家の無料査定はどこに依頼する?査定時の注意点やポイント、不動産会社の選び方を解説

家の査定は基本的に無料で不動産会社に依頼することができます。査定額を知ることは、売り出し価格を決めることや媒介契約を結ぶ不動産会社を選ぶことにも役立つため、非常に重要です。今回は、査定の種類や、押さえておきたいポイント、注意点などを解説します。

目次
  1. 家は無料で査定してもらえる?
  2. 簡易査定と訪問査定
  3. 家の査定の申し込み方法
  4. 家の無料査定を依頼する際のポイントは?
  5. 査定時の注意点
  6. 無料査定の後の流れは?
  7. 家の無料査定を上手に使おう
  8. 家の無料査定について、リアルな実態をプロにインタビュー
記事カテゴリ 売却 マンション 一戸建て
2024.01.23

家は無料で査定してもらえる?

「家の売却のために、査定をしたい!」と考えていても、「家をプロに査定してもらうなんてお金がかかりそう…」と心配している方も多いのではないでしょうか?しかし、不動産会社による家の査定は無料で行えます。

不動産会社が家の査定を無料で行う理由としては、査定が不動産会社の営業行為の一環とされているからです。不動産会社が受け取ることができる費用は、売却が決まったときに成功報酬としてもらう仲介手数料です。家の査定はまだ売却が成功していない時点で行うため、無料で依頼することができます。

家の査定

ちなみに、不動産鑑定の国家資格を持った不動産鑑定士による家の査定は、有料で行われるのが一般的です。なぜなら、不動産鑑定士による家の査定は、税務署や裁判所に対して証拠資料が必要になるといった、特別なケースで利用される査定であるためです。家の売却を行う際には不動産会社による無料査定で十分でしょう。

今回は自宅の売却を検討している方や、自宅を査定してもらいたい方に向けて、無料で受けられる家の査定方法の種類や査定時の注意点、ポイントなどを解説します。

家の査定方法の種類

簡易査定と訪問査定

一般的に、無料で行える査定の種類は大きく分けて、「簡易査定(机上査定)」と「訪問査定」があります。簡易査定は、電話やWebを通して査定依頼者から提供された情報に加え、住宅地図や取引事例などの、外部から入手できる情報だけで査定することを指します。

一方の訪問査定は、各種情報に加えて、現地に担当者が出向いて物件や周辺環境を調査したうえで算出する査定方法です。どちらの種類の査定を選ぶにしても、査定を通して家が「いくらで売れそうか」を知るだけではなく、どの不動産会社が仲介を依頼するのに適しているか、信頼できるのかを見極めるとよいでしょう。

家の査定の申し込み方法

先ほどお伝えした簡易査定と訪問査定は以下のような方法で申し込むことができます。詳しく見ていきましょう。

家の模型と書類、レンズとボールペン

ネットを使った無料査定方法

ネットで行う家の査定は、初めて査定を行う方でも気軽に行える方法の1つです。ネット上で売却したい家に関する必要情報を入力するだけで、短時間で査定額(査定価格)が出ます。ネットを使った査定方法は2種類あります。ここから見ていきましょう。

AI査定
AI査定とは、AI(人工知能)を用いて不動産の査定結果を算出するものです。AIを用いて査定を行うことによって、即時に査定結果を導き出すことができます。また、家の情報を入力して氏名やメール登録を行うだけで査定を依頼できるため、手軽に行えるのもメリットの1つです。匿名で行えるものもあるため、匿名査定と呼ばれることもあります。

AI査定は一般的に電話番号を登録する必要がないため、電話番号の登録に抵抗がある方や、まだ具体的に検討する段階までに至っていない方でも安心できる方法です。

三井のリハウスの「リハウスAI査定」は、100万件※の取扱実績のデータを使用してマンションの推定成約価格を算出します。実際に取引された膨大な成約事例をAIが学習しているので、高精度な推定成約価格をチェックできますよ。

※1975年の売買仲介業務開始以来の累積取扱件数

簡易査定
各不動産会社のサイトから簡易査定を依頼する方法もあります。不動産会社のサイトで行われている簡易査定は、取引事例に加え、その会社での独自の売却実績をもとに、査定依頼をした物件の情報と比較して査定が行われる方法です。簡易査定を利用するうえでの主な必要事項は以下の通りです。

・所在地
・物件の種別
・氏名
・電話番号
・メールアドレス
など

オペレータースタッフ

ネット以外での無料査定方法

次に、ネット以外で行われる無料の査定方法についてご紹介します。物件を見ずに行われる簡易査定、物件を見て行われる訪問査定にはそれぞれ特徴があります。

電話で依頼する簡易査定
特定の不動産会社に電話で依頼して簡易査定をしてもらう方法です。訪問査定に比べると家を実際に確認されないため精度が低くなりますが、電話を通して担当者の対応や姿勢をうかがうことができ、信頼度を測る材料になるでしょう。もちろん、電話で訪問査定を依頼することもできます。

