中古の家を売るには?査定・流れ・費用など気になる点を徹底解説

中古の家を売るには、一定の手順があり、必要な書類や費用などの準備が必要です。今回は、中古住宅を売却するうえで知っておきたい基礎知識や売却する際のポイントをご紹介します。

目次
  1. 中古の家を売るための基礎知識を押さえよう
  2. 中古の家の価格はどのように決まる?
  3. 中古の家を売るときの流れ
  4. 中古の家を売るときにかかる諸費用とは?
  5. 中古の家を売るときの注意点とコツ
  6. 納得できる売却を行うために
記事カテゴリ 売却 一戸建て
2023.03.13

中古の家を売るための基礎知識を押さえよう

家を売るのは、ほとんどの人にとって初めての経験でしょう。「転勤や転職で遠方に引越すことになった」「相続した一戸建てを手放したい」といった理由で家の売却を検討している人は、分からないことばかりで戸惑っているのではないでしょうか?

そこで今回は、中古住宅の売却について初心者が気になる点をまとめて分かりやすく解説します。価格が決まるポイント、売却の流れ、売却にかかる費用など、疑問を1つずつ解消していきましょう!

一軒の家の模型

中古の家の価格はどのように決まる?

家を売るときにまず気になるのは、いくらで売却できるかということではないでしょうか?不動産売却では、まず不動産会社の査定を受けるのが一般的です。査定とは、その家の状態を調べていくらで売れそうか価格を算出することをいいます。査定で見られる主なポイントは次の通りです。

[ 1 ] 築年数

中古住宅の売却では築年数が大きなポイントになります。建物は築年数が増すほど価値が下がっていくのが一般的で、価値が下がった中古住宅は高値で売却しにくい傾向があるからです。

ただし、2022年度の税制改正により、これまで木造一戸建ては築20年を超えると「住宅ローン減税」の対象外となっていましたが、1982年1月1日以後に建築された建物であれば築年数の要件が廃止されました。住宅ローン減税とは、住宅ローン控除とも呼ばれ、住宅ローンの借り入れを行って住宅を購入する際に要件を満たしていると一定の額が控除される制度です。

住宅ローン減税の対象となる物件が増え、中古住宅の購入への負担が減ったことに伴って、売却する側にとっても大きな期待がかかっています。

[ 2 ] 建物・設備・間取り

住まいの外壁や屋根などの外装部分の劣化状況、壁や床などの内装、水回りや配管などの設備の劣化状況も査定で見られるポイントです。また、雨漏りやシロアリ被害などの瑕疵(かし)があるかどうかでも査定時の評価が変わってきます。生活動線、家事動線がシンプルで、暮らしやすい間取りであるかどうかも重要なポイントとなります。

[ 3 ] 土地の状況

日当たりや眺望も査定結果に影響します。南向きで日当たりがよい、周囲に高い建物がなく眺望がよいなどの条件はプラスの評価につながります。面している道路の幅員や、道路の状況、道路の高低差も評価にかかわる要素となります。道路の高低差は、排水勾配を確保しやすいため0.5~1m高い状態が理想で、低い場合は評価が低くなる傾向があります。

また、土地の広さや形もポイントの1つです。広い土地の場合、マンション用地に適した土地であれば単価が高くなり、分譲一戸建てに適した土地であれば単価は低くなる傾向にあります。土地の形状においては、間口が広い長方形のような整った形が好評価につながります。反対に、間口が狭く奥に細長い形であったり、いびつな形であったりすると高い評価は期待できません。

なお、市街化調整区域内の物件を売却する場合は、そうした物件の売買実績がある不動産会社に相談することをおすすめします。市街化調整区域とは、田畑を守るために開発が規制された区域のことで、中古住宅の再建築や増築なども制限がかかる場合があるので、売却しにくいといわれています。

市街化調整区域内の物件をはじめとして、一般的に売却の難易度が高いとされる不動産を売りたい人は、その条件での売買実績が豊富な不動産会社に相談してみましょう。 

●売却時のさまざまな不安や手間を解消する「360°サポート」はこちら

[ 4 ] 立地・環境

生活利便性が高い立地は売却に有利になる傾向があります。駅からの距離や都心へのアクセスのよさ、近くにスーパーやコンビニなどの商業施設があるかどうかは、暮らしやすさにもつながるため、査定結果にも影響するということです。

また、単身者層やファミリー層など、住む人によって重視されるポイントは異なります。たとえば、ファミリー層の多い地域であれば、周辺に評判のよい学校や病院、公園があると需要が高まるため、評価が上がる傾向があります。

●不動産査定と査定ポイントに関する記事はこちら
不動産査定とは?売却時に必要な査定方法、流れ、注意点を解説!

