マンション売却か?賃貸か?判断基準を解説!

所有しているけど住まなくなったマンションは、売却したり賃貸に出したりと複数の活用方法があります。今回は、それぞれの方法のメリットや注意点などについてご紹介します。自分にとってベストな方法を決める参考にしてくださいね。

目次
  1. マンション売却と賃貸、どちらが得か?
  2. マンション売却のメリットと注意点は?
  3. マンションを賃貸に出すメリットと注意点
  4. マンション売却の流れとは?
  5. マンションを賃貸に出す流れは?
  6. 売却か賃貸か選ぶ方法は?
  7. 選びきれない場合は同時進行も可能
  8. 信頼できる不動産会社と自分に合った選択をしよう!
記事カテゴリ 売却 賃貸 マンション
2022.11.21

マンション売却と賃貸、どちらが得か?

急な転勤や親との同居などで住み替えが必要になったり、離婚や相続で住む予定のないマンションを所有することになったりしたときに、その処遇について悩んでしまうこともあるでしょう。住む予定のないマンションは空き家にしておくより、売却や賃貸として利用したほうが利益につながります。ただ、「売却と賃貸ならどっちが得なんだろう?」という疑問を持つ人も多いのではないでしょうか?

ここではその疑問を解消するために、マンションを売却、あるいは賃貸に出したときのメリットと注意点、売却の流れ、賃貸の流れ、売却か賃貸か選ぶ方法についてもご説明します。

マンション売却のメリットと注意点は?

まずはマンション売却のメリットと注意点についてお伝えします。

メリット

住まないマンションを売却する場合のメリットとしては以下の点が挙げられます。

まとまった現金が得られる
マンションを売却すると、一度にまとまった額の現金が手に入ります。それによって、住み替えや事業資金、残っていた住宅ローンの返済などに充てられることもあるでしょう。一般的にマンションの売却価格は築年数が増えるにつれて下がる傾向にあります。なるべく高く売りたい場合は、築年数が新しいうちに売却することをおすすめします。

税制優遇が受けられる
マンション売却で利益が出ると、その利益(譲渡所得)に対して所得税と住民税を合わせた「譲渡所得税」を納税しなければなりません。譲渡所得税は、売却年の1月1日時点でのマンションの所有期間によって適用する税率が異なり、売却した不動産が居住用であった場合、税制優遇を受けられます。主な優遇は以下の3つです。

●3000万円の特別控除
居住用財産を売却した際に、3000万円分が譲渡所得から控除できる特例です。

●10年超所有軽減税率の特例
居住用として10年を超えて使用していた不動産を売却する場合、6000万円以下の譲渡所得部分に関しては譲渡所得税の税率が軽減される特例です。居住用財産の3000万円の特別控除の特例と併用ができます。所有年数に応じた税率は以下の通りです。

所有期間

譲渡所得税の課税税率

5年以下(短期所得)

39.63%

5年超(長期所得)

20.315%

10年超(6000万円以下の部分)

14.21%

●買い替え特例
買い換えたマイホームの購入金額が、売却価格よりも高い場合は、譲渡所得税の課税を将来に繰り延べできる制度です。

なお、転居してから3年後の12月31日までに売却する場合には、転居後に賃貸していたとしても上記の特例を利用することができます。

維持コストがかからない
マンションを売却することで、マンションを維持するコストから解放されます。マンションをはじめとする不動産は、所有しているだけで維持コストがかかります。維持コストとしてかかるのは、毎年の固定資産税や都市計画税、毎月の管理費、修繕積立金などです。

また賃貸に出すと、入居者からの問い合わせ対応や不払い家賃の督促といった労力が必要な場合もあるでしょう。そういった労力を省くには管理会社に管理業務を委託する方法がありますが、やはり管理会社への支払いが発生します。マンションを売却してしまえば、これらの費用の支払いをする必要はなくなります。

賃貸よりも難易度が低い
マンション売却は、マンションを賃貸に出すよりも難易度が低いといえます。なぜなら、売却の場合は引渡しをしてしまえば終了ですが、賃貸として貸し出す場合は長期的に管理をしながら利益を出していく必要があるためです。賃貸物件は運営をするにあたって立地のよしあしが大きく左右され、売却はできても、賃貸には出せない物件が多くあります。

マンションの外観

注意点

住まないマンションを売却する場合の注意点としては、以下の点が挙げられます。

売却時期で金額が変わる
マンションをはじめとする不動産の場合、売却時期は売却金額に大きな影響を与えます。売却時期は、経済状況と売ろうとしているマンションの状況、双方を考慮することが大切です。不動産をめぐる経済状況はこまめにチェックをして、売り時を逃さないようにしましょう。

