更地とは?正しい意味や賢い活用方法について解説

更地とは、建物が建っておらず、土地利用の制限がかかっていない土地を指します。今回は、建物付きの土地を更地にしようか、売却しようか迷っている方に向けて更地の固定資産税や活用方法についてお伝えします。

目次
  1. 「更地」の定義やメリットを知ろう!
  2. 更地とは?
  3. 更地にするためにかかる費用
  4. 更地にすると固定資産税が高くなる?
  5. 更地にしたほうが売れやすい?
  6. 更地の活用方法
  7. 更地の土地活用はプロに相談を
記事カテゴリ 売却 土地
2023.10.11

「更地」の定義やメリットを知ろう!

「更地を相続した」あるいは「住む予定のない実家を相続した」といった事情を抱える方にとって、どのようにそれらを活用するか、もしくは売却してしまうべきか、悩みどころですよね。自分の持っている更地は売れるのかという不安もあれば、建っている家を取り壊して更地にした場合の固定資産税についても気になることでしょう。そこで今回は、更地をテーマに土地の活用方法や、必要となる費用についてご紹介します。

住宅街の更地

更地とは?

更地とは、「建物や建造物が建っておらず、かつ借地権のような土地利用を制約する権利が付いていない宅地」と定義されています。そのため、耕作されていない農地や、樹木のない山林といった、建物がない土地であったとしても、宅地ではない場合は更地には当てはまりません。

また、土地の状態だけでなく、他人が所有している土地を使用する権利である「地上権」や、賃料を払って建物所有目的で土地を利用する権利である「借地権」の付いた土地は、更地としては扱われません。一方で、住宅ローンを組む際によく耳にする「抵当権」は、土地利用を制約する権利ではないため、抵当権が付いている空き地は更地として扱われます。

更地と似た土地に「整地した土地」があります。整地した土地とは、建物を解体した後に、木くずやコンクリートなどを取り除き、重機で固める「転圧作業」が行われた土地で、この作業の有無が更地と整地の違いです。家を解体して土地を売却する場合は、整地された土地のほうが売れやすいため、土地の売買においては、整地が行われるケースが多く存在します。

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整地された土地

更地にするためにかかる費用

建物が建っている状態の土地を更地にするにはどのくらい費用がかかるのでしょうか?ここからは、更地にするためにかかる費用について見ていきましょう。

家を解体して更地にする場合、建物の構造によって木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造の順番で費用が高くなる傾向にあります。素材が頑丈になればなるほど、解体するのに時間と手間が必要となるためです。

解体費用の相場は以下の通りです。

構造30坪あたりの費用相場
木造120万円~180万円
鉄骨造150万円~210万円
鉄筋コンクリート造180万円~240万円

解体費用は構造の種類に加えて、建物の坪数や立地条件、解体時に出た廃材の量によっても異なります。たとえば立地条件として、重機が入りにくいといった要素がある場合、解体業者による手作業が増え、結果として解体費用は高くなるのです。

家の解体が必要になったら、少しでも費用を節約したいものですよね。事前に自分でできる片付けを行ったり、複数の業者から相見積もりを取ったり、といった自力でできる作業を前もって行うことで、解体費用の削減につながります。

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家の解体費用の相場は?費用を左右するポイントや安く抑える方法について詳しく解説

解体中の一戸建て住宅

更地にすると固定資産税が高くなる?

解体にかかる費用だけではなく、更地を所有し続けることで発生する費用についても見ていきましょう。ここからは、手持ちの不動産を更地にすることにより、固定資産税がどのように変化するのかをお伝えします。

土地や建物の規模にもよりますが、更地にした場合は、住宅が建っている土地に比べて、3倍~4倍の固定資産税がかかります。その理由は、更地にしてしまうと、「小規模住宅用地の特例」や「一般住宅用地の特例」が適用されなくなるためです。小規模住宅用地の特例は、固定資産税評価額に6分の1を、一般住宅用地の特例は、3分の1を乗じて課税標準額を計算する軽減措置のことを指します。

しかし更地の場合は、住宅用地の特例が適用されない代わりに、多くのケースで「負担調整」によって課税標準額が固定資産税評価額の70%程度となるように調整されます。

住宅がある土地と更地の固定資産税の違いを確認するため、以下の例のような条件を設定して実際に計算してみましょう。

〈例〉
・土地面積:150㎡(小規模住宅用地の特例は、住宅1戸あたり200㎡まで)
・土地の固定資産税評価額:1,800万円
・土地の状態:一戸建て付きの土地
・負担水準:70%