電話で依頼する訪問査定
訪問査定とは、不動産会社が家を訪れて物件を調査してから行う査定のことです。該当の不動産固有の事情をくみ取ったうえで査定額が出されるため、簡易査定よりも精度が高くなる一方で、簡易査定よりも査定額が出るまでに時間がかかります。訪問査定や簡易査定は、電話以外にも直接不動産会社に出向いて依頼することもできます。

家と資料と鑑定者

家の無料査定を依頼する際のポイントは?

家の査定は、その後の売却に大きく影響するステップです。なるべく高く早く売却するには、適切な査定額をもとに売り出すことが大切です。ここでは、不動産会社に査定を依頼する前に知っておきたいポイントをご紹介します。

家の相場を自分でも調べる

家を売却するにあたって、査定額を参考に売り出し価格を決めることになります。適正な売り出し価格を設定するためには、相場価格を知ることが大切です。地域や間取り、広さなど、自分の家と似たような条件の不動産価格はいくらなのか、調べておきましょう。家の相場を調べるには下記のような方法があります。

土地総合情報システム(運営元:国土交通省)
レインズ・マーケット・インフォメーション(運営元:不動産流通機構)
・不動産ポータルサイト

ビルの模型と地図

住宅ローンの残債をチェックしておく

住宅ローンが残っている場合、物件売却時に残債を全額、一括で返済しなければなりません。なぜなら住宅ローンを組む際に、債務者には抵当権が設定されていて、住宅ローンを完済しないと抵当権が抹消できないからです。抵当権とは、金融機関といった債権者が債務者に対して、購入する不動産を担保とする権利を指します。

通常、売主が抵当権を抹消することは、売買契約書上の売主の義務となっています。そのため、現在残っているローン残高を正確に把握し、物件売却時に完済できるかどうか考えなければなりません。

住宅ローンの残債が家を売却した額よりも少なければ、売却したお金で一括返済できますが、残債が売却額より多い場合は、自己資金も加えて返済する必要があります。なお、ローン残高を確認する方法は、次の通りです。

・住宅ローンを借り入れしている金融機関から郵送されてくる残高証明書
・住宅ローンの返済予定表
・住宅ローンを借り入れしている金融機関のインターネットバンキング

住宅ローンを利用している場合、毎年、借りている金融機関から残高証明書が送られてきます。残高証明書は、ローンの残高や返済期間などが記載されている書類です。もし、紛失してしまった場合は、金融機関の窓口や電話で再発行の依頼をするようにしましょう。再発行までに期間を要する場合があるので、残高証明書が必要になった場合は、早めに確認することをおすすめします。

住宅ローンの返済予定表は、住宅ローンの契約時に金融機関から届けられるもので、毎月の返済額や、返済額における元金・利息額、利率などが記載されている書類です。送付のタイミングは、金利タイプや融資を受けている金融機関によって異なります。住宅ローンの返済予定表を紛失した場合は、再発行できますが、時間がかかるため必要になったタイミングでなるべく早く再発行の依頼を行う手続きを取るようにしましょう。

また、借り入れしている金融機関がインターネットバンキングを行っている場合は、インターネットバンキングでも確認できます。インターネットバンキングとは、インターネット上で金融機関の取引を行えるサービスのことです。

家の売却を行うときは、上記の方法で住宅ローンの残債を必ず事前に確認し、予算計画を立てましょう。

メリットとデメリットと書かれた積み木

プラスやマイナスのポイントを伝える

家の査定を不動産会社に依頼する際は、査定額にプラスに働きそうなセールスポイントはもちろん、マイナスポイントも正直に伝えるようにしましょう。

セールスポイントとして、たとえば、直近過去5年間くらいに行われたリフォーム、一戸建ての場合は耐震のための改修や修繕などを伝えるとよいでしょう。ほかにも、以下の項目に当てはまる場合は伝えると査定額がアップする可能性があります。

・長期優良住宅、低炭素住宅、ZEH水準省エネ住宅、省エネ基準適合住宅などに認定されている場合
・住宅の設計や施工についての客観的な評価を示す「住宅性能評価書」の取得をしている場合
・専門家による建物の調査である「インスペクション」に合格している場合
・新築住宅に瑕疵(かし)があった場合に保険金が支払われる「住宅瑕疵担保保険」を付保している場合