マンションの状況については、建物の築年数が大きくかかわります。マンションの価値がゼロ円になることはありませんが、築年数20~25年を境にして、マンションの価格は大幅に下がり、20~25年を超えると、緩やかなペースで下がっていく傾向にあります。先述の通り、マンションの状況だけを考えると、できるだけ高く売却するには早めがよいでしょう。

すぐに買い手が見つかるとは限らない
マンションを売り出したからといって、すぐ買い手が見つかって売却できるとは限りません。一般的に、マンションを売却し始めて買主と売買契約を締結するまでは最低でも3か月かかるといわれていますが、物件によっては3か月以上かかる場合もあります。

特に、売り出し価格を相場と比べて高く設定している場合は、購入希望者が現れるまでに時間がかかる傾向にあります。その場合は、不動産会社の担当者と相談をして、価格設定の調整を行うことも必要になるでしょう。

税金や諸費用がかかる
売買契約が成立した場合、印紙税や登録免許税などの税金をはじめ、仲介業者を介した場合には仲介手数料などの費用が発生します。発生する主な税金や諸費用は以下の通りです。

・印紙税
・登録免許税(住宅ローンが残っている物件を売る場合)
・仲介手数料

仲介手数料には消費税もかかります。さらに上記でご紹介した諸費用や税金に加えて、売却益が出た場合は譲渡所得税の納税をしなくてはなりません。そのため、売却の際は、諸費用や税金を差し引いたうえで手元に残る金額がいくらになるのかを考えることが重要といえるでしょう。

諸費用や税金のほかにも、住宅ローンの残債がある場合は、売却金額で返済するか、足りない場合は自己資金も含めて引渡しと同時に残債を完済する必要があります。ローンが残ったままの不動産は、引渡し時に抵当権(銀行が設定した担保権のこと)を抹消することが売却の条件となります。ローンの残債がある場合は、その金額を加味して売却計画を立てることが重要です。

●マンション売却の手数料に関する記事はこちら
マンション売却の手数料は?負担を抑える方法を解説

マンションの模型と電卓

マンションを賃貸に出すメリットと注意点

次に、マンションを賃貸に出す場合に考えられるメリットと注意点をお伝えします。

メリット

住まないマンションを賃貸に出す場合のメリットとしては以下の点が挙げられます。

入居者がいれば毎月の家賃収入がある
マンションを賃貸に出し、入居者を見つけられると毎月家賃収入を得られます。家賃収入は、労働の対価ではない、「不労所得」です。入居者が長く住めば安定した不労所得を得ることになり、それはマンションを賃貸に出す最大のメリットといえるものでしょう。

ではどれほどの不労所得を得られるのか、計算してみましょう。

まずは、マンション売却の売却益と、マンションを賃貸に出したときの家賃収入を比較します。ここで家賃収入はどのくらい黒字になるのかをしっかりと把握しておくことが重要です。把握するには、「マンションPER」という方法があります。マンションPERとは、賃貸に出した場合にマンションの購入価格を何年で回収できるのかを示す数値です。マンションPERを算出するには、下の計算式を使います。

マンションPER=マンション価格÷(月額賃料×12か月)

上の計算式で算出した数値は、賃貸の収益がマンションの購入価格を上回るまでの年数です。

たとえば、物件価格4000万円のマンションで、年間の賃料収入が200万円と仮定しましょう。この場合のマンションPERは20です。これは、20年で投資の回収を終え、20年を境に黒字に転じる状態を示します。マンションPERは小さければ小さいほど、効率的に投資の回収ができ、収益率が高くなります。

マンションを賃貸に出すならば、PERがより小さい、収益率の高い家賃にしたいところです。しかし、相場よりも高い家賃を設定すると入居希望者が現れず、収入がゼロになる可能性が高まります。 適切な家賃にするために、賃貸に出すマンションと似ている条件の物件の家賃をチェックしましょう。

費用を経費に計上できる
マンションを賃貸に出した場合、マンションの維持にかかる費用は「必要経費」として、確定申告で所得から差し引くことができます。必要経費として計上できる費用は、以下の通りです。

・管理費および修繕積立金
・ローンの利息(アパートローンに借り換えている場合等)
・賃貸管理会社へ支払う管理委託料
・固定資産税、都市計画税
・火災保険料や地震保険料
・税理士への報酬
・設備交換費
・入居者募集のために支払う仲介手数料
・退去時に貸主が負担した部分の原状回復費用(クロスの張り替えなど)
・減価償却費

