中古マンションの売却を成功させるには?気になる相場や売却の流れも併せて解説!

中古マンションをスムーズに、かつ納得のいく価格で売却するには、相場や売却の流れを把握することが大切です。今回は売却にまつわる不安点から中古マンションの相場情報、かかる費用や売却のステップまで解説します。

目次
  1. 中古マンションの売却を成功させるコツ
  2. 売れない不安[ 1 ] 劣化が目立つ
  3. 売れない不安[ 2 ] ローンが残っている
  4. 中古マンションの売却相場
  5. 売却相場を自分で調べるには?
  6. 売却相場が当てはまらないケースは?
  7. 中古マンション売却にかかる費用も押さえておこう
  8. 中古マンションの売却の流れ
  9. 中古マンションを売却する際の注意点
  10. 売却のスタートは査定から!
記事カテゴリ 売却 マンション
2023.06.09

中古マンションの売却を成功させるコツ

住み替えや処分などの理由で中古マンションの売却を考えているものの「希望の価格で売却できるのか」と不安な方は多いのではないでしょうか?また、中古マンションの売却というと「買い手がなかなか付かない」「売却価格が安くなってしまう」といったイメージを持っている方もいるかもしれません。

そんな方に向けて、今回は中古マンションの売却に関する不安点や売却相場、売却にかかる費用などをお伝えします。この記事でご紹介する、中古マンションの売却に必要な知識を身に付けて、中古マンションの売却を成功させましょう!まずは、中古マンション売却によくある「こういう状態では売却できないのでは?」という不安について回答していきます。

売れない不安[ 1 ] 劣化が目立つ

中古マンションといえば、建物や設備が古く、劣化も目立ちやすいものです。そのため、「リフォームしたほうが高く売れるかも」と考えている方もいるかもしれませんが、売却前に自己判断でリフォームはしないほうがよいでしょう。その理由は、以下の通りです。

悩む女性

リフォーム費用の回収が難しい

内装や水回りなど全面的なリフォームを行うと、大きな費用がかかります。しかし、どれだけリフォームを行っても築年数が新しくなるわけではないので、売り出し価格にリフォーム費用を全て上乗せするのは困難です。また、リフォーム済みで価格が上がっている物件より、多少の劣化があっても安い物件のほうを選びたいと考える買主もいるはずです。

買主の趣味に合わない場合も

中古マンションの購入希望者のなかには、購入後に自分で好みのリフォームを行いたいと考えている人もいます。趣味に合わないリフォームが既に行われている物件は、購入を敬遠されてしまう恐れがあります。

ただし、壁紙が破れている、設備が故障しているなど、目立つ部分の修繕は効果的な場合もあるので、行うかどうかは不動産会社に相談して決めるとよいでしょう。

売れない不安[ 2 ] ローンが残っている

続いて、「住宅ローンの支払いが残っていても売却できるのか」という不安の対処法についてもご紹介します。結論からいうと、売却は可能です。住宅ローンを完済し、抵当権を抹消することで売却できます。

住宅ローンを完済するには、中古マンションの売却益を充てるのが一般的です。ですが、売却益よりも住宅ローン残債が多く、自己資金も足りない場合には、以下のような方法を検討してみるとよいでしょう。

考える女性

住み替えローンを利用する

旧居の残債と新居の購入資金を合わせて借り入れできる、住み替えローンを利用する方法があります。ただし、住み替えローンは金利が高く審査が厳しいため、誰でも利用できるというわけではありません。

任意売却する

金融機関の了承を得て、抵当権を解除してもらい売却する「任意売却」も方法の1つです。しかし、任意売却は一般的に、住宅ローンがどうしても支払えなくなった場合にやむなく取る方法であるため、信用情報に登録される場合があります。

以上が一般的な選択肢ですが、どのような方法を取ればよいかは、不動産会社のようなプロに相談してみることがおすすめです。

●ローン残債があるマンション売却の詳しい情報はこちら
マンション売却時に住宅ローン残債がある場合の対処法を解説

中古マンションの売却相場

中古マンショ

中古マンションをスムーズかつ損なく売却するには、適切な価格設定が重要です。売却活動を行う前に、まずは相場を把握しておきましょう。中古マンションの売却相場には、エリアと築年数が大きく関係しています。エリアの人口が多く、築年数が浅いほど売却価格が高くなる傾向があります。ここでは、中古マンションの売却相場について、エリアと築年数からそれぞれご紹介しましょう。

