不動産売却の税金はいつ払う?税額や納税の時期、確定申告の手順も解説

不動産を売却する際に課せられる税金は、主に印紙税、登録免許税、所得税、住民税、消費税の5つです。この記事では、それぞれの税金をいつ支払うのか分からない方に向けて、そのタイミングや方法、税額の目安などについてご紹介します。

目次
  1. 不動産売却の税金をいつ払うかは種類で異なる
  2. 不動産売却で支払う税金の種類と納税方法
  3. いつ払うのかと併せてチェック!不動産売却にかかる税金額
  4. 不動産売却で確定申告を行わないとどうなるの?
  5. 不動産売却で払う税金を節税するには
  6. 不動産売却でお悩みの方は不動産会社に相談しよう
2024.01.04

不動産売却の税金をいつ払うかは種類で異なる

不動産を売却する際にかかる税金をいつ払うかは、税金の種類によって異なります。不動産を売却することに伴い課せられる税金には、主に「印紙税」「登録免許税」「所得税」「住民税」「消費税」の5つがあり、不動産の売却を検討されている方は、それぞれを支払うタイミングを確認しておきましょう。

5つの税金を払うタイミングは、以下の通りです。

税の種類いつ払うか
印紙税売買契約時
登録免許税引渡し時
所得税※売却した翌年の確定申告時
住民税普通徴収の場合は売却した翌年度の6月以降
特別徴収の場合は毎月の給与から天引き
仲介手数料の消費税仲介手数料支払い時

※復興所得税を含む

この記事では、それぞれの税金の額や納税方法、確定申告で所得税を申告する手順などについて詳しく解説します。

不動産の模型と確定申告申請書

不動産売却で支払う税金の種類と納税方法

不動産売却時に発生する5つの税金について、それぞれの税金の内容や納税の手順をご紹介します。

印紙税

印紙税とは印紙税法で定められた契約書や領収書といった特定の文書に課せられる税金のことで、不動産売却において、印紙税は売買契約が成立したときに支払います。

印紙税は、規定の印紙を契約書に貼り、消印することで納付完了です。なお、同じ書類を複数作成する場合でも1通ごとに印紙を貼る必要があります。

登録免許税

登録免許税とは登記簿に記載された登記情報を申請・更新する際にかかる税金のことです。不動産売却の際に売主が支払うケースとしては、主に売主が住宅ローンを利用していた場合の抵当権抹消登記が挙げられます。

登録免許税は現金で納付するのが原則ですが、収入印紙での納付が認められる場合もあります。現金と収入印紙、それぞれの納付方法は以下の通りです。

現金で納付する場合
必要事項を記入した登録免許税の納付書を金融機関の窓口に提出し、登録免許税を支払います。窓口で交付された領収書を法務局に提出すれば、登録免許税の納付完了です。

収入印紙で納付する場合
登録免許税の額が30,000円以下といった条件に該当する場合、登録免許税の金額分の収入印紙を登記の申請書に貼り付け、登記所に提出することで登録免許税の納付が完了します。

抵当権抹消登記は、司法書士に依頼することで手続きや登録免許税の支払いを任せることもできます。司法書士への報酬が発生しますが、自分で手続きを行うことに不安がある方は、司法書士に依頼することを検討してみましょう。

不動産売却にかかわる税金と電卓

所得税

不動産の売却で得た利益を譲渡所得といい、この譲渡所得にかかる所得税は、確定申告を行い納付します。確定申告の書類を作成する方法はいくつかありますが、たとえば、国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」を活用して申告書を作成することができます。

国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を活用して確定申告を行い、所得税を支払う手順は以下の通りです。

[ 1 ] 国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」にアクセス
[ 2 ] 画面の案内に従って、必要事項を入力し、申告書を作成する
[ 3 ] 申告書をe-TAXまたは郵便などで提出
[ 4 ] 口座振替や電子納税、クレジットカード、コンビニなどで納付

