土地建物を売却する!費用・税金、売るときの注意点やポイントを解説

土地建物の売却は、分けずにまとめて行うのがおすすめです。今回は土地建物の売却について、不動産会社へ仲介を依頼する際の流れや、かかる費用、売却時の注意点などについてお伝えします。

目次
  1. 土地建物を売却するには?
  2. 土地建物売却の流れ
  3. 土地建物売却の仲介手数料はいくら?
  4. 土地建物売却にかかるそのほかの費用
  5. 土地建物売却では譲渡所得に対して税金がかかることも
  6. 土地建物売却の注意点とポイント
  7. 土地建物売却成功のコツは不動産会社選び
記事カテゴリ 売却 費用 税金 土地
2023.10.02

土地建物を売却するには?

「実家を相続したものの住む予定がない」「住み替えが決まったので元の住まいは不要になった」といった場合、多くの人は売却を考えるでしょう。土地とその上に建つ建物を両方所有している場合は、まとめて売却すると手間にならずスムーズです。

不動産売買は個人間でも行えますが、手順が多く専門的な知識が必要になる場面もあるため、不動産会社に仲介を依頼することが一般的です。

そこで今回は、土地や建物を売却したい方に向けて、仲介で土地建物を売却する際の流れや諸費用・税金、スムーズに売却するポイントなどを解説していきます。

土地建物の模型

土地建物売却の流れ

仲介での土地建物売却を行うには、あらかじめ流れを把握しておくとスムーズに進めやすくなります。ここでは、流れを6つのステップに分けて詳しく見ていきましょう。

[ 1 ] 査定

まずは不動産会社へ土地建物の査定を依頼します。不動産売却の査定方法には基本的に「簡易査定」と「訪問査定」の2種類があり、どちらの方法でも査定は無料です。

簡易査定は、電話やWebで物件情報を伝えて査定価格を出してもらう方法で、机上査定とも呼ばれます。不動産会社は、主に築年数やエリア、面積といった物件情報に、過去の取引実績や不動産市場の動向などを加味して査定価格を算出します。スピーディーにおおまかな査定価格を知ることができるので、まずは物件にどのくらいの価値があるのかを知りたいという方におすすめです。

訪問査定は、不動産会社の担当者が実際に物件の状態を見て査定価格を算出する方法です。物件を訪問して査定を行う分、手間はかかりますが、日当たりや周辺環境、建物・設備の劣化具合といった物件固有の状況を加味して査定価格を算出するため、簡易査定に比べて精度が高いのが特長です。そのため、既に売却の意思が固まっている方におすすめの査定方法です。

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●不動産査定に関する記事はこちら
不動産査定とは?方法や流れについて、不動産売却を成功させるポイントと併せて解説

[ 2 ] 媒介契約を結ぶ

次に仲介を依頼する会社を決定します。仲介を依頼する会社とは媒介契約を結ぶ必要があります。媒介契約には「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」の3種類があり、それぞれの特徴を理解したうえで最適な契約方法を選択することが大切です。

3種類の契約の違いには、他社との契約の可否や、レインズと呼ばれる物件情報システムへの登録義務、売却活動の報告義務が挙げられます。

●媒介契約の違いについての記事はこちら
媒介とは?仲介や一般媒介などの違いを一挙解説!

一般媒介契約書とハンコ

[ 3 ] 売却活動の開始

媒介契約を結んだら、不動産会社はチラシや広告制作などの売却活動を開始します。この際に重要になるのが売り出し価格です。売り出し価格は、売主が査定価格を参考に決めるのが一般的ですが、売り出し価格が高過ぎると買い手が付きづらく、反対に安過ぎると損をしてしまう可能性があります。不動産会社の意見も参考に、しっかり吟味してから決めるようにしましょう。

売却活動によって購入希望者が現れたら、物件の内覧を行います。契約までつなげるためには、内覧時の印象が非常に重要です。生活感がある家は購買意欲の低下につながりやすいため、事前に整理整頓や掃除を行い、購入希望者に好印象を抱いてもらいやすいようにしておきましょう。特に内覧時に多くの人がチェックするポイントは、水回りです。周囲を清潔にしておくことはもちろん、水漏れや詰まりなどがあれば事前に修繕しておくとよいでしょう。

[ 4 ] 売買契約を結ぶ

売買契約とは、不動産売却において売主と買主が取引を確立させる契約です。売買契約書にはどのような不動産を、どういった条件や状態で譲渡するかについて明記してあります。

締結の当日は基本的に不動産会社と売主、買主の対面で行われます。売買契約を締結する流れとしては、主に以下の通りです。

重要事項の説明
重要事項説明とは、宅地建物取引士の資格を持った人から買主に対して物件の状態や条件の詳細を説明することです。不動産売買では、この重要事項説明を行うことが義務付けられています。

売買契約書の読み合わせ、署名・捺印
重要事項説明と売買契約書の内容に問題がなければ、契約書に署名と捺印をし、契約成立となります。このとき、契約方法にもよりますが、契約書に対して「印紙税」という税金がかかり、収入印紙の貼り付けと消印が必要です(電子契約であれば不要)。

