家を売るタイミングはいつ?不動産売却のベストな判断基準について解説

家を好条件で売るには売却のタイミングが重要です。今回は、「築年数」「税金」「市況」「金利」の観点から、不動産売却のベストなタイミングを見極めるポイントをお伝えします。売り時はいつなのか、一緒に確認していきましょう。

目次
  1. 今は家を売るタイミング?
  2. 家を売るタイミングを左右する要素
  3. 家を売るタイミングで活用できる控除
  4. 家を売るタイミングを見極めて売却を成功させよう!
記事カテゴリ 売却 マンション 一戸建て
2024.03.01

今は家を売るタイミング?

家を売るタイミングを見極める要素の1つに、不動産価格指数が挙げられます。不動産価格指数とは不動産価格の動向を指数化したデータのことであり、国土交通省が発表した令和5年10月・第3四半期分の不動産価格指数(住宅)によると、不動産価格は2013年頃より全体的に上昇傾向にあります。※1よって自身の所有している家の売却を検討している場合は、この上昇傾向が続いているうちに、家を売るという選択肢を検討してみるのがおすすめです。

今回は、家を売るベストタイミングについて、さまざまな観点から解説していきます。不動産の売却を検討している方や家を売るタイミングについて悩んでいる方、できるだけ高値で売却したい方は、ぜひ参考にしていただき、必要な知識を身に付けてくださいね。

●不動産価格指数について詳しくはこちら
不動産価格指数とは?推移と見方を分かりやすく解説

家を売るタイミングについて相談をする女性と営業担当者

家を売るタイミングを左右する要素

所有しているマンションや一戸建ての売却を検討しているものの、「売却に適したタイミングや条件が分からない」といった方も多いのではないでしょうか?家を売る際に考慮すべき要素は、主に以下の4点です。順番に解説していきます。

・築年数
・税金
・市況
・金利

築年数

住宅の価値は、築年数が経過するに伴い減少するため、一般的に築浅の物件ほど高く売れる傾向にあります。なお、マンションと一戸建ての場合では売却に適したタイミングが異なるため、ここからは築年数の観点から、それぞれに適した売却のタイミングについて解説していきます。

マンション
マンションの売却は、築25年以内がおすすめです。東日本不動産流通機構の「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2022年)」※2によると、中古マンションの築年数別平均価格は年数がたつにつれ徐々に下がる傾向にあり、特に築25年超はそれが顕著です。

一戸建て
一戸建てを売却する場合、築30年以内がおすすめです。東日本不動産流通機構の「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2022年)」※2によると、中古戸建ての築年数別平均価格は年数がたつにつれ徐々に下がる傾向にあり、特に築30年超はそれが顕著です。

しかし、マンション・一戸建てに共通して、売れやすい築年数帯というものがあります。東日本不動産流通機構によると、2021〜2022年における新規登録(新たに売りに出す物件)に対する成約率は、マンション・一戸建てを問わず築6~10年の物件が最も高い結果となっています。※2これは設備・内外装の状態が新築とほとんど遜色ないためです。また、近年は新築物件の専有面積が年々狭くなってきており、築浅物件の方が広めの専有面積の物件を購入しやすいことも築浅物件が高値で売却されている理由です。

不動産の模型とペンとグラフ

税金

不動産を売却したことで得られる所得(売却益)のことを譲渡所得といい、譲渡所得には一般的に譲渡所得税と呼ばれる所得税や住民税が課せられます。譲渡所得は、住んでいた家の所有期間によって2つに分けられ、売却した年の1月1日時点において家の所有期間が5年を超えていた場合は「長期譲渡所得」、5年以下の場合は「短期譲渡所得」となります。長期譲渡所得の税率は、短期譲渡所得の約2倍です。

細かい税率や期間の定義などは以下の記事をご覧ください。

●譲渡所得にまつわる税金について詳しくはこちら
長期譲渡所得とは?短期譲渡所得との違いや計算方法、税金を抑える方法について解説

市況

市況とは、市場で行われている不動産取引の状況のことです。不動産市況の動向を踏まえ、取引が活性化する季節や、相場が上昇しているタイミングで売り出すことが、好条件で家を売るコツとなります。以下では、市況を把握するうえでチェックしておくべき季節と相場についてご紹介しましょう。

季節
不動産取引が最も盛んな時期は2~3月です。これは子どもの新学期や新年度(企業の決算期以降の人事異動)に伴う引越しが多いためと考えられています。加えて9~10月も、企業の決算期の後、人事異動の機会が多くなることもあって取引が盛んです。このように需要の高まる季節を知っておき、これらの時期の1~2か月前に家を売りに出すことで、早期に買い手が付きやすくなるでしょう。

相場
売却価格の相場が上昇しているときは、家を売るタイミングの1つです。国土交通省が発表した不動産価格指数によると、2023年10月時点で、不動産の市場価格は上昇傾向にあります。※1特にマンションは、2010年の不動産の価格指数が100であるのに対し、2023年10月には約190まで上昇しています。そのため現在自分の住まい、特にマンションの売却を考えている人にとっては、今がまさに売却を検討するよいタイミングといえるでしょう。