なお、固定資産税を求める計算式は以下の通りです。

固定資産税額 = 固定資産税評価額 × 特例率 × 税率1.4%

[住宅が建っている場合の固定資産税]
固定資産税=固定資産税評価額 × (6分の1) × 1.4%
=1,800万円 × (6分の1) × 1.4%
=4万2,000円

[更地にした場合の固定資産税]
固定資産税=固定資産税評価額 × 70% × 1.4%
=1,800万円 × 70% × 1.4%
=17万6,400円

小規模住宅用地の特例が適用された場合、固定資産税が6分の1になるため、更地にした場合は、固定資産税が6倍になるとイメージした方も多いかもしれません。しかし以上の例から、実質的にはほとんどのケースで負担調整措置が取られるため、実際に計算してみると4.2倍ほど高くなる結果であることが分かります。

固定資産税について考える男女

ただし、更地より住宅用地のほうが固定資産税が少なくなるからといって、空き家を放置するのはおすすめできません。なぜなら、「特定空き家」に認定された家屋は固定資産税の軽減措置の対象から外れてしまうからです。

特定空き家とは、そのまま放置し続けると、倒壊といった危険性がある状態の建物を指します。2015年に制定された「空家等対策特別措置」により、特定空き家と認定されると固定資産税が大幅に上がるほか、自治体により強制的に建物が撤去されてしまう可能性があります。空き家対策のために行われる取り壊しを「行政代執行」といいますが、行政代執行により特定空き家が取り壊された場合、その費用は所有者に対して請求されることになるため、特定空き家に認定されないように空き家の維持管理に努めましょう。

●固定資産税に関する記事はこちら
固定資産税の計算方法は?評価額の決まり方や減税措置も併せて解説!

倒壊の危険性のある空き家

更地にしたほうが売れやすい?

更地にすると固定資産税が高くなることのほか、空き家を放置することのリスクについて前項でご紹介しました。建物を残すにしても更地にするにしても、不動産を持ち続ける限り固定資産税や都市計画税などのコストがかかるため、「住まなくなった家を売りたい」と考えている方もいるでしょう。

この場合、一度更地にしてから売るのと、古い建物を残して売るのとでは、どちらのほうが売れやすいのでしょうか?そこでここからは、更地にして売却した場合と、建物が建っている状態で売りに出す、古家付き土地として売却した場合のそれぞれのメリットと注意点について見ていきましょう。

まるとばつの札

更地の場合

更地として売却した際のメリットとして、流通性が高い点が挙げられます。更地の場合は、買主が即座に土地を自由に使えるだけでなく、家の解体にかかる手間やコストを心配する必要がない分、需要も高くなります。

ただし、建物を解体して更地として売り出す場合は、解体に費用や時間といったコストがかかる点には注意しましょう。

たとえば、30坪の古家を解体する場合、解体の見積もりから解体工事の完了まで、1~2か月程度を要します。解体にかかる費用は、ここまでにご紹介したように、建物の構造や大きさによっては200万円を超える場合もあります。

説明をする女性

古家付きの場合

土地の上に建っている建物の築年数がそこまで古くない場合は「中古一戸建て」として売り出せますが、築年数が古く、建物としての価値がほぼない場合は「古家付きの土地」という扱いになります。古家付き土地として売却する場合のメリットとしては、更地にして売る場合と比較すると、売主としては解体費用がかからないといった点が挙げられるでしょう。

また、古家付き土地として売却する場合、解体にかかる労力や時間的コストがかからないこともメリットの1つといえます。上記でお伝えした通り、古家を解体する場合は、最低でも1か月はかかりますが、古家付き土地であればスケジュール調整を行う必要がないため、スムーズに売却できるといえるでしょう。最近では、伝統工法で建築された古民家に注目が集まっており、古家に興味を持っている層を狙うことも、販売戦略の1つです。

しかし、古家付きとして売却を検討する場合は注意しておきたい点もあります。たとえば、どれだけ立地のよい物件でも古家付きの場合は、土地単体の購入希望者をターゲットにするのは難しくなるため、売れるまでにかかる時間は更地の場合より長くなる傾向にあります。古家に住むことを希望しない限り、古家は解体が必要になるため、単純に土地を買いたい人には敬遠されやすいためです。

