住宅査定とは?スムーズに売却するためのコツやポイントをご紹介!

住宅の査定とは、家がどのくらいの価格で売却できるのかを見積もる行為です。査定の種類には「机上査定」と「訪問査定」があり、主に手軽さや査定結果の精度に違いがあります。今回は、査定の種類やスムーズに進めるコツをご紹介します。

目次
  1. 住宅の査定とは?
  2. 住宅の査定の種類
  3. 住宅の査定の評価ポイントとは?
  4. 住宅の査定前に準備することは?
  5. 査定の注意点
  6. 信頼できる不動産会社を見つけて売却をスムーズに!
記事カテゴリ 売却 一戸建て
2022.12.15

住宅の査定とは?

マンションや一戸建て住宅の売却、買い替えを検討する際に「いくらで売れるか?」ということが気になる人が多いのではないでしょうか?なかには「売却価格によって、売るかどうかを決めたい」と考える人もいることでしょう。

家をいくらで売れるのかの目安を知る際に役立つのが、「査定」です。査定とは、その物件に現在の市場でどれくらいの価値があるのかを見積もることを指します。

住宅の売り出し価格は、売主が査定額を参考にして決定するのが一般的です。売り出し価格は、物件への集客や成約を左右するものであり、住宅を買い替える場合は、いくらで売れるかによって新居の予算も変わってくるでしょう。売り出し価格が安過ぎても高過ぎても、不動産売却の成功から遠ざかってしまうことから、査定額は住宅を売却するうえで重要な指標となり、スタートラインとなる価格といえます。

査定にはいくつかの種類があるので、それぞれの違いを理解して正しく活用することをおすすめします。そこで今回は、住宅の査定について注意点も含めて解説します。

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住宅の査定の種類

不動産会社が行う査定には大きく分けて2つの種類があります。1つは机上査定、もう1つは訪問査定で、どちらも無料で依頼できます。それぞれの特徴を見ていきましょう。

机上査定

机上査定は、「簡易査定」とも呼ばれ、売主が提供した物件の情報のみで簡易的に査定額を算出する方法です。机上査定は電話やネットを通して行うことができ、不動産会社に出向く手間がかかりません。査定価格は数時間~数日程度で知らされることが一般的で、スピーディである点もメリットの1つです。

机上査定は、個別の不動産の状況を調査せずに査定額を算出するため、次に紹介する訪問査定と比較すると精度が低い傾向にあります。また、売主からの情報をもとに取引事例や市場動向などの過去のデータを参照して査定額を出すため、提供する情報量に応じても査定の精度が変わります。

インターネットを通して机上査定を行う場合は、複数のサイトに一気に依頼できる一括査定サイトよりも、各不動産会社のサイトのほうが、提供できる情報量が多くなる傾向があり、より精密な査定結果が期待できます。

以上のことから、机上査定は本格的に売却を始める前や、物件の売却相場を知りたい場合におすすめの査定方法です。

訪問査定

訪問査定は、不動産会社の担当者が実際の物件を訪れ、敷地や建物といった住宅全般の状況や周辺環境を確認したうえで査定額を算出する方法です。机上査定と比較すると、物件ごとの状況を考慮して判断されるため、市場価格としてより適正な価格が出される傾向にあります。査定結果が出るまでには数日から1週間程度かかります。

査定をしてもらうには、自身が物件を確認するために立ち会う必要がありますが、担当者と直接対面することで、疑問点を聞くことや担当者の対応を確認することができます。

まずは机上査定を行い、本格的に売却活動を始めたい人は訪問査定を行うことをおすすめします。

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住宅の査定の評価ポイントとは?

査定をする際、査定の評価に影響するポイントがいくつかあります。それぞれのポイントについて、査定時にどのような評価軸でチェックされるのかについて、詳しく見ていきましょう。

築年数

査定額は、住宅のうち特に建物の築年数によって変わってきます。一般的に建物は、構造部分をはじめとする建物本体や設備といった部分も築年数の経過とともに劣化が進むため、築年数を経るに従って査定額が低くなっていきます。

住宅の建物部分には、構造の種類によって異なる「法定耐用年数」が定められています。具体的には、木造なら22年、重量鉄骨造なら34年、鉄筋コンクリート造なら47年が法定耐用年数となります。法定耐用年数は、対象の資産が使用できる期間を国が類型的に定めた年数で、会計や税務上の処理に使う数値です。

法定耐用年数は、会計や税務上の処理だけなく、住宅の資産価値を算出するための参考として利用されますが、法定耐用年数を過ぎたからといってその資産を使用できなくなるわけではありません。

