仲介手数料の相場はいくら?決められた上限と計算方法を解説

不動産売買の際に支払う仲介手数料は、初期費用のなかでも金額が大きいものです。「自分の場合はいくらかかるのかな…」と、不安になる人も多いのではないでしょうか?そこで今回は、仲介手数料の目安や支払うタイミングについてご説明します。

目次
  1. 仲介手数料とはどんな費用?
  2. 仲介手数料の相場は?
  3. 仲介手数料はいつ支払う?
  4. 仲介手数料を安くできる?
  5. 納得のいく不動産売買に必要な費用
記事カテゴリ 売却 購入 費用
2022.04.04

仲介手数料とはどんな費用?

不動産会社は、不動産を売買する際や賃貸住宅の賃貸借をする際に、売主と買主、貸主と借主の間で契約事務を行います。その成功報酬として支払うのが、仲介手数料です。

これから不動産の売買を検討している人や賃貸物件を借りる予定がある人のなかには、仲介手数料について「いくらくらいかかるの?」「不動産会社によって金額の差はあるの?」「いつまでに準備しておけばよいの?」といった、不安や疑問を持っている人もいることでしょう。

仲介手数料は、売買契約や賃貸契約が成立して初めて発生するもので、成立しなければ支払う必要はありません。また、仲介手数料は法律で上限額が定められているため、規定以上の金額はかからない決まりになっています。

仲介手数料の正しい知識を持てば、安心して不動産取引に臨むことができるでしょう。今回は、不動産を売買する場合の仲介手数料をメインに、その目安や支払うタイミングについて解説します。

●不動産売買に必要な費用に関してはこちら
【三井のリハウス】STEP1 売却相談・条件整理 諸費用

マンションと空

仲介手数料の相場は?

仲介手数料を把握するために、まず相場を知りたいと思う人もいるでしょう。しかし、不動産売買の仲介手数料は物件の価格によって変動するため、相場はありません。賃貸物件であれば、仲介手数料は「家賃1か月分+消費税」が一般的ですが、仲介手数料に目安となるものはないのでしょうか?

仲介手数料には法律で定められたルールがある

不動産売買の仲介手数料は、宅建業法(宅地建物取引業法)という法律で上限額が定められています。

仲介手数料の上限額は、物件価格によって異なります。

不動産の売買額が400万円を超えた場合
物件価格(税抜)×3%+6万円+消費税

不動産の売買額が200万円超~400万円以下の場合
物件価格(税抜)×4%+2万円+消費税

売買代金が200万円以下の場合
物件価格(税抜)×5%+消費税

仲介手数料を調べるためには、この上限額を参考にするとよいでしょう。売買する不動産が中古の戸建でもマンションでも、上記の計算方法で上限額を算出することができます。

なお、不動産会社が、上限額を超える仲介手数料を請求すると法律違反になります。契約する不動産会社の仲介手数料が適切かどうかを判断するためにも、上限額について正しい知識を持つことが大切ですよ。

●仲介手数料の計算方法に関する記事はこちら
マンション売却の手数料は?負担を抑える方法を解説

電卓と計算する人

仲介手数料には消費税がかかる

仲介手数料には、消費税が加算されます。その理由は、消費税の課税対象が「事業者が事業として行うもの」とされており、不動産売買の仲介も、不動産会社(事業者)が行う事業であるためです。

ちなみに、「土地」「個人が売主である中古マンション」などの不動産の売買価格に消費税はかかりませんが、その場合でも仲介手数料には消費税がかかります。

不動産会社によっては仲介手数料を税別で表記していることもあるので、よく注意して確かめるようにしましょう。

仲介手数料の上限早見表

仲介手数料は計算式を使って自分で計算することもできますが、手間がかかるものです。そこで簡単に仲介手数料の上限額がチェックできるように、物件の売買価格100万円超~5000万円までの仲介手数料の上限額を早見表にまとめました。自分の物件の売買価格と照らし合わせて、確認してみてくださいね。

●不動産売買における仲介手数料の上限早見表(下3桁繰り上げ算出)

売買価格仲介手数料(税込)売買価格仲介手数料(税込)
200万円11万円2800万円99万円
400万円19万8000円3000万円105万6000円
600万円26万4000円3200万円112万2000円
800万円33万円3400万円118万8000円
1000万円39万6000円3600万円125万4000円
1200万円46万2000円3800万円132万円
1400万円52万8000円4000万円138万6000円
1600万円59万4000円4200万円145万2000円
1800万円66万円4400万円151万8000円
2000万円72万6000円4600万円158万4000円
2200万円79万2000円4800万円165万円
2400万円85万8000円5000万円171万6000円
2600万円92万4000円