エリア別の売却相場

東日本不動産流通機構による2023年2月の調査結果※1によると、中古マンションの成約状況は以下の通りとなっています。

エリア㎡単価成約価格title
東京都90.83万円5,381万円59.24㎡
大阪府41.82万円2,819万円74.70㎡
愛知県30.95万円2,312万円74.70㎡
広島県32.32万円2,324万円71.92㎡
福岡県33.82万円2,201万円65.08㎡

人口の多い都市部のエリアほど物件の成約価格は高く、なかでも東京都はほかの都市に比べて著しく高いことが分かります。一方で、そのほかの地域では東京の3分の1ほどの価格になることもあります。スムーズに中古マンションを売るには、このようなエリアの相場を考慮して売り出し価格を決めることが重要です。

築年数による相場の変化

一般的に、築年数が古くなるほど売却価格は下がる傾向にあります。東日本不動産流通機構が2022年(1月~12月)の首都圏の中古マンションを調査した結果によると※2、新築から5年以内の成約価格では平均6,638万円ですが、築21~25年になると平均4,290万円にまで落ち込みます。下記は、「東日本不動産流通機構」2023年2月24日公表の「築年数から見た首都圏の不動産流通市場」に掲載されたデータをもとに当社が作成したグラフです。

中古マンションの築年帯平均価格を表す折れ線グラフ

上記のことから、築年数が浅いほど高く売れる可能性が高いといえるため、売却を希望する場合は早めに動くことをおすすめします。

売却相場を自分で調べるには?

中古マンションの売却相場は自分で調べてみることもできます。調査方法は主に以下の3つです。

物件情報サイトで調べる

不動産会社のホームページやポータルサイトでは、実際に売り出されている物件の価格を調べることができます。売却を検討している物件と、立地や広さなどの条件が似ている物件を検索してみると、所有する中古マンションのおおまかな売却相場を把握できるでしょう。ただし、この価格はあくまで売り出し価格であり、実際に取引された売却価格ではない点に注意しましょう。

●中古マンションを探したい方はこちらから

土地総合情報システムで調べる

国土交通省が運営しているサイト「土地総合情報システム」を活用してみるのもよいでしょう。サイト内の「不動産取引価格情報検索」から、物件の所在地に当てはまるエリアを選ぶと、そのなかで取引された中古マンションのデータを閲覧することができます。

掲載データは、詳細な地域や広さ、築年数などで絞り込むこともできるので、所有する物件により近い情報を得られるのがメリットです。

査定を行う作業着の男性

査定を受ける

不動産会社に依頼して、査定を受けてみるのもよい方法です。査定とは、その物件の市場での推定価格を不動産会社に算出してもらうことで、簡単に売却相場をつかむことができます。不動産会社による査定は、無料で受けられます。

三井のリハウスのAI査定は、100万件を超える売買仲介取扱件数をもとにした豊富なデータを使用しているため、精度の高い推定価格を算出できるのが強みです。ぜひ、お気軽に試してみてください。

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売却相場が当てはまらないケースは?

売却相場はあくまでも目安で、物件の状況やタイミングによっては相場より高くなったり、逆に安くなってしまったりすることがあります。ここからは、売却相場が当てはまらないケースについて見ていきましょう。

相場より高くなりやすいケース

物件価格が相場よりも高くなりやすいケースについてお伝えします。

●再開発の予定がある
物件所在地周辺に再開発や新駅設立の予定がある場合には、物件価格が相場より高くなることがあります。というのも、物件があるエリアの人口が増えたり、利便性がアップしたりすると物件の価格も上昇する可能性があるためです。もし、売却を検討している中古マンションの周辺にそうした予定があれば、売りどきといえるでしょう。

●高層階にある
物件が高層階に位置している場合も、相場より高くなる可能性があります。日当たりや眺望がよいことで人気が高いためです。

●耐震性が高い
物件の耐震性が高いと査定価格が上がって、物件の売却相場より高くなる傾向があります。地震が多い日本では、耐震性を重視している人は多いため、購入希望者の安心感にもつながります。

●大規模修繕を終えて間もない
大規模修繕が行われた直後も同様です。マンションは安全に維持管理していくために、建物の経年劣化に応じて定期的な大規模修繕が必要となります。修繕後は外観や共用部がきれいになっているので印象がよく、査定価格が高くなる可能性があるといえるでしょう。

悩む夫婦

相場より安くなりやすいケース

続いて、物件価格が相場よりも安くなりやすいケースを見ていきましょう。

●瑕疵がある
物件に瑕疵(かし)があると、相場よりも安くなってしまう場合があります。具体的には、事件や火災などがあった、いわゆる「事故物件」のことです。このような物件は、買主に抵抗感を与えてしまうため、相場より安い価格で売らざるを得ない場合があります。

