空き家の買取相場はどのくらい?特徴やメリットも解説

空き家をはじめとした不動産は、専門業者に買取で売却すると、相場と比べて価格が低くなってしまう傾向があります。今回の記事では、買取の注意点や、選ぶべきケース、手順について解説します。

目次
  1. 空き家の買取とは
  2. 空き家の買取相場は仲介よりも低い
  3. 空き家買取のメリット
  4. 買取で空き家売却を成功させるコツ
  5. 空き家の買取業者を選ぶポイント3つ
  6. 空き家を放置するリスク
  7. 空き家買取の手順
  8. 空き家の買取は適正価格の把握から
記事カテゴリ 売却 一戸建て
2024.03.28

空き家の買取とは

空き家の買取とは、買取業者(不動産会社)に直接空き家を買い取ってもらうことを指します。一般的な不動産売却の方法である仲介との違いは、「買主が誰であるか」です。仲介では不動産会社が一般個人から買主を探して契約を取り持つのに対し、買取の場合は不動産会社が買主になります。買主が一般個人か不動産会社かによって成約価格や売却手順が異なるため、売却の際には自身に合った方法を選ぶことが大切です。

今回の記事では、空き家買取のメリットや、買取を成功させるコツ、買取業者を選ぶポイントについて解説します。

空き家の買取相場は仲介よりも低い

空き家を買取で売却した場合の相場は、仲介での売却の6~8割程度になります。不動産会社や買取業者が空き家を買い取った場合、リノベーションやリフォーム、解体工事などの手を加えた後に再販するのが一般的であることから、それらにかかる費用を差し引くために仲介での売却相場より低い価格が提示されるのです。そのため、売却を急いでおらず、できるだけ高い値段で売却したい場合は仲介を選択するのがおすすめです。

売却する家とお金

空き家買取のメリット

空き家の買取を依頼するメリットは、以下の4つです。

・短期間で売却できる
・売却活動の負担が軽減される
・仲介での売却が難しい場合でも売却できる可能性がある
・契約不適合責任が免責になりやすい

それぞれ、具体的に見ていきましょう。

短期間で売却できる

離婚による財産分与や、相続で得た不動産をできるだけ早く現金化して分割したい場合、急いで資金が必要になったという場合、空き家の売却にはあまり時間がかけられないでしょう。仲介での空き家の売却にかかる期間は一般的に3~6か月程度であるのに対し、買取での売却は買主を探す必要がないため最短1週間で売買契約ができ、1か月で残代金の決済までを完了できます。そのため、可能な限り早く現金化したいという方は買取を検討してみましょう。

売却活動の負担が軽減される

仲介では、売却活動をするにあたって売主も内覧の対応を行ったり、清掃・修繕を行ったりするのが一般的です。しかし買取では、買主が不動産会社であるため一般個人への内覧対応が必要なく、不動産会社が買い取った後リフォームを施すため物件の見栄えをよくする作業も不要です。仕事や育児で忙しい、空き家が遠方にあるなどの理由で売却活動に労力をかけられない場合は買取による売却に魅力を感じる方もいるでしょう。

買取業者に家を売却する様子

仲介での売却が難しい場合でも売却できる可能性がある

築年数が20年以上経過した空き家を売る際、仲介では「古家(ふるや)付き土地」として売るケースがあります。古家付き土地とは、建物そのものには価値がないとし、古家がある土地として売りに出すことです。「土地を購入したい」「古家のリノベーション・リフォームを行って自分好みの住まいを実現したい」といった買主が主なターゲットとなります。

しかしこの場合、建物の解体費用や、リノベーション・リフォーム費用は買主側の負担となるため、築浅の物件や土地のみの物件より買い手が付きにくいケースがあります。そうすると、仲介では売却が難しかったり、売却までに時間がかかったりするでしょう。

買取であれば、物件の解体やリノベーションは買取業者が行うため、そのままの状態で時間をかけずに売却できる可能性があります。ただし、なかには買取業者でも買い取ってもらえない物件もあるため、注意しましょう。

契約不適合責任が免責になりやすい

契約不適合責任とは、売買契約書に記載されていなかった瑕疵(かし)が引渡し後に発覚した際、売主が負わなければならない責任のことです。瑕疵とは、腐食やシロアリ被害といった物件に見られる何らかの不具合や欠陥のことで、契約不適合責任が認められた場合は、修復にかかる費用や損害賠償などを請求されることがあります。しかし、買取の場合、契約不適合責任を免責してもらえる場合が多くあるため、不動産会社に確認してみましょう。

家の瑕疵を調査する様子

買取で空き家売却を成功させるコツ

買取で売却を成功させるコツは、事前に売却相場を調べておくことです。前述のように、買取価格は仲介で売却した場合の6~8割ほどの額になることが一般的です。しかし、悪質な買取業者に当たると5割以下といった不当に安い金額を提示されることもあります。

