家を売るタイミングはいつ?不動産売却のベストな判断基準について解説

家を好条件で売るには売却のタイミングが重要です。今回は、「築年数」「税金」「市況」「金利」の観点から、不動産売却のベストなタイミングを見極めるポイントをお伝えします。売り時はいつなのか、一緒に確認していきましょう。

目次
  1. 今は家を売るタイミング?
  2. 家を売るタイミングを左右する要素
  3. 家を売るタイミングで活用できる控除
  4. 家を売るタイミングを見極めて売却を成功させよう!
記事カテゴリ 売却 マンション 一戸建て
2025.01.10

今は家を売るタイミング?

家を売るタイミングを見極める要素の1つに、不動産価格指数が挙げられます。不動産価格指数とは不動産価格の動向を指数化したデータのことであり、国土交通省が発表した令和6年8月分・季節調整値の不動産価格指数(住宅)(※1)によると、不動産価格は2013年頃より全体的に上昇傾向にあります。よって自身の所有している家の売却を検討している場合は、この上昇傾向が続いているうちに、家を売るという選択を検討してみるのがおすすめです。

今回は、家を売るベストタイミングについて、さまざまな観点から解説していきます。不動産の売却を検討している方や家を売るタイミングについて悩んでいる方、できるだけ高値で売却したい方は、ぜひ参考にしていただき、必要な知識を身に付けてくださいね。

●不動産価格指数について詳しい記事はこちら

家を売るタイミングについて相談に乗る不動産会社の担当者

家を売るタイミングを左右する要素

所有しているマンションや一戸建ての売却を検討しているものの、「売却に適したタイミングや条件が分からない」といった方も多いのではないでしょうか?家を売る際に考慮すべき要素は、主に以下の4点です。順番に解説していきます。

・築年数
・税金
・市況
・金利

築年数

住宅の価値は、築年数が経過するに伴い減少するため、一般的に築浅の物件ほど高く売れる傾向にあります。なお、マンションと一戸建ての場合では売却に適したタイミングが異なるため、ここからは築年数の観点から、それぞれに適した売却のタイミングについて解説していきます。

マンション
マンションの売却は、築25年以内がおすすめです。公益財団法人東日本不動産流通機構の「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2023年)」(※2)によると、中古マンションの築年数別平均価格は年数がたつにつれ徐々に下がる傾向にあり、特に築25年超はそれが顕著です。

一戸建て
一戸建てを売却する場合、築30年以内がおすすめです。公益財団法人東日本不動産流通機構の「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2023年)」(※2)によると、中古一戸建ての築年数別平均価格は年数がたつにつれ徐々に下がる傾向にあり、特に築30年超はそれが顕著です。

しかし、マンション・一戸建てに共通して、売れやすい築年帯というものがあります。2023年において成約率が最も高かった築年帯は、マンションで築41年以上、一戸建てにおいては築6年~10年の物件です。これは、年々、新築物件の専有面積が狭くなってきており、ある程度築年数が経過した物件の方が、費用に対して専有面積の広い物件を購入しやすいということが理由の1つとして考えられます。

不動産の模型とペンとグラフ

税金

不動産を売却したことで得られる所得(売却益)のことを譲渡所得といい、譲渡所得には一般的に譲渡所得税と呼ばれる所得税や住民税が課せられます。譲渡所得は、住んでいた家の所有期間によって2つに分けられ、売却した年の1月1日時点において家の所有期間が5年を超えていた場合は「長期譲渡所得」、5年以下の場合は「短期譲渡所得」となります。短期譲渡所得の税率は、長期譲渡所得の約2倍です。

細かい税率や期間の定義などは以下の記事をご覧ください。

●譲渡所得にまつわる税金について詳しい記事はこちら

市況

市況とは、市場で行われている不動産取引の状況のことです。不動産市況の動向を踏まえ、取引が活性化する季節や、相場が上昇しているタイミングで売り出すことが、好条件で家を売るコツとなります。以下では、市況を把握するうえでチェックしておくべき季節と相場についてご紹介しましょう。

季節
不動産取引が最も盛んな時期は2月~3月です。これは子どもの新学期や新年度(企業の決算期以降の人事異動)に伴う引越しが多いためと考えられています。加えて9月~10月も、企業の決算期の後、人事異動の機会が多くなることもあって取引が盛んです。このように需要の高まる季節を知っておき、これらの時期の1か月~2か月前に家を売りに出すことで、早期に買い手が付きやすくなるでしょう。

相場
売却価格の相場が上昇しているときは、家を売るタイミングの1つです。国土交通省が発表した不動産価格指数(※1)によると、2024年8月時点で、不動産の市場価格は上昇傾向にあります。特にマンションは、2010年の不動産価格指数が約100であるのに対し、2024年8月には約206にまで上昇しています。そのため現在自分の住まい、特にマンションの売却を考えている人にとっては、今がまさに売却を検討するよいタイミングといえるでしょう。

