築40年の家の価値はゼロ?古い一戸建ての売却方法と成功のコツを解説

築40年の一戸建て(家屋)には、ほとんど価値がなくなってしまっているのが現実です。ですが、売り方を工夫することでスムーズに売却し、資金を得られる可能性は十分にあります!今回は、築40年の一戸建ての売却について詳しくお伝えします。

目次
  1. 築40年の家の資産価値は?
  2. 築40年の家が売りにくい理由とは?
  3. 築40年の家の価値を決めるポイントとは?
  4. 築40年の家をうまく売却する方法とは?
  5. 築40年の家を売却するときの注意点とは?
  6. 築40年の家の価値を高めるコツは?
  7. まず、査定を依頼してみよう!
記事カテゴリ 売却 一戸建て
2022.12.22

築40年の家の資産価値は?

一般的に、築40年の一戸建ては売りにくいといわれています。なぜなら、耐用年数を超えている場合が多いからです。耐用年数とは、減価償却資産(マンションや一戸建てなど)が、通常の用途において、利用に耐える年数のことをいい、その年数は法律に定められています。主に家屋の評価計算をする際に利用されます。

耐用年数は建物の構造によって決められており、一戸建てに多く見られる木造の場合は、22年とされています。つまり、築40年の一戸建てを売却する場合、「建物自体の資産価値」はほぼ0円で、土地のみの評価になってしまう場合が多いということです。

ただし、耐用年数を超えたからといってその建物に住めなくなるわけではありません。売り方次第では、売却できる可能性も大いにあります。そこで本記事では、「築40年の家が売却しにくい理由」「資産価値を決めるポイント」「高く売却する方法や注意点」「売却成功のコツ」の4つを解説していきます。

考える女性

築40年の家が売りにくい理由とは?

築40年の家が売りにくい理由には、耐用年数のほかにもいくつかの理由があります。以下から詳しく見ていきましょう。

新耐震基準を満たしていない恐れがある

築40年を超えている家の場合、耐震基準を満たしていない場合があります。耐震基準とは、建物が最低限保持すべき地震への耐震性能のことをいいます。耐震基準は、建築基準法が改正された1981年6月1日を境にして、「旧耐震基準」「新耐震基準」と区別されています。

現在、適用されている新耐震基準では、「震度6強から7程度の地震で人命に危害を及ぼすような被害を生じない」と定められているのに対して、旧耐震基準は「震度5程度の地震で損傷しないこと」という基準になっています。

つまり、築40年以上の家では、耐震補強といった対策がされていなければ、新耐震基準を満たしていない恐れがあるということです。地震の多い日本では、耐震性を重視する人が多いため、新耐震基準を満たしていないことはマイナスな印象を与えてしまいます。

さらに、新耐震基準を満たしていない場合、買主が住宅ローンを組めないことがあります。耐震性の低い住宅は、ローン審査に通りにくいとされるためです。また、仮に住宅ローンが組めたとしても、住宅ローン減税制度(住宅ローン控除)が利用できません。これも、制度の対象となる住宅は現行の耐震基準を満たしていることが条件であるためです。

このような事情からも、築40年の家は、売りにくくなってしまう傾向があります。

●住宅ローン減税制度に関する記事はこちら

需要が少ない

築40年の家が売れにくい理由には、「需要が少ない」ということもあります。中古物件は、新築に比べて価格が安いことやリノベーションの人気が高まったことにより需要は高まりつつあります。しかし、築深になるほど中古住宅は需要は下がるので、築40年にもなると売りにくくなってしまうでしょう。

建物・内装・設備が古い

築40年にもなると、建物の外観は老朽化によってどうしても古さが出てしまいます。住宅を購入するメイン層である30代~40代の若い世代の人には、あまり好まれないかもしれません。