●競合物件がある
競合物件となり得る物件が近くにある場合も安くなりやすい事例の1つといえます。たとえば、同じマンションや近隣の似たようなマンションから売り出されている物件がある場合、値下げ競争に巻き込まれやすいため、注意が必要です。売却希望時期が決まっていない状況で、競合物件がある場合には売却するタイミングを少し待ってみるとよいかもしれませんね。

●引越しシーズンから外れている
売却する時期は売り出し価格を決めるうえで重要です。人気のシーズンから外れていると相場より安くなってしまうことがあります。物件が最も売れやすいのは、新生活が始まる前の2~3月の春先です。それ以外のシーズンは2~3月に比べて買い手が付きにくいので、売り出し価格を下げる必要が出てくることもあります。

ただし、相場より安くなりやすい条件があっても、ほかにアピールポイントがあれば売却価格を上げることができる可能性はあります。よい不動産会社であればそうしたポイントを見つけてもらうことができるので、売却時のパートナー選びは大切です。

不動産模型と電卓

中古マンション売却にかかる費用も押さえておこう

中古マンションを売却するとまとまったお金が入ってきますが、その一方で売却には出費も発生します。どのような費用がかかるのかも事前に把握し、資金計画に役立てましょう。

税金

中古マンションを売却するときには、以下の税金が発生します。

・所得税、住民税
・印紙税
・登録免許税

所得税、住民税は、中古マンションを売却して得た利益に対して課される税金です。この2つの税金を合わせて、一般に「譲渡所得税」と呼ぶこともあります。これらは譲渡所得に対してかかる税金であるため、売却して利益を得られなかった場合や、マイナスになってしまい譲渡損失が生じた場合には課税されません。

また、譲渡所得に課される税金は、特例によって節税できる可能性があります。たとえば「3,000万円の特別控除の特例」は、要件を満たせば譲渡所得から3,000万円を控除できる特例です。所有している中古マンションが要件に当てはまるかどうか、事前に調べておくとよいでしょう。

●3000万円の特別控除の特例に関する記事はこちら
居住用財産3000万円控除|不動産売却時に活用できる控除とは?

収入印紙

印紙税は売買契約書にかかる税金、登録免許税は物件を登記するときに必要な税金となります。

中古マンションを売却した場合、その翌年の2月16日から3月15日の期間内に確定申告を行う必要があります。利益が出ていない場合でも、申告を行えば損益通算や繰越控除の特例を利用できる場合があるため、忘れずに申告しましょう。

利益が出たにもかかわらず、申告を怠ってしまうと、延滞税や無申告加算税が課せられるほか、上に挙げたような特例も利用できないので注意が必要です。

これらの税金は、物件の用途や所有年数によって税額が変わります。節税のためにも、売却に関する税金のポイントをあらかじめ把握しておきましょう。詳しくは以下の記事をご覧ください。

●不動産売却にかかる税金や節税に関する記事はこちら
不動産売却にかかる税金は?税金の計算方法と税金対策をご紹介

そのほかの費用

税金のほかに必要な費用には以下のようなものがあります。

・仲介手数料
・抵当権抹消費用
・住宅ローン返済手数料

上記のなかでも金額が大きいものが、仲介手数料です。仲介手数料は不動産会社に対して支払う報酬で、売却活動が成功した際に発生します。この仲介手数料のほかにも、住宅ローンを完済し抵当権を抹消する際に発生する抵当権抹消費用、売却する物件の住宅ローンの残債を一括で返済する際に必要となる住宅ローン返済手数料などがあります。

●仲介手数料とそのほかの費用に関する記事はこちら
不動産の売却には手数料がかかる?仲介手数料の相場やポイントを解説

中古マンション

中古マンションの売却の流れ

実際に中古マンションの売却を決めた場合、おおまかな流れは以下のようになります。

売却の流れ主な内容
査定・不動産会社に査定を依頼する
媒介契約・不動産会社と媒介契約を結ぶ
売却活動・宣伝や内覧を行い、購入希望者を募る
売買契約・売買契約を結ぶ
引渡し・不動産の引渡しを行う
・不動産登記を行う

それぞれのステップについて詳しく見ていきましょう。

[ 1 ] 査定

売却の意思が固まったら不動産会社に査定を依頼します。査定価格は不動産会社によって異なるため、査定価格の根拠を聞き、納得のいく回答が得られるかを確認しましょう。査定価格は売り出し価格を決めるうえでの1つの指標となります。