実際に家を売るときは、売却予定の物件の相場についても調べておきましょう。事前に相場を調べておくことで、売り出し価格の参考にすることができます。調べる際は、「REINS Market Information」「不動産情報ライブラリ」などを用いて調べてみるとよいでしょう。これらのサイトでは、実際の物件の取引相場を調べることができます。

●家の相場を知りたい方はこちら

●REINS Market Informationについて詳しくはこちら

●不動産情報ライブラリについて詳しくはこちら

家の売却イメージ

金利

金利とは、お金を借りた人が貸した人に対して支払う利息の割合のことです。金利には「変動金利」と「固定金利」の2種類があります。変動金利は銀行の金利のレートに合わせて、返済中でも利率が変わる金利であり、固定金利は、借入時から完済時まで利率が変わらない金利のことを指します。

住宅ローンの金利は、不動産需要に影響します。なぜなら、一般的に住宅ローンの金利が低いときのほうが返済の総支払額が少なくなるため、買い手の住宅購入に対するハードルが下がり、購買意欲の高まりにつながるからです。

なお、住宅ローンの金利は、固定金利および変動金利ともに徐々に上昇し始めています。日本銀行は2024年3月にマイナス金利の解除を決定して以降、緩やかに金利を上昇させる方向に方針を転換しており、金利は今後も上昇していくものと予想されます。

金利は上がり始めたものの、銀行の積極的な融資姿勢は変わっていないことから、2024年12月現在のところ価格に大きな影響は出ていません。ただし、さらに金利が急激に上昇してインフレが収まるようであれば、価格が下がる可能性はあります。そのため、家を売るタイミングを見極める際は、金利もチェックしておきましょう

家を売るタイミングで活用できる控除

先ほど譲渡所得税についてご紹介しましたが、譲渡所得税には利用できる控除や特例がいくつかあるため、併せて確認しておきましょう。具体的な控除や特例には、大きく以下の3種類が挙げられます。

・居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例
・被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例
・マイホームを売ったときの軽減税率の特例

それぞれについて見ていきましょう。

居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例

「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」は、不動産を売却したときの利益から最大3,000万円分の利益を、課税の対象から差し引くことができる特例です。この特例を受ける場合には、いくつかの適用条件があります。詳しくは以下の記事で解説しておりますのでご覧ください。

●居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例について詳しい記事はこちら

家の模型を持つ男女

被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例

相続した空き家を売却する場合は、適用条件を満たしていれば、「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」を受けることができます。この特例は、相続で取得した空き家を売却したときに得る譲渡所得の金額から、最高3,000万円までが控除される特例です。

適用条件については、以下の国税庁のサイトを確認しましょう。

●被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例について詳しくはこちら

マイホームを売ったときの軽減税率の特例

売却した年の1月1日時点において所有期間が10年を超える場合、「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」が適用されると、譲渡所得税の税率が、長期譲渡所得に課せられる税率20.315%(復興特別所得税を含む)より一部低く設定されます。具体的には以下の通りです。

・譲渡所得額の6,000万円以下の部分
譲渡所得税額=譲渡所得額×14.21%

・譲渡所得額が6,000万円を超える部分
譲渡所得税額=譲渡所得額×20.315%

●マイホームを売ったときの軽減税率の特例の要件について詳しくはこちら

なお、ご紹介した控除や特例は、いくつかの要件を満たすことに加えて、確定申告が必要です。このほかにもマイホームを買い替えたときの特例といったものもあるため、利用できる控除や特例を探してみましょう。

テレビを見る家族

家を売るタイミングを見極めて売却を成功させよう!

家を売るのであれば、より高く売りたいものです。しかし今回ご紹介したように、タイミングの違いによって、売却額に大きく差が生まれてしまうことがあります。納得できる売却につなげるためには、売却のベストタイミングをよく知ることと、信頼できる不動産会社を見つけることが大切です。

三井のリハウスでは、豊富な取引実績を生かし、市況を踏まえた最適な売却プランをご提案します。家の売却にお悩みの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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※1出典:不動産価格指数(令和6年8月・令和6年第2四半期分)を公表~不動産価格指数、住宅は前月比2.4%上昇、商業用は前期比1.5%上昇~,国土交通省 不動産・建設経済局不動産市場整備課
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/content/001845673.pdf
(最終確認:2024年12月23日)

※2出典:築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2023年)中古マンション成約物件、築40年超の比率は全体の18%,公益財団法人東日本不動産流通機構
http://www.reins.or.jp/
(最終確認:2024年12月23日)

不動産鑑定士 竹内英二

株式会社グロープロフィット代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士をはじめとしたさまざまな資格を保有。不動産の専門家として、不動産鑑定やコンテンツのライティングなども行なっている。
https://grow-profit.net/