さらに、購入後の解体費用を考慮して、値引きを求められる可能性があります。そういった場合に備えて、古家付き物件を売却する際は、値引きを想定した売り出し価格を設定することも大切です。

更地にするかを判断する基準として、解体にかかる費用や時間に加えて、売却や退去のスケジュールが無理のない範囲で行えるかどうかも考慮しながら判断することをおすすめします。

●古家付き土地の売却に関する記事はこちら
古民家売却を成功させるには?売却方法と費用を解説

整地された更地

更地の活用方法

空き家や更地の不動産価値を引き出す方法には、売却以外に、どのような活用方法があるのでしょうか?更地を活用し、収益を確保することを「土地活用」と呼びます。ここでは、空き家の利用方法や更地の活用方法について具体的に見ていきましょう。

賃貸マンション、アパート

賃貸マンションや賃貸アパートを建てて、貸し出すといった方法もあります。建物を建てて賃貸に出すメリットとしては、相続税評価額が安くなるといった点が挙げられます。相続税評価額とは、財産ごとに決められた評価方法をもとに算出された財産の価額です。

しかし、賃貸マンションやアパートは初期投資が必要不可欠となります。そのため、多額のローンを組む必要があったり、経営計画を立てたりする必要があるため、賃貸経営を行う際はしっかりとサポートしてくれる業者に依頼することが大切です。

一戸建て賃貸、賃貸併用住宅

建物が建っている場合、一戸建てを活用して一戸建て賃貸を行うことができます。賃貸マンションやアパートに比べて、一戸建て賃貸は、さほど敷地が広くなくても始められるといった特徴があります。

しかし、一戸建て賃貸や賃貸併用住宅を行う場合も注意しておくべき点があります。それは、修繕費用やメンテナンスリフォームなどの費用は持ち主の負担となる点です。また、賃貸マンションやアパートと比較すると需要が少ない傾向にあるため、ターゲットも限られます。

賃貸アパート

駐車場経営

マンションやアパート経営と比較すると初期費用が低く、すぐ気軽に始めやすい方法として駐車場経営があります。月極駐車場やコインパーキングなどの駐車場経営は、いったん更地にしてしまえば初期費用が少なくて済むうえに、管理の手間がそれほどかからないといった点がメリットです。しかし、地域や周辺環境によって収益性が左右されるため、自分の土地は駐車場に向いているかを事前にしっかりとリサーチする必要があります。

また、三井不動産リアルティの土地活用サービス「ALZO」では、自動販売機やシェアサイクルといった小さなスペースで始められる土地活用から、コインランドリーやトランクルーム、シェア農園、コンビニエンスストアなど、土地の特徴に合わせたさまざまな活用方法をご提案しています。土地の面積や期間にかかわらずサポートしておりますので、気軽に相談してみてはいかがでしょうか?

●土地活用サービス「ALZO」についてはこちらをご覧ください。

駐車場経営のイメージ図

更地の土地活用はプロに相談を

今回は、更地の基礎知識や活用方法についてお伝えしてきました。更地を持て余している方は、毎年の固定資産税の金額を確認し、自分の土地は現状維持のままでよいのか、土地活用と売却のどちらが適しているのかを判断するようにしましょう。

上記でご紹介したようなアパートや駐車場経営に不向きな土地であれば、売却してしまうのも方法の1つです。売却すれば、まとまった現金が手に入りますし、固定資産税の支払いや定期的な土地の管理にかかる手間も必要ありません。

●土地売却の流れに関してはこちら

三井のリハウスでは豊富な取り扱い実績をもとに、さまざまな土地活用のプランをご提案しています。さらに、今持っている土地について、「どのくらいの価格で売却できるのか?」を無料で査定することも可能です。古家付き土地として売却する場合も、更地にする場合も、まずは物件の価値を知ることから始めましょう。今後不動産をどうしたらよいのか、お悩みの方や不安に思っている方はぜひ三井のリハウスまでお問い合わせください。

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不動産鑑定士 竹内英二

株式会社グロープロフィット代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士をはじめとしたさまざまな資格を保有。不動産の専門家として、不動産鑑定やコンテンツのライティングなども行なっている。
https://grow-profit.net/