中古戸建はどのようにして査定されるの?査定してもらう際の注意点も併せて解説

中古の一戸建てはどのようにして査定されるのでしょうか?査定価格は、不動産を売却するうえで重要な判断基準です。ここでは、不動産の査定方法や査定する際の注意点など、不動産売却をする前に押さえておきたい知識を詳しく解説していきます。

目次
  1. 中古一戸建ての査定とは?
  2. 土地の査定でチェックされるポイントは?
  3. 建物の査定における評価ポイントは?
  4. そのほかのチェックポイント
  5. 査定を依頼する前に行っておくとよいこと
  6. 査定時の注意点
  7. まずは査定を依頼しよう!
記事カテゴリ 売却 一戸建て 住み替え
2023.07.11

中古一戸建ての査定とは?

査定とは、不動産会社に物件の価格を見積もってもらうことです。査定価格(査定額)は、物件の特徴や不動産市場の状況を総合的に判定した価格であり、実際に売り出す価格や、最終的な成約価格とは異なります。

一戸建ての査定は、簡易査定(机上査定)と訪問査定の2種類が一般的です。この記事では、それぞれについて詳しく解説した後、査定に関する基礎的な知識と併せて、建物や土地の査定ポイントについても紹介していきます。

家の模型と虫眼鏡を持ったサラリーマン

簡易査定

簡易査定とは、物件の広さや築年数、立地などの不動産個別データと過去の事例を比較することで、おおまかな査定価格を算出する方法を指します。この方法であれば、即日~3日以内と短期間で結果が得られます。また、不動産会社の営業担当者を自宅に招く必要がないので、売却をするかまだ決めていない方も手軽に依頼することが可能です。

訪問査定

訪問査定とは、不動産会社の営業担当者が直接、物件を訪問し、土地の形状、建物の内装・外装や設備、周辺の立地など幅広い状況を踏まえて査定する方法です。訪問査定では査定結果を得るまでに1週間ほど要する場合もありますが、不動産会社が実際の土地や物件を見たうえで査定するので、簡易査定より精度の高い査定結果が期待できます。また、一戸建てはマンションよりも物件の独自性が強く、複雑であるため、適切な査定価格を導き出してもらうためにも、物件の実態を見て査定することが必要です。そのため、一戸建てを売ることが決まっている場合は訪問査定を依頼しましょう。

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土地の査定でチェックされるポイントは?

一戸建ての売却は、土地と建物をそれぞれ査定してもらう必要があり、査定価格はそれらの金額を合計して算出したものです。ここでは、土地の査定でどのような箇所がチェックされるのかを解説していきます。

一戸建ての土地部分は取引事例比較法で査定します。取引事例比較法とは、査定する物件と条件が似ているほかの取引事例を参考にし、土地の条件や特徴を加味して査定価格を決定する方法です。この方法では、基本的に、周辺の土地相場が査定に大きくかかわるため、地域によって算出される査定価格は異なります。

相場のほかにも、土地の価格に影響する要素があるので、以下で詳しく見ていきましょう。

チェックリストと虫眼鏡と家の模型

立地

駅や公共施設、商業施設が周辺にあるかどうかは、土地の価格に影響する要素の1つです。駅の場合は、主要な駅から近いと特に高評価になることが一般的なので、最寄り駅が2つ以上あったらどの駅から近いのかを確認しましょう。

このほか、中心街への近さ、交通アクセスのよさ、エリアのイメージ、治安、その地域の今後の開発予定なども査定価格に影響します。

庭の状態や駐車場の有無

植木の剪定や草刈りなどの手入れがされていない庭は、印象が悪くなり、評価が下がりやすい傾向にあります。また、駐車場がない物件の場合、車を所有している人にとっては検討対象になりにくいでしょう。特に車が生活に欠かせないエリアでは、駐車場がない物件は売りにくくなる恐れがあります。

一軒家の駐車場

接する道路との関係

家の敷地が道路に面している部分が多いのも、日当たりのよさから査定価格が高くなるポイントです。ちなみに家の方角は、南、東西、北向きの順に評価が高くなる傾向にあります。

建築基準法では、建築物の敷地は、原則として幅員4m以上の道路に2m以上接しなければならないと定められています。そのため、接道義務を満たさない場合、現在ある物件を解体して新たに建物を建築することが難しく、評価が下がる恐れがあるので注意しましょう。

敷地の面積や形状

土地の広さや形も、土地の査定価格に影響します。たとえば、土地が狭かったり、特殊な形をしていたりすると、住宅を建てにくいため査定価格が下がる傾向にあります。反対に、敷地の面積が広いと建築物の幅が広がるため、高評価につながりやすくなります。ただし、あまりにも土地が広過ぎると、売り出す際に査定価格が高額になりやすく、かえって売れにくくなってしまう場合もあるので注意が必要です。

家の模型と札束と電卓

建物の査定における評価ポイントは?

