木造住宅を売却するには?築年数の古い家の売却を成功させるポイントを解説!

木造住宅を売る場合、その家に合った売却方法を選択することが大切です。建物は築年数の経過に伴い価値が低下しますが、工夫すれば売れる可能性があります。この記事では売却方法や注意点だけでなく、売却成功のためのポイントなどを解説します。

目次
  1. 木造住宅の売却方法は?
  2. 木造住宅を売却するなら減価償却について知ろう
  3. 築年数のたった木造住宅の売却方法
  4. 木造住宅を売却する際の注意点
  5. 木造住宅の売却を成功させるためのポイント
  6. まずは不動産査定を受けてみよう
記事カテゴリ 売却 一戸建て 土地
2023.10.11

木造住宅の売却方法は?

建物は土地と異なり、築年数の経過に伴って資産価値が低下することが一般的です。なかでも木造住宅は、価値の低下が早い傾向にあります。

木造住宅の場合、築20年を超えると価値がほとんどなくなるため、過去には木造の場合、築20年を超えると住宅ローン控除を受けられないことがありました(現在では、新耐震基準を満たしていれば築年数を問わず控除を受けられます)。そのため築年数が古い木造一戸建て住宅を所有している方のなかには「売れ残るのではないか?」と売却を諦めてしまっている方もいるのではないでしょうか?

確かに築年数がたった木造住宅は、築年数の浅い木造住宅や、鉄骨コンクリート造の住宅などに比べると売りにくいケースもありますが、物件の状態に合わせた売却方法を選択することで、築年数の古い木造住宅でも売却できるケースがあります。この記事では木造の中古一戸建て住宅を所有している方や、売却を検討している方に向けて、主な売却方法や売却時の注意点、成功させるためのポイントについてご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

まずは木造住宅の売却において重要な「減価償却」について解説していきます。

木材と積み木の家

木造住宅を売却するなら減価償却について知ろう

木造住宅の売却方法について知る前に、まずは「減価償却」について理解を深めていきましょう。
減価償却とは、住宅のような固定資産の購入価格を「法定耐用年数」の期間内で分割し、毎年費用として計上する会計処理のことです。法定耐用年数とは法律で定められた税務における住宅の寿命であり、木造住宅の法定年数は22年で、マンションに多い鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造の住宅は47年と定められています。住宅は土地と違って築年数の経過に伴い劣化するため、減価償却を行って税務上の価値を減らします。

不動産を売却する際には譲渡所得にかかる税金が発生するケースがあります。この譲渡所得税と呼ばれることもある譲渡所得にかかる税金は、不動産の譲渡収入金額から、取得費を差し引いて利益が出た場合に発生します。

譲渡所得を求める式は以下の通りです。

譲渡所得 = 譲渡収入金額 – (取得費 – 減価償却費) – 譲渡費用

すなわち築年数が古くなると、減価償却費がかさみ、取得費となる住宅の価格が購入当初よりも下がるということです。これに伴い取得費が小さくなると譲渡収入金額が大きくなります。経年による譲渡収入金額の変化が小さければ、利益が生まれやすく、税金がかかりやすくなるという仕組みです。

●譲渡所得にかかる税金に関する記事はこちら
不動産譲渡税とは?税金額の計算方法も併せて詳しく解説

なお、法定耐用年数は税務上の基準であるため、法定耐用年数をすぎても住宅として使用することができます。ただし住宅を高値で売りたい場合には、早めに売却することがおすすめです。ここで紹介したほかにも不動産の耐用年数には基準があり、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご参照ください。

●不動産の耐用年数に関する記事はこちら
減価償却資産の耐用年数とは?不動産売却に役立つ知識を解説!

減価償却費の計算用紙と電卓、紙幣

築年数のたった木造住宅の売却方法

築年数がたった木造住宅の売却方法は1つではありません。売却を成功させるためには、物件に合った売却方法を選択することが重要です。ここからは木造住宅の売却方法について解説します。

不動産会社に仲介を依頼する

中古の木造住宅を売却する方法として1つ目にご紹介するのは、不動産会社に仲介を依頼する方法です。不動産売却において最も一般的な方法であり、最も高く売れる可能性があります。

住宅を売り出す際に設定する「売り出し価格」は、不動産会社が算出する査定額をもとに売主が決定します。ただし住宅の劣化が激しかったり、設備の状態が悪かったりして、住宅の購入希望者がなかなか見つからない場合は、相場よりも売り出し価格を下げることになるかもしれません。そのため仲介は、築年数が比較的浅く、立地条件がよい木造住宅の売却を検討している方におすすめの方法です。

●不動産の媒介契約に関する記事はこちら
媒介とは?仲介や一般媒介などの違いを一挙解説!