家の雑貨

中古の家を売るときの流れ

中古住宅を売却するには、一定の手順があります。売却の流れは以下の通りです。

●家の売却方法や基礎知識に関する記事はこちら
【家の売却ガイド】初めて不動産を売る人向けの基礎知識

[ 1 ] 事前準備

売却の前には、必要書類の準備、売却価格の相場の把握、そして住宅ローンの残債の確認を行いましょう。

必要書類の準備
中古住宅の売却に必要な書類は、主に以下の通りです。

・身分証明書(免許証等の本人確認書類)・実印・印鑑証明書・住民票
・登記識別情報通知書または権利証
・地積測量図・境界確認書(一戸建てあるいは土地のみ)
・建築確認済証・検査済証(一戸建てのみ)
・固定資産税納税通知書・固定資産税評価証明書
・建築設計図書・工事記録書(一戸建てのみ)

相場価格の把握
必要書類をそろえたら売却価格の相場を調べてみましょう。相場が分かれば、売り出し価格を決めたり、実際にどのくらいの売却額になるか想定したりすることができます。

相場は、売却予定の中古住宅と同じような条件の物件を対象に調べます。調べるには、物件情報サイトや、国土交通省が運営するサイト「土地総合情報システム」などを利用するとよいでしょう。自宅の郵便受けに投函される不動産のチラシをチェックしてみるのもおすすめです。

●三井のリハウス物件情報サイトはこちら

住宅ローンの残債確認
住宅ローンを利用している場合は、家を売却するのと同時にローンを完済しなければなりません。残債がどのくらいあるか確認し、返済方法を決めましょう。査定額が残債を上回っていれば売買代金だけで返済に充てられますが、下回る場合は売買代金以外に預貯金でも賄うことになります。

また、売却手続きには金融機関が保管している抵当権抹消のための資料も必要となることから、残債がある人は住宅の売却を決めたタイミングで、抵当権を設定した金融機関に連絡しておくことをおすすめします。預貯金と売却益を合わせても住宅ローンを完済できそうにない場合は、「住み替えローンの利用」「任意売却」などの対処法があります。

任意売却は、住宅ローンがどうしても完済できず、やむを得ない場合の売却方法です。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

●住宅ローンが残っている場合の売却方法に関する記事はこちら
ローン中の家を売るには?必要条件や注意点を解説

計算機と家の模型

[ 2 ] 査定・媒介契約

次に物件の査定を受けた後、媒介契約を結ぶ不動産会社を選びます。

査定を受ける
査定とは実際に「売却できそうな価格」を不動産会社に算出してもらうことです。売却をまだ迷っている段階なら、手軽に行うことができるAI査定や簡易査定でおおまかな査定額を調べてみるのがおすすめです。

AI査定は、Web上で物件情報を入力するだけで、AIが自動計算してくれる査定方法です。査定結果はその場で知ることができ、また不動産会社の営業担当者と直接やり取りをすることはないため、気軽に査定を受けることができます。

簡易査定は、電話やメール、Webから依頼することができ、築年数や所在地、間取りなどをもとに査定額が算出されます。物件の詳しい情報を伝えるため、AI査定に比べて精度の高い査定結果を得ることができます。

査定結果は、早ければその日のうちに、あるいは数日以内に不動産会社の営業担当者から電話やメールで伝えられます。不動産会社の営業担当者とコミュニケーションを取る機会があるため、疑問や悩みがある場合には気軽に聞いてみましょう。

売却を本格的に検討している場合には、訪問査定を依頼するとよいでしょう。訪問査定は、不動産会社の営業担当者が現地を訪問して査定額を算出する方法です。室内の状態や建物の瑕疵、土地の状況を実際に見たうえで査定をするため、精度の高い結果が得られます。

また、訪問査定は媒介契約を結ぶ前に営業担当者と対面でコミュニケーションを取ることができるよい機会です。不動産の売却は営業担当者との連携が必要な場面もあるため、査定額の根拠を聞いたり、質問をしたりして営業担当者と信頼関係が構築できそうかも確認してみるとよいでしょう。

●三井のリハウスのマンションAI査定はこちら

媒介契約を結ぶ
信頼できそうな不動産会社を選び、媒介契約を結びます。媒介契約とは、不動産会社に不動産の売買の仲立ちを依頼する契約のことです。

媒介契約には「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」の3種類があり、特徴やメリットはそれぞれ異なるため、これらを理解したうえで選択するようにします。

●媒介契約に関する記事はこちら
媒介とは?仲介や一般媒介などの違いを一挙解説!