実際に家を売るときは、自分で売却予定の物件の相場についても調べておきましょう。事前に相場を調べておくことで、売り出し価格の参考にすることができます。調べる際は、「レインズマーケットインフォメーション」「土地総合情報システム」などを用いて調べてみるとよいでしょう。これらのサイトでは、実際の物件の取引相場を調べることができます。

●自分の家の相場を知りたい人はこちら

●レインズマーケットインフォメーションについて詳しくはこちら
成約価格を基にした不動産取引情報提供サイト REINS Market Information

●土地総合情報システムについて詳しくはこちら
国土交通省 | 土地総合情報システム

段ボールとガムテープ

金利

金利とは、お金を借りた人が貸した人に対して支払う利息の割合のことです。金利には変動金利と固定金利の2種類があります。変動金利は銀行の金利のレートに合わせて、返済中でも利率が変わる金利であり、固定金利は、借入時から完済時まで利率が変わらない金利のことを指します。

住宅ローンの金利は、不動産需要に影響します。なぜなら、一般的に住宅ローンの金利が低いときのほうが返済の総支払額が少なくなるため、買い手の住宅購入に対するハードルが下がり、購買意欲の高まりにつながるからです。

なお、住宅ローンの固定金利は既に徐々に上昇し始めています。日本銀行による2022年12月の金融政策決定会合では、長期金利の変動幅を0.25%から0.5%に上昇させ、2023年7月の同会合で、長期金利の上限の目途は 1.0%としたことで、既に固定金利は上昇し始めました。

固定金利は上がり始めたものの、2024年2月現在のところ価格に大きな影響は出ていません。ただし、さらに金利が上昇してインフレが収まるようであれば、価格が下がる可能性はあります。そのため、家を売るタイミングを見極める際は、金利もチェックしておきましょう

マンション模型と電卓

家を売るタイミングで活用できる控除

先ほど譲渡所得税についてご紹介しましたが、譲渡所得税には利用できる控除や特例がいくつかあるため、併せて確認しておきましょう。それらを適切に用いることで、家の売却をお得に行うことができますよ。具体的な控除や特例には、大きく以下の3種類が挙げられます。

・3,000万円の特別控除
・空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例
・マイホームの軽減税率

それぞれについて見ていきましょう。

3,000万円の特別控除

3,000万円の特別控除は、不動産を売却したときの利益から最大3,000万円分の利益を、課税の対象から差し引くことができる特例です。この特例を受ける場合には、いくつかの適用条件があります。詳しくは以下の記事で解説しておりますのでご覧ください。

●3,000万円の特別控除について詳しい記事はこちら
居住用財産の3,000万円控除とは?適用要件や必要書類も併せて解説!

スーツの男性と住宅模型

空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例

売却する家が空き家の場合は、適用条件を満たしていれば、「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」を受けることができます。この特例は、相続で取得した空き家を売却したときに得る譲渡所得の金額から、3,000万円分にかかる税金が控除される特例です。

適用条件については、以下の国税庁のサイトを確認しましょう。

●空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例の要件について詳しくはこちら
国税庁 | No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例

マイホームの軽減税率

所有期間が10年を超える場合、「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」が適用されると、譲渡所得税の税率が、長期譲渡所得に課せられる税率20.315%(復興特別所得税を含む)より一部低く設定されます。具体的には以下の通りです。

・譲渡所得額の6,000万円以下の部分
譲渡所得税額 = 譲渡所得額 × 14.21%

・譲渡所得額が6,000万円を超える部分
譲渡所得税額 = 譲渡所得額 × 20.315%

●マイホームの軽減税率の要件について詳しくはこちら
国税庁 | No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例

なお、ご紹介した控除や特例は、いくつかの要件を満たすことに加えて、確定申告を行うことが求められるので注意が必要です。このほかにもマイホームを買い替えたときの特例といったものもあるため、自分が利用できる控除や特例を探してみましょう。

家族とテレビ

家を売るタイミングを見極めて売却を成功させよう!

家を売るのであれば、より高く売りたいものです。しかし今回ご紹介したように、タイミングの違いによって、売却額に大きく差が生まれてしまうことがあります。納得できる売却につなげるためには、売却のベストタイミングをよく知ることと、信頼できる不動産会社を見つけることが大切です。信頼できる不動産会社に相談することで、納得のいく売却につながるでしょう。

三井のリハウスでは、豊富な取引実績を生かしながら、不動産のプロとして査定から売却まで、市況を踏まえた最適なプランをご提案します。家の売却にお悩みの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

※1出典:不動産価格指数 (令和5年10月・令和5年第3四半期分)を公表~不動産価格指数、住宅は前月比 0.2%上昇、商業用は前期比 1.1%上昇~ ,国土交通省 不動産・建設経済局不動産市場整備課
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/content/001720749.pdf
(最終確認:2024年2月24日)

※2 出典:築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2022年), 公益財団法人 東日本不動産流通機構
http://www.reins.or.jp/
(最終確認:2024年2月24日)

不動産鑑定士 竹内英二

株式会社グロープロフィット代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士をはじめとしたさまざまな資格を保有。不動産の専門家として、不動産鑑定やコンテンツのライティングなども行なっている。
https://grow-profit.net/