不動産価値の決まり方とは?査定の基準や資産価値の調べ方、計算方法をご紹介

不動産の資産価値を把握することは、売り出し価格を決める際や投資を行う際に重要な判断材料となります。今回は、不動産の資産価値が何によって決まるのか、また、どのようにして算出されるのかをご紹介します。

目次
  1. 不動産の資産価値とは?
  2. 不動産価値を決める4つの評価ポイント
  3. 不動産の価値は経済状況からも影響を受ける
  4. 資産価値を表す評価額
  5. 資産価値が下がりにくい家とは?
  6. 不動産の資産価値を算出する方法は?
  7. プロに相談して不動産の資産価値を把握しよう!
2023.09.22

不動産の資産価値とは?

不動産の資産価値とは、「その不動産を資産として評価した価格」のことをいいます。すなわち、「その不動産は今いくらなのか」を示す指標だといえるでしょう。

土地や家などの不動産売却を検討している方にとって、自分の不動産がどれほどの価値を持っているかは非常に気になるところですよね。不動産の資産価値をしっかりと把握せずに、その価値より低い売り出し価格で売ると損をしてしまったり、逆に高い額で売り出そうとしても、場合によっては購入希望者が現れず、売却が長引いてしまったりすることもあるでしょう。

そういったことを防ぐためにも、自分の所有する不動産の資産価値を把握することは非常に大切です。加えて、不動産投資を検討している方にとっても、より資産価値の高い不動産の見極めは非常に重要なことでしょう。

そこで今回は不動産の資産価値は何によって決まるのか、またどのようにして決まるのかを詳しくお伝えします。

●不動産の評価額に関する記事はこちら
評価額とは?家の評価額を知る方法や、必要になるタイミングを解説!

悩む男女

不動産価値を決める4つの評価ポイント

不動産の資産価値を決める際に関係する要素は以下のように大きく分けて4つあります。

・土地の立地、広さ、形状
・築年数、デザイン性
・耐震性や地勢・地盤
・周辺環境

ここからは、4つの要素をそれぞれ見ていきましょう。

土地の立地、広さや形状

土地の評価ポイントとして、立地、面積、形状、公法上の規制などが挙げられます。一般的に、不動産の価値は土地の立地が大きく影響しますが、一戸建ての場合、土地の立地だけではなく広さや接道状況、形状が整っているかなども評価の対象です。その理由としては、住宅設計を目的とした土地は、間口の広い整形地(整えられた土地)のほうが土地を有効に活用できることが挙げられます。

なお、整形地には正方形と長方形がありますが、一般的には間口が広く、適切な奥行きも確保されている長方形の土地のほうが利用しやすく価値が高いといえます。不整形地(整えられていない土地)はデッドスペースが生じやすいため、価値は低くなる傾向にあります。

加えて、公法上の規制も土地の価値に大きく影響します。それぞれの土地には都市計画法により、用途の規制や建築可能な建物の規模が定められており、規制が厳しく用途が限られる土地は価値が下がってしまうことが一般的です。反対に、用途の幅が広く大きな建物を建てられる土地では価値が高くなる傾向にあります。

建物の築年数やデザイン性

土地と違い建物は、月日の経過に伴って劣化するため、築年数は資産価値に大きくかかわる要素です。たとえば、木造の一戸建ての場合、法定耐用年数は築22年程度、鉄筋コンクリート造では築47年程度で会計上の資産価値はほぼゼロになります。なお、法定耐用年数とは、国が画一的に定めた資産の使用可能期間のことで、資産価値を評価するときや、納税額を決定する際などに用いられます。

築年数以外にも、周辺環境と調和したデザインや、はやり廃りのないデザインの建物は資産価値が落ちにくい傾向にあります。一方で、奇抜な外観や珍しい間取りの家の場合、購入希望者が限られるため、一般的な建物に比べて資産価値が低くなりがちです。ただし、有名な建築家が設計した建物や、人気のデザイナーがデザインした建物は例外で、一般的に長期的な需要が見込まれるでしょう。

耐震性や地勢・地盤

建物の耐震性は資産価値に大きく影響します。そのため、耐震性を兼ね備えている、自然災害に強い建物は、資産価値が高くなります。なかでも、国が定めた基準をクリアしたと認められる「長期優良住宅」のようなサステナビリティに優れた住宅は、築古であっても安心して暮らすことができるため、一般的な住宅に比べて資産価値が高い傾向です。

また、土地の地勢や地盤も不動産の価値に影響します。近年は、豪雨による水害や土砂災害が頻発しているため、高台にある台地のほうが資産価値は高くなります。また、地盤が弱いと地震が発生した際に、土地の液状化等を招く恐れがあることから、地盤が弱い傾向にある埋め立て地は価値が低くなりやすいです。さらに不同沈下を発生させやすい切り土と盛り土の境目にある土地も価値は低くなります。崖下にある土地は、自治体のがけ条例の影響を受けることがあり、有効面積が狭くなる可能性があるため、価値が下がります。