また、耐震のための改修を行ったり、増改築を行ったりした場合は、耐震診断結果報告書や増改築等工事証明書が発行されるので、これらの書類も準備しておきましょう。

書類を見せることで物件の耐震性能向上や増改築による補強、改善性能などの証明につながり、査定でのプラスポイントに反映される可能性が高まります。

積み木とコイン

一方のマイナスポイントも査定をするうえで重要な要素となります。マイナスポイントとなる例は、次の通りです。

・雨漏り
・シロアリ被害
・家の傾き
・設備の故障

このようなマイナスポイントを隠してしまうと、売却後にトラブルになることもあります。なぜなら、家を売却した後、売主は買主に対して、契約不適合責任を負うからです。契約の目的とは異なるものを売却してしまうと、売主は売却後に買主から追完請求(主に修繕の請求)または契約解除および損害賠償のいずれかを追及されるリスクがあります。

契約不適合責任を負わないようにするには、売主が知っている欠陥については正直に告知し、売買契約書に記載して買主の了承を取ったうえで売却することが必要です。そのため、無料査定の段階で家のセールスポイントだけでなく、マイナスポイントも隠さずしっかりと伝えることが重要といえるでしょう。

家の模型と計算機

不動産会社をよく知る

家の無料査定は不動産会社をよく知るきっかけになります。不動産会社が出す査定額は、これまでの販売経験に基づいて算出されるため、それぞれの不動産会社で査定額は異なります。査定額を出してもらったら、なぜその査定結果に至ったのか、査定の根拠を教えてもらいましょう。

同時に、仮に仲介契約をした場合の売却活動の内容も聞くとよいでしょう。その不動産会社のターゲットとする顧客層や広告の出し方、実際に売却活動を始めた後の報告の内容や仕方、頻度を確認します。

不動産査定から売却までは長期間にわたって取引が行われます。そのため、査定額の根拠や、売却活動の内容を聞いたうえで、その不動産会社が信頼できる会社なのかよく見極めて選ぶことが大切です。信頼できそうな不動産会社を見極める際には、以下のポイントを参考にしてみましょう。

・物件のあるエリアに精通している
・営業店舗が多い
・売却実績がある
・インターネット広告が豊富
・対応がスピーディー
・アドバイス力がある
・親身になってくれる

なお、不動産会社選びについてより詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてくださいね。

書類と封筒

査定時の注意点

査定を依頼する際のポイントについてお伝えしてきたところで、ここからは査定時の注意点について解説します。家の査定から売却までスムーズに取引を進めるためにも、注意点を知っておきましょう。

書類や情報を整理しておく

家の無料査定を依頼する際に必ず用意しなければならない書類はありません。しかし、以下のような書類を用意しておくと、売却をスムーズに進めることができます。

・物件の間取りが分かる資料(分譲時のパンフレットや竣工図など)
・登記済証(権利証)または登記識別情報通知書
・土地測量図/境界確認書(一戸建ての場合)
・住宅ローンの有無、残債
・住宅の施工業者、リフォーム業者
・リフォームや修繕、リノベーションなどの履歴や内容
・住宅性能評価書や耐震性・耐震補強を証明する書類等

また、書類とは別に伝える必要がある情報は次の通りです。

・売却する理由(住み替え、転勤、離婚など)
・売却希望期間(いつまでに売却したいか)

査定を円滑に進めるために、書類や情報は事前に整理しておくようにしましょう。

夫婦とビジネスパーソン

売却の戦略・修繕の必要性を不動産会社に確認する

査定額はあくまでも査定時の価格であるため、実際の成約価格とは異なります。査定後に設備の故障や壁・床の破損などの欠陥を修繕することで査定額が上がることもあるので、不動産会社に相談してみるとよいでしょう。

内装や間取りを変えるリフォームについては、中古の不動産を売却する場合は行わずにそのまま売却することも多くあります。なぜなら、リフォームに費用をかけても、リフォーム費用を回収できないケースがあるためです。しかし、状況によってはプラスに働く場合があるので、リフォームについても不動産会社の売却戦略を聞いて判断することが大切です。

無料査定の後の流れは?