家の模型と虫眼鏡

不動産会社に買い取ってもらう

中古の木造住宅の売却方法には、不動産会社や買取業者に住宅を買い取ってもらう「買取」という売却方法もあります。買取のメリットは、仲介に比べて早く売却できることでしょう。具体的には3か月前後かかる仲介に比べて、買取は最短1週間で売買契約ができ、1か月で残代金の決済までを完了できます。

不動産会社は、個人から買い取った住宅をリフォームしたり、修繕工事を施したりしてから一般に再販するため、売主に支払う「成約価格」は仲介の6~8割程度である点に注意しましょう。

そのため、築年数が古く、市場では購入希望者が見つかりにくい木造住宅の売却を検討している方や、できるだけ早く売却したいという方に適した売却方法です。不動産買取について詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。

●不動産買取に関する記事はこちら
不動産買取とは?仲介との違いや基礎知識をメリット・注意点と併せて解説!

古家付きの土地として売却する

お伝えしている通り、法定耐用年数をすぎていたり、築年数が古かったりする物件は売却しにくい傾向にあります。その場合、中古の木造住宅を「古家付きの土地」として売却するのも1つの方法です。

古家付きの土地とは、住宅が建っている土地のことを意味します。住宅の価値はゼロであるため、売り出し価格は土地のみの価格となります。

古家付きの土地として売却することには、住宅を購入したい人のほかに、土地を購入したいという人もターゲットとなるため、購入希望者が見つかりやすくなるというメリットがあります。また土地だけで購入すると、住宅ローンを利用できないケースがありますが、古家付きとして購入すれば住宅ローンの審査に通ることがあるため、住宅ローンを利用したい人に購入してもらいやすくなるということもメリットの1つです。

更地にして売却する

劣化の激しい中古の木造住宅の場合は、解体して更地にしてから売却する方法もあります。この方法を取れば、「土地を購入して住宅を新築したい」「土地活用をしたい」など土地購入を検討している人をターゲットにできます。

土地を探している人にとっては、中古住宅が建っていると解体費用がかかってしまいますが、更地であれば購入代金以外に費用をかけず使えるため、需要は高まります。ただし建築基準法が制定された1950年より前に建てられた住宅の土地は、接道義務の問題から住宅を再建築できない「再建築不可物件」の土地になっているケースがあるので注意が必要です。こういった土地は駐車場や駐輪場など、土地活用のみに使用することが可能です。

●更地に関する記事はこちら
更地とは?正しい意味や賢い活用方法について解説

●解体費用に関する記事はこちら
家の解体費用の相場は?費用を左右するポイントや安く抑える方法について詳しく解説

土地の模型と電卓と紙幣

木造住宅を売却する際の注意点

木造住宅を売却する際にはいくつか注意点があります。注意点を知らずに売却すると売却活動がスムーズに進まなかったり、思わぬ出費が発生したりする場合があるため、事前にしっかりと把握しておきましょう。

住宅ローンを完済する必要がある

中古の木造住宅を売却する場合、住宅ローンを完済して抵当権を抹消する必要があります。抵当権は住宅ローンが完済しても自動的に抹消されることはないため、抵当権抹消登記を行いましょう。

●抵当権抹消手続きを自分で行う方法に関する記事はこちら
抵当権抹消手続きを自分で行う方法を4つのステップで解説!

住宅ローンの残債がある場合には、売却代金を返済に充てるのが一般的です。売却代金で住宅ローンを完済できない場合には預貯金で賄うか、難しい場合は住宅ローンの借り換えや、任意売却を検討することになるでしょう。

任意売却とは、住宅ローンの残債があっても債権者からの了承を得ることで不動産を売却できる方法です。ただし任意売却は信用情報に登録されるので、このようなリスクを回避するためにも住宅ローンの返済は計画的に行いましょう。

●任意売却に関する記事はこちら
任意売却とは?住宅ローンの支払いが厳しくなったら知っておくべき基礎知識を解説

住宅の瑕疵(かし)を正確に伝える

売却する住宅に瑕疵(欠陥や不良など)がある場合は、仲介の不動産会社や買主へ正確に伝えることが大切です。万が一、売買契約書に記載のない瑕疵が契約後に発覚した場合、「契約不適合責任」に問われることがあります。契約不適合責任に問われた場合、瑕疵の修繕や損害賠償を求められるケースもあるため注意しなければなりません。