[ 2 ] 媒介契約

査定額や査定時のやり取り、不動産会社の実績など幅広い視点で信頼できる不動産会社を見極めます。パートナーとなる不動産会社が決まったら媒介契約を結びましょう。

中古マンションを売却するにはある程度の時間を要するため、不動産会社を選ぶ際は査定価格だけでなく、担当者の対応や不動産会社の強みで選ぶことが大切です。

リビングルーム

[ 3 ] 売却活動

不動産会社に宣伝や内覧の対応をしてもらい、売却活動を進めます。多くの人の目に留まるようにするためには、物件サイトやそのほかの媒体に掲示してもらう必要があるため、積極的な宣伝活動を行ってもらえる仲介会社を選びましょう。

内覧は、購入希望者が物件を直接見る機会で、成約にもつながる重要な売却活動になります。部屋の掃除を行うことや、購入希望者によい対応を心がけることが大切です。

[ 4 ] 売買契約

買主が見つかったら、契約内容を確認し、売主と買主のお互いの了承が得られた後、売主と買主、不動産会社がそろって売買契約を結びます。書類に署名や捺印を行い、売主は買主から手付金を受け取ります。

手付金とは、売買契約の証として買主から売主に支払われるものです。中古であれば相場は5〜10%程度とされますが、実際には幅があります。売買契約を結んだ後に、売主の都合によって売却をやめるとなると、違約金を払う必要が出てくるため気を付けましょう。

家の模型を持つ2人

[ 5 ] 引渡し

売主は買主から売買代金の残代金を受け取り、物件の引渡しを行うと売却完了です。引渡しと併せて不動産登記も行いましょう。不動産登記とは、不動産の権利が誰にあるのかを明確にするために行うものです。売主は抵当権抹消登記や住み替えによる所有者の住所変更登記を行う必要があります。以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

●抵当権抹消の手続きや費用に関する記事はこちら
抵当権抹消手続きを自分で行う方法を4つのステップで解説!

●マンション売却の詳しい流れについてはこちら

中古マンションを売却する際の注意点

ここからは売却時の注意点についてお伝えします。売却が失敗しないよう覚えておくとよいでしょう。

電卓とペンとバインダー

売主自ら相場を把握しておく

上記でもお伝えしたように、相場を知っておくことは売り出し価格を決めるうえで役立ちます。相場より高過ぎたり、低過ぎたりすると売却に時間がかかってしまう可能性が高いためです。そのため売却する際は、売り出し価格の設定を不動産会社に任せきりにするのではなく、売主自らも物件のエリアや築年数から相場を調べ、把握しておきましょう。

あらかじめ書類を用意する

必要書類はあらかじめ確認し、用意しておくと売却がスムーズに進められます。不動産売却で必要な書類は以下の記事で詳しく解説しています。

●不動産売却の必要書類に関する記事はこちら
不動産の売却に必要な書類は?リストを見ながら計画的にそろえよう

スケジュールに余裕を持たせる

中古マンション売却にはある程度の時間が必要です。売却活動が長期化する場合もあるため、スケジュールにはあらかじめ余裕を持たせておきましょう。

反対に、売却がすぐに決まる可能性もあります。引越しや、電気やガスの解約などもどのように進めたらよいか把握しておくとよいでしょう。

不動産の模型と虫眼鏡を持った男性

売却のスタートは査定から!

中古マンションの売却は査定から始まります。査定を受けることで物件の価値や特徴が分かり、売却の方向性が見えてきます。そのため、売却に興味があり、まだ迷っている方もまずは査定を受けてみるとよいでしょう。査定には、AI査定や簡易査定などスマホやPCから簡単に行うことができるものもあります。これらを利用することで、売却相場をスピーディーに把握することができるので、具体的な売却検討への足がかりになるはずです。

三井のリハウスでは、上記でご紹介したAI査定や簡易査定、訪問査定などを無料で受付中です。お気軽にご相談ください。

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※1出典:月例マーケットウォッチ(2023年2月度),東日本不動産流通機構・中部圏不動産流通機構・近畿圏不動産流通機構・西日本不動産流通機構
http://www.reins.or.jp/pdf/trend/mw/ZMW_202302data.pdf
(最終確認:2023年5月24日)

※2 出典:築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2021年),東日本不動産流通機構
http://www.reins.or.jp/
(最終確認:2023年5月24日)

監修者:ファイナンシャル・プランナー 大石泉

株式会社NIE.Eカレッジ代表取締役。CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士などの資格を保有。住宅情報メディアの企画・編集などを経て独立し、現在ではライフプランやキャリアデザイン、資産形成等の研修や講座、個別コンサルティングを行っている。
https://www.izumi-ohishi.co.jp/profile.html