不動産売却に失敗しないためには?失敗事例や後悔を防ぐための対策を解説

初めて不動産売却を行う方のなかには、不動産取引に失敗してしまうのではないかという不安を抱えている方も多いのではないでしょうか?この記事では、ありがちな失敗の事例をご紹介しながら、マンションや一戸建てを売却するうえでの注意点を解説します。

目次
  1. 不動産売却の失敗はなぜ起こる?
  2. 不動産会社選びにおける売却の失敗事例
  3. 事前準備における不動産売却の失敗事例
  4. 売却活動における不動産売却の失敗事例
  5. 費用における不動産売却の失敗事例
  6. 不動産売却で失敗しないために流れを知っておこう!
  7. 不動産売却に失敗して後悔しないために!
記事カテゴリ 売却 費用
2024.01.04

不動産売却の失敗はなぜ起こる?

初めて不動産売却をする方のなかには、「失敗したらどうしよう」と不安を感じている方も多いでしょう。不動産売却で失敗してしまう理由には、「事前の準備が不十分だった」「売り出し価格が相場に合っていなかった」などが挙げられます。今回は、不動産売却によくある失敗例を取り上げ、併せて失敗を防ぐための対策も解説します。

不動産会社選びにおける売却の失敗事例

不動産売却において、不動産会社選びは重要です。媒介契約を結ぶ不動産会社しだいで、売却がスムーズに進むか、希望の条件で売却できるかが決まります。まずは、不動産会社選びにおける失敗例をご紹介します。

不動産売却に失敗した人

不動産会社が頼りなかった

選んだ不動産会社によっては「不動産会社が頼りなく、なかなか買主が見つからなかった」「希望の価格で売却できなかった」という失敗をすることがあります。不動産会社を選ぶ際は、対応は丁寧か、実績があるかなどを見て決めましょう。また、不動産会社によって、得意分野は異なります。売却したい物件に近い分野での実績が豊富かどうかも、不動産会社を見極めるポイントの1つです。

一方、「囲い込み」をする不動産会社には注意しなければなりません。囲い込みとは、売却を依頼された物件の情報を意図的に他社へ紹介せず、自社内で売買を成約しようとすることです。

媒介契約のうち、「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」を結んでいる場合は、売却依頼された物件情報を業界向けデータベース(レインズ)に登録しなければなりません。しかし、これを怠ったり、他社からの問い合わせに応じなかったりすることで、売主と買主どちらからも仲介手数料を受け取ろうとする不動産会社もいるので、信頼できる不動産会社を見極めることが大切です。

査定額のみで会社を選んで後悔した

「複数の不動産会社に査定を依頼して査定額が最も高い会社と媒介契約を結んだ結果、その価格で売却できず、かなり値下げしてようやく成約した」とい失敗例もあります。

不動産会社には、仲介を依頼してもらいたいがために、売却相場よりもあえて高い査定額(査定価格)を提示する会社もあります。しかし、査定額が高いからといってその価格で売却できるとは限りません。そのため、不動産会社と媒介契約を結ぶ際は、「査定額が最も高いから」という理由だけで選ばず、提示された査定額の根拠を聞くようにしましょう。

売却予定の家を査定する人

事前準備における不動産売却の失敗事例

不動産売却で失敗しないためには、事前準備をしっかり行うことも重要です。ここでは、事前準備に関する失敗例を見ていきましょう。

売却相場を知らずに後悔した

「売却相場を事前に調べていなかったため、相場より安い価格で成約してしまった」という失敗談はよくあります。不動産の売り出し価格は、高過ぎると買い手を見つけるのが難しく、安過ぎると損をしてしまいます。また、先ほど挙げた不動産会社選びの失敗を防ぐためにも、相場を調べておきましょう。不動産会社から出された査定額が相場と異なる際に、その根拠を尋ねて不動産会社の信頼度を判断することができます。

相場を自分で調べるには、主に以下のような方法があります。

・不動産会社サイトで調べる
レインズ マーケット インフォメーションで調べる
土地総合情報システムで調べる

三井のリハウスでは、マンション、一戸建て、土地それぞれの相場価格や、エリア内での購入希望者数、取引実績を地域ごとに公開しています。ぜひご活用ください。

●ご利用はこちら

●不動産売却の相場を調べる方法についてはこちら
不動産の相場価格はどれくらい?自分で相場を調べる方法を分かりやすく解説!

