家の価値の調べ方は?不動産価格を知る手段や計算方法をご紹介!

あらかじめ家の価値を知っておくと、家の売却や相続を行う際にスムーズに進められるでしょう。この記事では、家の価値を自分で調べる方法や、さまざまな不動産価格の計算方法について詳しく解説していきます。

目次
  1. 家の価値を把握しよう
  2. 家の価値を知るには?
  3. 自分で家の価値を調べる方法
  4. 不動産会社に家の価値を算出してもらう方法
  5. 不動産鑑定士に家の価値を算出してもらう方法
  6. 状況に合った方法で家の価値を確かめよう
記事カテゴリ 売却 マンション 一戸建て
2023.09.15

家の価値を把握しよう

家の価値を知る必要性は、家の売却や相続、離婚後の財産分与など、さまざまな局面で出てきます。家は所有財産のなかでも高額であるため、その価値をしっかり把握しておくことが大切です。今回の記事では家の価値を調べる方法や、その際の注意点などについてご紹介します。まずは、不動産の価格について見ていきましょう。

家の模型と¥のブロック

家の価値を知るには?

家の価値を知るためには、指標となる不動産の評価額を調べることが必要です。不動産の評価額は、一般的に「土地の評価額 + 建物の評価額」で算出されます。以下で土地と建物、それぞれの評価額を決める指標について詳しく解説します。

土地評価額の算出方法

土地の評価額は以下の主な5つの価格に加え、土地の形状や接道の状況なども踏まえて算出されます。

路線価
路線価とは路線(道路)に面した1㎡あたりの土地価格のことです。路線価が分かれば、土地全体の価値が算出できます。路線価は土地にかかる税金を計算する際の基準となり、相続税、贈与税などを計算する際に用いる相続税路線価と、固定資産税を計算する際に用いる固定資産税路線価の2種類があります。

●相続税路線価
相続税や贈与税を計算するときに使用する路線価を指します。毎年7月1日に国税庁が、その年の1月1日時点の路線価を公表する価格です。後ほど解説する公示価格の約80%の価格であることが一般的です。

●固定資産税路線価
固定資産税の計算をするときに使用する路線価を指します。3年に1度、市区町村が1月1日時点での路線価を4月ごろに公表する価格です。公示価格の約70%の価格であることが一般的です。

道路に面している住宅街

固定資産税評価額
固定資産税評価額とは、土地や住宅といった固定資産の価値を表したものです。総務大臣が定めた固定資産評価基準に従って市区町村が決定し、3年ごとに評価替えと呼ばれる価格の見直しが行われます。なお、宅地の固定資産税評価額は、地価公示価格の70%であることが一般的です。固定資産税評価額は、固定資産税や都市計画税などを算出するための基準となります。

公示価格
公示価格とは、国や都道府県が地価公示法に則して毎年決めている土地の価格のことです。公示価格には、国が決める「公示地価」と都道府県が決める「基準地価」の2つがあります。

●公示地価
公示地価は、国土交通省が3月に公表する毎年1月1日時点の土地の価格です。「適正な地価の形成に寄与すること」を目的に定められています。全国2万6000か所の「標準地」を調査・鑑定して、算出されます。

●基準地価
基準地価とは、都道府県が主体となって9月に公表する毎年7月1日時点の土地の価格のことで、半年前に調査される公示地価を補完する役割を持っています。全国2万か所以上ある「基準地」を調査・鑑定し、公示地価では調査対象外となる都市計画区域外も調査するのが特徴です。

●公示価格に関する記事はこちら
公示価格とは?不動産売却時に知っておくとよい基礎知識と調べ方を解説

家の模型と車の模型

建物の評価額の算出方法

建物の評価額を知る方法もいくつか存在します。先ほどご紹介した固定資産税評価額もその1つですが、金融機関では、「建物の評価額 = 再調達価格 × 残存法定耐用年数 ÷ 法定耐用年数」の式を用いて算出されることが一般的です。以下でそれぞれの要素について詳しく解説します。

再調達価格
再調達価格とは、その建物と同等の建物を建設する際にかかると想定した費用のことです。再調達価格は、再調達単価に延床面積をかけることで算出できます。延床面積とは建物の全ての階の床面積を合計したものです。建物の構造によって異なる再調達単価の設定額は各金融機関によって変動しますが、おおよその目安は以下の通りです。

建物構造再調達単価(円/㎡)
W造(木造)約12~16万円/㎡
S造(軽量鉄骨造)約12~17万円/㎡
S造(重量鉄骨造)約17~18万円/㎡
SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)
RC造(鉄筋コンクリート造)
約18~22万円/㎡

法定耐用年数
法定耐用年数とは、法令で定められた減価償却の耐用年数を指します。住宅の法定耐用年数は国税庁で以下のように定められており、構造によって異なります。

建物構造法的耐用年数
W造(木造)22年
木骨モルタル造20年
れんが造・石造・ブロック造38年
SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造) RC造(鉄筋コンクリート造)47年

●法定耐用年数に関する記事はこちら
減価償却資産の耐用年数とは?不動産売却に役立つ知識を解説!