[ 3 ] 販売活動

媒介契約を結んだ不動産会社と相談して物件の売り出し価格を設定したら、いよいよ販売活動の開始です。不動産会社は買い手を見つけるための宣伝活動を行い、購入希望者から連絡があると内覧をセッティングしてくれます。

[ 4 ] 売買契約

無事に買主を見つけたら、売買契約を結びます。契約を結ぶ前に、不動産会社を介して買主から購入申込書が届けられるので、内容を確認し、条件に納得できた段階で契約を結んで引渡し日を決めます。

なお、一般的に売買契約締結日に買主から売主へ手付金の支払いが行われます。

[ 5 ] 決済・引渡し

売却額の残額の決済は、売買契約を締結してから1か月後をめどに行われることが一般的です。決済が完了したら、引渡しを行います。

住宅ローンが完済していない場合は、決済と同時に完済し、抵当権抹消の手続きを行います。

家の模型と鍵を渡す人と受け取る人

[ 6 ] 確定申告をする

不動産の売却で利益が出た場合は、譲渡所得にかかる税金が発生するため、忘れずに確定申告を行いましょう。たとえ損失が出たとしても、一定の要件を満たせば税金の優遇措置を利用できる可能性があります。税金の優遇措置を利用する場合には、損失が生じても確定申告が必要です。

中古の家を売るときにかかる諸費用とは?

家の売却には手数料や税金などの諸費用がかかります。諸費用には具体的にどのようなものがあるかを見ていきましょう。

・仲介手数料
売却できた際、不動産会社へ支払う報酬です。仲介手数料は家の売却価格に応じて上限が法律で決められています。売却価格が400万円超の場合、手数料の上限額は、以下の式で算出できます。

・(売却額(税抜き) × 3% + 6万円) + 消費税

●仲介手数料に関する記事はこちら
不動産売買にかかる仲介手数料とは?計算の仕方や負担を抑える方法を解説!

・抵当権抹消費用
抵当権を抹消する費用です。住宅ローンを利用して家を購入した場合、ローンが払えなくなったときの担保として抵当権が設定されています。住宅ローンを完済したうえで抵当権を抹消しなければ、原則として家の売却は行うことができません。(実際には「住宅ローンの完済」と「抵当権の抹消」、「売却」は同時に行います。)

抵当権の抹消手続きは司法書士に依頼するのが一般的です。その場合は、抵当権抹消の登録免許税と司法書士への報酬が必要になります。

●抵当権抹消に関する記事はこちら
抵当権抹消手続きを自分で行う方法を4つのステップで解説!

・印紙税
売買契約書に貼る印紙代が必要です。印紙税は売却価格によって変わります。1,000万〜1億円までの物件の場合は2万~6万円です。ただし、2024年3月31日までは軽減税率の適用により、金額は1万~3万円になります。

・譲渡所得税
家を売却して得た譲渡益にかかる所得税や住民税を「譲渡所得税」と呼ぶことがあります。税額は、譲渡所得の20.315~39.63%です。

一定の要件を満たす住宅の売却では、譲渡所得から3,000万円を控除できる特例があります。要件を満たしている場合には、確定申告を行って、控除を利用しましょう。

・住宅ローン返済手数料
住宅ローンを一括返済する際に発生する手数料で、金融機関ごとに異なる金額が設定されています。

●不動産売却に関するQ&Aはこちら
不動産売却を失敗しないために!査定やお金などよくある質問にお答え

家の模型とコイン

中古の家を売るときの注意点とコツ

中古住宅の売却は、ちょっとしたことで成否が分かれます。知っておきたい注意点とコツをあらかじめ押さえておき、スムーズな売却を目指しましょう。

住宅ローンの返済計画をしっかりと立てる

前述の通り、住宅を売却する際には、売却と同時に住宅ローンを完済して抵当権を抹消する必要があります。売却代金を利用して完済を目指すことが一般的ですが、これが難しい場合には、預貯金を持ち出すことも必要になります。

なお、住宅ローンを完済しても自動的に抵当権の登記が消えるわけではなく、抵当権抹消登記の手続きを行わなければなりません。抵当権の抹消登記は、専門家の司法書士に依頼するとスムーズに進みます。