家を無料で査定してもらい、信頼できそうな不動産会社の見当が付いたら、どのようなことをすればよいのでしょうか?詳しく見てみましょう。

[ 1 ] 不動産会社と契約を結ぶ

仲介を依頼したい不動産会社を選んだら、「媒介契約」を結びます。媒介契約とは不動産会社に依頼する仲介の契約のことです。媒介契約には、「一般媒介契約」、「専任媒介契約」、「専属専任媒介契約」の3つがあります。

[ 2 ] 売却活動をする

交わした媒介契約に基づいて、不動産会社が売却活動をします。ここでは売却活動が契約通りに行われているかをチェックしましょう。なかなか購入に結び付かないという場合は、売り出し価格の設定が適切ではない可能性があるので、不動産会社と相談しながら価格の調整を行うとよいでしょう。

契約書にサインをする手元

[ 3 ] 家を売却する

物件の購入希望者のなかから条件に合う人と売買契約を結びます。

家の無料査定を上手に使おう

家の査定は、売却額の目安を知るだけにとどまりません。家を売る側にとっては、不動産売却のパートナー選びの機会でもあるのです。浮かんだ疑問や不安は、家の無料査定の機会を上手に使いながら、どんどん不動産会社の担当者に伝えて解消していきましょう。そうすることで信頼のおける不動産会社を見つけることができます。

ちなみに、不動産売却の方法には仲介のほか、買取という方法もあります。買取は、個人に売却するのではなく、物件に付加価値をつけて再度販売を行う不動産会社(買取業者)に買い取ってもらう方法です。この場合、不動産会社はあくまで下取り価格として購入するため、仲介に比べて売却価格が安くなりますが、個人の買い手を探すよりも時間をかけずに売ることができます。売却を急ぎたい方、老朽化や瑕疵のため市場では売りにくい物件を所有している方は、買取での売却を検討してみましょう。

三井のリハウスでは、家を売りたい方に向けて無料査定やAI査定を含むさまざまなサービスをご提供しています。不動産の売却が初めてで不安な方や、「売却したいけれどよく分からない」と悩んでいる方はぜひ一度お問い合わせください。まずは無料査定、AI査定から不動産売却を始めてみませんか?

家の無料査定について、リアルな実態をプロにインタビュー

家の無料査定について、リアルな実態を三井のリハウス社員に聞いてみました!気になる疑問について、不動産売却のプロの見解をご紹介します。

家のAI査定はどんな人におすすめですか?

家のAI査定は、すぐに売るつもりはないけれど自宅の査定価格を把握しておきたい方や、査定価格を知りたいけれど不動産会社からの連絡は避けたいという方に向いています。特に、大規模マンションや築10年以上のマンションは、既に成約事例があるケースが多く、精度が高くなる傾向があるのでおすすめです。

一方、一戸建ては間取りや設備がユニークであることが多く、類似データが少ないため査定の精度がマンションより下がるといわれています。また、リフォームをした場合査定価格が上がるのが一般的ですが、AI査定はその点を考慮せずに算出されてしまいます。一戸建てや築浅マンション、リフォーム歴がある物件をご所有で、精度の高さを重視される場合は、AI査定ではなく訪問査定がおすすめです。

よくあるトラブルは?

無料査定の際に近隣トラブルや騒音といった売却理由を事前にお話いただけない場合、のちのちトラブルになるケースがあります。特に騒音は、売買契約の際の告知事項に項目があるので、事実と異なる記載をすると引渡し後にトラブルになる恐れがあります。 スムーズに売却するためにも、騒音をはじめとした近隣トラブルは隠さず告知しましょう。

売主側が事前にやっておくとスムーズなことは?

リフォーム履歴はアピールポイントになるため、事前にリフォーム履歴をまとめておくとスムーズです。たとえば、築20年のマンションでも、お風呂は1年前にリフォームしたということであれば、設備として最新なので査定額を上げるポイントになります。特に水回りは気にされる買主さまが多いので、いつ・どこをリフォームしたのか、設備のメーカーや性能などをまとめておくのがおすすめです。

営業担当者によって査定額は変わる?

営業担当者が1人で査定するような場合は、担当者の経験や、市況感をどれくらい把握しているかによって査定額が変わるかもしれません。というのも、査定額は同じエリア内に似た物件があるか(競合物件があるか)によっても変動し、競合物件が少ないときは査定額は高め、逆に競合物件が多いときは高めにし過ぎないようにします。そして、競合物件が同じエリア内にどれくらいあるかは、営業担当者がそれぞれ肌感として把握しています。人によっては新着物件を毎日チェックして、どんな物件が売り出されているか、売れずに残っている物件やすぐに売れてしまった物件を把握します。つまり、市況感をよく把握している営業担当者は、より適切な査定額を算出できますね。

三井のリハウスでは、営業担当者のスキルによってご提供するサポートに差が生まれないよう、チームで動く「ユニット制」を採用しています。特に経験が浅い社員は、先輩や上長と一緒に査定をするので、サービスのクオリティが経験や知識に左右されません。

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不動産鑑定士 竹内英二

株式会社グロープロフィット代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士をはじめとしたさまざまな資格を保有。不動産の専門家として、不動産鑑定やコンテンツのライティングなども行なっている。
https://grow-profit.net/