手付金の受領
売買契約が成立すると、買主から売主に手付金が支払われます。手付金の相場は売却代金の約5~10%です。

仲介手数料の半額を支払う
売買契約の締結時に、売主は不動産会社に対して仲介手数料の半額を支払うことが一般的です。仲介手数料とは、仲介業務に対する成功報酬として支払われる費用です。具体的な金額については後ほどご紹介します。

契約書を交わす2人

[ 5 ] 引渡し・名義変更

引渡しは一般的に売買契約締結日から1か月後とされています。引渡し当日はまず、土地建物の所有者を売主から買主へ変更する、名義変更を行います。

土地建物の名義変更を行うには、「所有権移転登記」が必要です。所有権移転登記とは、土地建物の所有権が変更されたことを公示するために必要な手続きのことであり、法務局で申請を行います。

またこのとき、不動産に抵当権が設定されている場合は売主側で「抵当権抹消登記」が必要になります。抵当権抹消登記とは、融資を行った金融機関が担保の土地建物に設定した抵当権を抹消するために必要な登記のことです。住宅ローンを完済しても、抵当権は自動で抹消されないため、法務局への申請が必要です。

所有権移転登記や抵当権抹消登記にはそれぞれ「登録免許税」という税金がかかり、慣例として所有権移転は買主が、抵当権抹消は売主が支払います。

その後、売主は手付金を引いた売却代金の残額を買主から受け取り、引き継ぐべき書類と鍵の引渡しを行います。そして、不動産会社へ仲介手数料の残額を支払うほか、登記申請を依頼した場合は司法書士への報酬も支払います。

●所有権移転登記に関する記事はこちら
所有権移転登記とは?費用や必要書類、手続き方法を解説

●抵当権抹消登記に関する記事はこちら
抵当権抹消手続きを自分で行う方法を4つのステップで解説!

[ 6 ] 確定申告

土地建物を売却して利益が出た場合、その利益は「譲渡所得」として課税されるため、翌年に自分で確定申告を行う必要があります。

ただし、譲渡所得にかかる税金には複数の特例があり、それらを利用することで課税額が軽減されることがあります。また、利益が出ずに赤字になった場合にも、赤字分をほかの所得から差し引くことで減税につながる特例(損益通算)がありますが、これらの特例を受けるためにも確定申告が必須となります。詳しくは、こちらで後ほど解説します。

確定申告の紙と印鑑

土地建物売却の仲介手数料はいくら?

不動産会社の仲介を通じて土地建物の売却を行った場合、売却価格に応じて仲介手数料が発生します。仲介手数料は不動産会社によって金額設定が異なりますが、上限額は法律によって以下の通りに定められています。

・200万円以下の部分 : 売買価格の5% + 消費税
・200万超~400万円以下の部分 : 売買価格の4% + 消費税
・400万円を超える部分 : 売買価格の3% + 消費税

たとえば、1,000万円の土地建物を売った場合、「200万円以下の部分」「200万超~400万円以下の部分」「400万円を超える部分」をそれぞれ分けて計算し、合算します。

1,000万円の土地建物を売った場合の仲介手数料は以下の通りです。

200万円 × 5% + 200万円 × 4% + 600万円 × 3% =36万円 + 消費税

仲介手数料は、売買成立の成功報酬であるため、売主・買主それぞれが媒介契約を結んだ不動産会社へ支払う必要があります。また、金額は不動産の売買価格に応じて高くなることが一般的です。上限額以上の支払いになることはありませんが、大きな出費になるため、査定額が出た段階で目安の仲介手数料を計算し、資金計画を立てておきましょう。

家を囲む人

●仲介手数料に関する記事はこちら
不動産売買にかかる仲介手数料とは?上限と計算例、ポイントを解説

土地建物売却にかかるそのほかの費用

土地建物を売却する際には、上記でご紹介した仲介手数料以外にもさまざまな費用がかかります。売却の流れの説明でもご紹介したように、主な費用としては、契約書作成時の印紙税、司法書士報酬、住宅ローンの残債が残っている場合は住宅ローン完済の手数料や抵当権抹消登記の費用などが挙げられます。

また、土地売却の際には土地の境界が確定している必要があるため、「確定測量」を行います。確定測量とは、隣地の所有者の立ち会い・同意のもと、土地の境界線を確定させることです。

さらに、土地の上に建っている建物を解体して更地にした土地のみを売却する場合は、解体費用がかかります。解体費用の金額は、建物の構造や坪数などによって大きく異なります。

●更地に関する記事はこちら
更地とは?正しい意味や賢い活用方法について解説

●解体費用に関する記事はこちら
家の解体費用の相場は?費用を左右するポイントや安く抑える方法について詳しく解説

コインの上に座る人と家

土地建物売却では譲渡所得に対して税金がかかることも

前述の通り、土地建物売却の際に発生した利益は譲渡所得となり、課税の対象です。ここでは税金の仕組みと、節税に役立つ特例について解説していきます。

譲渡所得にかかる税金の考え方

譲渡所得とは一般的に、土地建物や株式などの資産を譲渡することによって発生する所得を指します。譲渡所得には、その金額に応じて「所得税」「住民税」が課せられ、まとめて譲渡所得税と呼ばれることもあります。また、2037年までは所得税に対して2.1%をかけた金額が、「復興特別所得税」として納税額にプラスされることも覚えておきましょう。

