からの距離、土地面積、建物面積といった詳しい条件からの絞り込み検索で、自分の家に近い物件の成約価格(実際に売買が行われた物件の価格)を無料で閲覧することができます。
http://www.contract.reins.or.jp/search/displayAreaConditionBLogic.do

[ 2 ] 土地総合情報システム
国土交通省が運営するサイトです。
「不動産取引価格情報検索」を使うと、各地域で実際に行われた不動産の取引事例を知ることができます。お住まいのエリアの取引情報を検索してみましょう。
https://www.land.mlit.go.jp/webland/

[ 3 ] 不動産会社サイト
不動産会社サイトには、売り出し中の物件情報がたくさん掲載されています。これらの中から、マイホームに似た物件情報を探してみましょう。
ただし、物件についている価格はあくまで「売り出し価格(売主が希望する価格)」であり、実際に取引された「成約価格」ではありません。通常は、買主との間で価格交渉が行われるので、成約価格は売り出し価格より低くなる場合が多いと心得ておきましょう。

●不動産会社サイトはこちら
三井のリハウス

[ 4 ] 不動産一括査定サイト
不動産会社で査定を受けてみるのも、売却相場を知る1つの方法です。
不動産一括査定サイトを利用すれば、土地・建物の住所、面積、建物の間取り、築年数などの情報をもとに、複数の不動産会社が売り出し価格を査定してくれます。

また、査定してもらう際は、おおまかな情報に基づく「机上査定」ではなく、土地・建物を実際に見てもらう「訪問査定」がおすすめです。
訪問査定であれば、たとえば、建物の外壁にヒビが入っている、雨漏りが生じているといった、机上査定では分からない部分までチェックしたうえで、適切な売り出し価格を判断してもらえます。

[ 5 ] チラシやインターネット広告など
自宅のポストに投函されるチラシや、不動産業者が公開している売り出し中の物件情報も、売却相場の参考になります。
ただし、この場合も不動産ポータルサイトと同じく、ついている価格は売り出し価格であり、実際の成約価格ではないことに注意してください。

以上が、売却相場を調べる5つの方法です。
この方法で分かる成約価格や売り出し価格は、「建物+その建物が建っている土地」の総額であることにも注意して、相場をチェックしてみてくださいね。

土地の相場を調べる方法

家の売り出し価格は建物だけでなく、「建物+その建物が建っている土地」の総額で決まります。同じ市内でも土地が高いエリアなら、マンションや家の価格に差が出ることもあるでしょう。

ですから、お住まいの土地にはどのくらい価値があるのか調べてみるのも、より適正な相場をつかむにはよい方法といえます。土地の売却相場は、次の3つの観点から調べることができます。

虫眼鏡と模型の家

[ 1 ] 地価公示価格
公示価格とは、不動産鑑定士2人以上が現地を調査して算出される「土地の正常な価格」のことです。国土交通省ホームページで確認ができます。

[ 2 ] 路線価
路線価とは、その地域の道路に面する宅地(家を建てられる土地)1平方メートルあたりについて、毎年国税庁が発表している価格のことです。
毎年7月に、1月1日時点の路線価が発表されることになっており、国税庁のホームページ※2で閲覧することができます。

[ 3 ] 固定資産税評価額
固定資産税評価額とは、不動産に課される「固定資産税」を計算する際の基準となる、土地の価格のことです。自治体から毎年送られてくる納税通知書の中の「課税明細書」を確認すると、「価格」「評価額」などとして記載されています。

この評価額は、実際の相場より少し安く設定されているので、「固定資産税評価額 ÷ 0.7」として概算の相場を求めます。

シチュエーション別、売却成功のポイント

家の売却を成功させるには、シチュエーションごとのポイントがあります。新しい家に住み替えるケースもあれば、離婚で家を売却するケース、あるいは住宅ローンの支払いが残っている家を売却するケース、または相続した家を売却するケースもあります。
ここからは、シチュエーション別に売却のポイントをお伝えします。

家の模型

買い替えの場合

家を新たに買い、住み替える場合は、「売却先行」と「購入先行」の2つの方法があります。

初めて家を買い替える人は、資金計画が立てやすい売却先行をおすすめします。先に家を売却するとまとまった資金ができるため、購入計画が立てやすくなり、資金を新居の購入資金にあてることができますよ。

●家の買い替えに関する記事はこちら
【住み替えを考え始めたら】流れや住宅ローンの不安を解決!

離婚に伴う売却の場合

離婚が理由で売却する場合は、共有の財産を分配する財産分与を行います。家やマンションなどの共有財産がある場合は、売却して現金を分け合う方法があります。
ただし、住宅ローンが残っている場合は、売却することは不可能です。そのときは、今後、ローンをどう払っていくか、2人で話し合う必要があります。

●離婚にともなう財産分与に関する記事はこちら
離婚にともなう財産分与…家や住宅ローンはどうなるの?

ローンの支払いが滞っている場合

住宅ローンの支払いが困難で家を売却するには、「競売」と「任意売却」という2つの方法があります。
競売には、相場よりも安い金額で売買される傾向があります。一方の任意売却には、相場に近い価格で売却できる傾向があります。
どちらの場合であっても、債権者の承諾が必要です。債権者に承諾してもらうには、ローンの支払いが困難だと感じたら、できるだけ早めに相談するとよいでしょう。

●住宅ローンの滞納に関する記事はこちら
住宅ローンを払えない人が増えている?ローン返済できない場合の対処法

家を相続した場合

相続した家が不要な場合は売却をおすすめします。
空き家を放置しておくと固定資産税がかかり、近隣トラブルの原因にもなりかねません。相続した家を売却するときは、相続登記(名義変更)が必要になります。
名義変更には時間がかかるため、早めに手続きを行いましょう。

●不動産の相続に関する記事はこちら
不動産を相続することになったら?手続きの流れとよくある疑問を解説

事前準備でスムーズな売却を!

握手をするビジネスマンと家の模型

家の売却をスムーズに行うためには、いくつかのポイントがあります。
まず、頼れる不動産会社を選ぶことです。どの不動産会社を選ぶかによって家の査定額も変わってきます。複数の会社に査定を依頼し、査定額を比較することをおすすめします。そして、充分に納得がいき、信頼できる不動産会社を選択するとよいでしょう。

また、売却をスムーズにすすめるには、希望額や売却期限などを設定し、必要書類をそろえておくことも必要です。

これまでお伝えした手順を抑え、しっかり事前準備を行い、希望に沿った家の売却を実現してくださいね!

※1 出典:成約物件平均価格,不動産流通機構
https://www.retpc.jp/wp-content/uploads/toukei/202003/202003_3ryutsu.pdf
(最終確認:2021年5月11日)

※2 出典:路線価図・評価倍率表:国税庁
https://www.rosenka.nta.go.jp/
(最終確認:2021年5月11日)

この記事のポイント<Q&A>

  • Q家を売却するとどんな費用がかかる? A印紙税、登録免許税、譲渡所得税・住民税などの税金のほか、不動産会社への手数料、司法書士への報酬、抵当権抹消費用などがかかります。詳しくはこちらをご覧ください。
  • Q家の売却相場の調べ方は? A家の売却相場の情報を掲載したサイトで調べるほかいくつかの方法があります。詳しくはこちらをご覧ください。
  • Q家を売却するときの流れは? A「事前準備」「査定」「媒介契約」「販売活動」「売買契約」「決済・引渡し」「確定申告」の7つのステップで行います。詳しくはこちらをご覧ください。