土地売却にかかる税金はいくら?税額の計算方法や2つの節税対策について徹底解説!

土地売却にかかる税金には「所得税」「住民税」「登録免許税」「印紙税」などがあり、それぞれの算出方法や基礎知識を理解しておくことが大切です。この記事では、土地売却にかかる税金の計算方法や、納税時期、節税方法について詳しく解説します。

目次
  1. 土地売却には税金がかかる?
  2. 土地売却にかかる4つの税金と納める時期
  3. 土地売却にかかる譲渡所得の計算方法
  4. 土地売却にかかる税金のシミュレーション
  5. 土地売却にかかる税金の負担を減らす方法
  6. 相続後の土地売却にかかる税金と特例
  7. 土地売却に向けて不動産会社に査定を依頼しよう!
記事カテゴリ 売却 税金 土地
2024.03.28

土地売却には税金がかかる?

土地を売却して利益が発生すると税金がかかります。そのため、土地売却を考えている方のなかには、「どのくらいの税額になるのだろう?」「いつ支払えばいいのだろう?」と疑問や不安を抱える方もいるでしょう。税金がどれくらいかかるのかを知っておくと、支出がある程度把握できるため、適切な資金計画を立てられます。

そこで今回は、土地売却を検討している方や、税金について知りたい方に向けて、土地売却の際に支払う税額や納める時期、節税方法についてお伝えします。

●土地売却の流れに関する記事はこちら

土地売却にかかる税金を計算する女性

土地売却にかかる4つの税金と納める時期

所有している土地を売却する際にかかる税金とそれぞれの納めるタイミングは以下の通りです。

税金納める時期
所得税売却翌年の確定申告時
住民税売却翌年の6月以降
登録免許税抵当権抹消登記時
印紙税売買契約締結時

これら4つの税金は、支払い額はもちろん納めるタイミングや方法も異なります。それぞれについて売却前にあらかじめ把握しておきましょう。

所得税と住民税

所得税と住民税は、土地を売却してプラスの譲渡所得が発生した場合にかかる税金です。譲渡所得とは、土地や建物などの資産を売却して得た所得のことです。所得税と住民税の2つをまとめて「譲渡所得税」と呼ぶこともあります。譲渡所得が発生しなかった場合には、これらの税金も発生しません。譲渡所得にかかる所得税と住民税の計算方法は以下で詳しく解説します。

●所得税
所得税は、土地を売却した翌年の確定申告の期間である、2月16日から3月15日までに申告と納税を行います。また、所得税と併せて復興特別所得税も納める必要があります。復興特別所得税とは、東日本大震災の復興に必要な財源を確保するための特別税のことで、平成25年から令和19年の25年間は、所得税額に2.1%を上乗せして納税する必要があるのです。

●住民税
住民税は、売却した翌年の6月以降、納付通知書が届き次第納税することになっており、「普通徴収」と「特別徴収」2つの納税方法があります。

普通徴収は、納付通知書に従い、自ら納税の手続きを行う必要がある方法です。一括払いのほかに、6月、8月、10月、翌1月の4回に分割して支払う機会があり、納税課の窓口や銀行、コンビニなどで支払うことができます。自治体によって支払い方法が異なるので、自治体のホームページを確認しましょう。

2つ目の特別徴収は、会社員をはじめとする給与所得者の場合に、勤めている会社が住民税を計算して、給与から天引きする方法です。なお所得税の確定申告や年末調整をしていれば、住民税申告は必要ありません。

土地売却にかかる税金の計算方法

登録免許税

登録免許税とは、家や土地等の不動産の登記を行う際に課税される税金のことで、不動産1つにつき1,000円が発生します。土地売却の場合、土地に抵当権を設定している場合は、住宅ローンを完済し、抹消登記を行う必要があります。

なお、売却によって不動産の所有権が移動したことを示す「所有権移転登記」は一般的に買主が行うので、売主の対応は不要です。

印紙税

印紙税とは、売買契約書に課せられる税金のことで、納税額は契約書に記載された金額(成約価格)に応じて異なります。土地を売却する際に印紙税を支払う場合、売買契約が成立したタイミングで支払うのが一般的です。

契約書に記載された金額本則課税額
1,000万円超~5,000万円以下2万円
5,000万円超~1億円以下6万円
1億円超~5億円以下10万円

●不動産売却にかかる税金に関する記事はこちら

売却予定の土地

土地売却にかかる譲渡所得の計算方法

ここから、実際に土地売却で発生する譲渡所得の計算方法や、所得税・住民税の税率について解説します。

譲渡所得は、譲渡収入額(不動産を売却したときに得られる収入)から物件の取得費用と、購入・売却時にかかった仲介手数料、土地の測量費、登記費用などの諸費用を引いたものです。取得費が分からない場合には、譲渡収入額の5%を取得費とします。譲渡所得の算出方法は以下の通りです。