譲渡所得の金額は、以下の計算式で算出されます。

譲渡所得 = 譲渡収入金額 - その不動産の取得費 - 譲渡費用 (仲介手数料や印紙税など、売却に要した費用)

上記の計算で得られた譲渡所得に対して、不動産の所有期間に応じた税率をかけることで、譲渡所得税の金額が算出されます。

所有年数税率(所得税+住民税+復興特別所得税)
5年以下(短期譲渡所得)39.63%
5年超(長期譲渡所得)20.315%

土地建物を売却したときの譲渡所得や、税金の計算方法については国税庁のホームページでも確認できますので、詳しくは以下をご確認ください。

●土地建物を売却したときの税金についての詳細はこちら
国税庁 | 土地や建物を売ったとき

減税できる特別控除がある

譲渡所得には、譲渡の目的や不動産の状態によって複数の特別控除が用意されており、これらを利用すれば税金の支払い負担が軽くなる可能性があります。主な特別控除は以下の通りです。

・公共事業などのために土地や建物を売った場合の5,000万円の特別控除の特例
・マイホーム(居住用財産)を売った場合の3,000万円の特別控除の特例
・被相続人の居住用財産(空き家)を売った場合の3,000万円の特別控除の特例

また、「不動産の所有年数が10年を超えている」「国内にあるマイホームである」などの条件を満たした場合に、譲渡所得の税率がより軽くなる特例もあります。

●3,000万円の特別控除に関する記事はこちら
居住用財産の3,000万円控除とは?適用要件や必要書類も併せて解説!

損失が出た場合も対策がある

もし居住用財産の長期譲渡所得が計算上マイナスになってしまった場合には、「損益通算」を利用できます。損益通算とは、利益と損失を相殺することをいいます。一定の要件を満たす場合に限り、譲渡をした年の事業所得や給与所得などほかの所得と損益通算をすることができ、所得にかかる税金を減らすことが可能です。この損益通算を利用したうえでもマイナスが出る場合は、その譲渡の年の翌年以後3年間にわたり繰り越すことが可能です。

損益通算を利用する際は、ほかの諸要件に注意しましょう。

コインの上に家

土地建物売却の注意点とポイント

土地と建物の売却を実際に進めていくうえで、注意すべき点についてご紹介します。

相場を知っておく

不動産会社の査定を受けると、おおまかな売却額の目安を知ることができますが、事前に自分でも相場を調べておくと安心です。相場を知っておくことで、査定額の妥当性や、売り出し価格を判断する際の役に立ちます。

相場を知るには、「似たような条件の物件がいくらくらいで売り出されているのか」や、「過去にいくらで売れたのか」などを調べるとよいでしょう。そのためには、物件情報サイトや、「レインズマーケットインフォメーション」の活用がおすすめです。レインズマーケットインフォメーションとは、 国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営する、不動産流通標準情報システムを指します。このシステムを利用すれば、業者以外の個人でも過去に取引された不動産の成約価格を知ることができます。

紙とペンとTAXとお金

住宅ローン残債を調べる

土地建物を売却するには、住宅ローンを完済している必要があります。ローンの残債を調べ、査定額から予想される売却額で支払えるかどうかを確認し、売却額で完済できない場合は自己資金で補う必要があります。

売却にかかる消費税は建物のみ

土地建物を売却する際、建物の売却額にかかる消費税に注意しましょう。ただし、個人がマイホームやセカンドハウスといった非事業用の不動産を売却した際には、消費税はかかりません。一方、賃貸マンション・アパート、店舗など、収益物件(事業用不動産)を売却した場合には消費税が生じるので注意しましょう。

上記を踏まえると、収益物件を土地建物総額で取引する場合には、土地と建物の価格の按分(総額における価格の内訳)を決め、建物価格のみの消費税を計算する必要があります。土地と建物の価格の按分は、売却時の固定資産税評価額を基準にするのが一般的です。

握手する2人と家

土地建物売却成功のコツは不動産会社選び

土地建物の売却で大切なことは、信頼できる不動産会社を選ぶことです。営業担当者が親身になって売却の動機や希望を聞いてくれる不動産会社なら、納得のいく売却が期待できます。また、売却をスムーズに進めるためには、質問をはじめとした諸連絡に対して、担当者の返信や対応が早いかといった点も確認しておくとよいでしょう。

三井のリハウスでは、上記でご紹介した簡易査定、訪問査定を無料で行っています。査定後も、豊富な実績と知見を生かし、売却をサポートいたしますので、土地建物の売却をお考えの際はぜひ気軽にお問い合わせください。

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監修者:ファイナンシャル・プランナー 大石泉

株式会社NIE.Eカレッジ代表取締役。CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士などの資格を保有。住宅情報メディアの企画・編集などを経て独立し、現在ではライフプランやキャリアデザイン、資産形成等の研修や講座、個別コンサルティングを行っている。
https://www.izumi-ohishi.co.jp/profile.html