減価償却費とは、長期にわたって使用する資産に対して、その資産の取得費を資産の耐用年数にわたり分割して費用計上する会計処理のことを表します。

将来的に売却もできる
賃貸経営を行った後でも、将来的にまとまった現金が必要になった際には、売却して現金を得ることも可能です。すぐに売却してしまうのではなく、資産として所有していれば、自分の好きなタイミングでマンションを売却できます。

賃貸として利用した物件は「収益物件」となり、収益物件の売却額は家賃と利回りが大きく売却価格に影響します。一般的に家賃は建物の築年数が経過していても下がりにくいため、貸し出しておくと値崩れがしにくくなることもあります。なお、マンションに賃貸借契約をしている入居者がいる状態でも売却はできます。

家が再度必要になった場合は、再び使用できる
売却しなかった場合は、自分の資産を所有し続けることになるので、将来的にマンションに戻って住むことができます。なお、再び住みたいときに入居者がいる場合は、入居者との賃貸借契約を終了させなければなりません。

賃貸契約は簡単に終了できないため、再び住むことが決まっているならば、後程お伝えする「定期借家契約」で賃貸契約を結びましょう。

一般的に交わされる賃貸契約は普通借家契約です。これは更新可能な契約で、賃貸借契約を結んだ場合は簡単に解消できません。どうしても退去させたい場合は、貸主は正当な理由に加え、立ち退き料を支払うことが必要です。

マンションの模型とお金

注意点

住まないマンションを賃貸に出す場合の注意点としては、以下の点が挙げられます。

空室のリスクがある
賃貸に出す最大のリスクは、空室になってしまうとその間は収入が得られないことです。マンションを賃貸に出すことで家賃収入を得るには、常に入居者がいなければなりません。たとえ空室になっても、マンションの管理費や修繕積立金などのランニングコストはかかります。万が一空室になった場合は、賃貸専門の不動産会社に相談したり、賃料を下げたりと対策を取る必要があるでしょう。

管理や維持にコストがかかる
マンションの賃貸経営をする以上、管理や維持にコストがかかります。たとえば、入居者の退去時には、クロスやフローリングなどの経年劣化に伴う部分的な修繕が必要になります。また、エアコンや給湯器などの設備が古くなったり、故障したりという場合は、新しいものへの交換が必要ですし、外壁が傷んだり、はがれていたりする場合も修繕が必要です。

入居者トラブルが発生する可能性もある
入居者によっては、トラブルを引き起こす可能性があります。考えられるトラブルとしては、以下のような項目が挙げられます。

・ペット不可等の禁止事項を守らない
・ごみ出しのマナーが悪い
・家賃を滞納する
・建物を手荒に使う

場合によっては、同じマンションに住んでいる近隣住民にまで迷惑をかけてしまう可能性もあります。入居者トラブルは、入居者を慎重に選ぶことである程度避けられます。 また、家賃の滞納リスクに備えるために、家賃保証会社を利用するのも1つの方法ですよ。

税制面での優遇が受けられない
賃貸として利用した後に売却する際は、転居してから3年後の12月31日を超えてしまうと、先ほどお伝えしたようなマイホームを売却する際に利用できる特別控除を受けられません。

住宅ローン返済中は賃貸に出せない
住宅ローン返済中の物件は、たとえば転勤といったやむを得ない事情がない限り、原則として賃貸に出すことはできません。つまり、住宅ローンが残っている物件は、原則として賃貸という選択肢はないと思っていたほうがよいのです。

なぜなら、住宅ローンは所有者が住むための家の購入を前提として金融機関から融資を受けているからです。所有者が住まずに、入居者を見つけて家賃収入を得る賃貸物件になれば、当初の融資目的が変わります。マイホームと賃貸物件では、国からの税制優遇が変わるように、金融機関にとっても融資対象が変わることになります。

どうしても住宅ローン返済中にマイホームを賃貸物件にしたい場合は、あらかじめ金融機関と交渉してみましょう。ローンを組む対象の物件をマイホームから、投資目的の賃貸物件へ変更する際は、住宅ローンから不動産投資ローンへの借り換えになります。ただしこの場合、金融機関が不動産投資目的への借り換えを認めない可能性があることも覚悟しておきましょう。

夫婦に説明をする担当者

マンション売却の流れとは?