周りの環境や駅までの距離

コンビニやスーパーなどの商業施設や、学校、病院といった公共機関が周辺に多く、生活に便利な立地条件の不動産は、資産価値が高くなる傾向にあります。逆に、火葬場や産業廃棄物処理場、反社会的勢力の事務所などの嫌悪施設と呼ばれる建物が近くにある場合は、資産価値が低くなりやすいでしょう。

●環境的瑕疵に関する記事はこちら
心理的瑕疵とは?ほかの瑕疵との違いや売却時の注意点について解説

周辺環境に加えて、駅や都市部までの距離も資産価値を決めるうえで重要な要素の1つです。対象となる不動産から駅までの距離が近かったり、主要都市までアクセスのよいエリアだったりする場合は、不動産に対する需要が高くなるため、資産価値も高くなる傾向があります。ただし、人気のエリアであれば、駅からある程度距離が離れていても資産価値が高くなるケースがあります。

不動産の価値は経済状況からも影響を受ける

不動産そのものの価値だけではなく、その時期の経済状況によっても不動産の資産価値は変化します。そのため、株価の動向や不動産需要などにも注意しておきましょう。不動産価値に影響を与える経済指標には、実勢価格というものがあります。実勢価格とは、実際に成立した取引の成約価格のことで、市場や供給の状況を直接反映しているため、変動が大きいことが特徴です。

資産価値を表す評価額

実勢価格の変化に応じて、公的な不動産の評価額もある程度変動します。混乱を防ぐため、市況を直接反映する実勢価格とは異なり、変動が小さいのが特徴です。さまざまな評価額について1つずつ見ていきましょう。

固定資産税評価額

固定資産税評価額とは、市町村長が3年に1度、固定資産評価基準に基づき1月1日時点での固定資産の価値を算出したもので、固定資産税や登録免許税などを算出するために用いられる評価額です。

土地の固定資産税評価額は公示価格(地価公示価格)の0.7倍程度を目安として評価されています。公示価格は、国土交通省によって選ばれた標準的な地点での土地価格を算出したもので、毎年1月1日時点の価格を3月に公表しており、公示地価とも呼ばれます。なお、土地の固定資産税評価額から、時価をある程度推測することは可能です。

相続税評価額(相続税路線価)

相続税評価額とは、国税庁が毎年1月1日時点の資産価値を7月に公表するもので、相続税や贈与税を算出するために用いられる評価額です。相続税評価額からは主に土地の資産価値が分かります相続税評価額は、公示価格の0.8倍を目安として評価されています。

●不動産相場に関する記事はこちら
不動産の相場価格はどれくらい?自分で相場を調べる方法を分かりやすく解説!

画用紙に乗る家の模型

資産価値が下がりにくい家とは?

ここまで不動産の資産価値を左右する要素についてご紹介してきました。では、具体的にどのような物件だと、資産価値が下がりにくいのでしょうか?マンションと一戸建てのそれぞれについて詳しく解説します。

マンション

資産価値の下がりにくいマンションの要素を見ていきましょう。ポイントは以下の通りです。

・エリア
・眺望や日当たり
・利便性
・階層
・管理、メンテナンス

人気のエリアであること
再開発が行われている街や、景観が整備されているエリアは需要があるため、資産価値が下がりにくいといえます。また、人気の住宅街や「住みたい街ランキング」で上位になるような街は、不動産の資産価値も高くなるといえるでしょう。

眺望や日当たりがよいこと
窓やベランダから有名な建造物や美しい自然が見えるといった眺めのよい家の場合、資産価値が高くなる傾向があります。また、日当たりのよさも資産価値に影響します。一般的に、日当たりがよいとされる南向きの物件はマンションに限らず、人気のある傾向です。

利便性がよいこと
駅や都市部に近い物件ほど、需要が高くなる傾向にあり、必然的に資産価値も高くなります。なかでも、「駅近(えきちか)」といわれる駅から徒歩数分の距離にある物件は、単身世帯、ファミリー層共に人気のある物件です。

高層階であること
同じ間取りでも、最上階に近づくほど需要が高くなる傾向にあるため、資産価値も高くなります。高層階であることのよさは、何といっても眺めのよさですが、日照も優れており、低層階と比較すると害虫が侵入しにくい点や、防犯性も高くなるといった点もメリットといえます。

管理やメンテナンスがきちんと行われていること
マンションの場合は、定期的な管理やメンテナンスがされていることも、資産価値を決めるうえで重要な要素です。定期的に手入れを行うことで、家の老朽化を防ぐことにもつながるでしょう。

●マンション査定に関する記事はこちら
中古マンションの査定で見られるポイントは?流れや不動産売却をスムーズに進めるコツも解説

マンションと一戸建ての模型

一戸建て

ここからは、一戸建ての資産価値を決める要素について見ていきましょう。ポイントは以下の通りです。

・エリア
・利便性
・土地の形状
・機能性

人気のエリアであること
マンションの場合と同様に、一戸建て周辺が人気のエリアであればあるほど、資産価値が高くなる傾向にあります。一戸建ての場合は、ファミリー層が暮らす場合が多いため、周辺の治安や子育てのしやすさ、学区の良否といった点も大切になるでしょう。

