マンション査定の価格算出方法は?査定前にやるべきことも解説

マンション査定をするときには、売却への段階に応じてAI査定から訪問査定までを使い分ける必要があります。今回は、査定に必要な書類や相場の調べ方、査定後にマンションを売却する場合の注意点も併せて解説します。

目次
  1. マンション査定とは?
  2. マンション査定額の算出方法
  3. マンション価格の査定前に準備しておくこと
  4. マンションの価格を査定する際の注意点
  5. マンション査定を依頼し、納得のいく売却につなげよう!
記事カテゴリ 売却 マンション
2023.11.20

マンション査定とは?

不動産会社が行うマンション査定とは、推定売却価格をさまざまな要素から算出することです。マンション売却後の資金計画を立てたり、媒介契約を結ぶ不動産会社を決めたりするうえで、査定額(査定価格)を出すことは必須といえます。

マンション査定には、大きく分けてAI査定・簡易査定(机上査定)・訪問査定の3種類があり、用途や目的に合わせて自分に合った査定方法を選ぶことが大切です。それぞれの査定方法について、以下で詳しくご紹介します。

査定に出すマンション

AI査定

AI査定とは、AI(人工知能)が不動産会社の取引事例やレインズの成約事例をもとに査定額を算出する査定方法です。物件の住所や間取り、築年数といった基本情報を入力すると、過去の類似した事例を基にAIが査定額を算出します。取引実績が豊富な不動産会社ほどデータが多く蓄積されているため、より高精度の価格が出やすいという特徴があります。

また、マンションの場合は類似物件や似た間取りが多く、物件ごとの程度の差が少ないので、過去のデータを参照するAI査定と相性がよいとされ、特に都市部では類似物件の多さから精度が高い傾向があります。

AI査定は、不動産会社とやりとりをする必要がなく手軽に受けられるため、マンション売却に興味がある方におすすめです。一方で、物件個別の事情は考慮されていないため、後々ご紹介する簡易査定や訪問査定に比べて査定の精度が高くない点に注意しましょう。

マンション査定のイメージ

簡易査定

簡易査定では、不動産会社の営業担当者が間取りや築年数、立地などの基本データや、過去の取引事例、路線価や公示価格を用いて査定額を算出します。数日以内に査定額が分かることが一般的で、基本データや過去の取引事例を参考にするという点ではAI査定と共通していますが、簡易査定では人が査定を行うため、マンションと対照的に物件による違いが大きい一戸建ての査定にも対応しています。

以上からAI査定と比べて査定の精度が高い傾向にありますが、直接物件や周辺環境を見て査定を行うわけではないので訪問査定と比べて精度は下がります。また簡易査定では、不動産会社を自宅に招く必要がないため、マンションの売却を検討し始めた方におすすめの査定方法です。

訪問査定

訪問査定とは、不動産会社の営業担当者が実際に物件へ足を運び行う査定方法で、机上のデータだけでは知り得ない周辺環境や物件の特性を踏まえて査定額が算出されます。従ってAI査定・簡易査定と比較して精度の高い結果が得られ、査定結果が出るまでは1週間程度を必要とするなど、マンションの売却を本格的に検討している方におすすめの査定方法です。

精度の高い訪問査定を受けることで、適切な売り出し価格を設定しやすくなるだけでなく、売却後の資金計画も立てやすくなります。そのため、マンションを売却する前には必ず訪問査定を受けましょう。

マンションの訪問査定

マンション査定額の算出方法

マンション査定ではどのようにして査定額が算出されているのでしょうか?次に、マンションの査定方法を3つご紹介します。

取引事例比較法

取引事例比較法とは、物件の条件や特徴、類似する地域の成約価格を参考に価格が算出される方法を指します。似た条件の取引事例が多いほど高精度な不動産価格を算出できるため、一戸建てに比べて間取りや条件にそれほど差がないマンションや土地の価格を算出する際に利用されます。

収益還元法

収益還元法は、不動産から将来的に生み出されるであろう収益をもとに査定価格を算出する査定方法です。主に、投資用マンションの査定に用いられる場合が多く、不動産の経済的な価値に焦点を当てている点が特徴です。収益還元法の算出方法は直接還元法とDCF法の2つに分けられます。

直接還元法
直接還元法とは、対象の不動産を一定期間運用することで得られる利益を、還元利回りで割って算出する方法です。ここでの利益とは、賃料といった収益から経費を差し引いた純利益のことで、通常1年単位で求めます。

また、還元利回りとはキャップレートとも呼ばれ、投資に対する一定期間(通常1年間)の利回りの比率です。

DCF法
DCF(ディスカウントキャッシュフロー法)とは、将来不動産から得られるであろう利益と、その不動産の予想売却額を現在の価値に割り引いて計算する方法です。不動産査定だけでなく、企業価値診断といったシーンでも用いられます。

また、直接還元法と違い空室や家賃の値下げなどのリスクに対応した割引率を定めることができるので、直接還元法よりも高精度な価格予想が期待できます。

マンションと虫眼鏡

マンション価格の査定前に準備しておくこと

実際にマンション査定を依頼する際、スムーズな取引のために査定前に準備しておくとよいことがあります。査定の前に準備するべきこと、やっておいたほうがよいことを事前に把握し、売却に備えましょう。

書類を準備する

マンション売却には、物件情報や所有関係を説明するための多くの書類が必要となります。以下の書類を事前に準備しておくことで、スムーズな査定や売却につながるでしょう。

・物件の間取り図
・登記済証(権利証)または登記識別情報
・マンションを購入したときに入手した重要事項説明書、売買契約書
・リフォーム履歴が分かる書類
・マンションのパンフレット

●不動産売却に必要な書類に関する記事はこちら
不動産の売却に必要な書類は?種類と取得方法をご紹介!

