離婚時の家の査定方法は?注意点や財産分与の手順について解説!

離婚時の財産分与では、持ち家も対象となり、財産を正当に分け合うために査定を依頼して家の価値を知っておく必要があります。今回は、離婚時の財産分与の際に必要となる家の査定方法や注意点、財産分与の手順について解説します。

目次
  1. 離婚時に家の査定は必要?
  2. 家の査定が必要なケース
  3. 家の査定方法
  4. 査定時の注意点
  5. 財産分与の手順
  6. 夫婦での話し合いはなるべく早めに!
2023.09.04

離婚時に家の査定は必要?

離婚時に行う手続きの1つに財産分与というものがありますが、結婚後に購入した家を所有している場合には、その家も財産分与の対象となります。財産分与とは、夫婦が婚姻期間中に協力して築き上げた財産を、離婚時に分け合うことです。家のほかには、預貯金や家財、車などの財産が対象になります。ただし、独身のときに購入したものや、片方が親から相続したもの、贈与されたものは含まれません。

家の財産分与を行うためには、家の価値を正確に知る必要があります。そのために必要なのが家の査定です。トラブルなく財産分与を行うためにも、家の査定についての知識を身に付けておくとよいでしょう。

今回は、離婚時の財産分与の際に必要になる家の査定や財産分与について知りたい方のために査定方法や注意点、財産分与の手順について解説します。

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家の査定が必要なケース

ここからは、離婚時に家の査定が必要なケースについてご紹介します。ご自身の家がどのケースに当てはまっているか確認してくださいね。

家を売却して売却代金を分け合うケース

最もシンプルな財産分与の方法に、家を売却して得た売却代金を夫婦で分け合う方法があります。この場合には、家の売却を行うため不動産査定が必要です。不動産会社に査定を依頼し、査定額(査定価格)を提示してもらいましょう。その後、査定額をもとに売り出し価格を決定します。

ただし、査定額よりも住宅ローン残債のほうが多い状態(オーバーローン)の場合は、足りない分を自己資金で補って残債を返済しなくてはなりません。なぜなら、家を売却するためには住宅ローンを完済して抵当権を抹消しなければならないためです。抵当権とは、住宅ローンを債務者が返済できなくなった場合に、債権者である金融機関が担保にした不動産をもとに債務の弁済を受ける権利を指します。

なお、自己資金で返済できない場合は任意売却という方法があります。任意売却とは、債権者である金融機関の許可が得られた場合に、住宅ローンの残債がある状態で売却できる方法です。この売却方法では、特別に金融機関の許可を得て抵当権の抹消を行います。ただし、信用情報に履歴が残るため判断は慎重に行いましょう。

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片方が家に住み続けるケース

夫婦のうちどちらかが家に住み続け、もう片方が家の評価額の半分を受け取る財産分与方法もあります。たとえば、子どもの通学の関係で引越したくないという場合や、気に入った家を手放すのが嫌だという場合などに便利な方法ですが、片方が受け取る金額を決めるために、このケースでも家の査定が必要です。

しかし、住宅ローンがそのまま残る場合は次の点に気を付けなければなりません。まず、片方が連帯保証人になっている場合には、名義人の支払いが滞ると連帯保証人に請求が来る点です。このようなトラブルを防ぐためには、連帯保証を解消することが望ましいといえます。連帯保証を外すには、住宅ローンの借り換えも方法の1つです。ただし、債務者等の条件もあり、事前に金融機関への確認が大切になります。また、名義人が家を出る場合は、返済が滞ることで家が競売にかけられる可能性もあるため注意が必要です。

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家の査定方法

家の査定方法には、依頼先が2つあります。上記でお伝えしたケースごとに依頼先が異なるためどちらのケースが合っているか確認しましょう。

家の模型と虫眼鏡

不動産会社に依頼する

まず、不動産会社に依頼する方法です。これは無料で受けられる査定方法で、3種類あります。それぞれ見ていきましょう。

AI査定
AI査定とは、AI(人工知能)を用いた不動産の査定方法です。マンションの物件情報やメールアドレス、名前を入力するだけで手軽に行えます。さらに、ネットで完結し、結果が即時に分かるのがこの査定方法のメリットです。ですが、AIによる査定である分、精度はほかの査定に比べると低くなるため注意しましょう。売却について具体的に決まってはいないが、いくらぐらいで売却できそうなのかざっくりと知りたいという方におすすめです。

累計取引件数100万件以上の実績を持つ三井のリハウスでは、実際の成約データを使用した「リハウスAI査定」を無料で行っています。マンションの売却を検討されている方はぜひご利用ください。

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家の模型と電卓

簡易査定
簡易査定は、各不動産会社のサイトを通して受けられる査定方法です。不動産会社の営業担当者によって公示価格や、路線価、不動産会社の取引事例をもとに査定額が算出されます。AI査定と同様に結果が出るのが早く、即日~3日以内に分かります。

