マンション売却で手元に残る金額はいくら?手取り額の計算方法や税金、費用も解説

マンション売却において手元に残る金額を把握するには、不動産売却時に課税される税金や費用を計算する必要があります。この記事では、費用の計算方法に加え、手取り額を増やす方法や諸費用を節約する方法について解説します。

目次
  1. マンション売却の際に手元に残る金額をシミュレーションするには
  2. マンション売却にかかる手数料
  3. マンション売却にかかる税金
  4. 手元に残る金額の算出に必要なそのほかの費用
  5. 売却前のハウスクリーニング・リフォームは必要?
  6. マンション売却の手取り額を上げる方法は?
  7. マンション売却で手元に残る金額を増やそう!
記事カテゴリ 売却 費用 税金 マンション
2024.01.04

マンション売却の際に手元に残る金額をシミュレーションするには

マンションを売却する際、やはり気になるのは「売却にはどのような費用がかかるのか?」「売却後の手取り金額はどのくらいなのか?」といったお金のことでしょう。売却後の資金計画を立てるためにも、手元に残る金額をシミュレーションすることは大切です。売却後の手取り額は、「売却金額 - (手数料 + 税金 + そのほかの費用)」で計算できます。この記事では、売却にかかる諸費用や、手取り額を増やす方法について解説します。

マンション売却で手元に残ったお金

マンション売却にかかる手数料

マンション売却で手元に残る金額をシミュレーションする際は、いくつかの手数料を計算する必要があります。以下でそれぞれ見ていきましょう。

・仲介手数料
・司法書士への報酬費用(抵当権抹消手続き)
・住宅ローンを一括返済する場合の手数料

仲介手数料

不動産会社に仲介を依頼して、売買契約が成立したら、不動産会社に仲介手数料を支払います。不動産売却をした際の手数料は、宅建業法(宅地建物取引業法)で上限額が定められています。売却価格によって手数料の上限は異なるため以下の表をご参照ください。

マンションの売却価格手数料の上限
200万円以下売却価格(税抜) × 5% + 消費税
200万円超~400万円以下売却価格(税抜) × 4% + 2万円 + 消費税
400万円超売却価格(税抜) × 3% + 6万円 + 消費税

●仲介手数料について詳しくはこちら
仲介手数料の相場はいくら?決められた上限と計算方法を解説

司法書士への報酬費用(抵当権抹消手続き)

抵当権の抹消手続きは自分でも行えますが、専門家である司法書士に依頼するケースが一般的で、費用の相場は1.5万~2万円程度です。抵当権抹消手続きをするときは、税金を納める必要があり、自分で行う場合でも税金は発生します。税金については後ほど詳しくお伝えします。

なお抵当権とは、住宅ローンを組んだ債務者がローンを払えなくなった場合、債権者(金融機関)がローンを組んだ不動産を担保として弁済を受ける権利のことです。住宅ローンを完済し、抵当権を抹消しないと基本的には買主に引渡しができないため注意しましょう。

●抵当権について詳しくはこちら
抵当権とは?基礎知識から抹消手続きまで分かりやすく解説

住宅ローンを一括返済する場合の手数料

上記の抵当権を抹消するために住宅ローンを一括返済する場合、借入先の金融機関によっては手数料が発生します。無料の場合もありますが、1万~5万円程度かかるケースもあるため、自身が借り入れている金融機関の手数料をチェックししておきましょう。

住宅ローン

マンション売却にかかる税金

マンション売却で手元に残る金額を計算する場合は、税金も考慮しなければなりません。売却にかかる費用のなかで、税金は大きな割合を占めるためしっかり把握しておきましょう。具体的には、以下のような税金が挙げられます。

・印紙税
・登録免許税
・譲渡所得にかかる税(所得税 + 住民税 + 復興特別所得税)

印紙税

印紙税とは、売買契約書をはじめとした「課税文書」と呼ばれる書面にかかる税金です。書面に記載された契約金額によって税額は異なります。2024年3月31日までは軽減税率が適用され、成約価格が1,000万円を超え5,000万円以下であれば、印紙税は1万円です。ただし、2024年4月1日以降は通常の2万円を納める必要があります。そのほかの印紙税額については、以下の記事をご参照ください。