中古一戸建ての建物部分を査定する際は、原価法が用いられます。原価法とは、同じ建物を再建した場合の価格を計算し、新築時から査定時までの建物の価値が低下した分を金額に割り出して減価修正する方法です。

減価修正は、築年数や構造、法定耐用年数(減価償却費を計上するために定められた、税務上の耐用年数)を用いて計算します。通常、建物は築年数がたてばたつほど、その価値は減少していきます。なお、国土交通省の資料「中古住宅流通、リフォーム市場の現状」によれば、築10年が経過した木造一戸建ての価値は、新築物件のおよそ半分です。※

国税庁で定められている法定耐用年数は、木造建築では22年、鉄筋コンクリートでは47年です。そのため、木造建築の場合は築20年を超えると、資産価値はほとんどゼロになってしまいます。ただし法定耐用年数は、不動産の価値を公平に算出するために、国が決めたものであり、あくまでも税制上の年数にすぎません。建物自体の物理的な耐用年数は法定耐用年数よりも長く、メンテナンス状況によっても異なってくるので、法定耐用年数と混同しないように注意しましょう。

建物は原価法で計算した後、実際の建物の状態や特徴によって価格を調整されます。そこで、建物価値を測るためには、どのようなことがチェックされるのかを具体的に見ていきましょう。

家の模型と電卓

●耐用年数に関する記事はこちら
減価償却資産の耐用年数とは?不動産売却に役立つ知識を解説!

リフォームの有無

バリアフリーなどのリフォームを行ったことで、建物の付加価値が上がっていると見なされた場合、査定時に高く評価されることがあります。そこで、事前にリフォームを行っている場合には、その内容を不動産会社に詳細に伝えることで、リフォームによる付加価値を正しく査定に反映してもらうようにしましょう。

このように事前にリフォームを行っておくことで査定に有利に働く場合もありますが、必ずしも査定を受ける前のリフォームが必要であるとは限りません。たとえば、リフォームした物件を購入希望者が魅力的に感じず、逆に売れにくくなってしまったりするリスクがあります。また、リフォーム代が売却代金で回収できない可能性もあるため、リフォームするか判断に迷った際には、不動産会社に相談して決めるとよいでしょう。

使用している建物の材質

建物の耐久性が高く、高品質な材質を使用していると高く評価される傾向があります。たとえば、強度があり、香りも楽しめるヒノキなどが、高品質な材質の例として挙げられます。ほかにも、耐久性があり、デザイン性の高いウォールナットを使用したフローリングなども高評価です。

一方で、塗料や接着剤、断熱材などに有害な物質が含まれていると、シックハウス症候群の原因になるため価値が下がります。有害な物質の例としては、断熱材に含まれるアスベスト、塗料に含まれるトルエン、キシレンなどが挙げられます。

咳をする女性

建物の内装、外装の劣化状態や設備

内装の主な評価基準は設備状況や、雨漏り、シロアリが発生していないかなどです。特に、水回りは汚れやすいため、キッチンやお風呂場の設備状況は重要です。ほかにも、下水が流れやすいかといった設備の質に関する問題の有無も評価基準に含まれます。なお、建物に省エネ設備や、防災セキュリティといったオートメーション機能が備わっていると高評価につながりやすいです。

外装の設備基準では建物が破損していないか、素材の劣化具合、建物の傾きがあるかがチェックされます。

間取り

高評価を得るには、広さだけでなく、使いやすい間取りであるかも重要です。収納の有無のほかにも、部屋の数は十分であるか、生活スタイルに合わせやすいか、家事がしやすい動線が確保されているかなどが評価されます。

一戸建ての模型と間取り図

建物の性能

長期優良住宅をはじめとした、性能に優れた建物であれば高評価につながりやすいです。買い手が購入した後、住宅ローン控除といった税金の優遇措置を受けられる可能性が高いため、建物の性能は査定価格にも大きく影響します。そこで、査定を依頼する際には、事前に「住宅性能評価書」や「長期優良住宅認定書」などの認定書を用意しておくとよいでしょう。

不動産市場の価値状況

査定は、そのときの不動産価値の変動も考慮に入れて行います。この際、参考にするのは不動産価格指数です。不動産価格指数とは、国土交通省が公表している不動産価格の動向をデータにしたものを指します。