利便性がよいこと
一戸建ての場合も、利便性のよい物件であれば、需要は必然的に高くなります。ターミナル駅や都市部にアクセスしやすいといった特徴がある物件は、特に人気が高いためです

土地の形状がよい
一戸建ての場合は、土地の状態のよしあしも判断基準となります。ここまでもご紹介したように、住宅を設計する際には、土地の形状が大きく関係します。整形された土地であれば、需要があり、資産価値も高いといえるでしょう。

機能性の高い住宅
「災害に強い」「断熱性が高い」など、特定の性能に優れた住宅を、高性能住宅と呼びます。高性能住宅は、長く安心して暮らせる、省エネルギーで経済的、などの理由により資産価値は高くなります。

●一戸建ての査定に関する記事はこちら
一戸建ての査定|流れや評価のポイントを不動産売却のコツと併せて解説!

不動産の資産価値を算出する方法は?

では、実際に不動産の資産価値はどのようにして決まるのでしょうか?資産価値を算出する方法は大きく分けて3つあります。それぞれを具体的に見ていきましょう。

取引事例比較法

取引事例比較法とは、対象とする不動産と似た条件の不動産が過去に取引された事例をもとに資産価値を求める方法です。この方法は、土地やマンションの資産価値を求める際によく用いられます。対象となる不動産と条件の近い不動産を複数選んで坪単価を算出し、売却を対象としている不動産の広さを乗じることで資産価値を導き出せます。

エリアによっては、過去の取引事例が数多く存在する場合があります。その場合は、より近隣でかつより新しい事例を参考にするのが一般的です。
しかし、多くの場合は、過去の取引事例を入手することは難しいといえるでしょう。取引事例を入手できない場合は、売却予定の方であれば不動産会社に依頼して無料査定を行ったり、不動産ポータルサイトで現在売り出し中の類似物件と比較したりする方法が考えられます。また、レインズマーケットインフォメーションや、土地総合情報システムなどを用いたりして相場を調べるのがよいでしょう。

●「リハウスAI査定」はこちらから

●三井のリハウス無料査定はこちらから

通帳と見て悩む夫婦

収益還元法

主にアパートや賃貸マンションなどの賃貸物件の不動産評価を求める際に用いられるのが、収益還元法です。収益還元法は、対象となる物件が将来的に生み出せるであろう収益をもとに、不動産の資産価値を計算する方法をいいます。収益還元法には、「直接還元法」と「DCF法」の2つの方法があります。

直接還元法
直接還元法とは、次にご紹介するDCF法より簡単に適用できる算出方法で、「1年間の純利益」を「還元利回り」で割って求める方法です。1年間の純利益とは、年間の家賃収入から、管理費や固定資産税などの経費を差し引いた額をいい、還元利回りとは、対象となる投資物件から回収できる1年間の利益の割合を表します。直接還元法は、以下の計算方法で求められます。

不動産価格(収益価格) = 1年間の純収益 ÷ 還元利回り

それでは、具体的に数字を入れて計算してみましょう。
条件は以下のように設定します。

・家賃15万円
・年間経費20万円
・利回り 5%

この条件の場合、1年間の純収益は、
15万円 × 12か月 – 20万円 = 160万円
となります。

以上より、この不動産価格は160万円 ÷ 5% = 3,200万円となります。

DCF法
DCF法とは、Discount Cash Flow(ディスカウントキャッシュフロー)法の略で、直接還元法と比較すると複雑な方法とされます。この方法は、空室や家賃の下落率などのリスク要因を適切に価格に反映しやすい点が特徴です。

話し合う夫婦

原価法

原価法とは、対象とする建物を、同じ条件下で現在再建築した場合にどれくらいかかるかという再調達原価をもとに価格を算出する方法です。また、原価法で求めた価格のことを、積算価格といい、以下のような計算式で求められます。

積算価格 = 再調達原価 – 減価修正

減価修正とは、経年劣化に伴って起こる価値の減少を表し、建物の耐用年数から消耗した分の計算が必要です。

プロに相談して不動産の資産価値を把握しよう!

売却や不動産投資を検討するうえで、自分の持っている不動産の資産価値を把握することは非常に重要であるとお伝えしてきました。売却を検討していて不動産の資産価値を知りたい場合は、不動産査定を受けましょう。不動産会社による査定は無料で受けることができます。

三井のリハウスでは、不動産査定に加え、不動産の売却や購入に関する相談を承っています。不動産の売却を検討している方や、これから新たに投資用で不動産購入を希望している方は、ぜひこちらのサービスを活用してみてはいかがでしょうか?

●不動産売却に関するご相談はこちら

●不動産売却のお申込みはこちら

●投資用不動産はこちら

不動産鑑定士 竹内英二

株式会社グロープロフィット代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士をはじめとしたさまざまな資格を保有。不動産の専門家として、不動産鑑定やコンテンツのライティングなども行なっている。
https://grow-profit.net/