●印紙税について詳しくはこちら
不動産売却にかかる税金にはどんなものがある?計算方法と節税対策について解説

印紙税

登録免許税

不動産の売買、相続などによる所有権の移転・保存の登記、抵当権の設定・抹消を申請する場合、登録免許税を納める必要があります。登記・申請の内容によって登録免許税の税額は異なります。住宅ローンで購入した不動産を売却する場合は、抵当権の抹消登記が発生し、税額は土地、建物といった不動産1つにつき1,000円です。マンションを売却する場合は、建物と土地分を売ることになるので、基本的に2,000円を納めます。

譲渡所得にかかる税(所得税 + 住民税 + 復興特別所得税)

譲渡所得にかかる税とは、不動産の売却によって利益が出た場合に課税される税金のことで、「譲渡所得税」とも呼ばれます。譲渡所得にかかる税には所得税、住民税、復興特別所得税があり、復興特別所得税とは、東日本大震災の復興財源に充てられる税金です。2037年12月31日まで通常の所得税に上乗せされます。

所得税、住民税、復興特別所得税を足した合計の税率は、売却した不動産の所有期間が5年以下の場合、39.63%、5年を超える場合は、20.315%と定められています。

●譲渡所得について詳しくはこちら
長期譲渡所得とは?短期譲渡所得との違いや計算方法、税金を抑える方法について解説

なお、譲渡所得にかかる税は、以下の計算式で収支がプラスになった場合に課税されます。

「譲渡収入金額 – ( 取得費 + 譲渡費用 ) – 特別控除額」

そして譲渡所得にかかる税金の額は、上記の計算式で算出した金額に先ほどご紹介した税率をかけることで算出が可能です。

上記、計算方法での算出が面倒な場合は、以下のページから売却時の税金をシミュレーションしてみてくださいね。

●売却時にかかる税金のシミュレーションはこちら

譲渡所得にかかる税の算出

手元に残る金額の算出に必要なそのほかの費用

マンション売却にかかる費用は、税金や手数料のほかにもあります。そのほかの費用は以下の通りです。

・引越し費用
・証明書類発行費用

引越し費用

引越しにはおよそ10万~30万円かかるといわれています。ただし引越し費用は、時期や移動距離、荷物の量、業者によって異なるので、複数の業者に見積もりを依頼するのがおすすめです。

証明書類発行費用

売却契約時や住所、所有権変更の際には、印鑑証明書や住民票、固定資産評価証明書などの証明書類を用意する必要があります。取得するのにかかる費用はそれぞれ300~400円程度です。売却がスムーズに進むように、事前に必要書類を確認しておきましょう。

引越しにかかる費用

売却前のハウスクリーニング・リフォームは必要?

マンションの売却を検討している方のなかには、ハウスクリーニングを依頼すべきか悩んでいる方もいるのではないでしょうか?ハウスクリーニングは、不動産会社の査定額アップにつながるとは限りませんが、内覧希望者に対してよい印象を与える効果は期待できます。そのため、汚れが目立つ水回りのみ行うという風に、箇所を絞ることがおすすめです。

リフォームも同様に、慎重に検討する必要があります。リフォームした費用分を売却価格に上乗せできるとは限らないため、不動産会社に相談して決めましょう。

●ハウスクリーニングの相場について詳しくはこちら
ハウスクリーニングの目安の料金相場を依頼条件から解説

●マンションのリフォーム費用について詳しくはこちら
マンションリフォームの費用相場は?リフォームのポイントや注意点も併せて解説

ハウスクリーニングの様子

マンション売却の手取り額を上げる方法は?