不動産売却に成功した夫婦

余裕を持って計画を立てていなかった

事前準備の失敗には「不動産売却にどのくらいの期間がかかるかを知らず、売却しなければならない日程が迫っていたため、焦って安い価格で売ってしまった」というケースもあります。売却計画を立てる際は、そういった失敗をしないよう、余裕を持ってスケジュールを組む必要があります。

不動産売却にかかる期間は、一般的に3か月〜半年程度です。これを目安に、売却スケジュールを立てるようにしましょう。そうすることで、焦ってストレスをため込んだり、急ぐあまり売却価格を不必要に値下げしてしまったりといった失敗を防げます。

売り時を知らずに安い価格で売却した

次にご紹介するのは、「不動産の市場が不活発な時期に売り出してしまい、結果的に安い価格で成約してしまった」という失敗事例です。不動産売却には、比較的高く売れる「売り時」があり、それ以外のタイミングで売却すると、売り時の売却価格よりも安くなってしまうことがあります。

不動産は、相場や季節、不動産市況、税制など、複数の状況によって最適な売却時期が異なります。主に不動産の市場が活発になるのは、転勤や入学などで人が動く春(3月前後)や秋(9月前後)で、これらの時期が一般的な不動産の売り時です。ただし、売り時には、同じような条件の不動産が多く売り出されるため、価格競争が起きることもあります。

また、同じマンション内で売りに出ている物件があるときは、値下げ競争に巻き込まれて成約価格が下がるリスクがあるため、売却時期をずらすほうがよい場合があります。いつ売却すればよいか分からないときは、所有の物件が好条件で売れやすい時期を不動産会社に相談してみましょう。

不動産売却する予定の家

売却活動における不動産売却の失敗事例

不動産会社を決めた後、売却活動を進める際の失敗例をご紹介します。

自分に合った媒介契約を結ばなかった

不動産会社に仲介を依頼する契約を「媒介契約」といいますが、「媒介契約についてよく理解していないまま契約を結んでしまったため、思うように売却活動が進まなかった」という失敗もあります。

媒介契約には、一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の3種類があります。それぞれ契約によって、活動報告の頻度や、複数の不動産会社への仲介依頼、自己発見取引の可否が異なるため、3つの違いを理解し、自分に合った契約を締結することが売却に失敗しないコツといえるでしょう。

●媒介契約の違いについて詳しく知りたい方はこちら
媒介とは?仲介や一般媒介などの違いを一挙解説!

売り出し価格が適正でないためなかなか売れなかった

「売り出し価格を高く設定したため、いつまでたっても売却できなかった」という失敗例があります。先ほどもお伝えした通り、売り出し価格が相場に比べて高過ぎると、買い手が付きづらく、安過ぎると売却できても損をするため、市場に提示する売り出し価格は慎重に決めましょう。一般的に売り出し価格は、仲介してもらう不動産会社の査定額をもとに、売主と不動産会社が相談して決めていきます。

内覧準備が不十分だった

「内覧後、購入検討者の購買意欲が下がってしまった」ことで売却に失敗した事例があります。内覧は売主が力を入れたいポイントです。内覧準備は不動産会社が行わないため、売主自身で行う必要があります。内覧時までに、部屋の整頓やごみの片付け、タバコやペットの臭い対策をしておきましょう。玄関は家の第一印象を決める場所なので、特にきれいにしておくことをおすすめします。なお、意外と見られているのは水回りです。キッチンやバスルーム、トイレも清潔にしておきましょう。

内覧の様子

費用における不動産売却の失敗事例

「住まいを売れば、お金が入る!」と期待している方は多いでしょう。しかし、不動産売却には費用もかかるため注意が必要です。ここでは、不動産売却の諸費用や税金について、よくある失敗例と、対策として知っておくべき知識について解説します。

売却に必要な諸費用を把握していなかった

「不動産売却にどのくらい費用がかかるのか知らず、手持ちの資金を十分に用意していなかった」ため失敗するケースがあります。不動産売却には、さまざまな諸費用がかかるため覚えておきましょう。不動産売却にかかる主な諸費用は以下の通りです。

・仲介手数料
・司法書士への報酬
・引越し費用
・測量費用

仲介手数料
仲介手数料とは、不動産売却が行われた際に、不動産会社に報酬として支払う料金です。仲介手数料は、売却にかかる諸費用のなかでも特に金額が大きくなります。ただし、仲介手数料には法律で定められた上限があるため、上限を超えて請求されることはありません。

司法書士への報酬
司法書士への報酬とは、不動産売却に必要な登記の手続きを司法書士に依頼する場合に支払う費用です。登記の手続きは自分でも行えますが、専門知識が必要になるため、法律の専門家である司法書士に依頼するケースが一般的です。依頼した場合、司法書士への報酬がかかります。

引越し費用
引越し費用は、時期や移動距離、荷物量によって異なるため、引越し業者に見積もりを出してもらうのがおすすめです。また、売却する家を退去する際に、まだ住み替え先が決まっていない場合は、仮住まいへの引越しを含めて、2回分の引越し費用が必要になります。