確定申告の方法についてより詳しく知りたい方は、国税庁のホームページをご覧ください。

●国税庁ホームページ「税金の納付」はこちら

住民税

不動産の売却で利益が出た場合(譲渡所得がプラスとなった場合)は、所得税だけでなく住民税も課せられ、この住民税の支払い方には、「普通徴収」と「特別徴収」があります。

普通徴収とは、主に個人事業主のような方が自ら住民税を納める方法です。各自治体から不動産を売却した翌年の6月頃に住民税通知書と納付書が届きます。一括払いのほかに、6月、8月、10月、翌1月に分割して支払うことができ、納税課の窓口や銀行、コンビニなどで支払うことができます。ただし、自治体によって支払い方法が異なる場合があるため、各自治体に詳細を確認しましょう。

特別徴収とは、会社員のような給与所得者の方に対して、毎月の給与から住民税を差し引く納税方法です。特別徴収では、毎月の給与から住民税を差し引くため、1年間で12回に分けて徴収されます。

不動産の譲渡所得にかかる所得税や住民税について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

●不動産の譲渡所得にかかる税金についてはこちら
不動産譲渡税とは?税金額の計算方法も併せて詳しく解説

消費税

不動産会社に不動産売買の仲介を依頼した場合、仲介手数料に消費税がかかります。消費税の課税対象となる取引は、主に事業者が事業として対価を得て行われるもので、不動産会社(事業者)が不動産売買の仲介サービスの対価として得る仲介手数料には消費税が課税されます。

仲介手数料の消費税は、売買契約が成立した後、仲介手数料とともに支払います。支払うタイミングは、売買契約時と物件の引渡し時、2回に分けて半金ずつ支払うことが一般的です。

●不動産売買の仲介手数料にかかる消費税についてはこちら
不動産売買の仲介手数料は消費税がかかる?計算方法や費用を抑えるコツなどを解説

不動産の譲渡所得にかかわる税金のイメージ

いつ払うのかと併せてチェック!不動産売却にかかる税金額

それでは、それぞれの税金は具体的にいくらかかるのでしょうか?ここでは、5つの税金それぞれについて、定められた税率や税額、金額の目安をご紹介します。

印紙税

印紙税の納税額は、契約書に記載される金額によって以下のように異なります。

契約書に記載された金額軽減税額
(2024年3月31日まで)
本則税額
1,000万円を超え5,000万円以下1万円2万円
5,000万円を超え1億円以下3万円6万円
1億円を超え5億円以下6万円10万円
5億円を超え10億円以下16万円20万円

上記のように、2024年3月31日まで、印紙税額の軽減措置が施行されています。たとえば、1,500万円の土地を売却した場合、通常、印紙税の額は2万円ですが、2024年3月31日までは1万円に軽減されます。

登録免許税

不動産の売却時に抵当権抹消登記を行う場合、売主が登録免許税を負担する必要があります。抵当権抹消登記を行う際にかかる登録免許税の費用は、不動産1個につき1,000円です。なお、抵当権の抹消手続きを司法書士へ依頼する場合、その費用は1万~2万円前後かかります。

また、不動産の売買において、抵当権抹消登記以外に所有権移転登記を行う必要がありますが、所有権移転登記でかかる登録免許税は買主が負担するのが一般的です。

不動産登記の手続きを進める司法書士

所得税・住民税

所得税と住民税は、売却する不動産が「長期譲渡所得」と「短期譲渡所得」のどちらに該当するかによって、税率が異なります。長期譲渡所得には所有期間が5年を超えた不動産、短期譲渡所得には所有期間が5年以下の不動産の場合にそれぞれ該当します。所有期間が5年を超えるかどうかは、譲渡した年の1月1日時点を起点に判断されます。

売却する不動産が長期譲渡所得に該当する場合と短期譲渡所得に該当する場合、それぞれの税率は以下の通りです。

税の区分所得税住民税
長期譲渡所得15.315%5%
短期譲渡所得30.63%9%

※復興所得税を含む

上記のように、長期譲渡所得に該当する場合は、短期譲渡所得に比べて税率が低くなりますが、所有期間10年超えのマイホームに適用される軽減税率もあります。該当する方は詳細を確認しておきましょう。