残存法定耐用年数
残存法定耐用年数とは、法定耐用年数から築年数を差し引いた数値のことです。

実勢価格を知ろう

実勢価格とは、不動産の時価のことで、市場での価格を指します。実際に売買の取引が行われた場合には、その取引金額が実勢価格となり、取引が行われていない場合は、周辺の取引事例や先述した公示価格のような公的データをもとに算出します。

折れ線グラフと家の模型

自分で家の価値を調べる方法

ここまでご紹介してきた不動産の価格は自分で調べることが可能です。以下に、不動産価格の調べ方をご紹介します。

公示価格から求める

公示価格は土地総合情報システムで検索できます。土地総合情報システムは国土交通省が運営するサイトで、公示地価や基準地価、不動産の取引情報などを確認することが可能です。実勢価格は公示価格の1.1倍といわれているため、このサイトを活用して標準地、基準値の価格を確認すれば、「公示価格 × 1.1」の式で実勢価格を算出できます。

しかし、算出できる価格はあくまでも目安であり、地域や物件によっては乖離が生じていたり、都市部では、公示価格相当額の1.5~2.0倍近くになったりもします。

さらにこのサイト内にある「不動産取引価格情報検索」という機能を利用して、不動産の所在地や面積、1㎡あたりの単価など、実際に取引された不動産の基礎情報を調べることも可能です。こうした基礎情報は、自宅のおおよその売却相場を把握する際に参考になるでしょう。

パソコンで査定を申し込む男性

固定資産税評価額から求める

固定資産税評価額が分かれば、「固定資産税評価額 ÷ 0.7 × 1.1」の式で実勢価格を算出できます。こちらの場合も、算出できるのはあくまでも目安の価格で、地域や物件によっては乖離が生じることを注意しておきましょう。

固定資産税評価額の調べ方にはいくつかの方法があります。1つ目は、毎年4~6月ごろに自治体から送付される固定資産納税通知書に添付されている課税明細書の「課税」の欄に書かれている価格を確認する方法です。2つ目は、固定資産評価証明書を役所で入手する方法です。固定資産評価証明書は公的な書類であるため、入手の際は本人確認書類や手数料が必要となります。申請すれば、郵送で取り寄せることもできますよ。詳しくは自治体のホームページをご確認ください。

このほかにも、市区町村の役所で、固定資産税台帳を閲覧して確認する方法があります。固定資産税評価額について、より詳しく知りたい方は以下の記事をご参照ください。

●固定資産税評価額に関する記事はこちら
評価額とは?家の評価額を知る方法や、必要になるタイミングを解説!

実勢価格を求める

不動産売却を検討する際には、時価とされる実勢価格を調べておくのがおすすめです。おおよその実勢価格は、不動産会社や、不動産鑑定士に不動産査定を依頼することで求められます。不動産査定では、取引事例比較法、収益還元法、原価法という3種類の算出方法を用いて実勢価格が推定されます。

家の模型と電卓

不動産会社に家の価値を算出してもらう方法

ここまで、不動産価格を自分で調べる方法についてお伝えしてきましたが、不動産会社に査定を依頼することで、簡単により精度の高い家の価値を知ることができます。不動産会社による査定は無料です。ここでは、不動産会社で扱っている3種類の査定方法について詳しくご紹介します。

AI査定

AI査定とは、AI(人工知能)を用いた家の査定方法です。家の情報やメールアドレス、名前を入力するだけで手軽に査定が行え、即時に結果が分かるのがAI査定のメリットです。ただ、必要最小限の情報に基づいて査定を行っているため、ほかの査定方法に比べるとやや精度が低いという傾向があります。そのため、売却について具体的に決まってはいないものの、とりあえずどのくらいの価格で売却できるのか目安を知りたいという方にはおすすめの査定といえるでしょう。

なお、三井のリハウスでは累計取引件数100万件以上の取引事例を用いた「リハウスAI査定」を行っています。営業担当者とのやりとりは発生せず、手軽にできる査定なので、おおまかな査定額(査定価格)を知りたいという方はぜひご利用ください。