簡易査定は、不動産会社の営業担当者が数多くの物件情報をもとに査定を行うため、AI査定よりは高精度といえるでしょう。

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訪問査定
訪問査定とは、不動産会社の担当者が実際に売却予定の物件を訪れ、建物の状態や敷地の形状などを直接確認して行う査定です。実際に担当者が目で見て査定するため、精度が高いのがメリットであり、売却の意思が固まっている方や、より精度の高い不動産価格を知りたい方におすすめの査定方法です。ただし、査定結果を得られるまでに1週間程度かかるため、早めに不動産会社と日程を調整しておきましょう。

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訪問査定の手元の様子

不動産鑑定士に依頼する

不動産査定には、不動産会社に依頼する無料査定のほか、不動産鑑定士に依頼する方法もあります。不動産鑑定士とは、不動産の適正な価値を判定する国家資格を保有した専門家です。不動産鑑定士に査定を依頼すると、法的に効力がある鑑定評価書という書類を受け取れます。この公的な書類があることで、財産分与の際に発生するトラブルを防ぐことができます。

ただし、不動産鑑定士に依頼する場合には不動産会社の査定とは異なり、約20万~30万円程度の費用がかかるため注意が必要です。

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不動産鑑定とは?

査定時の注意点

ここからは査定時の注意点についてご紹介します。トラブルを防ぐために事前に確認しておきましょう。

査定額 = 成約価格ではない

不動産会社に査定を依頼する場合、提示される査定額が最終的に取引される成約価格と一致するとは限りません。査定額を参考に売主が決める売り出し価格は、その後、取引の間に買主との交渉が行われ、成約価格が下がる可能性もあるため資金計画を立てる際には注意しましょう。

家の模型とグラフ

共有名義の場合は双方の売却同意が必要

登記上、夫婦で共有名義となっている場合には、家を売却するために双方の同意が必要です。どちらかが勝手に売却することはできないため、夫婦間での話し合いは避けられません。離婚後は頻繁に連絡を取り合うことができなくなることもあるため早めに話し合って売却の同意を確認しておきましょう。

財産分与の手順

ここからは財産分与の手順について解説します。スムーズな手続きになるよう、あらかじめ把握しておきましょう。

[ 1 ] 名義人を調べる

まず、家の名義人が誰かを把握しましょう。名義人は、法務局で登記簿謄本を取得する、またはネットで請求することによって調べられます。同時に、抵当権が設定されているかどうかも確認しておきましょう。上記でもお伝えしたように、抵当権が設定されていると家の売却ができないため注意が必要です。

法務局の看板

[ 2 ] 住宅ローンの返済状況を確認する

住宅ローンの残債があると抵当権を抹消できません。住宅ローンの残債がある場合には、不動産査定を受けて売却価格で返済できるかどうかを確認しましょう。売却価格でも返済できないオーバーローンの場合は、上記でもお伝えした任意売却も視野に入れる必要があります。

残債を確認すると同時に、住宅ローンの契約名義は誰か、連帯保証人がいる場合は誰か、融資条件の変更に関する制約の有無などをチェックしましょう。

ローンの文字

[ 3 ] 査定を依頼する

名義人と残債の確認が終わったら、不動産会社または不動産鑑定士への査定を依頼します。その際、それぞれのメリットと注意点を比較し、ご自身や状況に合った査定方法を選ぶとよいでしょう。不動産鑑定士による査定結果は法的に利用できるため、トラブルが発生したり、裁判に発展したりした際に活用できます。

また、不動産会社に訪問査定を依頼する場合には、担当者の対応をよく見ておくことが大切です。不動産売却は不動産会社とのやり取りが長く続くため、信頼して売却を任せられるかを判断しましょう。

[ 4 ] 特有財産の有無を確認する

特有財産とは、夫婦の協力以外で取得した財産を指します。片方の親族から譲り受けたものや、独身時代から所有していたもの、独身時代の貯蓄を使って購入したものなどが対象です。これらの特有財産は、財産分与の対象に該当しないので事前に確認しておくことが大切です。

[ 5 ] 夫婦間で話し合う

住宅ローンの残債や査定結果をもとに夫婦間で話し合いを行いましょう。財産分与の話し合いは時間がかかるものです。冷静に話し合うために第三者を立てることも1つの方法です。また、話し合いで決めたことは書面に残し、後にトラブルにならないよう対策しましょう。

夫婦が話し合う手元

夫婦での話し合いはなるべく早めに!

離婚で財産分与を行う場合、家の査定を含め行わなければならない手続きが多数あります。スムーズに進めるためにも事前に流れや査定方法を知っておくとよいでしょう。

離婚の際は、家を売却する場合と、どちらかが家に住み続ける場合で財産分与の方法が異なります。離婚後はなかなか連絡が取れなかったり、話し合いの機会が作れなかったりするため、財産分与の手段についても話し合いのもとで決めておきましょう。

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監修者:ファイナンシャル・プランナー 大石泉

株式会社NIE.Eカレッジ代表取締役。CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士などの資格を保有。住宅情報メディアの企画・編集などを経て独立し、現在ではライフプランやキャリアデザイン、資産形成等の研修や講座、個別コンサルティングを行っている。
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