なお、建物の築年数に加えて、耐震性や防火性といった家の性能も、査定時の調査項目となります。

家の間取り 

間取りに関しては、一般的に以下の項目が調査対象になります。

・部屋数
・各部屋の広さと使いやすさ
・家事動線のよさ
・プライバシー確保の状況
・収納の充実性
・間取りの可変性など

家の内装や設備など

内装に関しては、主に以下の項目が調査されます。

・内装の劣化具合
・電気、ガス、水道などのインフラ設備の具合
・最新設備の有無
・雨漏りの有無
・シロアリ被害の有無
・修繕履歴の有無

なお、家の間取りや内装、設備などは、築年数に対してよほど劣化が激しくない限り査定に及ぼす影響は小さい部分です。

家の外装や外構など

建物の外観や庭の状態は訪問時の第一印象に大きく影響を与えるため、査定額を求める際に大きなポイントとなります。外装や外構などに関しては以下の項目が一般的に調査対象になります。

・外壁と屋根の塗装の剥がれ、破損・腐食箇所の有無
・家の傾き
・基礎の状態
・駐車場
・庭の状態(植栽、灯篭・池の有無)など

住宅環境

住宅の環境に関しては、一般的な調査対象は以下の通りです。

・日当たり
・風通し
・土地の面積と形状
・敷地と道路の関係
・隣地との境界の状況(杭・ピンの有無)

なお、リビングや主要な居室の窓が南向きで、近くに高いビルやマンションなどがなく日陰にならない住宅や、坂の上であってもその分眺望がよい住宅にはプラスの評価が付きやすくなります。

逆に、入口となる前面道路が狭くて車が入らない、道路幅は広くても敷地の間口が狭くて敷地内に車が入らない、といった場合は、査定額が低くなる傾向があります。

立地

住宅の立地も調査の重要なポイントになります。

・最寄り駅までの距離
・坂や踏切の有無
・幹線道路の有無
・生活に欠かせない施設まで距離
・最寄り駅の繁華性など
・通学の利便性と学区内の小中学校とその評判
・ごみ処理場や墓、臭気や騒音を発する工場などの嫌悪施設の有無

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住宅の査定前に準備することは?

基本的に査定を受けるにあたって特段準備の必要はありませんが、準備をしておくことでその後の流れがスムーズに進んだり、査定がより有意義なものになったりすることがあります。ここからは、査定前の準備についてご紹介します。

住宅ローンの残債を確認する

住宅ローンの残債がある場合は、売却時にその残債を一括返済して、土地や建物に設定されている抵当権を抹消する必要があります。売却額で残債を支払えるかどうか確認するためにも、残債をチェックしておくことが大切です。

残債の額を知っておかないと、住宅を最低いくらで売却すれば完済できるかが分かりません。売却額が残債を下回った場合は、ほかの金融機関や家族などから調達するか、自己資金を使って完済することになります。査定の前に残債がどのくらいあるかを調べて、住宅ローンの完済に必要な売却価格の最低額を確認しておきましょう。

書類を準備する

査定時には必ず用意しておくべき書類というものはありません。ただし、以下の書類は、売却を進めていくなかで必要になるため、手元にあれば早めにまとめておくと便利です。

・購入時の売買契約書や重要事項説明書
・新築時やリフォーム時の設計図
・購入時のパンフレット
・登記済証(権利証)または登記識別情報
・確定測量図/境界確認書(一戸建ての場合)

なお、確定測量図/境界確認書は、一般的に引渡し時に必要になる書類です。もし、ない場合は遅くとも、売買契約後、引渡し時までに測量と隣地所有者立ち会いのもと境界の確認を行い、土地家屋調査士や測量士に依頼して書類を用意する必要があります。

リフォームや修繕の履歴メモ

リフォームや修繕の工事を行ったことのある物件は、履歴を準備しておきましょう。リフォーム後、新築時と間取りが変わってしまっている、設備を最新のものに更新したといったリフォームの情報は、きちんと査定時に伝えておく必要があります。

また、シロアリ対策、外壁補修などの修繕を行った場合は、修繕の履歴を記録したものを用意しておき、査定時に担当者に伝えるようにしましょう。

不動産の売買では、リフォームの内容によっては査定額が上がることもあります。リフォームや修繕の状況は後々、買主に伝える必要があるため、あらかじめ履歴をそろえ、不動産会社に伝えておくと取引をスムーズに進めることが期待できます。

●売却の必要書類に関する記事はこちら
不動産の売却に必要な書類は?リストを見ながら計画的にそろえよう

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不動産価格査定とは?売却に向けた方法をご紹介

査定の注意点

次は、査定を依頼する際の注意点について見ていきましょう。

複数の不動産会社に依頼する

査定は1社ではなく、複数の不動産会社に依頼するようにします。査定額は各社採用するデータが少しずつ異なり、それぞれの経験をもとに算出されるため、査定額が異なります。そのため、複数の会社の査定額を比較することが大切です。1社だけに依頼すると、出された査定額が適正なものなのか判断が付きにくくなります。