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●AI査定に関する記事はこちら
不動産査定は匿名でもできる?不動産売却に欠かせない査定のメリットや注意点について解説

脳のイラストとAIの文字

簡易査定

簡易査定は、各不動産会社のホームページや電話を通じて依頼できます。不動産会社の取引事例を参考にしながら、物件の公示価格のほか、査定依頼者が入力する物件の情報をもとに査定額を算出する方法です。次にご紹介する訪問査定に比べて結果が分かるのが早く、即日~3日以内に査定額を知ることができます。ただしAI査定同様、訪問査定に比べて査定の精度は低い傾向にあるため、まだ売却の意思が固まっていないという方におすすめの査定方法です。

●簡易査定に関する記事はこちら
簡易査定を受けるメリットは?不動産売却を成功させるコツも併せて解説!

訪問査定

訪問査定とは、不動産会社の担当者が実際に物件を訪れ、直接物件の状態を見ながら査定を行う方法です。訪問査定では、建物の外装、内装なども評価対象に含まれます。実際に担当者が目で見て査定するため、先述した2種類の方法よりも、精度が高いのがメリットです。AI査定や簡易査定に比べると不動産会社とのやりとりに手間がかかるため、ある程度売却を決意し、売り出し価格の参考にするための精度の高い査定額を知りたいという方におすすめです。ただ、査定結果を得られるまでに1週間程度かかる傾向があるため、訪問査定をお考えの方は早めに不動産会社と日程を調整しておくとよいでしょう。

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●不動産査定に関する記事はこちら
不動産査定とは?方法や流れについて、不動産売却を成功させるポイントと併せて解説

会話する不動産会社の営業担当者と女性

査定での注意点

査定により算出される査定額は過去の事例をもとに算出した数値であり、あくまでも目安の価格にすぎません。そのため、必ずしも査定額が成約価格と一致するとは限らない点に注意しましょう。成約価格とは、最終的な売買契約を結ぶ際の価格のことです。

また、算出される査定額は不動産会社によって多少のバラつきがあります。そこで、より精度の高い査定結果を知るために、実績があって信頼のできる不動産会社を選ぶことが大切です。信頼できる不動産会社かどうかは、その会社の営業担当者の対応を確認して、判断するとよいでしょう。査定に関して分からないことがあった際に、丁寧に質問に回答してくれるか、査定する際に必要な連絡がスムーズにとれるかといった点を確認しておくと安心です。

不動産鑑定士に家の価値を算出してもらう方法

家の価値を算出する方法としては、不動産会社に依頼するほかに、国家資格を持った不動産鑑定士に鑑定を依頼する方法があります。この方法では、プロの専門知識をもとにより精度の高い価格を算出してもらえるという点がメリットです。ただし、不動産鑑定士に査定を依頼する場合には費用がかかります。相場費用は約20万~30万円程度が一般的です。この方法は、ゴルフ場といった特殊な不動産を売る場合や、離婚や相続での法的な手続きに公的文書である鑑定評価書が必要な場合といった、やや特殊な場合に利用されます。そのため、一般的な個人の不動産売却の際には、無料で行える不動産会社の査定で十分といえるでしょう。

●不動産鑑定に関する記事はこちら
不動産鑑定とは?

マンションと一戸建ての模型を虫眼鏡で調べるビジネスマン

状況に合った方法で家の価値を確かめよう

今回の記事では家の価値を調べる方法についてご紹介してきました。家の価値は自身で調べることもできますが、売却を検討していて、家の価値をより正確に知りたい方は不動産会社に査定を依頼するのがおすすめです。特に、家の価値を知るうえで重要な指標となる実勢価格は変動が激しいため、自分で調べるよりも、不動産市場の動向に精通した不動産会社に調べてもらう方が安心でしょう。

三井のリハウスでは、100万件を超える取引実績から得た知見を生かし、不動産査定や売却のサポートを行っております。お客さまの状況に合わせて複数の査定方法をご用意しているので、売却の意思が固まっている方だけでなく、まだ検討中であるという方も、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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監修者:ファイナンシャル・プランナー 大石泉

株式会社NIE.Eカレッジ代表取締役。CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士などの資格を保有。住宅情報メディアの企画・編集などを経て独立し、現在ではライフプランやキャリアデザイン、資産形成等の研修や講座、個別コンサルティングを行っている。
https://www.izumi-ohishi.co.jp/profile.html