もし売却のほうがよいな…と考えている場合は、ここで売却の流れを知っておきましょう!マンション売却の流れとしては大きく分けて6つのステップがあります。簡単にそれぞれのステップについてご紹介します。

[ 1 ] 現状を把握して希望条件を整理する

マンション売却を決めたら、自分のスケジュールや置かれている状況を把握し、売却の希望条件を整理しましょう。住宅ローンの残債がある場合は、残債額を把握することも必要です。売却する際は、残債を一括返済しなければいけません。

[ 2 ] 査定を依頼して不動産会社を決定する

目指そうとする売却の形が決まれば、不動産会社へ査定を依頼しましょう。査定には「簡易査定(机上査定)」と「訪問査定」の2種類があります。簡易査定は、現地の確認を行わず、外部から取得できる情報のみで査定する方法です。一方の訪問査定は、不動産会社の担当者が現地を訪問し、細かい部分を確認しながら行う方法を指します。

査定を依頼するなら、複数の不動産会社にまずは簡易査定を依頼し、次に簡易査定を依頼したなかから数社に訪問査定を依頼するのがよいでしょう。各社の査定結果を比較して、信頼できそうな不動産会社を見極めましょう。

●マンション査定はこちら

[ 3 ] 媒介契約を締結する

査定を依頼するなかで信頼できそうな不動産会社を見つけたら、不動産売買の仲介を依頼します。不動産会社と仲介の契約を結ぶ「媒介契約」には、「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3つがあります。自分に最も合った媒介契約を選びましょう。

●媒介契約の種類に関する記事はこちら
媒介とは?仲介や一般媒介などの違いを一挙解説!

[ 4 ] マンションの売却活動を進める

媒介契約を結んだら、いよいよ売却活動です。媒介契約を結んだ不動産会社と相談しながら売り出し価格を決め、広告を出し、購入希望者を募ります。購入希望者には「内覧」を行い、実際にマンションを見学してもらいます。購入希望者が物件に好印象を抱くように、内覧時までにマンションの清掃を済ませておきましょう。

媒介契約の種類にもよりますが、売却活動は不動産会社が中心となって進みます。だからといって不動産会社に任せきりにせず、進捗状況を確認しながら進めましょう。

[ 5 ] 売買契約を結ぶ

売却活動で、納得できる条件の買い手が現れたら、売買契約を結びます。売買契約を交わす前に買主は不動産会社から「重要事項説明」を受けて、契約内容の最終的な確認をします。

[ 6 ] 物件の引渡しを行う

売主と買主に加えて、不動産会社や司法書士などが集まって物件の引渡しを行います。売主は、引渡し時にマンションの鍵や、管理規約などを買主に渡します。

より細かい流れを知りたい場合は、こちらでマンション売却の流れを詳しく説明していますので、ご確認ください。

マンションと青空

マンションを賃貸に出す流れは?

マンションを賃貸に出したいと考えた場合は、どのように進めていけばよいのでしょうか?ここからは、マンションを賃貸に出す際の流れについて見ていきましょう。

[ 1 ] 賃貸募集を依頼する不動産会社を探す

マンションを賃貸に出す際には、まず初めに賃貸物件を取り扱っている不動産会社を探しましょう。空室にならないように、集客力のある不動産会社を選ぶことが大切です。

また、手続きを進めるなかで出てくるトラブルにも、丁寧に対応してくれる不動産会社を選びましょう。複雑な手続きをスムーズに行えるかどうかにかかわる重要なポイントです。

●賃貸の無料査定はこちら

依頼する不動産会社が決まったら、マンションの賃貸契約の種類を選びましょう。賃貸契約には、以下の3種類があります。

普通賃貸契約
一般的に用いられるのが普通賃貸契約です。通常この契約では、2年に1度更新をし、正当な理由がない限り、貸主が借主側の更新を拒むことはできません。

サブリース
サブリースとは、物件を不動産会社へ貸し出し、不動産会社から借主へまた貸しする方法です。不動産会社に家賃の10%程度を支払えば、手間のかかるマンションの維持管理を不動産会社に任せられます。

定期借家契約
定期借家契約とは、更新できない契約のことです。契約期間満了時に確実に賃貸借契約が終了するため、貸主が賃貸契約の期間を限定したいときに用いられます。しかし、契約期間が短期間となるため、なかなか借主が見つからない可能性があります。

[ 3 ] 不動産会社と契約を結ぶ

賃貸契約の種類を選んだら、入居者を募集する不動産会社と契約を結びます。契約方法には、「媒介契約」「代理契約」の2つがあります。2つの契約の大きな違いは、不動産会社に判断権限まで付与するか否かです。たとえば、入居者の決定に関して、媒介契約の場合は貸主が最終判断をする必要がありますが、代理契約では不動産会社に判断を任せることができます。

[ 4 ] 入居者の募集と内覧後に契約を結ぶ

貸主と不動産会社の役割が決まると、いよいよ入居者の募集が開始されます。この際に、賃料や入居条件など具体的な内容を決めます。入居希望者が現れたら、内覧を行います。このとき、一般的に内覧は貸主ではなく、不動産会社の担当者が立ち会います。

より細かい流れを知りたい場合は、こちらでマンションを賃貸に出すまでの流れを詳しく説明していますので、ご確認ください。

マンションの模型と文房具

売却か賃貸か選ぶ方法は?