築年数が古く住宅の瑕疵が心配という方は「ホームインスペクション」を受けることをおすすめします。ホームインスペクションとは、専門家に依頼して住宅の劣化状態を調査してもらうことです。住宅の状態を正確にかつ客観的に把握できるため、売主と買主のどちらにとっても安心です。

●契約不適合責任に関する記事はこちら
瑕疵担保責任とは?不動産売買前に知りたい情報を解説

●インスペクションに関する記事はこちら
インスペクションとは?不動産売買でのメリットやかかる費用を解説

木造住宅を調査する作業着男性

リフォームが不要なケースもある

中古の木造住宅を売却する前に、リフォームすることで、住宅の価値が上がることがあります。そのため、リフォームによってより高値での売却が期待できることもありますが、築年数の古い物件の場合、リフォームする箇所が多いため、費用が高くなりやすい傾向があります。売却代金でリフォーム代を回収できるとは限らないため、むやみにリフォームしないほうがよいというケースもあるでしょう。またリフォームをしたことで、購入希望者のニーズに合わなくなってしまうリスクも考えられます。

売却前のリフォームを検討する場合は、売却の仲介を依頼する不動産会社に相談することがおすすめです。それぞれの状況に応じて、リフォームするべきかどうかをアドバイスしてくれるでしょう。

木造住宅のリフォーム現場

木造住宅の売却を成功させるためのポイント

中古の木造住宅の売却を成功させるには、事前に押さえておきたいポイントがあります。ここでは主な2つのポイントをご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

ハウスクリーニングをする

中古住宅を売却する場合、購入希望者が住宅の内覧に訪れます。その際には住宅の印象をよくすることが大切です。特に浴室、洗面所、キッチンといった水回りは重点的に見られる箇所となります。住宅の状態をよくすることは希望に近い価格での売却や、スムーズな売却活動につながるため、売り出す前にハウスクリーニングを行うとよいでしょう。

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住まいクリーンアップサービス

信頼できる不動産会社を選ぶ

不動産を売却する際には、不動産会社選びが重要です。不動産会社選びにおいては、不動産売却の実績や不動産に関する知識の豊富さなどを確認するとよいでしょう。不動産会社の実績は企業のサイトや口コミなどで確認できるため、ぜひご覧になってみてください。

また不動産売却では、査定時に不動産会社の営業担当者と直接かかわる機会があるため、売却活動のパートナーとなる営業担当者は、親切な対応をしてくれるか、質問には丁寧に答えてくれるかなどを確認しておきましょう。

●不動産会社の選び方に関する記事はこちら
不動産売却はどこがいい?大手不動産会社のメリットや選び方のコツを解説

木造住宅で査定をする男性

まずは不動産査定を受けてみよう

ここまで中古の木造住宅の売却方法や売却時の注意点、成功させるためのコツなどを解説してきました。中古住宅を売却する際には、物件の状態に合わせた売却方法を選択することが大切です。しかし、売却に関する専門的な知識が必要になるため、まずは不動産会社に相談してみましょう。

木造住宅の売却を検討している方は、まず不動産査定を受けてみるのがおすすめです。不動産査定とは、土地や建物などの不動産の売却推定価格を不動産会社に算出してもらうことで、所有する住宅の売却価格の相場を知ることで、売却するかどうかを決断したり、その後の資金計画を考えたりするうえでも役立ちます。

三井のリハウスでは不動産査定を無料で行っており、「簡易査定」「訪問査定」からお好きな方法をお選びいただけます。基本的な物件情報のみで査定結果が分かる簡易査定は、スピーディーにおおまかな査定額を知ることができるので、売却を未だ検討中の方におすすめです。一方で実際に物件を訪れて査定を行う訪問査定は、精度の高い査定結果が期待できるため、既に売却の意思が固まっている方におすすめになります。

まずはご自身に合った査定を受けて、木造住宅の売却を成功させましょう!

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不動産査定とは?方法や流れについて、不動産売却を成功させるポイントと併せて解説

監修者:ファイナンシャル・プランナー 大石泉

株式会社NIE.Eカレッジ代表取締役。CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士などの資格を保有。住宅情報メディアの企画・編集などを経て独立し、現在ではライフプランやキャリアデザイン、資産形成等の研修や講座、個別コンサルティングを行っている。
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