お金と家、電卓

マンションの相場を調べておく

査定額が妥当な価格であるかを見極めるため、自分で相場を調べておくことも大切です。相場の調べ方としては、不動産流通機構が運営しているレインズマーケットインフォメーションや、国土交通省が公表している土地総合情報システムを参考にするとよいでしょう。

レインズマーケットインフォメーションでは、実際に売買された物件の事例を調べられ、土地総合情報システムでは、不動産の取引価格に加えて地価も検索できます。どちらも「東京都港区赤坂」といったエリアを指定し、類似の条件を指定することでおおまかな相場が知れますよ。

●レインズマーケットインフォメーションはこちら
成約価格を基にした不動産取引情報提供サイト REINS Market Information

●土地総合情報システムはこちら
国土交通省 | 土地総合情報システム

●相場の調べ方に関する記事はこちら
不動産の相場価格はどれくらい?自分で相場を調べる方法を分かりやすく解説!

家と間取り図

できる限りの掃除をする

一般的に、査定では間取りや立地、設備といった諸条件が重視されるため、掃除を徹底したからといって査定評価が上がるとは限りません。しかし部屋を片付けておくことで、査定時だけでなく、内覧に進んだ場合、よい印象につながるため、基本的な掃除は済ませておくようにしましょう。

また売却前のリフォームは、慎重に検討しましょう。なぜなら、リフォーム費用を売り出し価格に上乗せできないことがあるだけでなく、買い手の希望に沿わないリフォームは、かえって買い手がつきにくくなることにもつながりかねないからです。

●査定額を決めるポイントに関する記事はこちら
家を査定するとき掃除は必要?査定額を決めるポイントを解説

住宅ローンの残債を確認する

売却前に住宅ローンを支払い終えていない方は、提示された査定額で完済できるかどうか判断するために、住宅ローンの残債を確認しておきましょう。

原則、不動産売却は住宅ローンを完済し、不動産に付いている抵当権を抹消しないと売却できません。抵当権とは、住宅ローンの返済が滞った際に、融資元の金融機関が担保にした不動産を売却することで優先的に弁済を受ける権利のことです。

住宅ローンの残債がある場合は、マンションの売却代金を充てて残債を一括返済しなければなりません。そのため、査定額が残債額を上回るかどうかチェックしておく必要があります。

●抵当権に関する記事はこちら
抵当権とは?基礎知識から抹消手続きまで分かりやすく解説

家とお金とローン

マンションの価格を査定する際の注意点

マンション査定を依頼する際、どのようなことに注意すればよいのでしょうか?動くお金が大きいため、納得のいく取引ができるように注意点を把握して正しい手順を踏みましょう。

自分に合った不動産会社を見つける

査定後、そのまま売却の仲介を依頼する可能性もあるため、査定の時点で不動産会社の丁寧さや誠実さを確認しておきましょう。なかには媒介契約を結ぶために相場価格からかけ離れた高額な査定額を提示する不動産会社もあるため、査定額の根拠を尋ねて、根拠のある回答が返ってくるかを確認することが大切です。

●信頼できる不動産会社の見つけ方に関する記事はこちら
不動産会社のよい選び方は?ポイントや注意点を解説

物件の情報は不動産会社にできるだけ詳細に伝える

マンション査定の際には、詳細な物件情報を不動産会社へ伝えることがポイントです。提供する情報が少ないと、精度の高い査定は難しいことに加え、適切な売り出し価格の設定ができません。売り出し価格が相場に見合っていないと売却の際に売れ残ってしまったり、損をしてしまったりする可能性があります。

また、瑕疵(かし)と呼ばれる住宅の欠陥がある場合は、不動産会社に必ず伝えるようにしましょう。瑕疵とは土地や建物に欠陥があることを指し、物理的な故障や汚染、法律的な制約、心理的影響が懸念される場合(いわゆる事故物件)がこれに当たります。売買契約後に瑕疵が見つかった場合、買主とのトラブルにつながる可能性があるため、事前に共有しておきましょう。

●瑕疵に関する記事はこちら
瑕疵担保責任とは?不動産売買前に知りたい情報を解説

リフォームをむやみに行わない

先ほども述べたように、リフォームを行った分、売却代金で回収できるとは限りません。ただし、水回りといった箇所のリフォームをすることにより、よい条件で売れる場合もあるため、リフォームを行う前に不動産会社に相談するのがおすすめです。

不動産会社の男性

マンション査定を依頼し、納得のいく売却につなげよう!

査定はマンション売却における重要な第一歩です。以上で述べたように、精度の高い査定額を知るためには、売主側で相場を把握しておくと安心といえます。

また、査定の段階でマンション売却の注意点を把握しておくことで、後の売却をスムーズに進めやすくなり、納得のいく売却につながるでしょう。

三井のリハウスでは、ご紹介したAI査定・簡易査定・訪問査定全てに対応しているほか、100万件以上の累計取引実績から得た豊富なデータや経験をもとに高精度な査定額をご提供しております。

また、地域に密着して展開しておりますので、一人ひとりに寄り添いながら不動産のプロが売却をサポートいたします。マンション売却をご検討の方は、この機会にぜひご活用してみてはいかがでしょうか?

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監修者:ファイナンシャル・プランナー 大石泉

株式会社NIE.Eカレッジ代表取締役。CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士などの資格を保有。住宅情報メディアの企画・編集などを経て独立し、現在ではライフプランやキャリアデザイン、資産形成等の研修や講座、個別コンサルティングを行っている。
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