また、内装や設備が古いことは、買主に敬遠されてしまう恐れがあります。たとえば、木造の一戸建てでは、雨漏りやシロアリの発生、床下の土台の腐食などの問題が発生するリスクも高くなります。修繕や害虫駆除などの手間と費用を考えると、やはり購入にはつながりにくいといえるでしょう。

ただし、耐用年数をすぎた築40年の家でも、資産価値が認められれば売却できる可能性は十分にあります。古い家の資産価値は、主に土地の広さや形状、周辺の環境などによって決まります。また、外壁や水回りのリフォーム、設備の交換など十分なメンテナンスがされていれば、買主の好印象にもつながるはずです。

ここからは、資産価値が認められるポイントや、価値を上げるコツについて順番にご紹介します。

古い家

築40年の家の価値を決めるポイントとは?

築40年の家を売却する場合、建物の価値はあまり期待できません。代わりに価値を決める主なポイントは「土地の価値」「立地と周辺環境」の2つです。売却を希望する人は、物件に当てはまるところがあるかどうかチェックしてみましょう。

土地の価値

一般的に、不動産の資産価値は築年数に左右されるところが大きいものですが、築年数に左右されない資産価値を決めるポイントとなるのが「土地」です。特に、マンションに比べて広い土地を所有している一戸建ての場合は土地の影響力が大きくなります。では、資産価値が高くなる土地にはどのような特徴があるのでしょうか?

一般的に土地の面積は広いほうが資産価値は高くなります。ただし、広すぎると価格が高くなりすぎてしまい逆に売れないケースもあります。

また、形状の整った土地は資産価値が高くなります。具体的には、正方形の土地は家を建てやすいので評価が高くなるでしょう。一方で、極端な長方形やゆがんだ形をしている変形地は、家を建てる際のレイアウトが難しく建設費用が高くなるため、評価も低くなる傾向にあります。

また、間口が大きいことも価値が高くなるポイントです。間口とは土地や家屋などの正面(一般的には道路に接している面)の幅のことをいいます。道路に面する敷地が広いことで出入りがしやすくなる、隣家との距離が取れる、日当たりがよいなど、さまざまなメリットが挙げられます。

接道状況によっても価値が変わります。接道とは、土地と道路が接している幅のことで、間口とは異なります。接道が広いと車の出入りなどがしやすくなるため、評価が高くなります。なかでも交差する2つの道路に接している角地の場合は評価が高くなる傾向があります。2つの道路に接していることで、日当たりがよく、間取りの自由度も上がるため、メリットになります。

立地と周辺環境

家の資産価値には、立地や周辺環境も大きく影響します。都市部や駅などに近かったり、路線価が定められていたりすると、立地がよいと判断され価値が高まります。

生活するうえで必須となるスーパーやコンビニ、子どもが通う学校などが近くにあるかどうかも、周辺環境の評価に影響します。静かな住宅地にも好印象を持つ人は多く、不便を感じることなく安心して生活できる環境は資産価値が高くなります。

また、用途地域によっても異なります。用途地域とは、都市計画法に基づいて、住居地域、工業地域、商業地域など利用目的に応じて13種類に分けられた土地のことです。

たとえば、「第一種住居地域」に分類される地域は、家のほかに3000㎡までの広さの飲食店やガソリンスタンド、オフィスなども建てられる土地なので、生活利便性が高い土地といえます。

築40年の家をうまく売却する方法とは?

築40年の家を実際に売却するには、いくつかの方法があります。それぞれの家の状況に合った売却方法をご紹介します。

古家付き土地として売却する

売却を急いでいない場合は、「古家付き土地」として売却をする方法もあります。これは、建物を解体せず、残したまま売却するということです。古い建物には価値がほとんどないため、土地の価格のみで売却することになりますが、安い一軒家を探している人には、需要があるかもしれません。

ただし、古家付き土地は購入後に解体の手間や費用がかかるため、希望する買主が見つからず、更地で売り出すより成約に時間がかかることもあります。また、解体費用分の値引きを交渉されることもあるでしょう。