●所有期間10年超えの軽減税率についてはこちら
長期譲渡所得とは?短期譲渡所得との違いや計算方法、税金を抑える方法について解説

なお、三井のリハウスでは、不動産売却時にかかる所得税・住民税等の金額を無料でシミュレーションできるサービスを提供しています。売却金額や面積などの情報を入力するだけで、簡単に所得税・住民税等の見積もりを確認することができます。ぜひご利用ください。

●不動産売却時の税金シミュレーションはこちら

消費税

仲介手数料にかかる消費税額を求めるには、まず仲介手数料がいくらかを算出しましょう。仲介手数料の上限は、宅地建物取引業法によって定められており、物件の成約価格に応じた計算式で算出します。たとえば、成約価格が400万円を超えている場合、仲介手数料の上限は「成約価格 × 3% + 6万円 」となり、消費税額はこの金額に消費税率をかけて算出することができます。

●仲介手数料の求め方はこちら
不動産売買にかかる仲介手数料とは?計算の仕方や負担を抑える方法を解説!

不動産売却時にかかる税金

不動産売却で確定申告を行わないとどうなるの?

不動産の売却で利益を得たにもかかわらず確定申告をしなかった場合、「無申告加算税」と呼ばれる税金が課税されるため注意しましょう。無申告加算税は、原則、納付すべき金額の50万円までの部分に対しては15%、50万円を超える部分に対しては20%の税率が課されます。

ただし、以下の条件を全て満たす場合、無申告加算税は課税されません。

[ 1 ] その期限後申告が、法定申告期限から1か月以内に自主的に行われていること
[ 2 ] 期限内申告をする意思があったと認められる一定の場合に該当すること ※1

確定申告をし忘れてしまった場合の対処について、詳しく知りたい方は以下の国税庁のサイトをご参照ください。

●確定申告をし忘れたときの対処についてはこちら
国税庁 | No.2024 確定申告を忘れたとき

不動産売却で払う税金を節税するには

不動産売却で払う税金のうち、所得税と住民税については、特別控除を活用することで支払う額を減らせる可能性があります。

譲渡所得の特別控除の一部を、以下でご紹介します。

特例の対象となる売却控除額
マイホーム(居住用財産)を売却したとき3,000万円
特定土地区画整理事業などのために土地を売却したとき2,000万円
公共事業などのために土地や建物を売却したとき5,000万円

特例としての特別控除は、このほかにも複数あります。適用できるものはないか、調べてみるとよいでしょう。特別控除の特例についてより詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。

●土地売却にかかる税金や特別控除についてこちら 土地売却にかかる税金とは?税額の計算方法や節税対策について解説!

確定申告の青色申告特別控除

不動産売却でお悩みの方は不動産会社に相談しよう

ここまで、不動産の売却時にかかる税金をいつ、どのように払うかをご紹介してきました。不動産の売却でかかる税金は複数あり、税金によって支払うタイミングが異なったり、不動産の所有期間によって支払う額が異なる税金があったりと、複雑な面があります。

また、不動産の売却には多額の税金がかかることもあり、当初の資金計画が大幅に崩れてしまう場合も考えられます。そのような事態を防ぐためにも、まずは精度の高い査定をうけ、売却代金から税金や住宅ローンの残債を差し引いたらどの程度の利益が手元に残りそうかを見積もることが大切です。

三井のリハウスでは、豊富な取り扱い実績に基づいた精度の高い査定サービスを提供しています。不動産売却をお考えの方は、ぜひご利用ください。

●不動産売却をお考えの方はこちら

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※1 出典:No.2024 確定申告を忘れたとき,国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2024.htm
(最終確認:2023年11月28日)

監修者:ファイナンシャル・プランナー 大石泉

株式会社NIE.Eカレッジ代表取締役。CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士などの資格を保有。住宅情報メディアの企画・編集などを経て独立し、現在ではライフプランやキャリアデザイン、資産形成等の研修や講座、個別コンサルティングを行っている。
https://www.izumi-ohishi.co.jp/profile.html