適切な不動産会社を見つける

家の売却に強い不動産会社かどうか、担当者に豊富な知識や経験に基づいたアドバイス力があるかどうかにも注目し、適切な不動産会社を見つけましょう。

また、大手不動産会社、地場の不動産会社、それぞれの会社の特徴を把握することも大切です。大手の場合は日本各地にネットワークが広がっているため、広い範囲に売却の情報を開示して、宣伝することができます。地場の不動産会社であれば、地元ならではの情報網を活用してもらえる可能性があるでしょう。

家の模型と握手する人の手

ハウスクリーニングを忘れない

内覧対策としてハウスクリーニングを行い、家の印象をよくすることも大切です。特にキッチン、浴室、洗面所などの水回りがきれいでない場合、買い手が見つかるまでのスピード、最終的な売却価格などに影響を及ぼす恐れが生じます。日頃からハウスクリーニングをして家をきれいに保つように心がけましょう。

家を売却する際は、少しでも高値で売りたいものですが、リフォームを行うべきかどうかは、不動産会社に相談したうえで決めたほうがよいでしょう。リフォーム代を支払っても、その金額を売り出し価格に上乗せすることができないケースがあります。結果として、売却益が減って損をしてしまうこともあるため注意しましょう。

契約不適合責任に気を付ける

契約不適合責任とは、契約の目的に適合しないものを売ったときに売主に課される責任のことです。物件を引渡した後に、売買契約書に記載されていない瑕疵(かし)・不具合が見つかった場合に問われます。あらかじめ分かっている瑕疵・不具合があるときは、契約書にその内容を明記し、買主の了解を得たうえで売ることが売却後のトラブルを防ぐ対策となります。

瑕疵があるかどうか分からない場合は、ホームインスペクションを受けるのがおすすめです。ホームインスペクションとは、中古住宅を売却する前に、住宅の欠陥や劣化を調べる住宅調査のことです。費用はかかりますが、これを受けることで売主も買主も安心して売買契約を結ぶことができます。

●ホームインスペクションに関する記事はこちら
インスペクションとは?メリットや依頼先の選び方をご紹介

納得できる売却を行うために

中古住宅の売却には販売期間に3か月、トータルで6か月程度かかるといわれています。いつまでに売却したいのかが明確であれば、不動産会社と相談して売却スケジュールを立てることをおすすめします。

どうしても早く売りたい場合や、市場で売れにくいと思われる物件の場合は、不動産会社に直接売る「買取」という方法もあります。ただし、買取は一部の不動産会社でしか扱っておらず、買取価格は通常の相場よりも安くなる点に注意が必要です。

時間に余裕がある場合には、仲介で一定期間売却活動を行ったのち、売れなかった場合に買い取ってもらう「買取保証」を検討するのもおすすめです。一定の期間、仲介での売却活動にチャレンジできるため、始めから買取の方法を選択するより高く売れる可能性があります。

●不動産買取に関する記事はこちら
不動産買取とは?仲介との違いを解説!

中古住宅を売却するには、まずは査定を受けることから始めましょう。査定を受けたからといって必ず売却しなくてはならないというわけではありません。売却意思が固まっていなくても、査定を受けることで中古住宅のおおよその価値が分かり、売却のイメージが湧きやすくなります。

三井のリハウスでは無料査定を行っているため、お気軽に査定を受けてみるのはいかがでしょうか?

●マンションAI査定はこちらから

●無料査定お申し込みはこちらから

親身に営業活動をしてくれ、不安な点や疑問な点など気軽に相談できる会社を選んで、中古住宅の売却の一歩を踏み出してくださいね。

この記事のポイント<Q&A>

  • Q中古の家を売るのに必要な準備は? A中古の家を売る際には、以下の準備が必要です。 ・必要書類をそろえる ・売却価格の相場を調べる ・住宅ローンの残債を確認する 詳しくはこちらをご覧ください。
  • Q中古の家を売るときにかかる費用は? A中古の家を売るときには、一般的に「仲介手数料」「抵当権抹消費用」などのほか、譲渡益があった際には「譲渡所得税」がかかります。なお、譲渡所得税については3,000万円の特別控除が適用される場合もあります。詳しくはこちらをご覧ください。

不動産鑑定士 竹内英二

株式会社グロープロフィット代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士をはじめとしたさまざまな資格を保有。不動産の専門家として、不動産鑑定やコンテンツのライティングなども行なっている。
https://grow-profit.net/