リフォームして売却する

リフォームをして売却する方法です。リフォームは主に、老朽化した家を新築に近い状態にすることを目的として行います。特に、使用頻度が高く劣化が目立ちやすい水回りの設備が一新されると、内覧時の印象も高まるはずです。

ただし、リフォームをして売却する方法は費用がかかってしまいます。家の価値は土地や築年数でほぼ決まるため、リフォームでかかった費用を売り出し価格に上乗せして設定することは難しく、一般的には、売主が負担することになるでしょう。

また、リフォームは最低限にとどめることをおすすめします。買主にはそれぞれの生活スタイルや好みがあるため、買主のニーズに合わないと買い手が見つからなくなってしまう場合があります。売却ができないと、リフォームにかかった費用が無駄になってしまうので、リフォームの範囲や程度には注意しましょう。

リノベーション向き物件として売却する

物件の状態がよい場合には、リノベーション向きの物件として売却することも1つの方法です。安い価格で購入し、自由にリノベーションができる物件は、間取りや内装にこだわりがあり、自由にデザインしたいという買主にはぴったりの物件になるはずです。

買取を依頼する

建物の老朽化がかなり進んでいる、土地の形状がいびつなど、市場での売買が難しい場合は「買取」という方法もあります。買取とは、不動産会社に直接物件を買い取ってもらう方法です。そのため、すぐに現金化ができ、売却活動を行う手間がなくなるというメリットがあります。

ただし、物件の状態によっては買い取ってもらえない場合もあります。売却するのが難しい物件だと不動産会社が判断した場合は、買取を断られるかもしれません。

また、買取は仲介に比べて売却価格が低くなり、相場の2~4割ほど安くなるのが一般的です。不動産会社は、買い取った物件にリフォームやリノベーションを加えてから売り出すので、その分の費用を差し引いて買い取るためです。

早く手放したいという事情が特にない場合は、一定期間の販売活動を行っても売れなかった場合に買取をお願いするという「買取保証」も検討してみましょう。

空き家バンクに登録する

「空き家バンク」に登録することも方法の1つです。空き家バンクとは、全国の各自治体が運営するサイトで、家を売りたい人と買いたい人がマッチングできるサービスです。仲介手数料がかからず、物件の掲載も無料で行えるため、売却活動と並行して登録しておくとよいでしょう。

更地にして売却する

物件の劣化が激しい場合は、更地にしての売却を検討してみましょう。家を新築したいと考えている人に売却できるかもしれません。ただし、解体するには解体費用が必要です。解体することで売却しやすくなるかどうか、不動産会社に相談してから判断しましょう。

更地

築40年の家を売却するときの注意点とは?

築40年の家を売却する際には、どのような注意点があるのでしょう?売却後のトラブルの発生を回避するためにも、しっかりと把握しておきましょう。

住まいの状態を正確に伝える

最も重要な注意点は、「状況を正確に伝える」ということです。古い家にはどうしても欠陥が多く、売買後にそうした欠陥が発覚してしまうリスクは高いといえます。

仮に、発覚した欠陥が売買契約書に記載されていなかった場合、売主は「契約不適合責任」を問われることになります。契約不適合責任とは、契約内容と異なる物件が引き渡された場合に、売主が負う責任のことをいいます。後から欠陥が見つかった場合には賠償金を請求されたり、売却後に契約書の内容と不動産の状況が異なる場合には、補修費を要求されたりするケースもあります。

このようなトラブルを避けるためにも、事前に住まいの状態を明確にするホームインスペクションを行うことをおすすめします。また、不動産会社と相談して売買契約書に免責事項を記載するといった対応もしておくとよいでしょう。

土地の境界線を明確にする

一戸建てを売却する場合、土地の境界線を明確にする必要があります。境界線とは、隣接地との境界を示す線のことです。古い家の場合、建物にはほとんど価値がないため、土地で価値が決まります。土地の価値を判断するうえで、土地の面積は最も重要な要素になります。