不動産会社から提示された買取価格が適正であるかを判断するためには、売却相場を知っておくことが必要です。売却相場を調べるなら、仲介でどのくらいの価格で売却できるのかを見積もってもらう不動産査定をおすすめします。たとえば、仲介での査定価格が3,000万円の場合、適正な買取価格は1,800万~2,400万円ほどです。このように、買取価格が妥当でであるかを判断するためにも、まずは一度仲介での査定を受けてみるのがよいでしょう。

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空き家の買取業者を選ぶポイント3つ

空き家の買取業者を選ぶ際に、意識しておきたいポイントは以下の3つです。

・信頼できる会社か
・空き家の買取実績は豊富か
・買取査定額の根拠を丁寧に説明してくれるか

先ほどもお伝えしたように悪質な買取業者だと不利な買取条件を提示されることがあるため、買取業者を選ぶ際には、信頼できる会社を選ぶことが重要です。そのような事態を回避するためにも、仲介での売却相場を調べたり、信頼できる会社か口コミをはじめとした情報を調べておいたりといった対策をしておくと安心です。

また、買取査定額を提示された際は、金額の根拠を尋ねることをおすすめします。仲介での査定額の6~8割でなくても、納得できる根拠があれば、悪徳業者ではない可能性が高いでしょう。

信頼のできる買取業者の女性

空き家を放置するリスク

買い手が付かない、売却活動が面倒だからといって空き家を放置しておくと、思いもよらぬトラブルが発生する場合があります。代表的なトラブルは以下の通りです。

・空き家の劣化が進行する
・衛生面での悪化や犯罪の温床になる
・税制上の優遇が受けられなくなる

空き家の劣化が進行する

人が住んでいない家は、定期的な換気がされず湿気がたまることで木材が腐食したり、劣化の発見・対応が遅れてしまったりします。そうすると、さらなる劣化を生み、人が住んでいる家に比べて劣化が早い傾向にあります。

衛生面での悪化や犯罪の温床になる

空き家を放置しておくと家の劣化を引き起こすシロアリやネズミなどの害虫がすみついたり、ゴミの不法投棄の被害に遭ったりして、衛生面での悪化が加速する可能性があります。また、不法占拠や放火に巻き込まれるなど、近隣の住宅にも被害を及ぼし、トラブルにつながる恐れもあるでしょう。

税制上の優遇が受けられなくなる

近隣住民に被害が及ぶほど空き家の管理・維持がなされていないと、行政から「特定空家」「管理不全空家」に指定され、税制上の優遇が受けられなくなります。税制上の優遇とは、住宅用地の軽減措置を指し、小規模住宅地の固定資産税評価額が1/6に軽減される特例のことです。このような税制上の優遇が受けられなくなると固定資産税の負担が増えてしまうため、使用していない空き家はできるだけ早めに対処しましょう。

●管理不全空家等及び特定空家等に対する措置について詳しくはこちら

放置された空き家

空き家買取の手順

それでは、実際に空き家の買取を依頼する際の流れを確認しておきましょう。空き家買取の手順は以下の通りです。

・買取査定を申し込む
・売買契約を結ぶ
・引渡し・決済を行う

買取査定の申し込みは、複数社に簡易査定を依頼し、どの会社に訪問査定を依頼するかを比較しましょう。訪問査定とは、実際に不動産会社の担当者が空き家を訪れ、周辺環境や物件の状態などの詳細を加味して査定を行う方法です。訪問査定は簡易査定より精度が高く、買取の場合は訪問査定によって提示された価格に売主が合意できれば成約価格となります。

●家を売る際の注意点やコツ、必要書類に関する記事はこちら

訪問査定で見積もりを出す男性

空き家の買取は適正価格の把握から

これまで、買取の意味やメリット、手順について解説してきました。売却を急いでいる方や、売却活動が負担な方にはおすすめの売却方法といえるでしょう。とはいえ、買取価格が適正であるか、買取での売却を選ぶべきかを判断するには、空き家本来の不動産市場価格を知る必要があります。そのため、まずは仲介方式での査定申し込みがおすすめです。

三井のリハウスでは、豊富な取引実績と地域密着型の店舗展開で、高精度な査定価格を提示し、お客さまの売却活動をサポートしています。空き家売却をご検討の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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監修者:ファイナンシャル・プランナー 大石泉

株式会社NIE.Eカレッジ代表取締役。CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士などの資格を保有。住宅情報メディアの企画・編集などを経て独立し、現在ではライフプランやキャリアデザイン、資産形成等の研修や講座、個別コンサルティングを行っている。
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