ここで注意したいのは、仲介手数料の上限額はあくまで「上限」であり、一律の定価ではない点です。仲介手数料に上限があるということは、基本的に仲介手数料は不動産会社との話し合いで決めることができる、あるいは値引き交渉ができるということを意味しています。

もしも、上限額をあたかも法律で定められた仲介手数料であるかのように説明してくる不動産会社に当たった際は、十分注意しましょう。

家の模型と電卓

仲介手数料はいつ支払う?

賃貸の場合は、賃貸契約が成立した時点で礼金・敷金と一緒に支払います。不動産売買の場合は、売買契約締結時に手数料の半額を、物件の引渡し時に残りを支払うのが一般的です。ただし、仲介手数料を支払うタイミングは不動産会社によって異なる場合もあります。事前に不動産会社に確認しておくと安心でしょう。

また、仲介手数料は売主・買主に関係なく、不動産会社と契約していれば、売買が成立した時点で支払う義務が発生するものです。売主と買主が依頼している不動産会社が同じ場合、それぞれが仲介手数料を支払うのが一般的です。ただし、仲介手数料無料の場合、買主から仲介手数料を取っても、売主から取らないというケースもあります。

預金通帳と印鑑

仲介手数料を安くできる?

仲介手数料には上限があり、それ以上の金額を請求されることはないというのはご説明してきた通りです。それでも「できる限り安くして負担を減らしたい」という場合、値引き交渉をすることはできるのでしょうか?

結論からいえば、交渉ができることもあります。賃貸の場合は、「駅から遠い」「古い」など借り手が付きにくい物件であれば値引き交渉がしやすいでしょう。不動産売買の場合は、「人気エリアにある」「新築に近い築浅」など高く売れる可能性がある物件なら、交渉に応じてもらえるかもしれません。

ただし、先に述べた通り、仲介手数料は不動産会社に支払う成功報酬です。一般的な不動産会社では、不動産を売買するための営業活動や広告活動などにかかる費用として、妥当な価格設定を行っています。

つまり、納得のいく仲介をしてもらうためには、仲介手数料の値引き交渉は無理に行わないほうがよいといえるでしょう。なぜなら、販売の優先順位を下げられたり、広告費を削られたり、物件価格の値下げをすすめられたりする恐れがあるからです。

ちなみに、「仲介手数料無料」「半額」と提示している不動産会社は、賃貸契約や媒介契約を結ぶ前に、なぜ安くなっているのか理由を必ず確認するようにしましょう。

なお、不動産会社が売主の場合は、仲介手数料は発生しません。不動産会社は、個人から住宅を買い取り、リノベーションして販売することがあります。こうした住宅を購入する場合は、仲介が行われないため、仲介手数料が不要になるのです。ただし、不動産会社が持っている物件を購入すると、建物の価格に対して消費税がかかるため、仲介会社を通して個人の物件を購入するほうがお得になることもあります。

また、売主から不動産を直接購入する場合は、不動産会社が仲介しないため、仲介手数料はかかりません。

●媒介契約に関する記事はこちら
媒介とは?媒介契約の種類や選び方を紹介

商談する夫婦

納得のいく不動産売買に必要な費用

仲介手数料は、売買価格によっては高額になることもありますが、意味のあるお金といえます。そのため、仲介手数料にこだわり過ぎると、その分リスクが発生することもあるでしょう。
仲介手数料の安さにとらわれて、よい物件を見過ごしたり、不動産会社を見誤ったりしないように注意することが大切です。

特に、売却のパートナーとなる不動産会社を選ぶ際には、担当者がこちらの疑問や不安に対して誠実に対応し、相談に乗ってくれるか、また似たような物件を高値で売却している実績があるかといった点を重視するようにしましょう。そうすれば、理想的な売却につながり、最終的な手取りも大きくなるはずですよ。

仲介手数料だけにとらわれず、「納得のいく不動産売買」を大切に考えてみてくださいね!

握手する手と家の模型

宮原裕徳

株式会社ラムチップ・パートナーズ 所長。税理士。日本のみならず、東南アジアも含めた不動産にかかわる会計・税務に精通している。法人や個人向けに節税セミナーなども行っている。
https://www.miyatax.com/