売買か賃貸かに迷った場合、これまでお伝えした以外の方法でも判断できるポイントがあります。ここではそのポイントを詳しくお伝えします。

物件の状態から考える

売却向きか賃貸向きかは物件の状態から、ある程度判断できます。

売却向きのマンション
売却向きと考えられるのは、所有しているマンションの専有面積が広い場合です。賃貸としての需要は、単身者から2人暮らしまでの少数世帯に多くなる傾向にあります。借主は、手頃な家賃の物件を好むため、賃貸需要はコンパクトな間取りに多く発生する傾向があります。

また、築年数の古いマンションも、売却向きかもしれません。なぜなら、売却の場合は設備の交換や内装のリフォームをしなくても売れることが多いからです。もし、賃貸に出すとなると、設備の交換や内装のリフォームなどを行わないと入居者を決めにくくなります。

賃貸向きのマンション
賃貸向きのマンションは、駅から近く、築年数も浅く、コンパクトな間取りの物件です。築年数が浅いと設備も新しいので、入居者が募りやすいといえるでしょう。また、部屋数がそれほど多くない間取りは、家賃を抑えやすいため、入居希望者が現れやすい傾向にあります。

利回りを計算して判断する

売却か、賃貸かを選ぶには、賃貸に出した場合の利回りを計算して判断する方法があります。利回りには、どれくらいの売り上げになるのかを示す「表面利回り」と、どれくらいの利益が残るのかを示す「実質利回り」があります。ここでは、理想的な実質利回りは、新築の物件では3%前後、中古の物件では4%~6%を指標にします。マンションを賃貸に出した場合の実質利回りが、3~6%と同等かそれ以上を見込めそうであれば、賃貸として出すことも考えてみましょう。

将来的に住む可能性があるかを検討する

そのマンションに一時的に住まないとしても、数年後にまた住む可能性がある場合は、賃貸として残すことをおすすめします。たとえば転勤で一時的に離れてしまう場合は、定期借家契約を検討しましょう。

リビングでくつろぐ夫婦

選びきれない場合は同時進行も可能

売却か賃貸かどうしても選びきれない場合は、同時進行も可能です。売却活動と賃貸活動を同時に始めて集客すれば、どちらの方法にするか比較検討しやすいでしょう。同時進行の集客状況から、売却金額と家賃収入による収益を天秤にかけ、売却か賃貸か、より有利な方法を選びましょう。

ただ、気を付けたいのは、仲介に入る不動産会社のモチベーションです。売却でも賃貸でも、仲介となる不動産会社の仲介手数料は成功報酬です。そうなると、売却成立時の仲介手数料は、賃貸契約成立時の仲介手数料に比べて高額になるため、不動産会社のモチベーションは売却活動に向いてしまうかもしれません。同時進行する場合は、賃貸物件の可能性の芽を摘み取らないように配慮しましょう。

信頼できる不動産会社と自分に合った選択をしよう!

ここまで、住んでいないもしくは住まなくなったマンションを、売却する場合と賃貸に出す場合のそれぞれのメリットと注意点をご紹介してきました。売却するか、賃貸に出すかどちらかで迷った場合は、両方のメリットと注意点どちらについても理解を深めることが重要といえるでしょう。

しかし、それぞれのメリットや注意点を把握しても、疑問や不安が出てくる人もいるはずです。その場合は、信頼できる不動産会社に相談してみることをおすすめします。不動産会社では、物件調査をもとに査定だけでなく、物件の市場に関する情報も提供してくれる場合があります。そのため、自分で売却か賃貸か迷ったときは、不動産会社にアドバイスを求めてみましょう。不動産会社からのアドバイスを参考にすることで、納得のいく選択になる可能性がぐっと高くなりますよ。

●売買か賃貸かで迷った場合はこちら

不動産鑑定士 竹内英二

株式会社グロープロフィット代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士をはじめとしたさまざまな資格を保有。不動産の専門家として、不動産鑑定やコンテンツのライティングなども行なっている。
https://grow-profit.net/