マンション売却の手取り額を上げるには、「売却価格を上げる」「売却にかかる諸費用を抑える」という2種類の方法があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

売却価格を上げる方法

売却価格を上げる方法は以下の通りです。

・不動産会社と仲介で媒介契約を結ぶ
・売却のタイミングを考える

不動産会社と仲介で媒介契約を結ぶ
不動産会社に依頼して売却する方法には、主に仲介と買取があります。仲介とは、不動産会社が一般個人に対して販売活動を行い、売却を進めるものです。不動産の条件や市場の相場を踏まえたうえで、売主が売り出し価格を設定できるので、買取よりも高値で売れる傾向があります。対して買取は、不動産会社が売主から不動産を直接買い取るものです。不動産会社は、買い取った後にかかるリフォーム費用を差し引いて査定するため、成約価格は相場の6~8割程度になるのが一般的です。成約価格を重視したい方は、仲介での売却を検討してみるとよいでしょう。

売却のタイミングを考える
売却のタイミングは、マンションの購入需要が多くなる2~3月を目標に備えるのがベストといえます。2~3月は新学期や新卒入社のタイミングの時期で、引越す人が増える傾向があるためです。2~3月の売却を目指すなら11月頃には売却活動を始めるとよいでしょう。

仲介会社と売買契約した様子

売却にかかる諸費用を抑える方法

売却にかかる諸費用を抑えるには、以下の方法があります。

・3,000万円特別控除を利用する
・所有期間10年超軽減税率の特例を利用する
・必要書類を自分で用意する
・抵当権を自分で抹消する

3,000万円特別控除を利用する
住居用の不動産を売却する際、条件を満たせば「3,000万円特別控除」を利用でき、大幅に納税額を抑えられる可能性があります。3,000万円特別控除とは、売却時に利益が出た場合、諸条件を満たせば最大3,000万円までを譲渡所得から差し引くことができる制度です。条件を満たすことに加えて、確定申告をしなければ適用されないので注意しましょう。詳しくは以下の記事をご覧ください。

●3,000万円特別控除について詳しくはこちら
居住用財産の3,000万円控除とは?適用要件や必要書類も併せて解説!

所有期間10年超軽減税率の特例を利用する
所有期間10年超軽減税率の特例とは、所有期間が10年を超えている物件を売却する場合、条件を満たしていれば譲渡所得に課税される税金を減らせる制度です。3,000万円特別控除と併用でき、3,000万円を差し引いた譲渡益のうち6,000万円まで軽減税率が適用されます。

●所有期間10年超軽減税率の特例について詳しくはこちら
長期譲渡所得とは?短期譲渡所得との違いや計算方法、税金を抑える方法について解説

必要書類を自分で用意する
必要書類を自分で用意することで、司法書士への報酬費用を節約できます。書類は多岐にわたるため、不動産会社と相談しながら漏れのないように用意しましょう。必要書類は以下の記事でご紹介しています。

●不動産の売却に必要な書類について詳しくはこちら
不動産の売却に必要な書類は?種類と取得方法をご紹介!

抵当権を自分で抹消する
抵当権の抹消手続きも、司法書士に依頼すると報酬がかかりますが、自分で手続きを行うことで費用を抑えられます。以下の記事では、抵当権抹消手続きを自分で行う4つのステップをご紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

●抵当権抹消手続きを自分で行う方法についてはこちら
抵当権抹消手続きを自分で行う方法を4つのステップで解説!

税率の控除

マンション売却で手元に残る金額を増やそう!

ここまで、マンション売却にかかる税金や費用についてご紹介しました。手元に残る金額を増やすには、売却価格を上げる、諸費用を抑えるといった工夫のほか、いくらほど残りそうか事前に算出してみることも大切です。

売却を検討している場合は、三井のリハウスの無料査定をぜひご活用ください。100万件を超える豊富な取引実績を用いた精度の高い査定をご提供しています。

●三井のリハウス無料査定はこちら

●AI査定はこちら

また、三井のリハウスでは、売却前から売却後までの取引を支える「360°サポート」も行っています。初めての売却に不安やお悩みをお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。

●三井の360°サポートについてはこちら

監修者:ファイナンシャル・プランナー 大石泉

株式会社NIE.Eカレッジ代表取締役。CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士などの資格を保有。住宅情報メディアの企画・編集などを経て独立し、現在ではライフプランやキャリアデザイン、資産形成等の研修や講座、個別コンサルティングを行っている。
https://www.izumi-ohishi.co.jp/profile.html