登記簿謄本の書類と印鑑

そのほかのチェックポイント

ここまで、土地と建物、それぞれの査定方法・評価ポイントを紹介してきましたが、査定の際にチェックされるポイントはほかにもあります。以下に詳しく見ていきましょう。

権利関係(所有者は誰か)

物件の所有者と売却する人が同一でない場合は、基本的に売却ができないため、査定の際に実際の所有者の確認が行われます。そこで、売却を検討する際には、念のため登記簿謄本と売主が一致しているかを確認することが必要です。もし一致していなかった場合は、事前に所有権移転登記を行っておきましょう。

登記簿謄本とは、不動産の所有者やその不動産についての情報が書かれた証明書を指します。登記簿はデータとして保管されており、法務局からアクセス可能です。

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登記簿謄本とは?記載内容や入手方法について解説!

滞納状況(住宅ローンほか)

査定の際は、住宅ローンや税金の滞納がないかどうかもチェックされます。なお、住宅ローンが残っていると抵当権を抹消できないため、基本的には家の売却ができません。ですが、不動産を売却したお金で住宅ローンを一括返済できれば売却は可能です。そのため、住宅ローンの残債がある場合は、査定価格を見て、一括返済できるかどうか事前に判断しておくことが必要です。

●抵当権抹消に関する記事はこちら
抵当権抹消手続きを自分で行う方法を4つのステップで解説!

査定を依頼する前に行っておくとよいこと

ここでは、査定を依頼する前に、行っておくとよいことをいくつかご紹介します。事前に準備をしっかり行うことで、不安要素をなくし、スムーズな査定につなげましょう。

住宅ローンの残債を確認

住宅ローンの残債は、不動産売却価格を決めるうえで重要な情報です。先ほど述べたように、住宅ローンが残っていると基本的には家の売却ができません。そこで、売却時には既にローンを支払い終えているか、売却益や、自己資金で一括返済する必要があります。

売却益で一括返済する場合には、住宅ローンの残債を事前に把握し、完済が見込める売却価格を不動産会社に伝えてから、売り出し価格を決めましょう。住宅ローンの残債は、毎年10月頃に金融機関から送られてくる年末残高証明書で確認できます。

家の模型と「LOAN」の英字ブロックと車の模型

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住み替えの方法や費用など、戸建て・マンション別に解説

片付けや清掃を行っておく

査定前にはできるだけ家をきれいにしておきましょう。特に汚れやすい水回りは、査定時にチェックされやすい箇所なので、念入りに手入れしておくことが高評価を得るためのコツです。

査定時の注意点

査定を受ける際には、注意すべきポイントがいくつかあります。思わぬ不利益を被らないためにも、以下の注意点をよく確認しておきましょう。

査定価格は参考までに

先ほど述べたように、査定価格は実際に契約を結ぶ成約価格ではありません。そのため、高額な査定価格が出ても、信用し過ぎないことや、高額な査定価格が出たことだけを理由に不動産会社を選ばないことが大切です。

瑕疵は正直に伝える

住宅における瑕疵(かし)は、雨漏りやシロアリ発生などの「物理的瑕疵」、建築基準法を満たしていないといった「法律的瑕疵」、事故物件のような心理的に問題がある「心理的瑕疵」、騒音・悪臭などの「環境的瑕疵」などです。ただし、物理的瑕疵はリフォームにより改善可能な場合も多くあります。

これらの瑕疵がある場合は、早めに不動産会社の担当者に伝えるとよいでしょう。意図的に隠していたと発覚した場合、契約不適合責任を負わされ、賠償金を請求される可能性があるからです。

セールスマンと話す女性

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まずは査定を依頼しよう!

ここまで、さまざまな査定に関する注意事項をお伝えしてきましたが、査定を依頼する際には、不動産会社を吟味し、信頼できる会社を選ぶことが大切です。信頼に値する不動産会社かどうかを見極めるには、その会社の実績はもちろん、訪問査定の際のやりとりのなかで、営業担当者の知識は十分か、丁寧な対応だったかなどを確認して判断するとよいでしょう。

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※出典:「中古住宅流通、リフォーム市場の現状」 国土交通省
https://www.mlit.go.jp/common/000135252.pdf
(最終確認:2023年7月7日)

監修者:ファイナンシャル・プランナー 大石泉

株式会社NIE.Eカレッジ代表取締役。CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士などの資格を保有。住宅情報メディアの企画・編集などを経て独立し、現在ではライフプランやキャリアデザイン、資産形成等の研修や講座、個別コンサルティングを行っている。
https://www.izumi-ohishi.co.jp/profile.html