測量費用
測量費用は、土地の広さを算出するためにかかるお金です。土地や、土地付き一戸建ての売却では、対象となる土地の範囲を明示しなければなりません。専門業者に依頼して、対象となる土地の位置や面積を確定する測量図を作成するために費用が発生します。ただし、確定測量図が既にある場合や買主が合意している場合は、測量する必要はありません。

売却する家と確定申告書

税金や費用に対する知識を身に付けていなかった

「不動産売却後、想像以上に税金がかかり、手元に残る資金が少なくなった」という事例も多くあります。どのような費用がかかるか見ていきましょう。

税金
不動産の売却の際には、以下のような税金が課せられます。

・譲渡所得にかかる税金
・印紙税
・登録免許税
・仲介手数料の消費税

譲渡所得にかかる税金とは、不動産を売却して出た利益に対して課せられる所得税や住民税を指し、合わせて譲渡所得税とも呼ばれます。また、2037年までは東日本大震災の復興のために、復興特別所得税が所得税に上乗せされます。ただし、譲渡所得がマイナスの場合、これらの税金は納める必要はありません。譲渡所得の計算方法については以下のページを参考にしてください。

●譲渡所得の計算方法についてはこちら

なお、譲渡所得の有無にかかわらず、不動産売買の手続きの際には印紙税、抵当権抹消登記や相続登記などを行う際には登録免許税といった税金が発生します。

●不動産売却にかかる税金に関する記事はこちら
不動産売却にかかる税金にはどんなものがある?計算方法と節税対策について解説

●譲渡所得にかかる税金の特例に関する記事はこちら
不動産譲渡税とは?税金額の計算方法も併せて詳しく解説

なお、不動産を売却すると、場合によってはこれまで支払った費用や税金から一部お金が戻ってくることがあります。合計すると数万円~数十万円戻ってくることが多いため、損をしないためにも下記でご紹介する費用を確認しておきましょう。

銀行保証料
住宅ローンの借り入れの際、保証会社の利用料として支払ったお金のことです。このお金は分割か一括で支払いますが、一括で支払いをしていた場合、売却時には残りのローン期間分の保証金が返済されます。売却に伴う抵当権の抹消手続きをする際に、銀行が保証料の返済額を算出してくれるので確認してみましょう。

火災保険料
住宅ローンを組む際には、火災保険に加入することが一般的です。最長10年の長期一括契約をすると保険料が安くなるため、長期契約をしている方もいるでしょう。しかし、契約満期を迎える前に不動産を売却すると、残りの年数分の保険料が戻ってきます。ただし、解約手続きを行わないと返金されないので、必ず手続きするようにしましょう。

火災保険

マンション管理費や修繕積立金
マンションを売却すると、前払いしていた管理費や修繕積立金が買主から戻ってきます。引渡し後は買主の負担になるため、引渡し時に買主と日割り精算をして、買主が住む期間分の費用を売主に支払うことが多くなります。

固定資産税や都市計画税
毎年1月1日に不動産の所有者に課せられる固定資産税や都市計画税も、年の途中で売却する場合は、買主から一部戻ってくることがあります。それぞれの負担額は、売買契約をする際に日割り計算し、引渡し後の額を買主が支払い、負担することが一般的です。

積まれた現金と一戸建ての模型

不動産売却で失敗しないために流れを知っておこう!

不動産売却を失敗させないためには、最初に売却時の流れを把握することが大切です。不動産売却のおおまかな流れを以下にまとめました。

・事前準備
・査定・媒介契約
・売却活動
・売買契約
・決済・引渡し(住宅ローン完済)
・確定申告

それぞれのステップでは、必要な書類や準備があります。詳しい不動産売却の流れは以下の記事を参考にしてくださいね。

●不動産売却の流れに関する詳しい記事はこちら
不動産売買はどんな流れで進む?必要書類と費用もチェック

不動産売買契約書と印鑑

不動産売却に失敗して後悔しないために!

大きなお金が動く不動産売却で失敗しないためには、基本的な知識を深めていくことが重要です。相場に見合った売り出し価格の設定や売り出しのタイミング、内覧の際にいかに物件を魅力的に見せるかといった工夫など、失敗しないために押さえておきたいポイントは数多くあります。

これらのポイントをしっかり踏まえたうえで、余裕あるスケジュールを組み、実績の豊富な不動産会社に仲介を依頼すれば、不動産売却での失敗は防げるでしょう。

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村田洋一

らくだ不動産 不動産コンサルタント。宅地建物取引士、行政書士。消費者にとっての最良の不動産取引を目指し、多岐にわたる不動産トラブルの相談を受ける。
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