土地の境界線が明確でないまま売却を進めると、隣接地の所有者とのトラブルに発展することもあるので、明確になっていない場合には測量を行い確定させましょう。

再建築不可の土地でないか確認する

更地にして売却することを検討している人は、その土地が再建築不可物件になっていないかどうかも確認しましょう。再建築不可物件とは、現在の建築基準法を満たしていないために、家を解体して更地にすると新しい家を建てられない土地のことです。

古い家の場合、建築当時と現在で建築の規則や制限が変わっている場合があるため、役所の建築関連の窓口で再建築不可の対象かどうかを確認しましょう。

更地にする場合は1月2日以降にする

更地にして売却する場合、家の解体は1月2日以降にしましょう。なぜなら建物が建っている土地には固定資産税の軽減措置があり、その年に軽減措置が利用できるかどうかは、1月1日時点で建物があるかどうかによって変わるからです。

1月1日時点で更地にしてしまった場合、軽減措置が適用されず固定資産税の負担が最大で6倍になることもあります。

築40年の家の価値を高めるコツは?

築40年の家の価値は低くなってしまいがちですが、事前に行うことで価値を高められるコツもあります。ここでは、「ホームインスペクションの実施」と「瑕疵担保保険に加入」の2つを紹介します。

ホームインスペクションを実施する

古い家を売却する際には、ぜひホームインスペクションを実施しましょう。ホームインスペクションとは、専門家に家の欠陥や劣化の状況についての調査を依頼し、修繕のアドバイスをしてもらうことです。売却前に調査してもらうことで、欠陥や劣化部分をしっかり把握し、適切な修繕を行うことが可能になります。

5~8万円程度の費用がかかりますが、ホームインスペクションを実施することで、買主に安全な物件であることをアピールできるため、メリットは大きいでしょう。

●ホームインスペクションに関する記事はこちら

瑕疵担保保険に加入する

瑕疵担保保険に加入することもおすすめです。瑕疵担保保険とは、購入後に起こった損害に対して保険金が支払われるというものです。

古い家では、後から水漏れの発生やシロアリ被害といった不具合が起こる恐れがあります。契約不適合責任を負う期間をすぎて不具合が見つかってしまった場合でも、それを超える期間の保険が付いていれば買主に安心して買ってもらえるはずです。

瑕疵保険に入るには、一定の条件をクリアする必要があるのでホームインスペクションを受けたうえで加入するとよいでしょう。

まず、査定を依頼してみよう!

これまで、築40年の家の売却についてお伝えしてきました。築40年の一戸建て(家屋)では、木造の耐用年数の観点から見ると価値はほとんどなくなってしまっていますが、立地や周辺環境、土地の状態次第では、高く売れる可能性があります。

古い家の売却を検討している人は、まずは査定を行ってみましょう。査定は、Web上で簡単なデータを入力するだけで査定額が分かる「机上査定」と、不動産会社の担当者が実際に物件や周辺環境を調査して査定額を算出する「訪問査定」があります。査定は、複数社に依頼するのがおすすめです。査定額を比較するだけでなく、各社の対応も知ることができるからです。

また、査定価格が適切かどうかを判断するには、物件情報サイトや国土交通省の「土地総合情報システム」で似たような条件の物件がいくらで取引されているか、自分でも調べてみるとよいでしょう。

後悔のない売却活動を行うには、古い家の売却経験が多く、対応が誠実で信頼できる不動産会社を見つけることが重要です。的確なアドバイスをしてくれる不動産会社を選んで、売却活動を成功させましょう!

監修者:ファイナンシャル・プランナー 大石泉

株式会社NIE.Eカレッジ代表取締役。CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士などの資格を保有。住宅情報メディアの企画・編集などを経て独立し、現在ではライフプランやキャリアデザイン、資産形成等の研修や講座、個別コンサルティングを行っている。
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