譲渡所得の求め方

税率は、土地の所有期間によって異なり、所有期間が5年以下の場合は「短期譲渡所得」、5年を超える場合は「長期譲渡所得」となります。以下の表は、土地の所有期間別の所得税率と住民税率をまとめたものです。

所有期間所得税率(復興特別所得税を含む)住民税率合計
短期譲渡所得(5年以下)30.63%9%39.63%
長期譲渡所得(5年超)15.315%5%20.315%

土地の所有期間が5年以下か5年超えかは、土地を取得した日から売却した年の1月1日の時点で判断します。たとえば、2019年3月に取得した土地を2024年8月に売却した場合、実際の所有期間は5年5か月ですが、譲渡した年の1月1日でカウントされるため、4年10か月にわたって所有したことになります。つまり、この場合には短期譲渡所得となるため、適用される税率は39.63%です。

●譲渡所得にかかる税金に関する記事はこちら

土地売却にかかる税金の計算の仕方

土地売却にかかる税金のシミュレーション

譲渡所得の算出方法や税率が分かったところで、土地を売却する際に発生する税金を計算してみましょう。

売却価格1,000万円の土地にかかる税金

まずは、1,000万円で売却した土地にかかる税金について解説します。売却する土地の条件は、以下の通りとして、実際にかかる税金を求めてみます。

・売却価格(譲渡収入額) 1,000万円
・売却時にかかった経費 100万円
・所有期間 4年
・取得費 700万円

●譲渡所得を求める
税金の計算をする際はまず、譲渡所得を算出しましょう。上記でもお伝えした通り、譲渡所得は、土地の取得費(購入した価格)と経費を売却価格から差し引いた価格なので、以下の計算式で求められます。

1,000万円 – (700万円 + 100万円) = 200万円

●税率をかける
今回の場合、土地の所有期間が5年以下であるため、譲渡所得にかけられる税率は39.63%となります。そのため、所得税・住民税・復興特別所得税の合計は以下の通りです。

200万円 × 0.3963 = 79万2,600円

上記で算出した譲渡所得にかかる税金に、登録免許税と印紙税を合わせたものが1,000万円で売却した土地にかかる税金となります。

売却価格2,000万円の土地にかかる税金

次に、2,000万円で売却した土地にかかる税金について見ていきましょう。売却する土地の条件は、以下の通りとして、実際にかかる税金を求めてみます。

・売却価格(譲渡収入額) 2,000万円
・売却時にかかった経費 200万円
・所有期間 7年
・取得費 1,500万円

●譲渡所得を求める
上記条件の場合、譲渡所得を求める計算式は以下の通りになります。

2,000万円 – (1,500万円 + 200万円) = 300万円

●税率をかける
今回の場合、土地の所有期間が5年を超えているため、譲渡所得にかけられる税率は20.315%となります。そのため、所得税・住民税・復興特別所得税の合計は以下の通りです。

300万円 × 0.20315 = 60万9,450円

上記で算出した譲渡所得にかかる税金に、登録免許税と印紙税を合わせたものが2,000万円で売却した土地にかかる税金となります。

1,000万円と、2,000万円で土地を売却した場合にかかる税金についてそれぞれ解説しましたが、次項でご紹介する「3,000万円控除の特例」の適用要件を満たす場合は、譲渡所得はなしと見なされ税金は発生しません。次に税負担を軽減する特例について見ていきましょう。

●不動産売却時の税金シミュレーションはこちら

税金の特別控除が適用される土地

土地売却にかかる税金の負担を減らす方法

土地売却にかかる税金には、特例や控除が適用されるケースがあります。ここからは、「マイホーム」として自分が住んでいた土地を売却した場合に節税できる特例について解説します。

3,000万円特別控除の特例

税金の特例のなかに「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」というものがあります。マイホームを売却すると、所有していた期間に関係なく譲渡所得から3,000万円まで控除することができるという特例です。土地売却でこの特例を利用したい場合は、建物を取り壊して1年以内に譲渡契約を結んでいるかつ、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年末までに売るといった要件があります。

●3,000万円特別控除の詳しい適用要件についてはこちら
●3,000万円特別控除に関する記事はこちら

土地売却にかかる税金の負担を減らす方法

マイホームを売ったときの軽減税率の特例

所有期間が10年を超えるマイホームを売る際に、一定の要件を満たしていれば軽減税率の特例を受けることができ、所得税と住民税の税率が軽減されます。

課税長期譲渡所得金額所得税率(復興特別所得税を含む)住民税率合計
6,000万円以下の部分10.21%4%14.21%
6,000万円を超える部分15.315%5%20.315%