査定は複数の不動産会社に依頼し、査定額を比較検討すると同時に、査定額の根拠を各社に尋ねることをおすすめします。質問をしながら、担当者の対応を見て、信頼できる不動産会社かどうかを判断することもできます。査定額の根拠を丁寧に説明できて、熱心に対応してくれ、売却実績のある不動産会社を選び、売却に向けた媒介契約を結ぶようにしましょう。

相場を調べておく

査定は不動産会社が行いますが、売り出し価格を決めるのは売主自身です。売り出し価格を決めるために、同じ地域で売却したい住宅と似たような条件の住宅がいくらで売り出されているか、相場を調べておきましょう。相場を調べないまま、自分の希望だけで売り出し価格を相場以上に高く設定してしまうと、買い手がなかなか見つからないということも考えられます。

相場を知るためには、インターネットで、近隣にある条件が似ている物件の売出価格を調べるようにします。国土交通省が公表している取引価格のデータを見て、近隣で似たような取引データがあれば、相場を把握することができます。 「不動産取引価格情報検索」を調べてみましょう。

●家の売却相場に関する記事はこちら
【家の売却ガイド】初めて不動産を売る人向けの基礎知識

整理されたダイニングリビングルーム

セールスポイントをまとめておく

物件のセールスポイントをまとめておき、査定に訪れた担当者に伝えるようにしましょう。たとえば、一戸建ての注文住宅なら、建設時にこだわったポイントを伝えます。また、眺望のよさや周辺環境の便利さなど、そこで生活している人でないと分からない点を伝えるようにします。暮らしやすさはセールスポイントになります。

マンションなら、管理のよさに加えて、駐輪場やごみ置き場、共用部分の使い勝手なども伝えるようにします。リフォームをしている場合は、リフォームの内容を伝えましょう。また、査定する担当者には、売却希望額と売却期間も併せて伝えておくとよいでしょう。

瑕疵(欠陥)があれば伝える

住宅の欠陥である瑕疵(かし)は査定額に影響しますが、査定額が下がることを恐れて瑕疵を隠すのではなく、査定時にしっかりと伝えることが大切です。契約後に瑕疵が分かると、契約不適合責任を問われる恐れがあります。修繕費や損害賠償の請求、売買金額の減額、あるいは契約解除などのリスクが存在します。住宅に瑕疵がある場合は、査定時に伝えることで、未然にトラブルを防ぐことができます。なお、瑕疵には、以下の4種類あります。

物理的瑕疵
雨漏りやシロアリ、耐震性の不足、土壌汚染など物理的な欠陥を意味します。

環境的瑕疵
近隣の騒音や振動、異臭、日照や眺望障害などの環境上の欠陥。また、ごみ焼却場や廃棄物処理施設、遊戯施設などのうち生活に影響を及ぼすものが近隣にある場合は、環境的瑕疵と見なされます。

心理的瑕疵
自殺や他殺などの事件があった住宅、または火災などの事故があった住宅など、俗にいう事故物件は、人に不安を与えるため、心理的瑕疵になります。

法的瑕疵
法律や条例によって利用が制限されるのが法的瑕疵です。建物を新築したときは適法であっても、現在の安全基準を満たしていない場合、また接道義務を満たしておらず、建物が新たに建てられない場合などが、法的瑕疵と見なされます。

なお、自分が気づかない瑕疵、知らない瑕疵は、「隠れた瑕疵」と呼びますが、契約後に発覚したのがたとえ「隠れた瑕疵」であったとしても、原則として売主が責任を負うことになります。

信頼できる不動産会社を見つけて売却をスムーズに!

住宅の売却の成功は不動産会社選びにかかっています。ここまで説明してきたように、よい不動産会社を選ぶためにも、査定を依頼する際は、複数の会社に依頼するようにしましょう。そして、査定額、担当者の姿勢や熱意などを比較しながら、信頼できる不動産会社を選んで媒介契約を結ぶようにしましょう。

売却するかどうか検討中の場合は、不動産の相場を先に調べてみるとよいでしょう。相場を知るために、まずは机上査定(無料査定)を受けてみましょう。三井のリハウスでは、通常の無料査定はもちろん、手軽に査定額が分かるAI査定のサービスもありますので、ご利用をおすすめします。

住宅の査定を行い安心できる不動産会社を選び、売却を成功させてくださいね。

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秋津智幸

不動産サポートオフィス 代表コンサルタント。公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士。物件の選び方や資金のことなど、不動産に関する多岐のサポートを行なう。