以上のように、マイホームを売ったときの軽減税率の特例が適用されると、先ほどご紹介した長期譲渡所得の場合の20.315%より低い税率で所得税と住民税を算出できます

なお、土地売却でこちらの特例を受けるためには、建物を取り壊して1年以内に譲渡契約を結んでいるかつ、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年末までに売るといった要件を全て満たす必要があるため、あらかじめ確認しておきましょう。

なお、マイホームを売ったときの軽減税率の特例は、先ほど解説した3,000万円の特別控除の特例との併用が可能です。

●軽減税率の特例の詳しい適用要件はこちら

ここまでご紹介してきた各特例を利用するためには、上記でもお伝えしたように確定申告が必要になります。土地を売却した翌年の2月16日から3月15日の期間内に、確定申告を必ず行いましょう。期限をすぎると、無申告加算税や延滞税を支払わなければならない場合があり、加えて特例も利用できなくなってしまうため、注意が必要です。

土地売却にかかる税金の確定申告書を作成する男性

相続後の土地売却にかかる税金と特例

相続後に土地売却を検討している人のなかには、「相続したものの、取得費が分からない場合、土地売却にかかる税金はどうなるのだろう?」「相続した土地の売却にかかる税金に適用される特例はあるのだろうか?」と疑問を抱いている方もいるのではないでしょうか?ここからは、相続後の土地売却にかかる税金の計算方法や特例、注意点を解説します。

相続した土地が取得費不明の場合の譲渡所得の計算方法

相続した土地であっても取得費が分からない場合には、先述の通り譲渡収入額の5%が取得費になります。たとえば、土地の譲渡収入額が4,000万円で、取得費が不明な場合、以下のように求めることが可能です。

●物件取得費の求め方
4,000万円 × 0.05 = 200万円

●譲渡所得の求め方
さらに譲渡費用が150万円の場合、譲渡所得は譲渡収入額 − (物件取得費 + 譲渡費用)で求められるため、課税譲渡所得は以下の計算式で求められます。

4,000万円 − (200万円 + 150万円) = 3,650万円

相続した土地の売却時に利用できる特例

相続した土地を3年以内に売却することで利用できる以下の2つの控除があります。

・取得費加算の特例
・相続空き家の3,000万円特別控除

1つずつ詳しく見ていきましょう。

●取得費加算の特例
相続した土地を売却する場合、相続税を支払う人に適用される「取得費加算の特例」という特例があります。取得費加算の特例とは、相続税額の一部を取得費に加算することで、譲渡所得を減らすことができる制度です。譲渡所得を減らせれば、税金も抑えられます。

●取得費加算の特例についてはこちら

●相続空き家の3,000万円特別控除
相続により取得した被相続人の居住用家屋や居住用家屋の敷地を売却した場合は、譲渡所得から最大3,000万円の控除が適用される相続空き家の3,000万円特別控除を利用できる可能性があります。なお、特例の適用には要件があるため、相続した不動産が控除の対象であるか事前に確認しておきましょう。

なお、上記で紹介した2つの特別控除は併用できないため注意が必要です。また、相続した不動産を売却するためには、相続登記をしなくてはなりません。相続登記は、令和6年4月1日より義務化されるため、スムーズに売却できるよう忘れずに行いましょう。

●相続空き家の3,000万円特別控除についてはこちら
●相続登記の義務化に関する記事はこちら

スマホと電卓を持つ女性

土地売却に向けて不動産会社に査定を依頼しよう!

今回は、土地売却の際に納める税金の納税時期や税額、また節税方法についてご紹介しました。土地売却における税金についてきちんと押さえておくと、資金計画が立てやすくなりますよ。

土地売却をご希望の場合、まずは、不動産会社に査定を依頼してどのくらいで土地を売却できそうかを把握することがおすすめです。三井のリハウスは、取扱件数100万件以上の実績に基づく豊富な経験と知識で、不動産売却のサポートを行っています。また、数多くの店舗を展開しているので、地域に密着したサービスが可能です。無料査定も行っていますので、土地売却をご検討の方はぜひお気軽にお問い合わせください。

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監修者:ファイナンシャル・プランナー 大石泉

株式会社NIE.Eカレッジ代表取締役。CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士などの資格を保有。住宅情報メディアの企画・編集などを経て独立し、現在ではライフプランやキャリアデザイン、資産形成等の研修や講座、個別コンサルティングを行っている。
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